フリーランスの働き方とは？独立に向いている仕事一覧や年収などを解説

フリーランスとは

一般的にフリーランスとは、企業や団体に所属せず、自分のスキルを提供しながら独立して働く人を指します。厚生労働省をはじめとした公的機関のガイドラインでは、以下のような働き方をする自営業者や一人社長をフリーランスと定義しています。

• 実店舗がない
• 人を雇っていない
• 知識やスキル、経験を活かして収入を得る

フリーランスの概要については、「フリーランスとは？意味・仕事の実態や必要な準備をわかりやすく解説」もあわせて参考にしてください。

出典：内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」

フリーランスの働き方

フリーランスの働き方の分類は、調査期間や個人の考えにより異なります。以下では、本業フリーランス・副業フリーランスの2つに分けて紹介します。

本業フリーランス

本業フリーランスは、組織から完全に独立して生計を立てる働き方です。雇用関係がないので、仕事内容はもちろん、働く時期や場所、取引先などをすべて自らの裁量で決められます。

「基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方～令和4年就業構造基本調査の結果から～」によると、以下の理由で本業フリーランスを選ぶ人が多いようです。

• 専門技術を活かせるから
• 好きな時間に働きたいから

高度なスキルを身につけた上で、自己裁量で働きたい人が本業フリーランスになっていると考えられます。

出典：総務省統計局「基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方～令和4年就業構造基本調査の結果から～」

副業フリーランス

副業フリーランスは、会社員などの本業を持ちつつ、クラウドソーシングサイトやエージェントを利用して空き時間に副業する働き方です。専門的なスキルを活用する副業の場合は、高収入を得られることもあるでしょう。

副業フリーランスの特徴やメリットについては、「副業フリーランスとは？始めるときの注意点やおすすめの仕事を解説を参考にしてください。

フリーランスと他の働き方の違い

フリーランスと他の働き方の違いを以下の表にまとめました。会社員・フリーターは雇用契約を結んで働き、個人事業主・自営業は雇用されずに働くのが特徴です。

働き方	フリーランスとの違い
個人事業主	開業届を出しているかの違いで、働き方は大きく変わらない。開業届を出すと個人事業主になる。
会社員	会社員は企業・団体と雇用契約を結ぶ働き方。フリーランスは独立しており、クライアントと対等な関係で契約を結ぶ。
自営業	フリーランスに限らず、法人化している人も含む。個人経営の店舗を持つ人を指すことが多い傾向にある。
フリーター	フリーターは15～34歳で、勤務先での雇用形態がアルバイトまたはパートの人を指す。ただし、学生と主婦を除く。

フリーターとの違いについては、「フリーランスとフリーターの違いとは？同じ部分や主な仕事一覧も紹介」が参考になります。なお、個人事業主や会社員、自営業との違いは、先の「フリーランスとは」で紹介した記事もあわせてご覧ください。

出典：厚生労働省「主な用語の定義」
出典：厚生労働省「用語の定義」

フリーランスの働き方に向いている仕事一覧

ここでは、フリーランスの働き方がしやすい代表的な職種の例を紹介します。

ITエンジニア

ITエンジニアは、フリーランスの働き方をしている人が比較的多い職種です。

ITエンジニアとは、ITスキルを活用してシステム・ソフトの設計や構築、運用などを行う技術者全般を指します。システムエンジニアやインフラエンジニア、Webエンジニアなど、担当する作業や専門分野に応じたさまざまな職種があるのが特徴です。

エンジニアの種類については、「エンジニアの仕事内容や種類とは？働き方や職種に必要なスキルを解説」を参考にしてください。

Webディレクター

Webディレクターとは、Webサイトの企画から制作、運用まで担う責任者を指します。パソコンを使う作業が中心であり、フリーランスでも比較的働きやすい職種だといえるでしょう。

活躍するにはWebサイトの制作経験だけではなく、チームを率いてまとめるマネージャーとしての資質も必要です。Webディレクターの仕事内容や必要なスキルについては、「Webディレクターとは？仕事内容・年収や必要な資格・スキルなどを解説」を参考にしてください。

Webデザイナー

Webデザイナーとは、Webサイトのデザインやコーディングを行う仕事です。

デザインの知識や経験だけではなく、クライアントの意図を聞き出すヒアリング力やUI/UXの知識も必要とされます。Web業界が拡大に伴って今後も需要が高まると考えられるため、フリーランスの働き方も実現しやすいでしょう。

Webデザイナーの将来性については、「Webデザイナーとは？仕事内容や未経験からなる方法を解説」を参考にしてください。

イラストレーター

イラストレーターとは、クライアントの要望に応じてイラストを描く職種です。小説の挿絵・雑誌の表紙・チラシといった紙媒体のほか、ゲームの背景やLINEスタンプなどデジタル媒体のイラストもあります。

画力だけではなく、相手の要望を聞き取って作品に反映する力や営業力、宣伝力なども必要です。近年はSNSで絵を公開し、そこから依頼を受ける人も増えています。

イラストレーターの働き方に興味がある方は、「イラストレーターの仕事内容とは？なる方法についても解説」を参考にしてください。

Webマーケター

会社の公式サイトやオウンドメディアを通じて売上を伸ばす施策を実行する職種がWebマーケターです。Webマーケターが行う施策には、以下のようなものがあります。

施策	狙う効果
SEO対策	検索時に上位表示されるようにする。
リスティング広告の運用	ユーザーの流入数を増やす。
SNS運用	ターゲット層からの流入数を増やす。
LPの最適化	コンバージョン率を高める。

Web分野は年々広がりを見せているため、Webマーケターの需要も伸びていくでしょう。フリーランスの働き方もしやすいと考えられます。

コンサルタント

コンサルタントは、企業の課題を解決するためにアドバイス・提案をする職種です。専門分野に応じて、以下のような種類に分けられます。

• 経営コンサルタント
• 会計コンサルタント
• ITコンサルタント

ほかにも課題に応じたさまざまなコンサルタント職があり、いずれも高度な専門知識や論理的思考力が必要です。ITコンサルタントの働き方に興味がある方は、「ITコンサルタントの仕事に就くには？仕事内容から必要スキルまで徹底解説」を参考にしてください。

Webライター

Webライターは、クライアントから依頼を受けてWeb上に掲載する文章を書く仕事です。依頼内容に合った正しい内容の文章を書かなくてはならないため、専門知識や検索のスキル、SEOの知識も必要とされます。タイピングスキルも仕事の速さに直結するでしょう。

パソコンがあればどこでも仕事ができるため、副業やフリーランスとして働く人が多い傾向にあります。ライターの働き方に興味がある方は、「フリーランスライターになるには？仕事の探し方や必要スキルを紹介」を参考にしてください。

ブロガー

ブロガーは、ブログやメディアに広告を掲載し、アクセス数や購入などの成果に応じた報酬を得ます。依頼を受けて文章を書くライターとは異なり、自分が運営する媒体を通じてコンテンツを発表して収益を得る働き方です。

多くの閲覧者を得て高収入を稼ぐには、定期的に訪れたいと思えるコンテンツを発信しなくてはなりません。閲覧者の需要をつかむリサーチ力や、途切れずに記事を更新する継続力も必要になります。

フォトグラファー

フォトグラファーは、写真を撮ることで生計を立てる職種です。イラストレーターのように依頼に基づいて写真を撮る場合と、アート性の高い写真を撮影して販売する場合があります。

撮影機材の質や色彩感覚はもちろん、フリーランスフォトグラファーはクライアントの依頼を聞いて求められた写真を撮影する対応力が必要です。シャッターチャンスを逃さないための忍耐力も重要でしょう。

近年はインターネット上で写真を販売できるストックフォトサイトがあり、そこで写真を販売する人が増えています。

動画制作者

動画制作者は、映像の編集や音声・効果音などの挿入をする職種です。企業に依頼されて動画を作成するほか、自分の発信したいコンテンツを動画として作成して収入を得る働き方もあります。

フリーランスとして生計を立てるには、適切な尺に必要なコンテンツを納めるバランス感覚や見やすい画面を作るデザイン・色彩の感覚が必要です。動画投稿サイトで発信する場合は、より多くの人に動画を届けるための宣伝力も問われるでしょう。

「動画編集フリーランスは稼げる？年収や仕事案件の種類、必要スキルを解説」では編集の作業内容を詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてください。

税理士

税理士は、税金の専門家として計算や相談に対応する職種です。税務の代理のほか、納税書類の作成もします。

税理士になるには、必要な資格を取得したうえで「日本税理士会連合会」に登録しなくてはなりません。税理士試験は日本の国家資格では難関資格試験とされ、合格するにはかなりの努力が必要です。

スタートラインに立つことは簡単ではありませんが、フリーランスの働き方がしやすい職種だといえます。

美容師

美容師は、髪の毛のセットやカットなどをする職種です。ヘアメイクの場合はカットはせず、セットのみを担当します。美容師を名乗るには、国家資格の美容師免許が必要です。

フリーランス美容師には、他者が経営する美容室と業務委託契約を結んだり、場所を借りて自分が店舗を営業したりといった働き方の選択肢があります。ヘアメイクの場合は、撮影現場やブライダル会場に赴くことが多いでしょう。

編集者

編集者は、書籍や雑誌の制作で全体を調整して仕上げる職種です。制作にかかわる人・情報などを総括し、全体の進行管理から仕上がりまでを監督します。文章力やデザイン力のほか、マネジメントやスケジュール管理のスキルも重要です。

未経験でフリーランスになるのではなく、出版社やWebメディアを持つ企業などで経験を積んでから独立する人が多い傾向にあります。

フリーランスの職種の選び方

フリーランスになりたいものの、職種が決まっていない人もいるでしょう。ここでは、フリーランスになるときにメインとする職種を選ぶときのポイントを紹介します。

すでに経験・スキルがある仕事を選ぶ

スキルや経験がない状態で、いきなり大きな案件に挑むのは避けましょう。フリーランスは企業に所属しないものの、クライアントはその道のプロとして仕事を依頼するからです。高単価・大規模な案件に挑戦して高収入を稼ぎたい場合は、すでに経験やスキルがある職種を目指しましょう。

やりがいや関心が持てる仕事を選ぶ

フリーランスの職種を選ぶ場合は、自分から進んで作業や学習に取り組める分野がおすすめです。たとえ自由に働けても、仕事内容が好きではなく、やりがいが感じられないとつらく感じる人もいるでしょう。フリーランスになる前に、興味を持ち続けられる仕事かどうかじっくりと考えるのが得策です。

長く続けられる仕事を選ぶ

フリーランスは定年退職がなく、自分で引退しない限り仕事を続けられます。一方で、退職金や手当がなく、早く仕事をやめるとその分損をする側面もあるでしょう。

フリーランスとして仕事を選ぶのであれば、長期にわたって仕事を続けられるかどうかの考慮も欠かせません。短期的には稼げても、体力的・精神的にきつく長く続けられない仕事を選ぶと、長期的に見たときに稼げる金額が少なくなるおそれがあります。

未経験の人は挑戦しやすい仕事を選ぶ

未経験の分野にフリーランスとして飛び込みたい場合は、参入のハードルが低い仕事を選ぶのも重要です。参入のために初期費用がかかる・特別な資格が必要な職種の場合は、仕事ができる状態になるまでに挫折するおそれがあります。

フリーランスの働き方がイメージできるデータ

ここでは、公的機関のデータからフリーランスとして働く人々の傾向を解説します。データを参照すれば、フリーランスの働き方が客観的にイメージしやすくなるでしょう。

年齢層

総務省統計局のデータでは、「45～49歳」が24.5万人で最多、次に多かったのは「50～54歳」です。副業フリーランスでは、「35～39歳」の人が多いという結果でした。フリーランスは20代の若い世代よりも、経験を積んでから選択する人が多い働き方だといえます。

出典：総務省統計局「基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方～令和4年就業構造基本調査の結果から～」

フリーランスの働き方を選ぶ理由

総務省統計局のデータを見ると、フリーランスになった理由として最も多かったのは「専門的な技術を活かせるから」です。全体の32.5％がこのように回答しました。

男女別で見ると比率がやや異なります。男性は35.7％と高い割合が技術を活かせることを理由にしていました。一方女性は、技術を活かせることも25.2％と高い比率ではあるものの、「自分の都合の良い時間で働きたいから」という理由も多く、全体の33.5％を占めています。

女性のフリーランス事情については、「フリーランス女性の仕事13選！未経験で踏み出す注意点やステップを解説」も参考にしてください。

出典：総務省統計局「基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方～令和4年就業構造基本調査の結果から～」

働く日数と時間の目安

総務省統計局のデータを見ると、年間稼働日数が200日以上の本業フリーランスのうち、週40～49時間働く人の割合が22.5％で最多でした。また、規則的に仕事をしている副業フリーランスの場合は、週に5時間未満働く人が多い傾向です。

出典：総務省統計局「基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方～令和4年就業構造基本調査の結果から～」

フリーランスの年収

「令和4年度フリーランス実態調査結果」によると、直近1年間の収入の回答で最多だったのは「100万円未満」でした（「わからない・答えたくない」を除く）。次いで「200～300万円未満」、その下に「100～200万円未満」と「300～400万円未満」が同率で続きます。

より詳しい内容については、「フリーランスの年収は？生計は立てられる？職種別にみる相場とは」も参考にしてください。

出典：内閣官房新しい資本主義実現会議事務局・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁「令和4年度フリーランス実態調査結果」

フリーランスの働き方のメリット

自由度が高く、実力次第で高収入を得られるのがフリーランスの働き方の魅力です。以下にフリーランスの主なメリットを挙げます。

• 好きな仕事を選べる
• 時間や場所の自由度が高い
• 収入増につなげやすい
• 事業関連の支出を経費に換算できる
• 定年の概念がない
• 通勤時間を短縮できる
• 人間関係に起因するストレス度が低い

メリットについて詳しく知りたい方は、「フリーランスのメリットとデメリットとは？向いている人も解説」を参考にしてください。

フリーランスの働き方のデメリット

フリーランスの働き方で懸念されるのは、軌道に乗るまでは収入が安定しにくく、社会的信用が下がることです。以下に主なデメリットを挙げます。

• 収入が不安定になりやすい
• 会社員時代より信用度が下がる
• 自己管理が大変な場合もある
• 福利厚生などの恩恵がない
• 孤独を感じやすい

デメリットについて詳しく知りたい方は、「フリーランスのデメリットとは？仕事のメリットや向いている人の特徴も解説」を参考にしてください。

フリーランスの働き方を選んで後悔しやすいポイント

ここでは、フリーランスの働き方で後悔しやすいポイントを紹介します。

スキルが足りず低単価案件しか取れない

経験の浅い分野にフリーランスとして飛び込むと、最初のうちは低単価案件しか受けられないおそれがあります。稼ぐには大量の案件をこなさなくてはならず、仕事に慣れる前に疲弊する人もいます。フリーランスになる前にある程度のスキルを身につけ、高単価案件を狙えるようにしましょう。

クライアントとの単価交渉のコツについては、「フリーランスの単価の決め方は？交渉のコツや報酬を上げる方法も解説」を参考にしてください。

スキルアップの勉強が大変になる

フリーランスは会社員が勤め先で受けるような研修がないため、仕事に必要なスキルを身につけるには自分の時間とお金を使わないといけません。

主流の技術の移り変わりが激しいIT系、流行によって求められるものが変わるデザイン・イラスト系などは、スキルアップが特に重要です。常に向上心や学習が必要な状況に大変さを感じる人もいるでしょう。

フリーランスの後悔については、「フリーランスは後悔する仕事？不安定な収入などの現実を知り、適性見極めを」も参考にしてください。

フリーランスの働き方で年収アップする方法

ここでは、フリーランスが年収アップするために意識したい4つのポイントを紹介します。

市場価値の高いスキルを選んで習得する

フリーランスとして高収入を稼ぐには、高単価案件を受けたり、途切れずに案件を受けたりするのが大切です。そのために、市場価値の高いスキルを身につける必要があります。希少なスキルを持っていれば、競合の少ない仕事を高単価で受けられるでしょう。

また、需要が高く案件数が多い職種に関連するスキルを身につけると、収入が途絶える事態を避けられます。新しいスキルを学ぶときは、そのスキルの市場価値を事前に確認してください。

複数のクライアントを持って売上を上げる

特定のクライアントだけに頼って仕事を受けると、そのクライアントとトラブルがあったり、予定が合わなかったりしたときに無報酬になるおそれがあります。

仕事を受けるときは複数のクライアントから依頼を受けましょう。クライアントを数ヶ所に分散していれば、一度にすべての仕事先から仕事が途切れる可能性は低くなります。また、仕事の相場も分かりやすくなり、低単価で買いたたかれるリスクも減るでしょう。

掛け持ちの方法については、「フリーランスが複数案件の掛け持ちを成功させる方法を解説！探し方も紹介」を参考にしてください。

有効な営業戦略を考えて実行する

フリーランスとして成功するには、仕事をこなすためのスキルだけではなく、効率的に仕事を受けるための営業スキルや戦略も重要です。

営業が苦手で仕事がもらえない場合は、戦略を立ててから営業活動に臨みましょう。計画を立てても営業がうまくいかない場合は、エージェントなどの仕事を紹介してもらえるサービスを使う手もあります。

営業方法について詳しく知りたい方は、「フリーランスの営業のやり方10選！成功のポイントや案件獲得方法を解説」

アピールにつながるポートフォリオを作る

ポートフォリオとは、過去の実績や所有するスキル・資格などを分かりやすくまとめた資料です。一部の仕事では、応募のためにポートフォリオが必須なことがあります。フリーランスになる前に作成し、独立後は定期的に更新しましょう。

イラストやデザイン系の仕事では、ポートフォリオそのもののデザインや見やすさも評価の対象になることがあります。読みやすくデザイン性の高いポートフォリオ作りを心がけましょう。

ポートフォリオについては「ポートフォリオとは？作る意味やビジネスでの必要性、構成例などを解説」も参考にしてください。

フリーランスの働き方をする人は増えすぎなのか

近年、フリーランスとして働く人は増加傾向にあります。内閣府のデータでは、フリーランスを含む自営業者のうち、従業員を雇っていない人の数が2017年以降ゆるやかに増加している旨が示されました。主な理由としては、以下が考えられるでしょう。

• 働き方の多様化
• 企業の副業解禁
• 在宅ワークの普及
• IT人材の需要の高まり
• フリーランス向けのサービスの普及

在宅勤務を求める人の増加や柔軟な働き方の普及によって、フリーランスは今後も増える可能性が高いと考えられます。競合が増えるため、現在フリーランスとして活動する人はスキルアップや営業などに努めるのが大切です。

フリーランスの増加については、「フリーランスは増えすぎ？6つの増加理由や競争を勝ち抜くためのコツを解説」も参考にしてください。

出典：「第3章　成長と分配の好循環実現に向けた家計部門の課題（第1節）」
出典：「働き方改革～一億総活躍社会の実現に向けて～」

フリーランスの働き方を選ぶ際の準備

ここでは、フリーランスになる人がやっておきたい準備を紹介します。

収入を予測してキャリアプランを立てる

フリーランスになるときは、今あるスキルや挑戦したい仕事でどの程度稼げるのかをある程度予測しておいた方がよいといえます。

また、今あるスキルで仕事をしたいのか、スキルアップやキャリアチェンジも視野に入れたいのかも事前に決めるのがおすすめです。キャリアプランを立てておけば、それに基づいて受ける仕事やスキルアップの手段を選べるため、効率的に進められるでしょう。

貯金をする

フリーランスとして独立すると、しばらくの間は収入が不安定になる場合もあります。仕事の分野やクライアントによっては、突然仕事を打ち切られて無報酬になるリスクもあるでしょう。

フリーランスになるときは、無報酬の期間ができても生活できるよう貯蓄をある程度作るのがおすすめです。貯金があれば無報酬でも必要な支払いや生活費などを確保でき、余裕を持って仕事ができます。

家族に話して理解を得る

フリーランスになる人が増えているとはいえ、家族から理解が得られるとは限りません。不安定な収入や将来性が原因で、家族から難色を示される可能性もあります。家族の反対を押し切ってフリーランスになると、トラブルにつながるでしょう。

同居家族からのサポートがあって初めてスムーズに働けます。フリーランスになるときは、同居人や家族に働き方について説明し、事前に理解を得るようにしてください。

クレジットカードの申請や賃貸契約を済ませる

フリーランスは会社員よりも社会的信用度が低く、契約を断られる場合もあります。クレジットカードの契約や住宅ローンの契約など、生活上必要な契約は独立する前に済ませましょう。

クレジットカードについては、仕事用と個人用のカードを分けて作ると、経費の計算がしやすくなります。また、フリーランスの収入が少なくなったときでも安定して払える賃貸料の物件を選ぶのも重要です。

カードの審査を通過するコツについては、「個人事業主向けのクレジットカードのおすすめは？メリットや注意点も紹介」を参考にしてください。

人脈を作る

営業のノウハウをまだつかめていない時期は、知人が紹介してくれる仕事に頼ることもあるでしょう。フリーランスになる前に人脈を作り、仕事が必要であることを伝えると、仕事を紹介してもらえる可能性があります。

人脈作りはフリーランスになるための準備の一環としてとらえ、積極的に周囲と関わりましょう。

フリーランス向けのコミュニティに入る

フリーランスは基本的に1人で作業をします。これは人間関係のトラブルを減らせる長所ですが、単独での作業が不安に感じる人もいるでしょう。

フリーランス同士の横のつながりが欲しい場合、フリーランス向けのコミュニティに所属するのがおすすめです。フリーランス同士のつながりができ、仕事の探し方や営業の仕方についてノウハウを共有してもらえる可能性があります。

なお、フリーランスを支援している団体「フリーランス協会」では、オンラインコミュニティを提供しています。同団体について詳しく知りたい方は、「フリーランス協会とは？プランや支援内容、メリット・デメリットを解説」を参考にしてください。

フリーランスの働き方ができる仕事の探し方

フリーランスが仕事を獲得する方法は、人からの紹介や直接営業などさまざまです。主な方法は以下のとおりです。

• 知人・友人からの紹介
• 企業に直接営業する
• SNSで情報発信する
• クラウドソーシングを利用する
• エージェントを利用する

フリーランスの案件獲得方法について詳しく知りたい方は、「フリーランスの仕事の取り方とは？初心者でもできる案件の探し方を紹介」を参考にしてください。

フリーランスの働き方を選ぶ際の注意点

最後に、フリーランスの働き方を選ぶ際の注意点を紹介します。

未経験からの独立は難しい

基本的に未経験からフリーランスになるのは難しいといえます。フリーランス案件では、即戦力になれるスキルが求められるからです。未経験からフリーランスになりたい場合は、事前に十分なスキルを身につけ、アピールできる資格を取得することがおすすめです。

フリーランスになる方法については、「フリーランスになるには？必要な手続きや始め方の5ステップを解説」を参考にしてください。

税金や年金の手続きがある

会社員の所得税や住民税などの手続きは企業が担います。しかし、フリーランスになるとすべての手続きを自分でしなくてはなりません。健康保険や年金に必要な手続きは、独立時に忘れずにしましょう。

また、フリーランスとして一定以上の報酬を得ると、確定申告が必要です。確定申告をスムーズにするために、収入や経費は日頃から管理しましょう。

確定申告については、「フリーランスの確定申告はいくらから必要？必要書類ややり方も解説」を参考にしてください。

出典：国税庁「No.2020 確定申告」

開業届などの書類の準備も適宜必要

フリーランスになるときの手続きの一つが、開業届の提出です。開業届の提出はフリーランスになる上で必須ではないものの、青色申告をしたい場合は必要です。青色申告をするときは、「青色申告承認申請書」も提出しなくてはなりません。

フリーランスは契約書・請求書・納品書などの仕事に必要な書類の作成や発行も自分で行います。その都度作るのではなく、書類のテンプレートをあらかじめ用意しましょう。

開業届のメリット・デメリットについては、「フリーランスは開業届を出さない場合も罰則はない？ 提出のメリットも解説」を参考にしてください。

出典：国税庁「A1-5　個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

営業やスケジュール管理は自己責任

フリーランスは、仕事を獲得する、依頼された仕事の作業をする、報酬の交渉をするなどの判断が求められます。不手際やトラブルがあっても自己責任となり、その都度対応しないといけません。自分がこなせる仕事量の調整や健康管理に気をつけ、効率的に稼げるようにしましょう。

業務委託契約書でトラブルを防ぐ必要がある

フリーランスが業務委託で仕事をする場合、業務委託契約書で条件を明確にするのが大切です。業務委託契約書で確認する主な条件には、以下のものがあります。

• 明確な業務内容
• 業務の範囲
• 報酬や支払条件
• 機密保持条項
• 契約期間・その解除条件について

契約について分からないことがあれば、専門家に相談しましょう。「業務委託のトラブル事例｜仕事内容や報酬の問題解決・回避に必要な方法とは」もあわせて読み、起こりうるトラブルに備えてください。

まとめ

フリーランスという働き方には、場所や時間に縛られず柔軟に働けたり、自分のやりたい仕事を選んで作業ができたりなどのメリットがあります。しかし、福利厚生が受けられない、責任が重いなどの注意点もあるため、独立前に自分がフリーランスに向いているかどうかを確認しましょう。

フリーランスになる際は、未経験の分野にいきなり飛び込まず、ある程度の経験やスキルがある分野での独立を検討してください。また、フリーランスになると税金の手続きや開業届の提出があるので、それらを事前に調べておくのも重要です。