最終更新日:2024年11月25日
この記事のまとめ
近年、従来の枠組みにとらわれない働き方に注目が集まっています。自由度の高い働き方ができるフリーランスに憧れ、自分もなってみたいと感じている方も多いでしょう。一方で、フリーランスならではの難しさ、困難があることも知っておかねばなりません。
「興味はあるけれど不安で一歩が踏み出せない」「なろうと思っているものの実態がよくつかめない」といった方も、ぜひこの機会にフリーランスの基礎を学んでいきましょう。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取るまず、「フリーランス」とは何かを解説します。
フリーランス(freelance)は特定の企業や団体、組織に属さず、自らの技能をもとに自由に契約して対価を得る人です。日本語では自由業や自由職業といった言い方をする場合もあります。本来は働き方を指し、英語圏ではフリーランサー、またはフリーエージェントと呼んでいるようです。
語源は古く中世に遡ります。この時代、王や貴族は主力となる騎士を中心とした自身の封建軍を補強するため、戦いごとに傭兵団と契約して戦争に臨んでいました。この中には正式に叙勲されていない騎士や、傭兵団を離れ個人として戦場へ向かう兵士もいました。
当時は槍騎兵(lancer)が兵を連れる形態が一般的であったため、契約の際、兵は槍(lance)の本数単位で数えられました。敵勢力と契約を交わしていない自由な(free)の兵=単位lanceを指して、free lanceという言葉が用いられるようになったとされます。の兵士を指していたフリーランサーが、近世以降に「組織を離れ、独立して働く状態」を指すようになりました。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取るフリーランスは本来、働き方や契約方法を指す言葉です。ここでは、似た概念である「個人事業主」「自営業」との違いを見ていきます。
個人事業主は税務上の区分で、法人を設立せず個人で事業を営む人を指します。フリーランスとほぼ同義の言葉だといえます。
ただ、飲食店や美容室などの店舗を運営する個人事業主を、案件ごとに契約を結ぶフリーランスと呼ぶのは不自然に感じる人もいるでしょう。この場合、個人事業主ではありますが、フリーランスではないとみなされるのが通例です。
また、フリーランスは法人である場合もあります。事業を行う上での働き方、契約の仕方が案件ごとの契約であれば、フリーランスといえるからです。法人を立てて窓口としても、クライアントごと・プロジェクトごとに契約して働いていれば、それはフリーランスだといえます。つまりこの場合はフリーランスではありますが、個人事業主ではありません。
自営業とは、文字通り自ら事業を営んでいる人を指します。「サラリーマンや公務員、その他職員以外」で「無職でなく、独立して事業を行い収入を得ている」人の総称が自営業です。自営業には個人事業主も会社経営者となっている人も含まれます。フリーランスで働く人も含まれると考えて良いでしょう。
狭義の「自営業」は、自分の店舗や事務所を持ち、営業時間を設定して事業を行っている人を指します。自営業が最も広い概念の言葉になっているといえそうです。
参考:個人事業主になるには?開業手順や独立のメリットをご紹介
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おすすめの案件を受け取る続いて、会社員やアルバイトとの違いも解説します。
特定の企業と雇用契約を結び、契約内容に基づいて労務を提供して給与を得るのがサラリーマンの働き方です。
一方、フリーランスは案件ごとに企業や個人などさまざまなクライアントと契約を結びますが、特定の組織に所属するわけではありません。あくまで案件の契約を交わすのみで、独立して働き、対等な立場を保ちます。
収入についても、会社員や派遣スタッフは雇用されて得る報酬であるため「給与」と呼びます。フリーランスの場合は、対等な関係にあるクライアントから支払われる報酬となるのがポイント。そのため、フリーランスの収入は給与ではなく、「事業所得」もしくは「雑収入」などと呼ばれます。
なお、パートやアルバイトといった非正規労働者はフリーターと呼ばれることがあります。フリーランスと近い響きをもっていますが、正社員と同様、雇用主に雇われて対価を得ます。雇用契約下にあることには違いなく、雇い主は雇用条件について書面等で通知しなければなりません。
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おすすめの案件を受け取る多様な働き方を選ぶ人が増えたのに伴い、新しい呼び名も急増しました。ここでは、フリーランスの類語を紹介していきます。
ノマド(nomad)ワーカーは、ノートPCやスマートフォン、タブレット端末などを用い、オンライン環境を活かしてオフィス以外の場所で自由に仕事をする人です。ノマドが英語で遊牧民、放浪の民を意味することに由来し、時間や場所の制約から解き放たれた就労スタイルで人気となっています。
あくまでも働き方のスタイル、働く場所の特徴から分類する言葉なので、雇用契約の有無は関係ありません。フリーランスのノマドワーカーももちろん存在しますが、特定の企業や組織に所属したノマドワーカー、会社員のノマドワーカーもいます。
SOHOという言葉も広く聞かれるようになりました。これは「Small Office/Home Office」の頭文字をとった略称です。PCなどデバイスを駆使し、ごく小さなオフィスや自宅の空間を使ってビジネスを行っている人やその働き方、またその仕事場・物件を指します。
SOHOに該当するオフィスを構え、フリーランスとして働く人はデザイナーやエンジニア、編集者などを中心に多く見受けられます。SOHOワーカーと呼ばれることもあるようです。しかし、小規模なオフィスも固定的には設けない方や、契約したクライアントの元へ赴いて仕事をする方もフリーランスでは一般的なので、必ずしも当てはまるわけではありません。
インディペンデント・コントラクター(Independent Contractor)とは、専門性を備え、複数のクライアント企業とプロジェクト単位で契約を結んで働く人です。日本語で独立業務請負人などと呼ぶこともあります。組織から独立し、個人で働く新たなスペシャリストのスタイルとして注目されています。
雇用関係を結ばず、クライアントと対等な関係で案件ごとに契約して働くという点で、フリーランスとほぼ同じ概念だといえるでしょう。より独立性が高く、会社員でも事業家でもないところに、インディペンデント・コントラクターの特徴があります。
スーパーテンプとは、企業に派遣されるハイクラス人材を指します。
通常の派遣社員(テンプスタッフ)は、スキルベースの即戦力として派遣され、派遣先の指示に従って仕事をします。それに対しスーパーテンプは、派遣先の企業を動かす側として仕事をするのが特徴です。実績からプロ経営者として派遣されるケースがこれにあたります。
仕事内容や働き方は通常の派遣社員と大きく異なりますが、派遣会社やエージェントと雇用契約を結ぶのが基本です。したがって、フリーランスとは全く異なる働き方です。
ナレッジワーカーという言葉も生まれています。ナレッジ(Knowledge)とは知識を意味する英語なので、直訳すると知識労働者ということになります。この字義通り、専門的知識や高度な知性、ノウハウを活かして働くのがナレッジワーカーの特徴です。新たなサービスを生み出すサポートをする、既存のサービスシステムに新たな付加価値をつける、企業内の問題点を見つけて適切な解決方法を提示する…といった役割を担います。
単純作業を行う労働者に対し、知的生産物を生み出す労働者として使われる言葉ですが、雇用関係とは関係なく用いられるのがポイントです。企業に所属してナレッジワーカーとなるなら、その方はフリーランスではありません。
まだあまり国内では耳慣れないかもしれませんが、ソロプレナー(solopreneur)やサイドギガーという働き方を選ぶ人も世界的に増えてきています。ソロプレナーとは、1人を意味するソロと、起業家を意味するアントレプレナー(Entrepreneur)を合わせた造語です。先のインディペンデント・コントラクターとして、週35時間以上仕事をしている人を指します。
アントレプレナーは、起業家の中でもとくにゼロから事業を興す人、独創的なビジネスアイデアで市場を切り拓いていく人といった意味合いが強いようです。先に所属していた企業の支援を受けて新たなビジネスを始める社内ベンチャーの起業家などとは区別されます。
よって、ソロプレナーもより高い独立性を持ってゼロから事業を始め、その事業に週35時間以上を充てる人を指すのが一般的です。雇われることも雇うこともなく、事業活動を進めるにあたってはプロジェクトごとにクライアントと契約します。その点ではフリーランスであり、フリーランスの一部の方が該当するでしょう。
サイドギガー(side-gigger)は、インディペンデント・コントラクターとして週15時間以下で働いている人です。ソロプレナーがフルタイムで自身の事業に取り組んでいるのに対し、ハーフタイム未満で取り組んでいるのがサイドギガーといえるでしょう。
専業的ソロプレナーに対し、副業的なサイドギガーは、別領域での会社員としての顔も持つなど、2足のわらじで活躍する人が多くみられます。よって、サイドギガーとしての働きをするシーンにおいては、フリーランスでもあることになります。
参照:フリーランスの代表的な仕事は?職種例や案件獲得方法を紹介
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おすすめの案件を受け取る内閣官房日本経済再生総合事務局が2020年5月に発表した「フリーランス実態調査結果」によると、日本のフリーランス人口は約462万人と推計されています。このうち本業が214万人、副業が248万人です。
国内の仕事に従事する人口総数は総務省統計局の「労働力調査」長期時系列データから、2020年は6,700万人前後で推移していると分かります。フリーランスは全体の約6.9%、専業者の場合では約3.2%を占めていることになります。
ただし、フリーランスの定義や調査手法および調査主体により、データは異なっています。2019年7月に内閣府政策統括官(経済財政分析担当)が「政策課題分析シリーズ17 日本のフリーランスについて」というタイトルで発表した資料によると、日本でフリーランスの働き方をする人は306万人~341万人程度とされています。
自身で事業を営み、従業員は雇用せず、実店舗も持たない、農林漁業従事者でもない「フリーランス相当」の人は341万人と推計。このうち、本業の人は178~228万人、副業の人は112~163万人とされました。
さらに、中小企業庁が発表した2019年版の「小規模企業白書」によると、日本のフリーランス人口は約440万人と推計されています。こちらでは、全就労者に占めるフリーランスの割合は約7%とされました。
フリーランスの定義を明確にして人口規模を把握するのは容易でなく、資料によってかなり幅があるようです。
しかし、フリーランスの注目度は確実に高まっているといえるでしょう。人口も増加していること、多様な働き方・人材が社会の潜在成長力を引き出しイノベーションにつながること、経済全体の生産性引き上げへの寄与が期待されていることは、資料にも明記されています。
内閣官房の「フリーランス実態調査結果」では、フリーランスの7割以上が「仕事上の人間関係」「環境(働く時間や場所など)」「プライベートとの両立」「達成感や充足感」などの面で満足感を持っていることが示されました。
今後もフリーランスとして働き続けたいという人は78.3%にのぼり、事業規模の維持・拡大を予定している人がそのうちの9割を超えるなど、積極的な継続意欲もみられます。それだけ満足度が高く、モチベーションも高く維持できていると考えられるでしょう。
しかし、収入面で非常に満足している人はわずか4.1%で、「満足」の人も33.3%と全体の3分の1です。一定の満足感を得られている人の方が不満を持つ人よりも少なく、4割弱となっています。フリーランスにとっての障壁を尋ねた問いでも、「収入が少ない・安定しない」が他の項目を大きく引き離す59.0%でトップとなりました。日本のフリーランスにおける最大の課題は収入面であることが浮き彫りになっています。
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おすすめの案件を受け取る近年は通信環境の普及とITサービスの充実により、組織に所属せず個人で働ける環境が整ってきました。その影響か、2018年以降フリーランス人口は急激に増加しています。ここでは、フリーランス人口が増加している理由について解説します。
2018年に「働き方改革関連法」が制定されました。これは働く人の個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会にしようとする法律です。この法律が制定されたことで、社会に多様な働き方が認知されるようになり、フリーランスが増加したと考えられます。
また、同じく2018年に厚生労働省より「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が発表され、副業を認める企業が増加しました。副業する会社員が増えたことも、フリーランスが増加した理由の一つだと考えられます。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、企業がデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルや組織体制を変革し、事業の競争優位性を確立しようとするものです。
経済産業省主導でDX推進施策が行われ、あらゆる企業でDXの推進が求められています。しかしDX案件に対応できる人材は希少であり、業界では常に不足している状態です。このような状況で、DX化に対応できる人材がフリーランスとして独立し、複数企業のDX案件を手掛けるケースも増えています。
フリーランス向けの案件仲介サービスがオンラインで提供されるようになりました。幅広いジャンルを取り扱っているものから、エンジニアやクリエイターに特化したものまで、多くのサービスがあるのがポイントです。フリーランスにとっては、案件を受託しやすくなるのがメリットです。
フリーランス向けのコワーキングスペースも増加しているため、フリーランスにとって働きやすい環境が整ってきたといえます。
2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大の影響も大きいとされています。感染拡大を防ぐために多くの企業がリモートワークを導入し、在宅ワークという働き方が一般的になりました。
また、新型コロナウイルスの影響で職を失ったために、フリーランスとして働くことになったケースもあります。新型コロナウイルスの感染拡大によって、人々の生活様式や価値観に変化が起こり、フリーランスの増加につながったといえます。
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おすすめの案件を受け取る2023現在、フリーランスに関係する大きな話題が2つあります。それは、「インボイス制度」と「下請法改正」です。それぞれについて解説します。
2023年10月1日から開始されるインボイス制度とは、消費税の仕入税額控除を受ける際に、適格請求書(インボイス)を用いる制度です。インボイスは「適格請求書発行事業者」のみが発行可能です。この適格請求書発行事業者になるためには、国税庁に自社の情報を登録し、登録番号の発行を受けなければなりません。
課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の納付義務が免除されており、これを免税事業者といいます。フリーランスの多くが免税事業者であり、免税事業者は適格請求書発行事業者への登録ができません。
インボイス制度では、インボイスが無いと仕入税額控除を受けられません。つまり、課税事業者が免税事業者に仕事を発注すると、仕入税額控除が受けられず消費税額が増加します。これに対応するため、課税事業者は免税事業者に対して取引を減少させたり、消費税分の減額を要求したりする可能性があります。
もちろん、免税事業者が「適格請求書発行事業者」に登録し、課税事業者になることも可能です。どのような選択をするかを、個々の状況に合わせて検討・判断する必要があります。
2023年に下請法の改正が見込まれているものの、まだ詳しい内容は不明です(2023年2月時点)。内容の予測としては、フリーランスの立場を法的に定義し、親事業者の行動を規制するものになるとみられています。
現在の下請法の対象となる親事業者は、「資本金1,000万円を超える企業」です。この部分を改正して「フリーランスが下請の場合は、資本金1,000万円以下の企業も対象」に変更されると見込まれています。この際、「フリーランス」という言葉自体に対しても、明確な定義づけがされるのではないかと予想されます。
下請法については、委託側である企業はもちろん、受託側であるフリーランス従業員も正確に理解する必要があるでしょう。
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おすすめの案件を受け取る海外のフリーランスの状況も見ていきましょう。
米国の場合は、インディペンデント・コントラクターとして専業で働くフリーランスに限定すると、米国労働統計局の2018年調査「Contingent and Alternative Employment Arrangements」で、全就労者数の6.9%にあたる約1,061万人がこれに該当するとの結果が報告されています。
一方、2018年のUpworkによる民間調査Upwork「Freelancing in America」を参照すると、フリーランス人口は全米で5,670万人とされました。これは専業だけでなく、副業の人も含めての数であり、フリーランスとしてより広い定義で調査したためと考えられます。フリーランス人口は年々増加しており、2014年比で370万人の増加となったことも報告されています。
フルタイムのフリーランスに生活状況を尋ねた結果では、収入面など生活全般の管理における不安を感じる人は63%。ライフバランスが改善されたと感じる人は、これを上回る77%にのぼりました。
オンラインで仕事を得ている人は64%です。2014年より22ポイントも増加しており、ITの進展で案件が獲得しやすくなっていることが伺えます。
将来性について、これまで以上に明るいと考える人は87%にもなっていますから、今後さらにフリーランスは増加するでしょう。
次に、ヨーロッパの状況を見ていきます。欧州連合統計局(Eurostat)が2017年に発表した資料Eurostat「Taking a look at self-employed in the EU」によると、2016年のEU加盟国における15歳~64歳のフリーランスにあたる人口は3,060万人。全EU労働人口の14%を占めると報告されています。
米国労働統計局の調査における定義と比較すると、雇用契約によらない働き方の人すべてを対象としている(自営業者なども含む)ため、多く感じるでしょう。一方で、副業としてフリーランス活動を行っている人は対象としていないことから、Upworkの調査結果に比べると少なくなっています。
このように、フリーランスの定義を定めることは容易ではありません。正確な判断は困難ですが、日本以上に多様な働き方が浸透している地域は欧米を中心に多いと考えられます。
EUの中ではギリシャが29%と圧倒的に高く、2位はイタリアの21%、ポーランドが3位の18%でした。近隣各国ではトルコが20%と高めで、EU非加盟でEEA加盟の3国ではスイスが12%でトップになっています。
逆に少ないのは、8%のデンマークや、9%のドイツ、エストニア、ルクセンブルク、スウェーデンといった国々です。専業者であることを考えると、それでも先述の日本に比べると多い可能性はありそうです。
また、国全体の就労者人口割合では低いドイツですが、首都のベルリンは世界中のフリーランスから注目される都市となっています。フリーランス向けビザが取得しやすいこと、主要都市中では物価が比較的安いこと、ITスタートアップが多いなど起業家風土、クリエイター文化が強くあることなどが理由です。1つの国の中でも、地域差があるケースも多いでしょう。
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おすすめの案件を受け取る多様な職種があるフリーランスですが、働き方のタイプも分類されることがあります。ここでは「作業時間の使い方」「作業場所の選択」の観点から働き方を分類し、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
作業時間の使い方の観点からは、以下の4つに分類されます。
特定の企業や団体に所属することなく、自身のスキルを発揮してプロフェッショナルとして働くことを専業とするフリーランスです。アプリエンジニアならアプリの開発・運用保守、WebライターならWebコンテンツの執筆など、それぞれ専門分野に特化して活動しています。一定のスキルやノウハウを身につけて独立した人が多く、結婚、出産、定年などライフステージの変化をきっかけに会社員から転向する人も目立ちます。
自分自身のライフスタイルを崩さず、もてる能力を存分に発揮して働けるのが自由業系フリーワーカーのメリットです。理想的なライフワークバランスを作りたい人に向いています。
デメリットとしては、収入が不安定になりやすく、案件獲得に苦心する人も少なくないことが挙げられるでしょう。収入は人によって差が大きく、スキルの希少さと市場ニーズ、営業人脈がどれほどあるかといった要素に左右されます。
「複業」の字義通り、複数の仕事を並行して持ち、活動していくタイプのフリーランスです。業務に対して「メイン」「サブ」といった差を作らないのが、複業系パラレルワーカーの特色。マルチな才能を発揮して多様な業種の案件を受ける人もいれば、比較的つながりのある業界内・業種内で案件を獲得する人もいます。
基本的にはフリーランス専業ですが、アルバイトや会社員、派遣社員、団体職員など、雇用契約を結ぶ仕事を含めている兼業型フリーランスも存在します。多数の仕事に携わることができ、幅広い領域でのスキルアップや人脈形成につながるのがメリットだといえるでしょう。
ただし、時間的余裕がなくなったり、スケジュール管理が難しくなったりしやすいため、平均的なフリーランス以上に自己管理能力が求められます。突然の変更や依頼が入る可能性もある中で、1つの仕事が別の仕事に支障をきたさないよう、上手く調整しなければなりません。
デメリットはありますが、学びの多い刺激的な環境で働き続けたい人、1つのジャンルに収まらない多彩なスキル・能力を持つ人には向いている働き方だといえます。複数の仕事を持つことで、不安定になりやすいフリーランスの収入リスクをある程度軽減できる可能性もあります。
複業であることに理解を示してくれる企業と取引できれば理想的です。1つの仕事で得られる報酬はまちまちですが、受ける作業の量や内容、ニーズにより、高収入も目指せます。
自営業系独立オーナーは特定の企業に属することなく、自ら個人事業主や法人経営者として事業を手がける働き方です。基本的には専業のフリーランスであり、案件ごとにクライアントと契約して働きます。独立性の高さ、事業をビジネスとして立脚させる力の強さがこの働き方の特色。事業家、経営者、実業家などと呼ばれることも多いようです。
働く時間や場所、事業方針などはすべて自分で決めますが、事業が大きくなれば自由度を保つのが難しくなることもあります。経営力、営業力など事業を伸ばす力が求められるので、明確なビジネスビジョンがある人に向くでしょう。事業が成功すれば、フリーランスの中でも特に高い年収を得られるようになります。
会社員などの本業を持ちながら、夜間や休日などを利用した副業としてフリーランスの活動を行うタイプです。時間や場所の制約を受けにくいフリーランスの特徴を活かし、すきま時間を有効に活用して働きます。収入の不足を補いたい、自分の夢やアイデアを形にしたいなど、動機はさまざまです。
かつては副業を禁止する企業が多かったものの、昨今は正社員にも許可する動きが広がっています。キャリアアップや新規アイデアの創出のため、副業の実践を推進する企業も出てきました。こうした社会の流れを考えれば、今後さらに副業系すきまワーカーは増えていくでしょう。
ただし、本業がおろそかにならないよう気を配ったり、根を詰めすぎて過労となったりしないよう、オン・オフの自己管理を徹底する必要はあります。あくまで副業としてすきま時間に行う作業なので、得られる収入はお小遣い程度の人が多いのが実情です。いきなり安定した職を失うことには抵抗があるものの、「将来的に独立したい」「収入源を増やしたい」といった人に向いています。
作業場所の観点からは、以下の2つに分類できます。
一般的にイメージされやすいフリーランスは、この在宅型だと考えられます。クライアントからの依頼を受け、自宅や自ら設けたワークスペースなどで作業をするタイプです。シェアオフィスなどレンタルオフィスを活用する人もいます。ITインフラを活用した働き方となり、契約で決まった納期までに完成品を納めれば、作業場所や時間は自己裁量で決められるのがポイントです。
自由度の高さが在宅型の最大のメリットだといえるでしょう。高い就労意欲があっても、これまでの働き方では働けなかった層、スキルや能力を活かせなかった事情のある人々からも注目されています。一方で、オン・オフの切り替えや、計画的に作業を進める自己管理能力と責任感は必要になります。
仕事の契約を行ったクライアント先へ赴き、その現場で作業するのが常駐型フリーランスです。一見すると一般会社員や契約社員のようですが、雇用関係を結んでいないのがポイント。プロジェクトごとに案件を受けるため、これも立派なフリーランスです。
サーバーのような備え付けの大型開発環境を対象にする案件では、フリーランスでも常駐型になるでしょう。情報漏洩リスクなど危機管理面で在宅型より目が行き届きやすく、リスクを低減できることから、常駐型の需要は多い傾向にあるようです。よって、案件を安定して得やすいのが常駐型のメリットとなります。
現場と連携しながら作業を進めるため、同業フリーランスや、働き方の異なる同じ業界のプロフェッショナルなど、さまざまな人との交流が生まれます。自身のキャリアプランや事業活動における刺激を受けたり、有意義な情報交換ができたりといったメリットもあるでしょう。
在宅型のように、プライベートとの切り替えに悩むこともあまりないと考えられます。その一方、フリーランスならではの自己裁量度、働く時間や場所の自由度などは低くなりがちです。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取るフリーランスは自身の持つ知識やスキルを直接買ってもらうので、専門性や独自性、技術力の高さが求められるのはいうまでもありません。ここでは、各職種の壁を越え、フリーランスに共通して必要な能力を紹介します。
フリーランスは基本的に、引き受けた作業を最後まで自分でやり遂げなければなりません。そのため、体調管理を含めた自己管理がきちんとできることは非常に重要です。万が一の場合に備えるリスク管理能力や、自分に処理可能な分量を的確に見定め、スケジューリングする能力も大切でしょう。
多数の案件を受けた結果「完遂できなくなった」「過労で倒れた」といったことになれば、クライアントに迷惑をかけ、信用を失ってしまいます。自分の健康を害するという面でも当然マイナスであり、避けるべき事態です。
特に、在宅型の場合、プライベートとの境界を適切に設けづらく、生産性を下げてしまう人も少なくありません。自由度の高いフリーランスにとって、十分な自己管理能力は第一に求められるスキルだといえます。
スケジュール管理の能力とも関係しますが、責任感が強く誠実に対応できる能力も重要です。フリーランスかどうかを問わず、途中でプロジェクトを投げ出す人と仕事をしたいと思う人はいないでしょう。
急に変更しなければならないような事態が生じたり、想定外の事態が発生したりした場合でも、真摯に対応することが大切です。最後まで確実にやり抜く責任感の強さ、物事に誠実に取り組む姿勢は、安定した案件獲得にもつながっていくでしょう。
新しい知識や技術を貪欲に取り入れていく向上心も、業種を問わずフリーランスにとって重要な資質です。フリーランスを取り巻く社会環境、市場はめまぐるしく変化していきます。自身の強みとなる部分について、さらなる高みを目指して研鑽を積むことが大切です。
フリーランスには会社員のような研修制度がないため、自ら教えを請いに出なければ基本的に誰も何かを教えてはくれません。時代の流れに敏感となり、自ら積極的に新しいスキルを獲得しようする向上心とモチベーションが求められます。
フリーランスは企業や個人などタイプも異なるさまざまなクライアントに対応するため、相手に合わせてコミュニケーションをとる能力が必要です。交渉や契約から、進捗状況の報告なども基本的に全て自分自身で行うため、一般にイメージされるより高いコミュニケーション能力が求められるでしょう。
自己裁量で相手と交渉して契約して作業を進めるのが基本なので、自分自身のスキルや能力を客観的に見る力も必要になるでしょう。「何が自分の強みなのか」「どのようなメリットを相手に与えられるのか」といったことを把握しなければ、クライアントに適切なアピールができません。
「何ができて何ができないのか」「どこが秀でているのか」を客観的に理解し、自信を持ちつつも謙虚な姿勢でクライアントに接すれば、信頼を得やすくなるでしょう。
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おすすめの案件を受け取るフリーランスの収入は、本人のスキルや経験年数、実績などにより変動するのが特徴です。ここでは一定の目安になり得る資料を提示し、フリーランスの収入事情を解説します。
厚生労働省の「プロフェッショナルな働き方・フリーランス白書 2018」によると、フリーランス全体を対象とした調査での収入状況は、年収「100~300万円未満」が25.6%で最も多く、次いで「300~500万円未満」が25.2%となっていました。
月の作業時間が140時間を超えるフリーランスに限定すると、「300~500万円未満」が最多の30.2%になり、これに次ぐのが「500~800万円未満」の22.8%でした。
しかし、フルタイムのフリーランスでも、「100万円未満」の人は5.4%、「100~300万円未満」の人は20.4%います。その一方で、「1,000万円以上」の高額収入を得ている人が7.4%いるため、かなりばらつきがあるといえそうです。
業界・業種別では、「接客・作業系」の「100万円未満」が34%と最も多い層となります。一般的なBtoB取り引きと同様の形態で案件を得る「ビジネス系」フリーランス、弁護士や司法書士、公認会計士などの「専門・士業系」、「IT・クリエイティブ系」は、「接客・作業系」と比べて年収が高い人が多いようです。「専門・士業系」の場合、「1,000万円以上」の人は18%いました。
近年の傾向として、IT・クリエイティブ系のエンジニアやWebデザイナーは売手市場が続いており、報酬も高騰傾向にあると報告されています。
エンジニアに限りますが、レバテックの調査「レバテックフリーランス フリーランスエンジニアの単価相場」では、2024年時点の1ヶ月の単価がプログラマーは平均67万円、システムエンジニアは71万円となっています。年収に換算すると、単純計算でプログラマーが804万円、システムエンジニアが852万円となるので、かなり高額であることが分かるでしょう。
なお、情報処理推進機構の「IT人材白書2016」でフリーランスエンジニアの各年代年収分布をみると、「300万円未満」および「300万円以上500万円未満」が最大のボリュームゾーンになっています。しかし、30代、40代、50代の年代別による年収階層分布の割合値に大きな差はみられませんでした。スキルや実力次第で年収アップが見込め、収入額が実年齢に左右されにくいのがフリーランスの特色だといえるでしょう。
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おすすめの案件を受け取るフリーランスになることを決断したら、実際に活動を始める前段階として、いくつかやっておくべきことがあります。ここでは、最低限やっておきたい準備作業や手続きを紹介します。
フリーランスになる場合には、公的医療保険と年金の切り替え手続きをしなければなりません。基本は国民健康保険へ新たに加入しますが、退職前の会社で加入していた健康保険の任意継続も選択できます。
同じ健康保険を継続したい場合、被保険者の期間が会社の退職日までに継続して2ヶ月以上あったこと、また退職の日から20日以内に申請することが要件になります。この条件を2つとも満たす場合に限り、2年間の継続が可能です。
国民健康保険への加入を選択する場合、居住する市区町村の役所窓口に相談します。手続きは退職の翌日から14日以内に行うこととされていますので、まずこの手続きを済ませることを意識しておいてください。保険料は所得や保有資産、家族構成などで変動します。収入が大幅に減少する人は、保険料の減額や免除、納付期間・医療費の減額などが可能なケースもあります。
フリーランスで収入が大きく減る場合で、親や配偶者など家族が健康保険に加入していれば、その扶養に入るのも手。ただし、自身の年間収入が130万円未満で、家族の年収の2分の1未満であることが条件です。扶養に入るかたちで健康保険加入を行う場合は、被保険者である家族に申請をしてもらうようにします。
年金の手続きはフリーランスの場合、法人を設立して事業活動を行う場合と、法人化せずに活動する場合とで手続きが異なる点に注意が必要です。法人は厚生年金に加入することが義務となっていますが、個人の場合は自分で国民年金に加入することとなります。
会社員の間は給料天引きで納められていますが、個人として国民年金に切り替えたら、収入などに関係なく、月額で同一の金額を納めていく必要があります。具体的な金額は年度ごとに変動しますのでその都度確認してください。手続きは市区町村の役所にある担当窓口で、退職から14日以内に行います。納付が難しい場合、収入に応じて減免や納付猶予の制度を利用することもできます。
会社員や公務員は、1階が国民年金、2階が厚生年金のような2階建て構造になっており、老後に受け取れる年金額も充実したものとなります。対してフリーランスは、基礎年金である国民年金分しか受け取れません。そのため、将来のための備えが必要になります。
ある程度収入に余裕があれば、任意加入の国民年金基金などを利用しましょう。負担した掛け金は全額所得控除されます。加入すると自己都合で止めることはできないものの、掛け金を増減して調整することは可能です。この国民年金基金で、受給される分を2階部分の年金とすることができます。
また、個人型確定拠出年金iDeCoを利用する方法もあります。証券会社や保険会社などを通じて申し込み、自由に組み合わせて運用・積み立てをする制度です。金融商品の一種なので運用リスクを念頭に置く必要がありますが、掛け金を全額所得控除できるのはメリットとなります。自由な掛け金設定で、原則60歳から老齢給付金の受け取りが可能です。
国民年金基金を利用する場合は併用が禁止されているため選択できませんが、公的年金には「付加年金」という制度もあります。月額400円を負担すれば、将来もらえる年金額を増やせるのがポイント。200円に付加保険料を納付した月数を乗じた分の金額を、毎年プラスしたかたちで受給可能になります。こちらも所得控除ができ、比較的少ない負担で将来に備えられる方法です。
フリーランスの開業届提出は必須ではありません。しかし、事業を始めたことを公に宣言する「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出すれば、確定申告で青色申告が可能になったり、屋号名で事業活動を実施、口座を開設できたりします。節税効果が高く、社会的信用を得やすくなるのがメリットです。
事業開始から1ヶ月以内に、原則自宅または事務所の住所地を管轄している税務署に届出書類を提出します。税務署窓口に開業届を出したい旨を申し出れば、アドバイスを受けられます。
開業届の書類フォーマットは、国税庁のホームページ「国税庁 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」からダウンロードできます。窓口でももらえますが、あらかじめ用意しておくとスムーズです。ページでは、具体的な書き方も案内されています。
開業届の提出時には原本と別にコピーをとり、控えを作るようにしましょう。控えにも受付印を押してもらい、大切に保管します。この控えは口座開設手続きなどで必要になることもあり、手元にあると役立つものです。
近年はフリーランスの社会的認知度と信用度も改善傾向にありますが、それでも会社員などに比べると社会的信用が低いとみなされがち。そのため、クレジットカードや各種ローンの審査が通りにくくなります。
生活の基盤を整備するために、フリーランスになる前に必要なクレジットカードを作り、ローンを組んでおくことも検討しましょう。不動産購入や、賃貸契約を新たにすることを考えている場合も同様です。
自分の基礎生活費の総計がどの程度かを知っておくことは、フリーランスの活動を続ける上で大切になります。いくら充実度が高くても、生活していけるだけの収入が確保できなければ、暮らしが成り立ちません。現実を見据えて夢に挑むことが重要です。
経済的な面だけでなく、結婚、出産、育児など、これから迎えるライフプラン、ライフステージについても考えておきましょう。働き方が自由な反面、大きなライフステージの変化があった場合にも、自分自身で対応していかねばならないのがフリーランスです。
子どもを持つことを望んでいる場合、フリーランスは出産手当金や育児休業給付金の受給対象外になる点に注意してください。育児中も事業を続けられるよう、周囲の理解を得ておくなど工夫が必要です。
このほか、案件はどうやって得るか、自分の強みをどうアピールするかなどを具体的にイメージし、行動へ落とし込む準備も必要になります。作業場所は確保できているか、当面の資金は準備できているかも確認しましょう。
行動力も重要ですが、継続した活動を支える計画性、入念な準備は大切なポイントです。しっかり準備を整えて、フリーランスのスタートを切ってください。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取る晴れてフリーランスとなってからも、すべきことは多くあります。事業を続けていくために何が求められるのか、基本事項を確認しましょう。
案件を安定的に獲得するためには、人脈づくりが重要になります。人脈を作れば、案件獲得につながる情報が入ってくる可能性があるためです。これまでの人脈を活かしつつ、新たな人脈を作るために積極的に行動しましょう。勉強会や講習へ参加したり、オンラインコミュニティに参加したりするのがおすすめです。
フリーランスにとってITツールは必須のアイテムです。メールアドレスやチャットツールは、仕事専用アカウントを準備するようおすすめします。また、TwitterやFacebookなどで実績をアピールし、案件の獲得につなげることも可能です。SNSは情報収集やコミュニケーションツールとしても優秀なので、上手く活用しましょう。
フリーランスは自身で案件を獲得していかなければならないため、営業力と交渉力を磨く必要があります。営業や交渉のノウハウを調べ、実践で得られたフィードバックを元に改善を重ねます。自分自身を守るために、関連法規の知識も学んでおくと良いでしょう。
なお、イラストレーターやフォトグラファーなどのクリエイティブ系職種の場合、エージェントサービスを利用する手段もあります。営業活動を代行してくれるのがエージェントのメリットです。
年間所得が20万円以上なら、確定申告の手続きが必要です。開業後1ヶ月以内に税務署に開業届を提出します。
資金の管理をしやすくするために、事業用の銀行口座とクレジットカードの作成をおすすめします。
確定申告の際には、安価に利用できる会計ソフトを使うか、税理士に依頼するかのどちらかを選択すると作業が楽になるでしょう。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取るフリーランスは自由な反面、すべて自分で管理していかねばならない厳しさもある働き方です。とはいえ、将来性と未来のある働き方であることは間違いありません。今後はさらに多様なフリーランスが活躍する社会になるでしょう。フリーランスに関心を持っている方は、ぜひ自分なりのプランを練り、新たな一歩を踏み出してみてください。
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