3 years ago
自分のスキルや経験を活かして、フリーランスとして働く人が増えています。自由な働き方で、やりがいのある仕事で活躍している姿は憧れますが、フリーランスになるために、どうしたらよいのか分からない、一歩踏み出したいけど不安、という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、フリーランスになるための準備や手続き、仕事の仕方などについて詳しく解説していきます。
近年使われるようになったフリーランスという言葉ですが、そもそもフリーランスとはどんな意味があるのでしょうか。
企業や組織などの社員は、雇用契約を結び、所属する企業や組織の規則に従って与えられた業務を遂行しています。一方フリーランスは、社会的に独立しており、個人としてクライアントと案件ごとに契約を結び、スキルを提供することで収入を得ています。
こうした働き方を「フリーランス」と呼んでいて、実際に働いている人を「フリーランサー」と呼ぶこともあります。
フリーランスという名称の語源は、英語の「freelance」を指し、中世ヨーロッパの槍(lance)を持った騎兵の意味です。
これらの兵士は君主に仕えているわけではなく、戦争ごとに雇われ、戦闘能力を提供することで収入を得ていた「独立した傭兵」でした。
現在は戦場ではなく、職場になっていますが、フリーランスも案件ごとに契約し、同じ働き方をしているため、置き換えられて使用されています。
ただ、フリーランスという言葉自体は明確に定義されておらず、中小企業庁の2019年版 小規模企業白書では、次のように記しています。
「フリーランス」については、明確な定義がないため、本白書では、『特定の組織に属さず、 常時従業員を雇用しておらず、消費者向けの店舗等を構えておらず、事業者本人が技術や技 能を提供することで成り立つ事業を営んでいる者』をフリーランスと定義する。
こうした働き方には、エンジニアやWebデザイナー、ライター、プログラマーなどのデジタル分野から、講師、インストラクター、美容師、大工など、スキルを提供する幅広い分野の仕事が考えられます。
フリーランスという言葉は、職業や業態ではなく、働き方ということになりますが、それに類似する働き方をいくつかあげてみます。
1.自由業
2.フリーター
3.派遣
4.自営業
5.ノマド・SOHO
この中で、「派遣」や「パート」「フリーター」などは、派遣先、パート・アルバイト先と雇用契約を結んでいるため、フリーランスではありません。
自営業は、個人経営で事業を営んでいる人であり、フリーランスと類似する点はありますが、商業、工業、農業、漁業など、特定の場所でスキルやサービスを提供するため、個人経営の自営業もフリーランスとは呼びません。
企業に雇われず、専門性を売りにする働き方で、フリーランスと類似するのが「自由業」です。医師、弁護士、作家、俳優、プロのスポーツ選手、外交員や大工などがあげられ、そのときどきの契約で自分のスキルを提供するため、フリーランスと呼ぶことができます。
ただし、自宅などで仕事をし、拠点を持たないフリーランスに対し、医師や弁護士など、個人で医院やオフィスを構えている人も含まれており、すべての職種で同じ働き方をしているとは限りません。
ノマドは英語で「放浪者」を意味するもので、様々な場所に移動しながらその都度働くことを指しますが、特定の期間でも企業や組織に雇用されるためフリーランスとは少し違います。
SOHOは「Small Office Home Office」の略で、フリーランスも含まれますが、会社員がリモートワークをする場合にも用いられるため、すべてのSOHOがフリーランスに該当するとは限りません。
フリーランスでも、案件によって職場に常駐するタイプ、在宅で行うタイプがあり、働き方の定義は難しくなっています。このように、フリーランスは、業態や業種では分類できないものです。
フリーランスがどのような働き方か理解したところで、今度はどのくらい収入を得ているのか、「レバテックフリーランス」のレバテッククリエイターの単価診断ツールによって算出した仕事別の平均年収を見ていきましょう。
エンジニア系で見ていくと、プログラマーが840万円、システムエンジニア(SE)が876万円、Webエンジニア852万円となっています。
クリエイティブ系では、Webデザイナーが480万円、イラストレーターが420万円、ライター系ではWebライター、編集者などがありますが、100~300万円と見られています。
これらはあくまでも平均であり、契約内容、フリーランスの実績や経験などによって大きく変わり、平均に達しない人、平均以上に稼いでいる人などそれぞれです。
フリーランスは収入が安定しておらず、下積み期間が長くなる可能性もあります。それでも、高額で効率的に働ける案件などを探すことで、エンジニアなどでは1,000万円以上稼いでいる人もいます。
フリーランスは案件ごとに契約を交わし仕事をしますが、契約形態にはいくつか種類があります。
フリーランスがクライアントと直接契約を交わす一般的なやり方です。フリーランス自らクライアントと交渉し、具体的な作業内容や期間、報酬などを話し合い、合意に至れば仕事を遂行します。
コンサルティングや医療行為など、業務の遂行自体に(多くは期間ごと)報酬が支払われる場合の契約は、準委任契約と呼ばれて区別されています。(参考:レバテックフリーランス)
請負契約というのは、仕事を完成させて初めて契約が成立する形で「瑕疵担保責任」が生じます。途中で仕事ができなくなったなどのトラブルが発生した場合は、損害賠償などを求められます。
契約前に、きちんと交渉してトラブルのないようにしておきましょう。
それでは、フリーランスはどのように案件を受注し、報酬を得ているのでしょうか。いくつか例をあげていきます。
1.知人からの紹介
2.クラウドソーシングサービス
3.エージェントサービス
フリーランスに転身する前に、人脈を広げておくことで、仕事を紹介してもらえる可能性があります。
特に前の職場の関係を良好にしておきましょう。前職の企業から案件を委託されたり、関連する外部からの案件を紹介してもらえたりする可能性があります。
また、スクールや勉強会などに積極的に参加し、同じ職業の人たちと交流します。横のつながりができることで、案件を紹介されることがあります。
もう1つは、クラウドソーシングサービスを活用することです。報酬は低めになりますが、在宅の案件が多く初心者でも受け入れる案件が揃っています。地方在住の人や、副業などで利用しやすいのが特徴です。
エージェントサービスは、クラウドソーシングと同じように案件を紹介しますが、クライアント先で働くスタイルが多く、報酬が高くなる傾向にあります。ヒアリングを行い、希望や条件に合わせて案件を探してくれます。
営業活動や交渉をエージェントが行ってくれるので、自己アピールやコミュニケーションが苦手な人でも案件を獲得しやすくなります。
また、第三者が間に入ることで、自分の市場価値や今後の方向性などを考える上で参考になります。
フリーランスという働き方に向いているのは、どのような人でしょうか。重要なポイントをいくつか紹介します。
ビジネスをする以上は、受けた案件に責任を持ち、質の高い仕事をすることはもちろん、しっかりと納期を厳守します。そのための自己管理能力、スケジュール調整、コスト管理を行えることが大切です。
フリーランスで働いている人は、最新の情報やトレンドに遅れないよう市場動向に注目し、常に学んでいます。好きなことを仕事にしているので、スキルアップしようとする意欲も高くなります。
人を魅了する話し方を学ぶ必要はありませんが、コミュニケーションを欠かさない配慮を持っています。
ビジネスはお互いの信頼関係の上に成り立っているので、仕事で困ったことや懸念材料がある場合は、自己判断せずに相談・報告をする、またクライアントから連絡が来たら迅速に対応します。
仕事だけでなく、人として信頼できることが、「仕事を一緒にしたい」と思ってもらえる要素です。フリーランスで成功している人は、誠実で正直な対応で評価を得ています。また、クライアントのために仕事をしますから、相手の気持ちを読み取る・くみ取る姿勢が大切です。
フリーランスを始める前に、現職を続けながら副業・または兼業で実績を積んでいくことがおすすめです。未経験では、仕事を依頼するクライアントは少ないからです。
会社員と違い、フリーランスはプロとしての実力が評価されますから、まずは自身の強みややりたいことを見つけたら、自分のスキルを磨きながら、市場の動向を探りフリーランスとしてどのように働いていくかの方向性を決めていきます。
そして、生活設計を行います。これは一人暮らしや家庭がいる暮らしなどによりますが、フリーランスになってすぐに大きなプロジェクトを受注できるとは限らず、仕事がない時期もあることを考慮して、最低でも1年は生活できるだけの蓄えは備えておきましょう。
これらを踏まえ、フリーランスを始めるに当たり何をすればよいか、退職前・退職後、フリーランス開始前の段取りで説明していきます。
1.退職届(必須)
2.年金手帳、雇用保険被保険者証、源泉徴収、離職票の受け取り(必須)
3.業務整理と引き継ぎ(必須)
4.クレジットカードを作っておく/ローンを組んでおく
退職を決めたら、会社の規則に従って必要な手続きと引き継ぎを行います。社会人として会社に迷惑をかけないよう、責任を持って引き継ぎなどを行いましょう。
また、クレジットカードを持っていない人は、辞める前に作っておきましょう。フリーランスは企業に属していない分社会的信用が低くなってしまうため、審査が通りにくくなります。同様の理由で、ローンを組む必要がある人は、現職のうちに行ってください。
1.会社の健康保険から国民健康保険への切り替え(必須)
2.厚生年金から国民年金に切り替える(必須)
3.事業計画書の作成
4.事業用のメールアドレス/携帯電話など
5.ネット環境の整備
会社員からフリーランスになる場合は、国民健康保険、国民年金の手続きを行う必要があります。
国民健康保険は、社会保険資格喪失証明書、印鑑、本人確認書類、国民年金は年金手帳、印鑑、離職票、マイナンバーカードなどを持参します。住んでいる役所で同時に済ませてしまいましょう。
健康保険は、退職後20日以内であれば前職の健康保険制度に2年間加入を継続することができます。ただし、任意継続保険料は前年度の所得や各市町村によって金額が異なります。健康保険組合や役所に問い合わせてみることをおすすめします。
1.開業届を提出する(必須)
2.青色申告承認申請書を提出する(必須)
3.友人・知人、エージェントなどへの連絡
フリーランスになったら、公に宣言するため「開業届」を住んでいる、またはビジネスの拠点となる管轄の税務署に提出します。開業のタイミングが分からないケースもあるため、遅れても罰則などはありませんが、基本的に開業から1か月以内が目安となっています。
確定申告は、「白色申告」「青色申告」の2種類があります。簡単に説明すると、白色申告は手続きが簡単ですが、節税などの特典もありません。一方青色申告は、帳簿付けが複雑で大変ですが、青色申告特別控除で税金が安くなる、赤字を最長で3年繰り越しできるなどの特典が受けられます。
1.住民税
2.個人事業税
3.事業用の口座を作る
4.会計ソフトの用意
5.契約書・請求書・見積書などの雛形を作成
6.印鑑・切手・封筒の準備
7.万が一の備え(共済、所得補償制度など)
フリーランスになると、住民税は自分で納める必要があります。1年の所得をもとに、翌年の6月に一括または4分割で納付します。
東京都主税局によると、個人事業税は、事務所や事業所を設けて、1年間に290万円以上の収入を得た場合に支払う税金です。これに該当しない、または所得税の確定申告や住民税の申告をした人は対象外となっています。
また、経理を自分で行わなければなりません。経費など、ビジネスに関するお金の流れを把握できるようにするため、事業用の通帳と会計ソフトを用意しましょう。開業届を提出すると、屋号名での口座の開設も可能になり、社会的信用に有益となります。
確定申告に向けて、会計ソフトも用意しましょう。個人事業主向けのクラウド会計ソフトは、日々のコスト管理から確定申告まで行えます。初心者向けから便利なツールがありますので、活用していきましょう。
さらに考慮したいのが、万が一の備え。フリーランスは、病気や事故などで、働けなくなると補償がありません。そのために、個人事業主やフリーランス向けのサービスがありますので、利用してみましょう。
フリーランス協会の所得補償制度
フリーランス協会は、個人事業主やフリーランスで結成されている団体で、仕事の紹介や勉強会、役立つ情報などを発信しています。この団体では、フリーランスが病気や事故などで働けなくなった場合の、所得補償制度など、会社並みの福利厚生サービスを用意しています。
小規模企業共済は、小規模事業者、役員などが廃業や退職時に生活資金として受け取れる積立型の「小規模企業共済制度」です。所得控除も受けられ、事業資金の借入もできます。個人経営者などの退職金制度と言えます。
ほかにも、通常の保険会社でもフリーランス向けに扱っている保険商品、エージェントなどの案件紹介会社で扱っている福利厚生サービスなどがあります。少額から積み立てられるものも多数揃えているので、検討してみてはいかがでしょうか。
特に家族がいる場合は、前向きに検討しましょう。
様々な準備と手続きを経た後は、仕事探しです。毎月収入が得られるという保証はありませんので、できるだけ人脈を広げ、仕事を受けやすいようにしておきましょう。
まずは、これまで仕事をしたことのあるクライアント、同業の友人・知人など、SNSやメールなどで多くの人にフリーランスになった報告をしましょう。特に一度仕事をしたことのあるクライアントであれば、働きぶりや成果を知っているので頼みやすくなります。
これまで行ってきた経験と実績のほか、得意分野、専門分野の範囲などを整理しておきましょう。
エンジニアであれば、「アプリ開発に携わってきた」「ソーシャル分野で仕事をしていた」など、Webデザイナーであれば、「Webデザインのスキルだけでなく、イラストも描ける」などです。アピールできるものが明確だと、それに合わせた案件を獲得しやすくなります。
これまでの実績を、Web上に公開してアピールする方法もあります。営業活動の一環となり、見た人から仕事の依頼が来ることもあります。
IT・クリエイティブ、マーケティングなど、勉強会や交流会が多く開催されているので、自己投資として積極的に参加しましょう。
同業者との交流を通して、市場動向を把握できる、スキルアップにつながることはもちろん、人とのつながりが広がり、案件を紹介される可能性もあります。
フリーランスや個人事業主向けのエージェントサービスが多数あります。ヒアリングを行った上で、個人では見つけにくい案件や、一般には公開されていない案件なども提案してくれることがあります。
企業先で働く常勤型が多く、高いスキルを求められますが、収入が高く安定しやすいのが特徴です。営業活動の手間が省け、クライアントとの商談、税務関連、保険サービスなど、様々なサポートを受けることができるのも大きなメリットです。
レバテックフリーランスでは、フリーランスに転向した利用者の声を掲載しています。
なぜフリーランスになったのか、これからフリーランスを目指す人へのアドバイスなどもあります。
例として、エンジニアに向いているか悩んだ末に決断した人、会社設立を経験しながら、最終的にフリーランスを選んだ人、いつか自分でゲームを作ることを夢見て、大手企業のゲーム事業部から独立した人などもいます。
また、フリーランスになったことで、やりたい仕事と家族の時間の両方を持てるようになったというポジティブな生き方も紹介されています。
それぞれに事情があり、悩みや経験を経て、フリーランスという選択を見いだした人たちで、好きなことをして楽しんでいる、やりがいがある、収入アップにつながっているなどの声が詳細に掲載されています。
今フリーランスを目指そうとしている人、フリーランスになったけれど伸び悩んでいる人、決断がつかない人など参考にしてみてください。
フリーランス、副業、ノマドなど、新しい働き方が生まれニーズも高まっています。1つの企業に定年まで勤めるというこれまでの考え方・働き方から、組織に縛られることなく自由に働きたいという考え方に変わってきています。
2019年に内閣府が発表した政策課題分析シリ-ズ 17によると、フリーランスの人数は306万人~341万人と試算しています。
事業者全体の割合では5%程度ですが、政府の副業解禁、働き方改革などの推進を受け、環境整備が整ってきたこともありフリーランスは増加傾向にあると推測しています。
そのため、クラウドソーシングやエージェントなどの案件紹介でも、クライアント企業が求める働き方に常勤だけでなく、在宅でできる案件や、週2~3日出勤などバリエーションを増やしています。
このような働き方は、自由である一方、実力と経験、スキルで勝負しなければなりません。得意とする専門分野、好きな分野を活かし、スキルを高めていく努力が求められ、また自分にしかできないオリジナリティ、自分をアピールする営業力なども必要になります。
その分、スキルアップ、キャリアアップ、キャリアパス、収入アップなど、夢を叶えるチャンスがある働き方と言えます。
今現在、フリーランスとして働いてみたい、自分の力を試してみたい人はたくさんいるでしょう。フリーランス人口が増えたことで、ハードルは下がりますが競争は激しくなっています。
フリーランスの現状をしっかりと把握し、スタートラインまでを準備しておくことで、自分がどのタイミングで、どのように行動すればスムーズにフリーランスに移行できるか、計画することができます。
自分が目指す分野の情報を収集しながら、準備を整えておきましょう。
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