ITコンサルタントの仕事に就くには?仕事内容から必要スキルまで徹底解説

近年、さまざまな領域で、対象ジャンルに特化したコンサルタント職の活躍に注目が集まっています。何か商品やサービスを具体的に制作したり、販売したりするのではなく、主に企業や団体の役員らを顧客とし、クライアントが抱える課題を明らかにしてニーズをくみ取り、問題の解決を図るアドバイスをすること、業績改善につながる専門的な指導・助言を行うことを仕事とするのが、コンサルタントです。

そして、いまやどんなビジネスを行う上でも、その利活用が不可欠となっているIT・デジタル領域においても、やはりこのコンサルティング職種が存在し、高いニーズを背景に注目の存在となっていることをご存知でしょうか。その職種こそ「ITコンサルタント」です。

ITなしには、1日の業務が全く成立しないと言っても過言ではない時勢の中、そのコンサルティングを仕事とするITコンサルタントの重要性は、非常に大きいことが容易に想像されるでしょう。今後もITの技術進展と、それらを活用した事業展開、ビジネス形態や市場そのものの変化は加速度的に動き、広がり続けていくと見込まれますから、その対応をサポートするITコンサルタントの活躍の場はますます広がり、頼りにされるシーンが増えていくと考えられます。

そこで、今回はこのITコンサルタントの仕事にスポットを当て、実際の現場でどのような業務を担っているのか、どういったスキルや知識があればなることができるのか、キャリアパスや将来性についてまで、詳しく解説していきます。

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ITコンサルタントとは?

ITコンサルタントとは、ごく簡潔に表現するなら、IT(情報技術)を切り口に、それを活用してクライアントの経営課題解決や、ビジネス目標の達成を支援する専門家です。現状としてあるIT分野の問題点や、その他一般の経営課題について洗い出しを行い、専門家の立場からリサーチを進めて原因を分析、解決・改善策の具体的な提案と、その実行支援を行っていきます。実際に用いていくシステムの構築や導入サポートも行い、想定されるリスクや潜在的な課題への対応も進めます。

経営的視点が求められ、その企業が全体として目指すビジョンの実現に活きる情報システムの活用方法や方針を示したり、IT戦略の立案・策定を行ったりすることも重要な仕事です。企業内の専門組織立ち上げを支援することもあります。

業務内容は非常に幅広く、クライアントの現況やニーズによっても変化するため定義することが難しい面もありますが、ITの技術視点から、企業の経営や事業展開をサポートする業務を一貫して担う仕事と言えるでしょう。ITの力をもって、クライアントのビジネスを成功へと導く強力なパートナーとして働くプロフェッショナルこそ、ITコンサルタントです。

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周辺職種との違いは?

業界の市場規模と影響力が日に日に大きくなり、技術の進展もめまぐるしく続く中で、IT系の技術職もさまざまに細分化され、多様な職種が生まれています。高度化が進むにつれ、専門の細分化が進むのは、当然の流れと言えるでしょう。しかし、職種が多くなるほどに、それぞれの違いを理解することも難しくなってきます。

ITコンサルタントにも、その担当領域やイメージなどから、混同されやすい職種がいくつかあります。ここではそれぞれとの違いを見ていくことを通じて、よりこの職種の仕事について理解を深めていくこととしましょう。

SEとの違い

IT技術職としてより一般的であり、まずイメージされやすいものにSE(システムエンジニア)があります。SEは、ベンダー側の立場でシステム開発や改修などのプロジェクトに携わり、実際の設計・構築にかかる工程をメインとして担当します。

上級SEの場合は、比較的上流工程から参画し、提案書の策定やシステム要件の定義も仕事として行いますが、メインは実際の設計、プログラミング、テスト仕様の設計とテストの実施、成果物の納品といった業務の流れになります。運用マニュアルの策定や、開発したシステムやアプリケーションの保守・メンテナンスを担うこともあります。

一方、ITコンサルタントはというと、クライアント企業というITのユーザー側に立って仕事を行います。そしてSEよりもさらに上流の、構想策定段階からプロジェクトに関わります。クライアントが抱える経営課題や、目指す目標のヒアリングから入り、IT戦略のグランドデザインを描いていくところからスタートするのです。経営視点で組織の変革や再編は必要か、どういったITシステムをどのように導入することが最適か、より大きく幅広い視野をもって検討し、最初の企画・計画提案から仕事を行っていきます。

その後の実際の開発段階においても、要件定義や進捗管理、既存システムやデータの移行、テストチェックなど、現場に関与しますが、指示管理を行う立場であり、SEのように、実際にプログラミングやテストを実行するといったことはほぼありません。

PMとの違い

PM(プロジェクトマネージャー)は、ITコンサルタントと同様、豊富な知見とスキルをもってプロジェクトの上流工程から参画する上位職種ですが、最も求められるのはマネジメントスキルであり、開発プロジェクトの全体を総括した進捗管理・運営を担う仕事となります。

SEと同様、基本的にはベンダー側に立ち、ユーザー側との橋渡しを行いつつ、個々の開発・改修工程を担うプロフェッショナルらに指示を出したり、状況確認を行ったりしながら、質の高い成果物の確実な納品に向けて働きます。必要となれば、自身も遅れがみられる部分の開発作業のサポートにあたったり、修正・微調整を行ったりすることもあります。いわば現場の指揮官であり、全体の仕上がりに責任を持つ立場です。

これに対し、ITコンサルタントは、PMの仕事が発生する前段階の、IT活用にかかる戦略立案から入り、クライアントへの提案を行います。開発・改修段階に入ってからは、PMと同様にマネジメントスキルを発揮して進捗管理を行いますが、経営視点がここでもポイントとなり、業務要件を調整したり、課題の管理やマネジメント報告、コスト要因の管理を行ったりと、PMとは違った役割を担っていきます。完成後のサポートやシステムの切り替え準備、活用アドバイスまで担当するのも、ITコンサルタントならではでしょう。PMが現場指揮官、現場総監督ならば、ITコンサルタントは本部とやりとりを重ねる参謀役として仕事をすることがメインになります。

ITアーキテクトとの違い

IT業界で近年、高い注目を集めているという点で共通し、システム構築のプロセスにおいて最上流工程から携わる点でも、ITコンサルタントと共通しているのは、ITアーキテクトです。ITに関する豊富な知識と幅広い視野を必要とする点や、モデリング手法、論理的思考力にコンサルティング能力などが求められる点でも、ITコンサルタントに近い職種と言えるでしょう。

しかし、ITアーキテクトは、さまざまに存在するIT関連技術の将来性や標準化動向を見極めて組み合わせ、クライアントに最適なシステムの全体骨格をデザインする専門家です。「アーキテクト」の名が示す通り、システム構築における建築家的職種で、アプリケーションやインテグレーション、インフラストラクチャといった各分野にそれぞれ専門性をもって働いているのが一般的です。

経営環境などを分析し、戦略の見直しや業務改善支援などを行うITコンサルタントの場合、建築、アーキテクトという観点で言えば、顧客のビジネス状況に合った最適な建物を選んだり、その仕様をアドバイスしたりする建築コンサルタントが仕事内容となるでしょう。直接建物のデザインを行うITアーキテクトとは、役割や立ち位置が異なります。

ITアーキテクトがより技術現場に近い仕事を行い、プログラミングスキルも駆使して業務を進めていく点も、ITコンサルタントとは違う部分です。

プリセールスとの違い

クライアント企業と深く接し、ITの活用支援やシステムの提案、導入サポートを行う点で、混同されやすい職種には、プリセールスがあります。プリセールスは、ITシステム開発の豊富な経験を持つエンジニアが、そのキャリアを活かして営業担当をサポートし、所属する企業の扱うシステムやパッケージ製品の導入・提案を行います。最適なITの導入施策として自社プロダクツを活かした全体像を示し、分かりやすい説明を行って商談を成功に導くことが最大の役割です。

一方、ITコンサルタントは営業部門に属して具体的製品やシステムの提案を行うのではなく、自身の知識やノウハウそのものを商品とし、クライアントの経営課題を解決するために働きます。よって単純な違いとして、ITコンサルタントの知見提供は有償ですが、プリセールスは提案の先に契約してもらう自社の製品やサービスこそ商品ですから、その有償商品を購入してもらえるならと知見や情報を無償提供するという相違が生まれます。

プリセールスもクライアントの技術的な課題や、経営・事業展開におけるニーズを引き出し、その解決策を提案しますが、自社との成約に向けた意思決定を支援するのであって、商談成立につながらないサポートを行うことはありません。

表面的には、システム設計に関する情報提供や提案、ITの事業利活用についてのノウハウなど、クライアントにとって、プリセールスからでも、ITコンサルタントからでも同じようなものを得ることができ、前者は無償、後者は有償のように感じられるかもしれませんが、ITコンサルタントの場合、やはりサポート自体、自身そのものが有償で、その価値を提供するものという高いプロ意識を持っていますから、クライアントの事業目標達成へより深く踏み込み、同じ目線で多岐にわたる取り組みを行っていくこととなります。

クライアントの社内で研修やワークショップを行ったり、組織改編にも尽力したり、社員に代わって実際にIT部門で手を動かすこともあるなどというのは、ITコンサルタント固有の働きで、プリセールスにはない仕事の仕方です。

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「コンサルタント」もさまざま

ITコンサルタントが仕事として行うコンサルタントも、実にさまざまな形態と方向性があり、その対象ジャンルは多岐にわたります。それだけ業務内容が幅広いということですが、コンサルタントの種類として大別すると、下記の5つに整理できます。

IT戦略コンサルタント

経営戦略や現在の課題をヒアリングし、改善と目標達成に向けて必要なITの投資計画策定を行います。既存システムの刷新や新規構築、既存システムの一部活用と改修など、最適なパターンを見極め、シミュレーション提示や実施計画の具体的スケジュール策定などもサポートします。業務プロセスや組織の改革に着手することもあります。

PMOコンサルタント

SCM・CRMシステムの導入支援、開発・実装・テストを担当するベンダーの管理、導入影響を受ける関連部署へのサポートなどを行います。プロジェクトの進捗管理、工数や品質の管理など、現場マネジメントは主にPMOが担いますが、ITコンサルタントも参画し、クライアント側に立って調整を行うなどします。

ITデューデリジェンス

クライアント企業が買収する先の企業に、どれだけのIT資産価値があり、維持管理や改修などの面でどれほどのコストが必要となるか調査することをITデューデリジェンスと言います。昨今のM&Aでは重要な知見です。こうした資産評価とコスト対策、リスク調査には、ITの専門知識が欠かせません。開発経験と保守運用経験を活かした情報提供でコンサルティングを行います。

パッケージ導入コンサルタント

ERP導入など、多機能なITソリューションの導入をサポートします。高度で事業への影響度も大きいソリューションパッケージであるほど、製品の使用や動作、設定に関する詳細な知識と、導入先となるクライアントの業務や業界に対する理解の両方を持ったプロフェッショナルの力が必要になるでしょう。

先端技術関連

ロボティクス技術やAI、ビッグデータなど先端技術を活かした事業改善のコンサルティングを行います。RPAやWebマーケティング、新規事業開拓などの仕事があります。働き方改革や業務の効率化、顧客満足度向上など、生産性を高めて事業成長を支援します。モバイル対応も昨今多いテーマです。

このほか、ITインフラやアウトソーシング、セキュリティなどに関するコンサルタントを手がける場合もあります。

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ITコンサルタントの具体的業務

ITコンサルタントの仕事は、先述のさまざまなコンサルタントを実行することを軸として、多岐にわたるものとなっています。IT戦略や企画・計画の策定から既存システムの見直し、新システムの検討・導入提案、一部システム改変による最適化、組織改編、業務プロセスの見直し、システムの動作検証、さらにIT部門の研修などを担うこともあります。

業務の流れ

多岐にわたるITコンサルの仕事を、彼らはどのような業務フローで手がけているのでしょうか。主な流れを見ていきましょう。

情報収集

まず事前段階として、クライアントの業界業種、市場動向、ビジネス特徴などに関する情報収集を行います。これらの基礎情報は、クライアントの課題の見極め・洗い出しや改善提案に不可欠なものですから、ありとあらゆる角度から、十分に収集し、理解しておかねばなりません。

ヒアリング

クライアント企業の経営者層やITの統括責任者などから、業務範囲や経営戦略、既存のシステム、業務フローなどについて説明を受け、今後の課題や目標などニーズやイメージがあれば、それらのヒアリングを行います。認識している課題以外にも潜在的な問題点が存在したり、目標とするものも曖昧なイメージであったりするケースが大半ですから、やりとりの中から情報を整理し、現状を分析して、これからIT領域に何が必要か、どうすれば目的を達成できるか、考えていきます。

提案

新たに導入するソリューションや、構築・刷新を図るシステム部分について、策定するガイドライン、組織や業務フローの見直しなど、企業の課題解決と目標達成に必要と考えるプロジェクト内容について提案を行います。なぜそれが有効なのか、費用対効果はどうかなど、論理的に説得力をもって、また分かりやすくしっかりとプレゼンテーションを行い、クライアントに納得してもらわねばなりません。

実行・マネジメント

提案が受け入れられたら、より詳細な要件定義や計画を立案し、プロジェクトの実行を支援していきます。全体を統括する役目として必要な人材を集め、プランを説明、全体の進捗状況も現場の管理役とやりとりしながらチェックし、クライアントにも説明しつつ、品質の高い実行成果を目指したマネジメントと支援活動を行います。

移行・運用支援

新規に構築したシステムや刷新したシステムについて、従来システムからの切り替えや移行をサポートしたり、稼働効果の判定を行ったりして、より効果的な運用を継続的に進めていけるよう、必要な支援や調整を行います。ケースによってはワークショップや研修の指導役を担い、課題解決を促進すると見込んだITの利活用計画が、現場で実際に機能するものとなり、効果を発揮するようにしていきます。

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ITコンサルタントの年収は?

ITコンサルタントは、ずばりIT系職種の中でもトップクラスの高収入を期待できる職業です。昨今高まりつつあるDXへの支援ニーズも背景に、さらなる活躍と高収入が見込めるでしょう。

経済産業省が2017年8月に発表した「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」を参照すると、ITコンサルタントの平均年収は928.5万円で、調査職種中で最も高い値になっていました。部下の指導などができる高いスキルレベルが標準でも必要とされていますが、なることができれば、かなり恵まれた年収環境であることが分かるでしょう。

レバテックフリーランスの「ITコンサルタント求人・案件の月額単価相場」(2021年6月23日時点)でも、平均単価が75万円、月額単価100万超えの案件も1割弱にみられ、最高単価は145万円でした。平均単価の案件を継続的に受注できたとすると、年間の報酬は75×12カ月で900万円になります。フリーランスでも年収1,000万円超えを目指しやすい、高収入な仕事と言えそうです。

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仕事のやりがい

ITコンサルタントは、分野や開発企業の枠にとらわれることなく、幅広いソリューションの組み合わせで提案を行っていくクリエイティブな仕事です。そして自身の裁量によって、クライアントに最適なかたちを提案し、その企業の経営課題や目的達成に寄与することができます。この仕事ができる対象の幅広さ、自由度の高さと、クライアントにとって真に役立つものを考え抜き、プロジェクトとして成功を収められた時の大きな達成感は、強いやりがいを感じられるポイントになります。

経営課題の解決が図られ、目に見える成果や結果を出せた時や、顧客に深く感謝されたシーンでは、ITコンサルタントをやってきて良かったと感じることも多いでしょう。プロジェクトの成果は一クライアント企業のみならず、社会全体に影響を及ぼすものとなることもあり、そうした面でのやりがいの大きさもあるでしょう。

企業の代表や役員など、主に経営層を相手に、自身の知識やノウハウを商品として仕事を行っていきますから、その高い意識環境や、経営視点に立った議論を交わしながら一丸となって目標達成に向けた取り組みができることも、ITコンサルタントならではの醍醐味です。

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仕事の厳しさ

ITコンサルタントの場合、大きなやりがいを感じられる仕事である一方、その分、常に高いITやコンサルティングのスキルと知識、パフォーマンスを発揮し、プロとしての意識をもって結果を出さねばならない厳しさがあるのも事実です。IT関連はもちろん、クライアントの業界や社会一般の最新情報にしっかりとアンテナを張り、誰よりも豊富な情報量をもって判断するくらいの意識と気概がなくてはなりません。

クライアント企業の経営に深く関わる仕事ですから、その事業運営の今後を左右する重要な役目を担っており、大きな期待を向けられることへの重圧に耐え、責任を担う覚悟が必要です。もし課題解決につながらず、かえって損失を与えてしまうようなことになれば、厳しい評価を受けることになるでしょう。安くはないコンサルティング費用を負担してもらっている以上、どのような条件下でも、一定の結果を出さなければなりません。こうした点は、ITコンサルタントの仕事の厳しさと言えるでしょう。

情報収集からクライアント経営陣などとのやりとり、プロジェクトのマネジメントに導入・定着支援と、どれをとっても膨大な時間と労力を要するものであり、タフさが求められる激務の職種でもあります。得意として主に担当する分野や、個人の能力、活動の仕方にもよりますが、こうした厳しさのある仕事という認識の上で、先述のやりがいを強く感じられる方、クライアントのために働きたいという方でなければ務まらない仕事です。

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どんな人が向いている?

ITコンサルタントは、幅広い仕事をこなすIT業界でもユニークでクリエイティブな職種です。それゆえ、価値観や考え方、行動特性などの面で、向き不向きもあります。どんな職業にも適性はありますが、高い成果を出すITコンサルタントになるには、どんなタイプの人が向いているのでしょうか。

人のために働くことでやりがいを感じやすい

ITコンサルタントは、とにかくクライアント企業の経営者や役員、ITシステムの管理責任者などの層と深いコミュニケーションを取りながら、その要望をくみ取り、最適なサポートを提供することが求められます。時には自身のやり方や考え方を通すのではなく、あくまでもクライアントファーストで対応し、そのために全身全霊で取り組まねばならないこともあります。

どのようなシーンでもしっかりと仕事をやり抜く力を発揮できること、結果を出し、それによって人に喜ばれることでやりがいを感じることができる人がこの職種に向いています。

自らの頭で考え俯瞰的に判断できる、要点整理が得意

ITコンサルタントの仕事は、幅広いITの専門知識をもってクライアントの業界特性や習慣にも通じ、クライアントのために何が最適でどうすれば最良の結果を導けるのか、俯瞰的かつ多角的に、バランス良く思考することが基礎になっています。当然、案件ひとつひとつで解は異なり、どれも同じではありません。誰かの真似ではなく自分の頭でしっかり考え抜ける力と習慣があり、偏りなく物事をとらえて大局的な判断ができる人であることがポイントになります。

実際のシステム開発にあたる技術者らとクライアントの橋渡しを行うことも多く、優れたバランス感覚をもって接する力も重要でしょう。そして膨大な情報や多様なニーズ、条件・制約など考え合わせるべきことが広くありますから、要点整理が得意で状況をとりまとめられる力があると結果を出しやすくなります。

誠意が感じられ人としての魅力が高い

課題のあるクライアントの状況を改善し、プロジェクトを成功へと導くには、いつも言うことを聞いているばかりではいけません。時には厳しい指摘や、相手にとって耳の痛い内容も伝える必要があります。そうしたシーンでも広く信頼され、助言を聞いてもらえるには、それだけの優れた人間性や人としての高い魅力がなくてはならないでしょう。

プロとして仕事に誇りを持ち、常に礼儀正しく接してくれるか、取り組みに誠意があるか、謙虚でありながら毅然とした態度で振る舞い、気持ちよくスマートに能力を発揮してくれるか、そうした点が問われます。初めから完璧である必要はありませんが、そのように人として成長しようとする意識があり、人間的な魅力にあふれる人は、ITコンサルタント向きです。

タフで体力がある

ITコンサルタントは体力がなくては務まりません。苦境を乗り切る精神的タフさ、プラス思考で地道な取り組みを続けられるパワーも必要です。ITからクライアントの業界知識まで、学び続ける必要のある内容も多くあるほか、現場での仕事も多岐にわたり、激務となる職種です。そしてクライアントにとって頼もしいパートナーであるべき存在ですから、求められた時にすぐ動ける自己管理ができており、疲れた顔を見せることなく、どんな仕事にも真剣に集中して取り組めなければなりません。安定して取り組める体力、心身のタフさが必要です。

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ITコンサルタントに必要なスキル

最上流工程から携わり、ITの力を活かして企業の課題解決や目標達成を支援する、責任も重大な専門家のITコンサルタントには、さまざまなスキルが高いレベルで求められます。主なものを見ていきましょう。

ヒアリングとコミュニケーションのスキル

適切なコミュニケーションを取りながら、クライアントのニーズや課題を正確に聞き出し、理解する力はITコンサルタントに不可欠です。改善に向けた提案・企画を分かりやすく伝えるスキル、プレゼンテーションの能力も重要です。経営層らとのやりとりはもちろん、開発チームとの橋渡しを行ったり、IT担当者らの研修・指導を担ったりと、仕事を進める上で多様かつ多数の人々と接する職種でもありますから、その面でも高いコミュニケーションスキルが要求されます。

論理的思考力とモデリングスキル

クライアントからヒアリングした内容や収集した情報をもとに、そのビジネス特徴や業務フロー、情報システムを中心とした俯瞰図など、複雑な現実の状況を抽象化してとらえ、モデル化することができるモデリングのスキルはITコンサルタントの基本スキルです。技法としてもさまざまなものがありますから、アプローチに際し、熟知しておく必要があるでしょう。またそのスキルを発揮するベースとして、また問題解決のための道筋を考えていくための基礎として、論理的思考力も必要不可欠です。

問題解決力と管理マネジメントスキル

ITコンサルタントに何より求められるのは、経営課題の解決、現状ある問題の解決という成果です。しっかりとしたヒアリングと情報分析から生じている問題を洗い出し、その解決のためにITをどう用いていくか、プロジェクトとしてどういった準備や対策の実行が必要か、客観的視点と業界慣習も踏まえた内側の視点とをバランス良く用いて考え、最適な提案を行わねばなりません。

そしてどんなに優れた解決策プランであっても、その実行に膨大な時間やコストがかかるのでは現実に採用することはできませんから、クライアントが納得できる範囲内という条件で、合理的に考える必要もあります。豊富な知識と経験、問題解決力に加え、さまざまな条件や制約に柔軟な対応をもって応じられるスキルが必要です。

こうして全体を高度に管理する企画・計画を立案し、クライアントの承認を得て実行段階に入れば、マネジメントスキルも求められます。開発チームやクライアント企業の社内チーム、導入・利活用にかかる社内組織など、さまざまな対象に対し、進捗管理や指導を担当する可能性があります。リーダーシップやマネジメントスキルも備えておくことが望ましいでしょう。

ITの広範な知識とスキル

ITの力を活かした解決策を提示していくのですから、IT関連知識のアップデートは常に行う必要があります。システム開発やアプリケーションはもちろん、ハードウェア、データベース、セキュリティ関連など全体の仕組みから理解できる総合知識と、ITツール、ソリューション(ERPなど)の知識は不可欠でしょう。最先端の技術開発動向やトレンドにも敏感でなくてはなりません。

開発エンジニアに求められるほどのプログラミングスキルや専門知識は、必須とはならないものの、最適な組み合わせを考えられるだけの仕様への理解力や、IT研修など人への指導が可能なレベルに実地で使いこなせるITのスキルは必要です。

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保有が強みになる資格

ITコンサルタントは、その職種を名乗るために必ず取得すべき資格があるタイプのものではありません。しかし、プロフェッショナルとして活動し、自身の知識とノウハウを商品としていく以上、その能力を第三者にも分かりやすく示せる資格を取得しておくと、大いに強みとなることは間違いありません。お勧めの資格としては、以下のようなものが挙げられます。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験(AP)は、IPAが認定する国家資格です。IT分野全般、技術から管理、経営まで幅広い応用的知識と技能を持つ高度IT人材であることの証明となります。この下位資格として基本情報技術者試験がありますが、こちらはあくまでのIT業界での最低限の知識を問うものですから、ITコンサルタントとして活躍を目指すなら、やはり応用情報技術者試験にはパスしておきたいところです。

試験はコンピュータの基礎やプログラミング知識、セキュリティ関連など幅広い分野から出題され、四肢択一による選択式と記述式の両方で実施されます。

ITコーディネータ

ITコーディネータは民間資格ですが、経済産業省が推進する資格のひとつとして、NPO法人ITコーディネータ協会が認定しており、認知度と信頼度の高い資格となっています。真に経営に役立つIT利活用に向け、経営視点で助言や支援を行うプロ人材としての能力を担保する資格ですから、ITコンサルタントに最適でしょう。

ITの知識・スキルと企業経営の知識の両方がバランス良く問われ、IT戦略の立案や、それら戦略に沿うシステムの構築・導入が主導できることが求められます。年3回、CBT方式で試験が実施されており、ITや経営に関する基本と応用の問題が多肢選択式で出され、この試験への合格と所定のケース研修の受講・修了をもって資格認定が受けられる仕組みです。

中小企業診断士

中小企業診断士は、経営コンサルティングに関する唯一の国家資格として知られ、経済産業大臣登録の資格制度となっています。企業の成長戦略策定やそれを実行するためのアドバイスが行える能力、あるいは専門知識を活用して企業施策の適切な活用支援などで活躍できる力を問います。経済学や財務・会計、経営法務などの1次試験、中小企業の現状診断と助言に関する筆記と口述による2次試験があり、これらに合格した後、実務補習を修了するか診断実務に従事するか、いずれかを満たすと中小企業診断士として登録されます。

SAP認定コンサルタント資格

SAP認定コンサルタント資格とは、主にITコンサルタントやITエンジニアを対象に、ドイツのソフトウェア企業でERP市場最大手である「SAP」が認定している民間資格です。SAPシステム・ソリューションが対象ですが、その導入や利活用におけるコンサル業務に関し、必要な知識を十分に持った技術者であることを公式に認定してもらえます。難易度は高めですが、グローバル資格で海外でも通用するメリットがあります。

アプリケーション、デベロップメント、テクノロジーの3分野、アソシエイト、スペシャリスト、プロフェッショナルの3つの難易度に分かれ、試験会場またはオンラインでの受験が可能です。ITコンサルタントであれば、業務コンサル向けのアプリケーションコンサルタントが最も有効でしょう。

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ITコンサルタントのキャリアパス

開発や保守運用など業務系のSEや、ネットワーク、データベースなどインフラ系SEからスキルを伸ばし、経験を積んで上流工程へも携わることのできる上級エンジニアやプロジェクトマネージャーなどとなり、ITコンサルタントをキャリアの最終目標地点に置くというケースが広く見受けられますが、ITコンサルタントからのキャリアパス、キャリアチェンジもないわけではありません。高度な知識と能力を備えているからこそ、さまざまな道があり得ます。

事業戦略や業務改革、システム構築などの経営課題について解決へと導くソリューション提供を行う事業会社をコンサルティングファームとよび、ここに所属してITコンサルタントとなるケースも多くみられますが、コンサルティングファームにも大手や外資系、戦略系など、さまざまなタイプがあるため、その中で転職し、自身のITコンサルタントとしての道を究めるケースや、社内での昇級を目指すケースが、まずキャリア形成のかたちとしてあります。

IT業界内の開発会社や大手SIer、大手企業のIT部門に所属をチェンジしたり、ベンチャー企業の役員や顧問として、戦略コンサルタントのノウハウを活かしながら活躍したりするキャリアパスもみられます。また、ネットワーク関連やOS関連、データベース周りなど、何らかの分野に特化したスペシャリストとして、上級エンジニア職種に就くこともできます。自ら関心の高い領域やテーマ、クライアントに特化し、形成した人脈の中の気心知れたメンバーと会社を立ち上げるケースも多いでしょう。

このほか、コンサルティングファームから独立し、フリーのITコンサルタントとして活躍するケースや、激務となりやすいITコンサルタントからシニアクラスのSEなどとなり、働き方にゆとりを持たせる選択をする方もみられています。

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ITコンサルタントの将来性

ITを活用した企業経営は、今後もあらゆる業種業態、規模を問わず進んでいくことが予想されるため、ITコンサルタントの将来性は明るいでしょう。業務改革を目指すDX(デジタルトランスフォーメーション)へのニーズが、多くの企業や団体、自治体で高まっていることや、テレワークなど働き方改革関連でのITシステムの新規導入が進んできていることも、ITコンサルタントが強く求められる背景にあります。

どのような企業も、いまや技術革新の波に乗り遅れることなく、伝統を活かしつつも生まれ変われる風土がなくては生き残ることができません。だからこそ、IT活用の道筋を作り、システムの最適な運用をプロの視点でアドバイスできる優秀なITコンサルタントを求める経営者は非常に多いのです。

今後は、さらなるクラウド化やAI・機械学習、IoT、ビッグデータの活用など、新しいITのトレンド技術、先端技術に関連する相談や依頼が増加してくると考えられます。こうした新技術も含め、取り扱うテーマがさらに広範に、高度になっていく中、頼られる第一線のITコンサルタントであり続けることは大変なことですが、そうした人材として存在感ある活動ができれば、活躍できる場面は非常に広く、市場価値も高い立場を保てるでしょう。

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まとめ

いかがでしたか。ITコンサルタントの仕事について、その概要や混同されやすい職種との違い、求められるスキル、キャリアパスや将来性などまで幅広く見てきました。身につけるべき知識やスキルは多く、常に学び続ける必要があるほか、仕事も多岐にわたるため、ITコンサルタントは簡単に誰にでも務まるような職種ではありません。

しかし、それだけに優秀なITコンサルタントは常に不足しており、それに対して企業側のニーズは高いことから、引く手あまたの歓迎される対象となっています。結果が求められる厳しさや責任の重さもありますが、やりがいも大きな仕事であり、努力して目指すに値する職種でしょう。仕事内容に関心を持たれたら、ぜひITコンサルタントとして広く活躍する未来を切り拓いていってください。

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