フロントエンドエンジニアの仕事ってどんな内容?必須スキルを知ってエキスパートを目指そう!

最終更新日:2024年10月03日


この記事のまとめ

  • フロントエンドエンジニアとはWebサイトやWebアプリケーションにおいて、ユーザーの目に触れる部分の開発・運用を主に担当するエンジニアである
  • フロントエンドエンジニアの仕事はHTML, CSS, JavaScriptを扱うスキルやUI/UX、SEOの知識なども求められる
  • フロントエンドエンジニアの将来性は、各種Webサービスの需要増加に伴い今後も明るいと言えるが、常に最新技術を習得していく努力が必要となる

世界中のコンピュータネットワークをつなぐグローバルなネットワークとして、軍事目的から研究目的、一般商業利用へと発展してきたインターネットは、もはや私たちの生活のあらゆるシーンで不可欠なもの、切っても切り離せない関係性にあるものとなっています。広く民間に提供されるようになってからというと、まだ30年あまりの歴史しかありませんが、その技術は暮らしのありとあらゆるスタイルを変えたといっても過言ではないでしょう。

今日では黎明期には想像もされなかったほどの高速通信環境が普及し、回線や通信機器も飛躍的に進化、人々が用いるデバイスもPCだけでなく、スマートフォンが大きな成功を収め、現代必須のツールとなったのを筆頭に、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、IoTなど多様化が進みました。ネットワークにつながっていることが意識されることもなく、あらゆるモノがつながる時代や、AI、スーパーコンピュータのさまざまな分野における実践的活用も現実のものになりつつあり、さらに量子コンピュータの実用化といった未来まで、近くに見据えられるようになってきています。

まさに日進月歩、今も止まることない進化を続けるITと通信の世界は、今後も最新の技術を活かし、さまざまなビジネスや便利な生活スタイルを生んでいくことでしょう。私たちはその多大な恩恵を受けて暮らしていくと考えられますが、いかに技術が進んでも、開発にかかる技術者の存在なくしては実際に使えるサービスやツールとなることはありません。ITへの世界の依存度が高まれば高まるほど、エンジニアの働きが重要になります。

ニーズが高まり、担うべき役割や業務が複雑化の一途をたどる中で、エンジニア職の専門化・細分化も進んできました。フロントエンドエンジニアもそうした職種のひとつですが、その仕事内容は非常に多岐にわたり、職種としてあることは認知していても、日常どのような仕事にあたっているのか、その他の似たエンジニア職種やWeb職種とはどう違うのか、あらためて問われると答えられない方が多いのではないでしょうか。

そこで今回はWeb制作のエキスパート職種として注目されるフロントエンドエンジニアにスポットを当て基礎から解説するとともに、フロントエンドエンジニアを取り巻く今の環境から今後を見据えた将来性まで、詳しくみていくこととしましょう。

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フロントエンドエンジニア基礎知識

そもそもフロントエンドって何?

フロントエンドエンジニアについて、まずはその用語の定義など、基本的な部分から解説します。フロントエンドエンジニアとは、フロントエンドの開発・運用を主に担当するエンジニアのことをいいます。しかし、これではまるで禅問答のようで、どのような職種なのか分かりませんね。これを理解するには、まずフロントエンドとは何かを知る必要があります。

フロントエンド(front-end)とは、WebサイトやWebアプリケーションなどにおいて、直接ユーザーの目に触れる部分、画面に情報を表示したり、入力操作を受け付けたり、他のシステムとの入出力を行うなど外部と直接やりとりを行うところを指します。目に見えている部分、Webブラウザ側で作動する部分のことです。

ソフトウェアならば、ユーザーが直接触れて扱う部分を提供するプログラムやモジュールがそれにあたり、文字でのデータ表示や任意の操作が行え、その反応結果が示されるプログラム、ユーザーが直接は操作することのないライブラリなどへグラフィック表示やマウスの操作、タッチ操作でアクセスすることができるようにするGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を提供するものなどがフロントエンドです。

クライアントサーバー型のシステムであれば、クライアント側のソフトウェアがフロントエンドであり、Webアプリケーションではブラウザに表示されるページ部分が該当します。

ちなみに、もとのfront-endという英語が「前部の、上位の、前面の」といった意味を持つ言葉であるため、複数の段階的機能で階層構造をなしているようなシステムの場合には、その上位部分、入力を受け取るところのことをフロントエンドと呼ぶこともあります。例えば、コンパイラフロントエンドは与えられたソースコードを解釈して中間形式に変換する役割を担い、コンピュータが理解する機械語のネイティブコードを生成する側へと引き渡す働きをしているといった具合です。

Webサイトやアプリケーションの開発としては、ユーザーがまずデバイスの画面越しに直接触れ、見て内容を読み取ったり、入力操作を行ったりする部分がフロントエンドであると覚えておけば問題ありません。これらはクライアントサイドとも呼ばれ、Webブラウザ側でプログラムが実行されていることも知っておきましょう。フロントエンドエンジニアは、この領域を担当する技術プロフェッショナルです。

フロントエンドとバックエンド

フロントエンドとあわせて理解しておきたいのは、その対義語にあたる「バックエンド」です。バックエンド(back-end)とは、Webサーバー側やデータベースシステム、セキュリティが確保されるべき情報の暗号化部分など、ユーザーからは直接見えない部分のことを指しています。フロントエンドでユーザーによって入力されたデータや操作による指示情報を受け取り、必要な処理を行って結果を返したり、該当データを保存したりするのがバックエンドというつながりになります。

ユーザーから見える部分として前に出ている、画面越しに表示されているトップ部分にあたるからフロントエンド、末端のユーザーからは見えない後方部分、より奥の内部処理にあたる部分だからバックエンドと呼ばれるのだと覚えておけば良いでしょう。

例えば、あるWebサービスを利用する際、本人確認としてログインが必要な仕組みになっていたとします。この時、ログイン画面として表示されるページ部分、ユーザーにIDやパスワードの入力を求めるフォームを含んだ画面デザイン全体はフロントエンドです。利用するデバイスによって最適化されるなど、さまざまな表示形態をとりますが、ユーザーに分かりやすく情報を視覚的に示し、次の操作を求めます。

ユーザーがこのログイン画面を見て、入力フォーム部分に自身のIDとパスワードを入力、情報として送信します。すると、これを受け取ったサーバー側はログイン処理としてユーザーの本人確認を実行し、正しく認証されればその人向けのサービスシステム内に入った情報を、認証に失敗しユーザー確認ができなければエラーを示す画面を表示させる情報を、それぞれ返すことになります。こうした処理を担うのがバックエンドです。

WebサイトやWebアプリケーション、オンラインのさまざまなシステムは、ほとんどのものがこのフロントエンドとバックエンドの2つの層によってできており、それぞれのやりとりによって動作する仕組みとなっています。フロントエンドはユーザーが直接目にし、触れる領域であるという性質上、デザインとの関係が強く、それに対してバックエンドはシステムの根幹を支え、サーバー上の処理を行う部分ですから、より機械語寄りで、効率の良い迅速な処理と堅牢性が重視されるものとなります。

マークアップエンジニアとの違い

フロントエンド領域を担当するのがフロントエンドエンジニア、それに対しバックエンド領域を担当するのがバックエンドエンジニアです。この2つは担当する領域が明確に分かれていますから、比較的違いを理解しやすく、分類も容易ですが、Web職種、ITエンジニアにはさらにさまざまなタイプの職種があり、フロントエンドエンジニアとよく似ていて違いが分かりづらいものもあります。

その代表的なものといえば、マークアップエンジニアでしょう。企業によってはマークアップエンジニアとフロントエンドエンジニアの区別を明確にしていないケースもありますが、この2つは異なる職種です。

マークアップエンジニアは、デザイナーが作成したデザインやグラフィック素材をもとに、HTMLで文書や画像の配置を行い、CSSで色装飾を行うなど、設計とコーディングによりWebサイトの構築を行っていく専門技術者です。ユーザーが用いるブラウザによる挙動の違いなどにも注意しつつ、ユーザーにとって利便性の高いサイトとなるよう、軽量なコードで記述できるよう工夫したり、アクセシビリティ改善のための提案を行ったり、必要な修正・バグへの対応を行うなどの作業を担当します。

マークアップエンジニアが対象にする領域も、ユーザーが直接触れる部分であり、サイトの表示デザインに関わる開発業務になります。そのため、フロントエンドエンジニアの業務と重複する部分、共通する部分もありますが、フロントエンドエンジニアの場合、さらにJavaScriptやPHPを用いたサイトの動的コンテンツの設計・実装を行ったり、CMS(コンテンツ・マネジメントシステム)の構築、バージョンやパッケージの管理、カスタマイズなど、より高度で総合的な開発の知識とスキルが求められる広範な仕事を行っていくこととなります。

マークアップエンジニアがHTMLでのコーディング、CSS設計をメインとし、ユーザーインターフェース(UI)の基礎開発にとどまるのに対し、フロントエンドエンジニアの仕事領域はより広く、上位職として高く広範な専門家たるスキルを要求されます。

ちなみにマークアップエンジニアよりもさらに手前の開発スキル段階とされる職種には、コーダーがあり、コーダーはクライアントやWebデザイナーなどの指示通りに、自身の扱う言語でコーディング作業をこなすことが仕事となります。マークアップエンジニアは、コーダーよりもHTMLとCSSに高い知見を有し、コンテンツの内容を理解しながら構造化を行ったり、検索エンジンへの最適化も含めたマークアップ作業で対応したりと、クライアントの意図をくみ取った最適なコーディングの提案ができるエンジニアであることが特徴です。

指示に従ってデザイン通り、コードの作成を担うコーダー、その上位職としてHTMLとCSSによるサイト設計、UIやSEOの知見を活かした画面制作を進めるのがマークアップエンジニア、さらにその上位でJavaScriptの知識やスキルにも長け、デザインとシステムの両開発で総合的なフロントエンド領域の設計・構築・運用を担う専門家がフロントエンドエンジニアとなります。

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フロントエンドエンジニアのいま

フロントエンドエンジニアは、Web技術の進展に伴い、標準的なWebサイト制作においてもリッチコンテンツの実装ケースが増加、多機能性や動的コンテンツ・設計のニーズが増えたことに加え、そうした開発工程が複雑化し、システム開発業務としてのより細かな切り分けがスムーズな制作プロジェクトのために必要になったことなどから、新たに求められるようになった専門職種であり、Web職種の中でも比較的歴史の浅いものです。

かつてはWebデザイナーやマークアップエンジニア、コーダーの仕事によって、フロントエンドの作業が完了するレベルでしたが、次第にフロントエンド領域に分類される業務そのものの増加とひとつひとつの高度化、作業フローとしての複雑化が発生し、よりスキルの高い専門家として、フロントエンドエンジニアの存在が強く求められるようになったのです。

こうしてフロントエンドエンジニアが誕生し、WebサイトやWebアプリケーションなど、さまざまなWeb開発と改善・運用のシーンにおいて、幅広い仕事を行い、それがどの程度ユーザーが快適に使える魅力的なコンテンツやサービスとなるか、提供や運営を担う事業者にとってはその顧客満足度を左右し、事業成長の程度や成否を決めるなど大きな鍵を握る重要なポジションとして確立・認知され、今日に至っています。

ユーザーが直接触れる部分としてのフロントエンドが担当領域ですから、基本となるのは、Webサイトやアプリケーションなど制作におけるユーザーインターフェース(UI)の開発・実装ですが、ただ見た目を良くするだけではなく、ユーザーエクスペリエンス(UX)やSEOなどを考慮した設計を行うことも重要であり、その面でバックエンドと連携した開発、情報を共有しつつ方針を決めて開発していくといったことも行わなければなりません。

案件によって、よりデザイン重視、マーケティング要素重視など、クライアントの考え方次第で重点業務領域に違いがあるほか、ディレクションの仕事もあわせて任される場合も増えています。表示速度のさらなる向上など、ユーザビリティとして要求される内容も変化と高度化、多様化が進んでいますから、それに対応した技術の習得と新たな業務の担当、工程追加が発生してきているのも昨今の特徴といえるでしょう。

高度なアプリケーション開発では、大規模な制作チームが組まれることが多く、そうした体制でもスムーズに開発作業が進められ、トラブル発生時に速やかな原因究明が行われるよう、ソースコードのバージョン管理を行うことが求められ、そのツールを駆使することが新たなフロントエンドエンジニアの仕事として加わるケースも多くなっています。そのような現場の仕事では、バージョン管理のGitにかかる知識とスキルが不可欠であり、さまざまな開発バージョンを作ってみるなどして慣れておく必要があります。

開発において非常に多くのパッケージを用いるようになったことから、それらを効率良く管理するため、npmに代表されるような管理ツール、パッケージマネージャーを使うことが増えたのも最近の傾向です。

そして従来の仕事内容から、最も大きく変化した部分、フロントエンドエンジニアの“いま”として理解しておくべき最大のポイントとなるのは、急速に進んだモバイルシフトへの対応でしょう。モバイル端末、とりわけスマートフォンが広く普及し、多くの人が日常的に用いる情報端末となったことで、スマートフォンの小さな画面にも最適化された表示、UIとなるサイト設計やアプリケーションの開発案件が急増しています。

かつてはWebサイトにアクセスする、インターネットを使うといえば、PCが主流でしたが、近年はスマートフォンからのアクセスユーザーが大幅に増加しており、Googleの発表でも、2015年にはPCでの検索数をスマートフォンなどモバイル端末からの検索数が上回ったとされています。Googleはこの調査結果をもとに、サイトの評価基準をPCベースではなくモバイルとする、モバイルファーストインデックスへの移行を決定しました。この大幅な方針転換となる新ルールへの移行作業は2018年に本格着手となり、既に2020年9月で完了となっています。これにより、SEO対策の基本となるGoogle検索での表示順位は、PCページではなくモバイルページ、スマートフォン向けページが基準対象として評価され、決まるものとなりました。

つまり、重要なコンテンツも省略することなく、モバイル向けページで分かりやすく表示させられ、小さな画面でもユーザーがストレスなく使えること、そのユーザビリティが高い水準で実現されている仕組みになっていることが、サイトのSEO対策という観点でも、非常に重要で強く求められるところとなったのです。

実際にモバイルシフトの傾向は国内でも顕著に発生・確認されており、総務省が調査し結果を公表した「令和5年版情報通信白書」によると、2022年の端末別インターネット利用率は、スマートフォンが71.2%で1位、PCは48.5%の2位でした。3位にはテレビの27.1%が続いています。同省の「通信利用動向調査」で公開された「端末別にみた個人のインターネット利用者数・比率の推移」によると、PCからのアクセスは2020年に60.4%、2021年で57.9%、2022年57.1%、2023年55.0%とやや減少傾向にある一方、スマートフォンを含むモバイル端末からのアクセスは、2020年で88.0%、2021年88.5%、2022年には88.7%、2023年で89.3%に達し、大きく増加してきています。インターネットの利用において、PCとモバイル端末の両方を用いるユーザーが半数弱は存在しますが、PCのみを使うユーザーは減少の一途で2017年には1割を切り、8.2%にまで低下したのに対し、モバイル端末のみのユーザーは2015年に26.7%、2016年で24.4%、2017年は27.9%とさらに増えてきていることも無視できない傾向でしょう。モバイルフレンドリーな設計は、強い至上命題となりつつあるのです。

こうしたモバイル対応や、多様化するデバイスへの総合的な対応を進める場合、それぞれにデザイン設計を行っていると多大なコストがかかってしまうため、デバイスごとの表示最適化が仕組みとして組み込めるBootstrapやBulmaなどのフレームワークを用いた開発、またJavaScriptを用いる場合でも、React.jsAngularJSなどのフレームワーク、jQueryのようなライブラリを駆使した効率的な開発が自在にできるスキルが強く求められるようにもなりました。

スマートフォン主体での開発案件では、ユーザーが用いる機種により解像度が大きく異なることから、それを意識しつつ、最適な表示をどんな場面でも叶える細かな設計、構築時の心配りが必要ともなっています。そして小さい画面を最大限に活かした表現やUIの設計・実装も重要なスキルとなるでしょう。

またモバイル対応以外の傾向として、近年Firebaseなどサーバーレス開発のスタイルが登場し、従来はバックエンド業務であったインフラ関連まで、フロントエンドでの処理が可能になり、その領域までフロントエンドエンジニアの業務に含む案件も出てきているという新たな潮流があります。この影響でAPIの呼び出しやデータベース操作関連のシステム構築、セキュリティ管理の必要な処理システムの実装といった工程への対応も求められる場合が出てきています。フロントエンドエンジニアは、こうした新しい流れにも注目し、より幅広い分野について積極的に学んでいかねばなりません。

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フロントエンドエンジニアの仕事のやりがい

フロントエンドエンジニアが担当する仕事の領域は、Web技術の進展とそれに伴うコンテンツの多様化などから拡張傾向にあり、作業の高度化も進んでいます。とくに開発で用いることが多く、フロントエンドエンジニアのスキルとしても重要なJavaScriptのフレームワークを含めた駆使については、フレームワークそのものの増加と充実化も加速度的に進んでおり、トレンドに沿った最新技術が次々に誕生している状況です。

こうした昨今の流れから、その変化に対応し、必要な情報を収集して知識やスキル面でもキャッチアップしていくこと、自身のスキルやノウハウもアップデートさせ、新たな挑戦を繰り返さねばならなくなっていることは、フロントエンドエンジニアとしてとても大変なことですが、その変化やチャレンジングな環境を楽しめる方にとっては、次々にできることが増え、最新のトレンド技術のそばに居続けることができることとなりますから、大きな喜びと仕事のやりがい、モチベーションの種にもなるところです。

技術指向性の強い方、常に変化に富み学びが多くあること、上昇志向で取り組めることが仕事の環境として望ましいものだと考えられる方なら、フロントエンドエンジニアは最適な職種のひとつといえます。

クライアントやWebデザイナー、Webプロデューサーなど、関わりのある他者からの指示通りに動き、開発を比較的単純な作業として進めるのではなく、議論や提案を経て制作プロジェクトそのものの骨格を作りながら進められること、自身の関わり方やスキル次第で、より上流の工程から参加するなど、ビジネスの新しい分野にも携わりやすいこともフロントエンドエンジニアの仕事の特徴です。自身の知見が反映され、確かな成功につながったことが実感できれば、非常に大きなやりがいを感じることができるでしょう。

また、ユーザーの直接目にする部分、触れる部分を担当するため、成果物のユーザーとの距離が近く、その反応やフィードバックもダイレクトに届きやすいことから、仕事の結果がタイムリーなリアクションや各種指標数値にすぐ表れ、自身にも見てとりやすく、開発担当への評価として反映もされやすいという事情があり、それが日々のやりがいになる面も大いにあります。

フロントエンドエンジニアに向く人

こうしたフロントエンドエンジニアならではの仕事で生まれるやりがいを、喜ばしいものと感じられる人はこの職種に向いています。また、下記のようなタイプの方も、フロントエンドエンジニア向きです。

デザイン関係やモノづくりが好き

トレンドに敏感で、デザイン関係にそもそも興味が強い人、モノづくりに関心がある人は、Web職種の中でもフロントエンドエンジニア向きです。バックエンドエンジニアとは対照的に成果物を視覚的に確認しやすく、モノを美しく形にして生み出す喜びや、思い描いたものが完成した時の達成感を味わうことができます。

論理的に考え、効率良く集中して取り組むのが得意

エンジニアとしてコーディング作業に取り組む時間も長く、業務の全体に占めるシェアも大きなものとなりますから、論理的な思考力と集中力が要求されます。集中してロジックを組み立て、ミスなく仕上げていくこと、そうしたスタイルで好きなことに没頭できる人なら、フロントエンドエンジニアの仕事も上手くこなせるでしょう。

一方で愚直で真面目すぎるより、同じことなら常に効率良く済ませたいと考えるタイプであることも、実はフロントエンドエンジニア向きといえる点です。その意識がショートカットや便利なエディタを使いこなし、フレームワークやライブラリの活用にも積極的になって、開発作業の迅速化、生産性向上を生み出すもとになるからです。もっと簡単に済ませられるところは済ませたい、そう常に考えるタイプであることが、結果としてコーディングの早い、仕事のできる優秀なフロントエンドエンジニアとしての力を養うことになりやすいのです。

人を喜ばせたり驚かせたりするのが好き

フロントエンドエンジニアの仕事は、開発したフロントエンドの画面表現や動的ツール、実装機能などによって、ユーザーに新しい体験をさせその便利さを喜ばせたり、驚きを与えて他とは違う魅力を感じさせたりすることができるかどうかがポイントになります。考えることを楽しみ、優れた提案ができるフロントエンドエンジニアには、世の人々を喜ばせたい、驚かせたいというサービス精神が強く働いています。

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フロントエンドエンジニアの案件と仕事内容

非常に多岐にわたるフロントエンドエンジニアの仕事内容や、昨今のトレンド傾向などについてみてきましたが、実際の市場にどういった仕事の案件が出てきているか、フロントエンドエンジニアを求めるクライアントからの案件でみてみましょう。

レバテックキャリアの「フロントエンドエンジニアの求人・転職情報一覧」(2021年5月13日時点)]を参照すると、公開求人案件として516件が該当しました。いくつか実例をピックアップし、具体的な求人内容をみてみます。

大手新聞社からの案件では、自社がタイムリーなデジタルニュースメディアとして運営するサイト、新聞のWeb版となるサービスサイトのフロントエンド開発をリードするエンジニアが募集されています。言語はJavaScriptがメインでCSSやHTMLも扱い、Reactのライブラリを駆使、ビルドやテストの自動化を図ってプロセス全体の継続的な統合・監視を迅速に行うため、CI(継続的インテグレーション)・CD(継続的デリバリー)ツールとしてCircleCI、GitHub Actionsを使用するものとなっています。1週間単位のスプリントによるスクラム開発を体制として採用し、KPIを見ながら継続的な改善を図ること、より高速で快適なユーザー体験を実現することが主なミッションとされました。

Slackでコミュニケーションをとりつつ、Reactでのフロントエンド領域の開発をリードするほか、PO(プロダクトオーナー)とともにUIやUXの分析を行うことや、仮説の検証から実装までの作業を担うことが仕事内容になり、フロントエンドエンジニアの育成にあたったり、勉強会やブログなどで技術情報発信を行ったりすることなども業務に含まれています。自分で考えて動くことが強く求められ、使う技術に高い裁量権が認められること、新技術に多く触れられることなど、フロントエンドエンジニアらしい案件で、高度で責任ある仕事内容ですが、それだけにやりがいも大きく、学歴不問、服装自由、リモート可能と自由度の高い職場環境も魅力の内容になっています。

中小企業向けクラウドサービスを展開する企業からは、HRテック系の新サービスにおけるフロントエンド開発の牽引役として、フロントエンドエンジニアを求める案件がありました。新サービス立ち上げにまずは専念し、優れたUI・UXの継続的な開発と運用・改善できる組織の開発、環境構築がメインの仕事となり、さらにチームメンバーの育成・指導も任されるものとなっています。バックエンドと協力したストレスない画面操作を叶える高パフォーマンス使用での設計や、StoryBookを導入したシステムの構築、サービス品質を担保するテスト体制の確立などが求められます。

このクライアント企業では、これまでバックエンドエンジニアがフロントエンドも一気通貫で開発していましたが、より高い品質のUI・UXを実現し、ビジネスを拡張していくため、フロントエンドの専門チームを創設することにしたといい、新サービスでのプロジェクト後には、同社運営のクラウドサービス全般においてフロントエンド開発を任せ、ユーザーに広く理想的なUIを提供する大きな役割を果たしてほしい意向です。HTML、CSS、JavaScriptにTypeScriptを用いた開発で、Vue.jsやReact、jQuery、Vue CLI、Vue-Router、Babelwebpackなど多くのフレームワーク・ライブラリを駆使する能力が必要とされています。Gitでのバージョン管理システム活用経験やWeb API開発のフロント側実装経験なども問われますが、社会に影響力のあるサービスへ継続的に関われる案件です。

小売業界の変革を図るリテイルテックのPF提供を事業内容とするメガベンチャー企業からは、リテイルテック関連の新規プロダクト開発や既存プロダクトの運用・改善をフロントエンドエンジニアとして担う仕事案件が出されています。ゼロから技術選定に関われ、海外のプロダクトマネジメントについても学びながら実践できるチャレンジングな案件であること、フルリモートOKの案件であることなどが大きな特徴です。

言語はPythonが用いられ、Djangoのフレームワーク、JenkinsJIRAGitLabDockerなどを開発ツールとして使用します。リーダーシップを発揮しながらフロントエンド領域を担当し、サービスやプロダクトを何もないところから作り出していくことに挑戦したい人、自身の活躍範囲や仕事カバー範囲をさらに広げていきたい人に向くもので、数多くある案件の中でも比較的ユニークな内容となっています。

フリーランスでもフロントエンドエンジニアには、多くの求人案件があります。レバテックフリーランスの「フロントエンドエンジニアの求人・案件一覧」(2021年5月13日時点)を確認すると、719件の公開案件がありました。こちらからも事例をご紹介しましょう。

受託開発を行っている企業で、オンライン教材のWebアプリケーション開発をフロントエンドエンジニアとして担う案件では、長期案件でTypeScriptによる開発経験や基本設計の経験、V字モデルの概念理解ができている人材を求めています。Angular.jsのフレームワークを用いて行う業務となるため、その使用経験がある人を歓迎するとし、入念なスケジュール管理のもとでの仕事遂行を依頼しています。

著名な宿泊予約やレストラン紹介サイトの運営を行う企業は、リラクゼーションサロンの予約サイトを新規開発する仕事で、フロントエンド領域を担当する案件を出していました。関係する社内各サービスのフロントエンド開発もあわせて担うもので、ページ機能の開発や新規ページと機能のUI画面設計、実装、さらにバックエンドとのAPI開発連携も仕事内容として含まれています。HTML、CSS、JavaScriptを用いた開発で、その実務経験が求められ、Vue.jsの経験やスキルがあるとなお望ましいとしました。自身が作り上げたサービスが、世の中に新しい価値を生んでいることが実感しやすい案件で、価値あるサービスを届けたい、モノづくりに関わりたい人にお勧めの案件となっています。

成長著しい注目のベンチャーからは、在庫管理系サービスにおけるフロントエンド開発を委託するフロントエンドエンジニア募集の案件がありました。比較的長期の案件で、HTMLとCSSを基本に用い、Vue.jsの経験も求めるとしています。

また、某テレビ局の動画配信サイト開発で、フロントエンドエンジニアを求める案件もあり、こちらではHTML、CSS、JavaScriptでのサイト制作実務経験を必須に、仕事として予定される内容から、WordPressなどのCMS関連における制作、webpackなどのタスク管理ツール、バージョン管理ツール、Reactなどの使用経験とスキルがある人材を理想としていました。HTML、CSS、JavaScriptでの開発ですが、jQuery、Reactのフレームワーク、WordPressも用いていくものになっています。他職種や他部署と密にコミュニケーションをとりながら開発作業を進めることが要求されており、コミュニケーション力を積極的に発揮しつつ、スピード感をもって取り組める人に向くものとなっています。

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フロントエンドエンジニアの単価と年収相場

フロントエンドエンジニアを目指す上で、仕事内容とともに気になるのは、やはりその収入面、どれほどの年収が期待できるかという点でしょう。フロントエンドエンジニアの場合、仕事内容が非常に多岐にわたり、案件によってどの程度をカバーするのか、その領域の広さも求めるスキルの度合いもさまざまであるため、担当する案件の詳細な仕事内容により、単価がかなり違っているのが実情です。

保有するスキルと経験、実力が大いにものをいう世界ですから、より積極的に知識を吸収し、自在に扱える技術の幅を広げてマルチに活躍できる人材となったり、豊富な知見と提案力を活かして、企画や設計などより上流工程を中心に関わるタイプや、チームリーダー、マネジメントをも担えるプロフェッショナルとなったりすれば、一般平均の水準より高い年収を提示してもらえやすくなります。

こうしたスキルの要素のほか、年代、経験、働き方と所属する企業といった要素でも年収水準には違いが表れるため、一口にフロントエンドエンジニアといっても、その収入状況には、かなりばらつきがあることを踏まえた上で、相場を理解するようにしましょう。

レバテックキャリアの「フロントエンドエンジニアの求人・転職情報一覧」(2021年5月13日時点)にあるデータから想定年収の相場をみていくと、500~900万円程度の案件が多くなっています。非公開求人には想定年収1,260万円という非常に高い求人があることも情報として示されており、かなりの高収入も期待できることが分かります。

フリーランスの場合はどうでしょうか。企業に所属して会社員として働くフロントエンドエンジニアとは異なり、フリーランスの場合、個人事業主として業務委託で仕事を獲得していくかたちになりますから、その立場は雇用契約の下になく、労働基準法の労働者とみなされる対象にはあたらなくなります。よって自由度が高い代わりに、自分の身は自分で守り、しっかりとビジネスを管理して受注契約を交わす、業務を提供するなどしなければなりません。

経費や税金の処理なども自ら適切に行う必要がありますし、社会保険面でも独立した個人事業主として自前で負担することが求められます。会社員時代には当たり前としてあった労働者として保護される権利や福利厚生のありがたさを痛感することもあるでしょう。そうした自ら備えなくてはならない分など、会社員とは異なる事情が多くありますから、案件の月単価をそのまま会社員の月収収入と比較することはできない点に注意しなければなりません。

しかし、継続的に仕事を受注でき、効率良くスピーディに案件をこなしていくことができれば、自らの裁量とスキル次第で、どこまでも収入を伸ばせるのもフリーランスのメリットです。自身の市場価値を高め、高単価案件を中心に多くの受注ができれば、高い年収を得て活躍することができるでしょう。

レバテックフリーランスの「フロントエンドエンジニアの求人・案件」から「月額単価相場」(2024年9月3日時点)のデータを参照すると、同サイトで取り扱われているフロントエンドエンジニア案件の月額単価は平均で72万円でした。ちなみに最低単価は10万円ですが、このケースは際立って低いケースで、40万円未満となる案件はほとんど確認されていません。これに対し、最高単価は145万円で、月額単価100万円を超える案件は、3605件中84件となっていました。

最大のボリュームゾーンは70万円台で、次いで多いのが80万円台となっています。仮に平均単価の70万円案件を1年間継続的に受注できたとして、1年12カ月で単純計算すると、年間では840万円の収入を得られるものとなります。仕事を獲得できなければ収入は保証されず、あくまでも自身のスキルと働き次第でその年収には大きな差がある世界ですが、年収1,000万円クラスも十分に目指せる可能性のある職種といえるでしょう。

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未経験でもフロントエンドエンジニアになれる?

仕事内容としてのやりがいは大きく、年収面でも大いに期待できる魅力をもったフロントエンドエンジニアですが、未経験から目指すことは可能なのでしょうか。結論からいうと、Web業界の実務として全く経験がない場合、すぐにフロントエンドエンジニアとなることは難しいものの、しっかりとしたキャリアプランを立て、必要とされるスキルと経験を地道に積み重ねれば、フロントエンドエンジニアへの転職も十分に実現可能です。

フリーランスでフロントエンドエンジニアとして働きたい場合、案件を出すクライアントは一人前の働きができる人材、プロフェッショナルとして即戦力になってくれる人材を求めていますから、既にフロントエンドエンジニアとして現場経験を持っている人、高度にスキルを駆使できる人に対象を限定することが多く、実績を重視するほか、具体的に何年以上の実務経験といったかたちで条件を付けるケースが一般的です。そのため、すぐに未経験からフリーランスのフロントエンドエンジニアになり、案件に参画することはほぼ不可能です。まず企業に所属して多様な現場を経験するなどし、一人称で仕事ができるだけの力を蓄えましょう。

企業に所属するフロントエンドエンジニアを目指す場合、次のような条件を満たすようにしておくと良いでしょう。

最低限備えておきたい必須スキル

HTMLとCSSを扱うスキル

フロントエンドの開発では、まずHTMLとCSSを基本として用います。HTML5とCSS3が現在の標準で、まずはこのバージョンを自在に駆使できるようにしておくことが重要です。場合によってはレガシーブラウザへの対応、リプレイス案件などで過去のバージョンに関しても知識が求められることもあります。基礎事項は押さえておきましょう。

Webページの見た目、デザインの基本をコーディングするために用いるHTMLやCSSは、プログラミング言語の中でも比較的難易度が低く、参考書籍やオンライン学習コンテンツなど、学びやすい環境も整っているため、プログラミング初心者でも習得しやすいでしょう。これら言語を扱う基礎スキルがあれば、フロントエンドエンジニアにつながるWeb企業の求人でも有利に働きます。

フロントエンドエンジニアへのキャリアアップが図りやすいコーダーやマークアップエンジニア、Webデザイナーといった関連職種でもHTMLとCSSは必須ですから、身につけておいて損はありません。ただし、将来的にはただ言語が自在に扱えるだけでなく、見やすく魅力的なページ、要求に応え高い効果を発揮するページとするためのデザインスキルも要求されますから、少しずつデザインの知識もつけていくことが望ましいでしょう。

JavaScriptを扱うスキル

JavaScriptを扱える力は、現在のフロントエンドエンジニアに求められるスキルの中でも、とくに中心となる重要なものです。JavaScriptはブラウザ上で動的な表現を可能にし、充実したコンテンツを作り出します。まずプログラミング言語としてその基本を習得し、扱えるようになりましょう。基本が身についたら、フレームワークやライブラリの知識を増やしていきます。開発効率を高め、フロントエンドエンジニアとして活躍するには、一般的なものから最新のものまで、さまざまなものがあるこのJavaScriptのフレームワークやライブラリに精通し、高度に使いこなせる力が必要です。用いられる頻度の高いAngularJS、Vue.js、Reactなどから親しんでおきましょう。

JavaScriptの静的型付け言語であるTypeScriptがスキルとして求められる現場もあります。大規模開発案件に多く、これを身につけるとより幅広いタイプの仕事に関われるようになりますから、余裕があればあわせて習得しておきます。

デザインフレームワークの知識

近年の開発におけるCSSを用いた現場では、できる限り作業を簡略化しながら高品質なデザインを実現するため、BootstrapやBulma、UIKit、Foundationといったフレームワークを活用することが基本になっています。フロントエンド領域に携わっていくなら、欠かせない知識となりますから、プログラミング言語の習得とともに、デザインフレームワークについても学びを深めておきましょう。

UI・UXの知識

Webサイトやアプリケーションにおいて、ユーザーが画面越しに触れている入力フォームや機能ボタン、画面デザイン・フォントなど、接点の全てがユーザーインターフェース(UI)と呼ばれるものです。一方、ユーザーエクスペリエンス(UX)は、ユーザーがモノやサービスに触れて得る体験や経験の全てを指します。

例えばあるサイトを訪問し、デザインや余白が適切に設けられ、機能ボタンなども使いやすく、優れたUIでできていた、表示速度も速かったとしましょう。他に比べてそうした特徴があると、ユーザーであるあなたは、美しいサイトで素敵だな、分かりやすくて魅力的、サクサク動くから気持ちいい、次もここを使おうかなといった感想を持つのではないでしょうか。こうした利用によって感じたことの全てがUXとなります。

もちろん、UXは良いものばかりではありません。マイナスな体験・印象となることもあるでしょう。いずれにしてもUIはUXと深く関わっており、優れたUIでこそ良いUX、ターゲットに喚起したいUXを生み出せるものとなります。操作性や利便性が高いサイトやアプリは、大きな価値や売上を記録しますし、美しいデザイン、革新的機能を提供するコンテンツは、ユーザーを惹きつけ驚きと感動を与える体験でビジネスに寄与していくでしょう。

ただUIとしてのデザインにこだわるばかりでは、ユーザーが使いたい機能ボタンの表示が分かりにくくなり、本来の役割を果たせなくなって、UXを低下させてしまうこともあり得ます。対象となるサイトやアプリで求められることは何なのか、それぞれを理想的なものへ引き上げるにはどうすれば良いのか、フロントエンドエンジニアには、そうした視点でのUI・UXに関する深い洞察と知識・改善スキルが求められます。

SEOの知識

検索エンジン最適化とも呼ばれるSEOは、そのWebサイトやWebサービスが多くの人に利用されるもの、価値を生み出すものとするために欠かせない技術です。かつては機械的で単純な対策法があったSEOですが、今日、その対策、検索上位表示を獲得するための手法には、コンテンツそのものの質を上げるほか、特定の文言の繰り返し利用、タグの効果的導入、メタディスクリプション、コンテンツテーマに深く関連する内部リンク、被リンクの設定利用など、さまざまな要素があり、継続的に見直しも行われていますから、最新情報を取得しつつ、対策知識を得ておかねばなりません。

サイトのパフォーマンスに大きく影響するのがSEO対策であり、Webサイトの構築時には必ず意識すべきポイントであるほか、フロントエンドエンジニアの業務として、開発とともに別途、対処が求められることも多いものですから、一定以上の知識を身につけ、考慮した開発ができるスキルを身につけておくことが大切です。

未経験者にこそ重要なポートフォリオ

フロントエンドエンジニアを目指すためのキャリアプランに沿った転職を叶えるため、作成しておきたいのがポートフォリオです。一部のプロフェッショナルや企業レベルが用いるものという印象があるかもしれませんが、未経験者にこそ良いポートフォリオが役立ち、自身のスキルアピールが可能になります。とくにフロントエンドエンジニアのような求められるスキルが広範にわたる職種の場合、そのそれぞれについて口頭で明確にするのは難しく、技術レベルはポートフォリオを見て判断したいと考える採用者が多いため、ある程度一人前の仕事ができるようになってからも、ポートフォリオは重要な働きをします。早い段階から作成する習慣をつけておきましょう。

ただスクールで実習したことをそのまま写しとってポートフォリオとし、面談時の資料にするといったやり方はお勧めできません。きちんと手をかけてオリジナルのポートフォリオを作り、現在のスキルと自分ならではの思考力を形にして示しましょう。

最初は模写やコピーから始めても構いませんから、実際にWebサイトやWebアプリケーションの要件定義から実装まで自身で行い、デプロイする経験を重ねてみましょう。基本のスキルが身につくとともに、制作事例とすることができます。また、ランディングページの制作を行ってみる、またアプリ開発に関心があるなら、ProttやAdobe XDを用い、企画書とプロトタイプを作ってみるといった取り組みも有効です。充実したポートフォリオで成功を引き寄せていきましょう。

あると役立つ資格

フロントエンドエンジニアは、何か資格試験に合格してなるというものではありません。そのためクリア必須の国家資格などはありませんが、必要なスキルや知識の習得とその証明に有効な資格というものはいくつか挙げることができます。自身のキャリアプランの中で、必要に応じてチャレンジしていくと良いでしょう。

Webクリエイター能力認定試験

「Webクリエイター能力認定試験」は、ビジネス能力・技能に関する認定試験の開発・実施を行うサーティファイの主催する試験で、Web制作業界では最多受験者数を誇る人気かつ基本、標準資格となるものです。比較的難易度は低く、初心者からチャレンジしやすい資格であり、HTMLやCSSについての基本知識とWebページの作成能力などが問われますから、入り口として取得を目指すと、フロントエンドエンジニアを目指す上での学習にも効果的でしょう。

試験はスタンダードとエキスパートの2種があり、スタンダードではHTMLとCSSのマークアップスキル、Webサイトのデザインやレイアウトに関する知識が問われます。エキスパートになると、さらにユーザビリティやアクセシビリティを考慮したWebデザインの作成スキル、動的サイトやマルチデバイス対応といった現代の現場で求められる制作スキルが問われるものとなります。フロントエンドエンジニアなら、エキスパート取得を目指したいところです。

HTML5プロフェッショナル認定資格

「HTML5プロフェッショナル認定試験」は、特定非営利活動法人エルピーアイジャパンが2014年より行っている資格試験で、HTML5やCSS3、JavaScriptなど、最新のWeb標準となる言語について、扱う技術力と知識が十分かを問い、公正かつ中立的にそのレベルを認定するものとして運営されています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が策定するITスキル標準(ITSS)指標にも反映されるなど、資格取得によって広く業界評価を得ることができるメリットがあります。

試験はCBT方式でLevel.1とLevel.2があり、Level.1はマルチデバイスに対応したWebコンテンツのデザインと制作が行える幅広いWeb職種向け、Level.2は動的なリッチユーザーインターフェースの制作や、システム間連携などでリアルタイムの情報を提供するアプリケーション開発、ネイティブアプリに近い機能を組み込んだスマートフォン先端アプリの開発などが行える、各種エンジニア向けとなっています。難易度はやや高めですが、フロントエンドエンジニアとしての実務経験を積みながら、Level.2まで取得できると良いでしょう。

CIW JavaScript Specialist

「CIW JavaScript Specialist」は、米国のCertification Partnerによって運営されているWeb技術者認定の資格であり、グローバルに通用する国際資格として知られています。Web関連の基礎知識、モバイルデザイン、Webデザイン、Web開発、Webセキュリティの各ジャンルで認定資格があり、Web開発の中の資格としてこの「CIW JavaScript Specialist」があります。

フロントエンドエンジニアのスキルとしても、非常に重要で核になっているものといっていいJavaScriptについて、知識やスキルを高度に備え、精通しているということを証明できる資格ですから、取得できていると非常に有利です。ただし出題が全て英語で行われますから、言語的ハードルがあり、その点でやや難しいと感じられるかもしれません。ユーザーとのインタラクションやDOM操作、プログラム制御、フォーム認証、アニメーションなど、多岐にわたる領域から出題されます。

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フロントエンドエンジニアのさらなるキャリアパス

フロントエンドエンジニアは、コーダーやマークアップエンジニアの上位職にあたり、既にプロフェッショナルな職種ですが、さらなるキャリアパスとしてはどのような道が考えられるでしょうか。フロントエンドエンジニアの場合、仕事内容が非常に多岐にわたっていますから、それを活かしたキャリアパスとしては、大別すると2つの方向性があります。ひとつはその中の特定のスキルについてさらに磨きをかけ、別の専門職へキャリアチェンジするというもの、もうひとつは幅広い知見と知識を活かし、オールラウンダーの技術者やマネジメント職種などを目指すものです。具体的にみていきましょう。

Webデザイナーにキャリアチェンジ

とくにデザイン分野への関心が高いなら、Webデザイナーへのキャリアチェンジが可能です。Webデザイナーの開発スキルレベルは多様で、ごく基本の初期レベルで働いている人も、非常に高いスキルを有している人も存在します。フロントエンドエンジニアを経験していれば、同職種内でも高度なスキルを持ち、実装まで一貫して担えるWebデザイナーとして高く評価されるでしょう。配色やフォント、レイアウトに関する知識を増やし、PhotoshopIllustratorなどのスキルを身につければ、幅広い案件に携われるWebデザイナーの高度人材となることができます。

UI・UXエンジニアにキャリアチェンジ

フロントエンドエンジニアの仕事の中でも、とくにサービスの機能性や操作性、ユーザビリティ関連に強い興味を持ったなら、UI・UXエンジニアにキャリアチェンジすることも考えられます。使いやすく楽しい、驚きがあるなど、ユーザーにより良い体験を提供するために働くこのエンジニアは、近年重要性を増しており、求める企業・団体も多く存在します。

フロントエンドのHTML、CSS、JavaScriptはもちろん、バックエンド言語のPHPやJava、Rubyも含めた主要言語によるプログラミングスキルをさらに高めておくこと、マーケティング・分析面でGoogle AnalyticsやGoogleウェブマスターなど各種ツールを使いこなす知識とスキル、統計の基礎知識などを身につけておくと役立ちます。もちろんデザイン面やサイト設計・改善などにかかる幅広い知識やスキル、最新トレンドの把握などは、フロントエンドエンジニアと同様に求められるところです。

フロントエンドエンジニアの中のリーダーに

フロントエンドエンジニアとして、より多彩な知識やスキルを高度に、また幅広く身につけ、現場経験も数多く積んでいくことで、同じ職種の中でもとくに高度な人材、ベテラン人材としてキャリアアップを図っていくことができます。コミュニケーションスキルやビジネスの知識を強化し、マネジメントスキルを身につければ、大規模プロジェクトでもその中のリーダー職を任されるようなトップ人材を目指せるでしょう。設計・企画段階から携わり、進捗管理を担ったり、人材育成にもあたったりするマネジメント職種として、より上流工程に近い位置どころのフロントエンドエンジニアとなれば、年収アップにもつながり、新たなキャリアがひらけてきます。

フルスタックエンジニアにキャリアチェンジ

技術面を中心に、より磨きをかけてプロフェッショナルを目指したいなら、フルスタックエンジニアへのキャリアチェンジが候補となります。フルスタックエンジニアはその名の通り、複数の技術分野における知識やスキルを習得しており、1人で万能の働きをする、ジャンルを超えたシステム開発や運用を担当できる技術者のことです。まさにオールラウンダーなエンジニアで、1人で何役ものエンジニア業務を担うことができるほか、一貫していて破綻がなく最も効率化されたシステムを全体として構築する、これまでにない発想のサービスやアプリを開発するケースなどで非常に有用な知見を提供できる可能性が高いと考えられるため、重宝され評価されています。

フロントエンドエンジニアであれば、既にかなりの程度、幅広い知識とスキルを有していますから、バックエンドの知識やスキル、クラウドの知識などを中心に補えば良いでしょう。設計から開発・運用まで、小規模なものであれば一人称で開発できるなど、網羅的に業務を任せられることから、スタートアップやベンチャー企業などでとくに需要が高く、そうした成長が期待される新進ジャンルでのチャレンジングな現場を好む人にも向くキャリアチェンジです。

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フロントエンドエンジニアの将来性

Webサイトやアプリケーション、各種Webサービスは今後も数を増やし、時代に応じて変化する人々のニーズを捉えた利便性の高いコンテンツ、楽しみや驚きをもたらすコンテンツが次々に生み出されてくると考えられます。ITは今以上に当たり前の生活インフラとなり、それを活用する業種業態は全ビジネス領域に広がっていくでしょう。今はまだデバイスの利用に慣れず使いこなせていない世代やユーザー層も、既存ユーザーとは異なったニーズを持つ層として、市場ターゲットになっていくことも、新規開発案件の増加と市場成長を支える要因になるとみられます。

このように開発ニーズが高まることはあっても、減少することが考えにくい情勢となっているほか、現在、既に開発済みのサイトやアプリ、サービスの運用メンテナンスも引き続き必要ですから、フロントエンドエンジニアへの市場需要が下がることは考えにくく、将来性は十分に明るいと予測されます。

フロントエンドエンジニアが主要技術として使いこなすJavaScriptは、レバテックの「2020年7月発表・プログラミング言語別求人案件ランキング」で、正社員版の言語別新規求人割合が、対前年度比で伸び率1位となり、汎用性の高い技術として高く評価され、開発現場での利用が拡大傾向にあると確認されるなど、これを使いこなせる人材も強く求められており、フロントエンドエンジニアに強い引きがあることを示すデータは多くみられています。これらからも、将来性は明るいといえるでしょう。

しかし、変化の早いIT業界の中でも、とくに新しいWeb技術への迅速な対応、キャッチアップが求められるフロントエンドエンジニアの場合、トレンドをつかみ損なったり、自身のスキルアップデートを怠ったりすると、自身の市場価値を大きく下げてしまい、使い物にならない人材という評価になってしまうかもしれません。

AIや機械学習など、新たに登場した技術の進展により、フロントエンド開発のプロセスも膨大なデータをエビデンスとする自動化へと主な潮流が進み、これまでフロントエンドエンジニアが担ってきた仕事が減少する、人間が行うべき内容が減ったり、変化したりする可能性も否定できません。

フロントエンドエンジニアは、こうした時代の変化、市場の変化により敏感となって、それに対応した知識やスキルを持つプロフェッショナルであり続けられるよう、常に努力できる人でなければ明るい未来を描くことはできないとも考えられます。そもそも学びを絶やさず、スキルの幅を広げていく自己研鑽力が重要な職種ですから、そうした面でさらに質が問われる時代になっていく可能性があるでしょう。

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まとめ

いかがでしたか。今回はフロントエンドエンジニアにスポットを当て、その仕事内容や他の職種との違い、現状と将来性、目指す方法など、さまざまな角度から解説してきました。フロントエンドエンジニアは、ユーザーに近い場所で、直接彼らが触れ、感じる部分を作り出すプロの技術者です。大変な職種ですが、それだけにやりがいも大きく、モノづくりの楽しさや世の中に新しい価値を生み出す喜び、人々により豊かな体験を提供できる素晴らしさを実感していけるでしょう。

未経験から目指すことも、キャリアアップの先として見据えた行動をとっていくことも可能です。興味関心を持たれた方は、ぜひフロントエンドエンジニアでWeb制作のエキスパートとして活躍する未来を、自らの現実とすべく、今から一歩踏み出してみてください。

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