SAPコンサルタントの仕事内容は?なり方や将来性まで併せて解説

企業の業務や情報量が多様化し、膨大になっていく昨今の企業運営。顧客や在庫などの情報をそれぞれ独立したシステムとして管理していく場合、情報量やシステムが増えるほど、ミスの発生や管理のしにくさが問題として上がってくることになるでしょう。

今回ご紹介するSAPコンサルタントは、それらの情報を一元管理し、便利に利用するためのシステム“ERP”製品「SAP」を専門的に取り扱う職業です。現在ERPは世界中で導入が進んでおり、SAPはそのなかでも特に需要が多い製品のひとつとなっています。

SAP導入により企業運営の舵取りサポートを行うSAPコンサルタントは、非常にやりがいのある仕事であると同時に、年収も高い人気の職業です。今回はSAPコンサルタントの実情や目指し方、採用の動向まで併せてご紹介していきましょう。

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SAPの基礎知識

SAPとは、ERPと呼ばれる業務一元化システムの商品名のことを指します。

ERPパッケージ自体はさまざまなメーカーから製品として出されていますが、特にドイツに本社を置くソフトウェアメーカー「SAP社」のERPパッケージ製品は人気が高く、その商品名がSAPであることから、“SAPと言えばSAP社のERPパッケージ製品”という認識が広く浸透しています。

ERPパッケージとは?

ERPパッケージとは、企業を運営していくうえで欠かせないデータである在庫管理や顧客管理、会計管理などを横断管理し、一元管理できるようにするシステムです。

これらのシステムは今まで別々の専用システムを必要としていた場合が多く、個別で管理されることがほとんどでした。それゆえに連携が取りにくく、情報が増えるにつれて内容が重複してしまったり、ミスが増えたりすることが課題となっていました。

しかしERPパッケージを利用すれば、それぞれのシステム情報を一元管理することができ、システムを横断してさまざまな処理を一度に行うことが可能になります。

そのため今までにかかっていた時間や人的コストを削減することができ、さらに可能な限りミスの少ない業務を行うことができます。

2020年9月に発表された矢野経済研究所の調査によると、EPRパッケージ市場は2015年の1,019億8,000万円から2019年に1,198億3,000万円まで伸びており、さらに需要は増えていくと予想されています。

これは日本の経済産業省が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)も後押しになっていると考えられ、今後ERPパッケージを導入していく企業はさらに増えていくでしょう。

ERPパッケージを出しているメーカーは世界的な有名企業が多く、アメリカに本社を置くソフトウェア企業Oracleや、Microsoftなどもそのひとつです。しかしERPパッケージ製品に関してはSAPの人気が非常に高く、世界的なシェアは大きなものになっています。

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SAPが企業に人気の理由

数あるERPパッケージの中でも特にSAPの人気が高いのは、SAPが幅広い業務をリアルタイムで一括処理できること、モジュールを使った効率的な作業が行えるなどの理由があります。

さらに特筆すべきは、SAPを導入することにより世界水準レベルの業務システムをすぐに導入できることでしょう。

ただし導入の費用が高額であること、開発言語としてSAP独自のABAP(アバップ)という言語が使われること、設定のための操作が複雑であることなどがデメリットとして挙げられています。

SAPの特徴「モジュール」とは?

モジュールとは、SAPが持つ業務に合わせた機能の集まりのことです。SAPは財務会計や販売管理、在庫管理などいくつかのモジュールに分かれていて、SAPコンサルタントはそれらをひとつずつ学びながら深く身に付け、次のモジュールへと進みキャリアアップしていくのが一般的です。

SAPの特徴として挙げられるのが、それぞれのモジュールに特化したコンサルタントとして活動できるため、学ぶ範囲を限定しやすいこと、世界水準の業務一元化システムであるため、高い信頼性があり案件が豊富なことなどです。

大手企業を始めとして、すでに多くの企業が導入しているSAPなら、間違いのない業務効率化が望めると考える企業も多いと言えるでしょう。すでに多くの実績があるSAPだからこそ、今後も人気は続いていくと見られています。

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SAPコンサルタントは専門的な知識を有するITアドバイザー

SAPコンサルタントはただSAPの導入をサポートするだけでなく、企業を経営する側の視点からの、より良い運用方法・業務改善案を提案します。

このような将来を見据えたコンサルティング業務は豊富な知識とスキル・経験が必要であり、確実に成果を上げることが求められる場合がほとんどです。そのためSAPコンサルタントは、専門とするモジュールを始めとしたさまざまな知識を持ち、常に新しい情報へとアップデートすることが求められます。

求められるレベルが高くなるために、SAPコンサルタントとして長く活躍していける人材は、非常に貴重であると言えるでしょう。

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SAPコンサルタントの仕事内容

SAPコンサルタントが行うのは、企業がSAPを導入する際に必要なシステムの要件定義やコンサルティング、またはカスタマイズやサポートなどです。

導入から設計・開発などはSAPエンジニアと呼ばれる技術者が担当するのが一般的ではあるものの、コンサルタントとエンジニアの中間のような働き方をする人も少なくないようです。

システムの導入という意味では、システムエンジニア(SE)と似たような働き方に感じるかもしれません。しかしSEは基本的に企業の要望に合わせて、システムを設計から開発などまで業務中心に担うことが主になります。

それに比べ、SAPコンサルタントは導入支援から企業の業務改善提案、そして導入後のサポートなど包括的な企業のSAP運用サポートを行います。SAPコンサルタントは経営視点での業務が必要となるため、両者の業務内容には非常に大きな違いがあると言えるでしょう。

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2つの働き方

SAPコンサルタントとしての働き方は、大きく分けて2タイプがあります。1つはITコンサルティング会社に就職する、もしくはフリーランスのSAPコンサルタントとして活動するなど、導入やサポートを中心とした働き方です。

この場合は経営側により近い視点でSAPを用いたコンサルティングを行うことが主な業務となるため、幅広い知識とスキル、そして企業の内情や課題を基にした適切な業務改善スキルが必要となります。責任や求められるものが大きくなるため、収入は一般のITコンサルタントに比べ高額になる傾向にあります。

もう1つは、SAP導入企業のIT部門で働き、SAPを運用する側として業務を行う働き方です。こちらは導入後のサポートや社内でSAPを使える人材の育成などを主に担うほか、導入したSAPシステムをより使いやすくカスタマイズしたり、継続して利用できるよう保守を行ったりします。

SAPコンサルタントとエンジニアの中間的な立ち位置とも言える働き方であるため、コンサルティング会社やフリーランスで活動するほどの忙しさはないと考えられます。しかし一般企業の中で働くため、収入はそれほど高額にはならないでしょう。

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SAPコンサルタントという仕事の魅力とやりがいは?

ここまで見ると、SAPコンサルタントが企業の将来を左右するほど大きな責任を抱える仕事だということが分かるのではないでしょうか。

責任の大きさはやりがいにつながりますが、SAPコンサルタントの魅力はこれだけではありません。

SAPは世界中の大手企業が利用しているため、SAPコンサルタントとして活動していればそれらの企業を相手に仕事ができる可能性は非常に高くなります。それゆえに最先端の情報や考え方、コンサルタントとしての上流工程に触れつつ、大きなプロジェクトに関わることができます。

SAPは専門性が高く需要が多い仕事であるため、他のスキルや知識を身に付けなくても案件を獲得しやすいというメリットもあります。ただ、いくつも案件をこなしていく上で自身のスキルや知識は、自然と大きく伸びていくことになるでしょう。

また、責任は非常に大きい仕事になりますがやりがいや報酬もそれに比例して大きくなると考えられます。ITエンジニアのための転職エージェントレバテックフリーランスを見ると、月額平均単価は74万円、最高単価は115万円、最低単価でも55万円からとなっています(2021年7月29日時点)。

激務のイメージについて

実は“コンサルタント業務は激務である”というイメージを持っている人は少なくないようです。結論から言うとこれは間違ってはおらず、SAPコンサルタントは関わった企業に結果を出してもらうため、細かいサポートまで徹底して行わなければならない場合もあります。

そんなときは業務が増えがちになり、報酬は高いが激務であると感じることもあるかもしれません。

また、SAPコンサルタントして関わる企業全てが、ひとつ一つ違った問題を抱えています。同じようなシステムを作れば良いというわけではなく、企業それぞれに合わせたベストな提案を一から作り上げて行かなければなりません。

そのため常に学んで質の高いアウトプットを行う必要があり、結果的に激務になってしまう人は多いようです。

SAPコンサルタントにはどんな人が向いている?

SAPコンサルタントに求められるのは、さまざまな企業の課題や目的をしっかりと把握し、それを改善していくためのSAPシステム導入を行って結果を出すことです。

SAPに関する知識やスキル・経験はもちろん必要ですが、それ以前に求められるのは細かい部分までしっかりと目を通し、改善するために筋道を立てて考えることのできる論理的思考を持っていることでしょう。

また、企業が持つ問題・課題を解決するための企画力、そしてそれを分かりやすく伝えるための提案力・コミュニケーション力も必要です。

どんな役職や立場の人とも対等にやりとりできる精神力、プロフェッショナルとしての職業倫理なども兼ね備えていれば信頼が集まり、さらなる案件獲得に繋がっていくでしょう。

求められるSAP以外の知識

SAPコンサルタントの基本として理解しておくべきなのは、SAPは業務システムの一種であるために、システムに関する一通りの知識が必要となるでしょう。

必ずしも常に大きなシステム開発ができるほどの技術が必要なわけではありませんが、SAPを導入することによって既存のシステムを連携させる必要があり、その際システムの基礎を理解していなければスムーズな導入を行うことができないためです。

もちろんシステムを熟知したスキルを持っているならメリットは大きいと言えますが、SEとしての経験が豊富だからと言ってSAPコンサルタントで活躍できるかと言えば、そうではないのが実情です。

SAP導入を決めた企業であれば必ずしもIT化が進んでいる、という訳ではないので、企業のIT化をゼロから導入していく大変さも味わうことになるでしょう。

企業の舵取りサポートを行うコンサルティング職はそれらを踏まえ、経営に関する知識の他、会計や販売、現場への理解も求められることになります。

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未経験からの目指しかた、キャリアプランとキャリアチェンジのタイミング

SAPコンサルタントは、それまでSAPに関わったことがない人でも目指せる職業です。しかしあらかじめ持っておいた方が良い知識はいくつかあり、それらは「会計や販売、在庫管理など会社運営に関する知識」「ITに関する知識」などが挙げられます。

これらの業務に携わったことがなければ、まずはこれらに関われる仕事に就くことをおすすめします。特にSEからSAPコンサルタントへキャリアチェンジする人は多く、システムの基礎を理解する上でも非常に有効な選択肢であると言えるでしょう。

また、可能であればSAPを導入している企業で働き、SAPに触れておけると良いでしょう。ある程度経験を積めば、SAPコンサルタントとしての活躍を目指しSAPコンサルティング企業や、SAPを上流工程で扱うSIer(システム構築を行う企業)などに転職することを検討しましょう。

ただしSAPコンサルタントを目指す際、まず難関となるのが“SAPコンサルタントを目指すための、希望の会社に転職すること”であると言えます。簡単にご説明しましょう。

SAPコンサルタントは資格不要、でも取得はしておくべき

SAPコンサルタントとして活動していくために資格は必要なく、実は誰でもSAPコンサルタントを名乗ることはできます。

しかし案件を受注して成果を上げ、実績を積んでいくためには確実な技術や知識が必要となることは間違いありません。

そのためSAPコンサルタントとしての実力を身に付けることが必要になりますが、そのために相応の企業に就職するのは非常に狭き門である、という現状になっています。そこで注目したいのが、SAPが認定を行っている「SAP認定コンサルタント資格」です。

SAPコンサルタントとしての活動に資格は必要ありませんが、実際の求人ではSAP認定コンサルタント資格保有を必須とする案件が非常に多いのが現状です。

また、SAPコンサルタントを目指してコンサルティング企業や上流SIerへの就職を目指すなら、ある程度はSAPの知識を身に付けておいた方が有利になる可能性もあるでしょう。

そのため未経験からSAPコンサルタントを目指すなら、土台となる知識やスキルを身に付けつつ、SAP認定コンサルタント資格取得を目指すのがおすすめであると言えるでしょう。

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SAPコンサルタントの採用動向と将来性

働き手の減少や情報のデジタル化、業務の効率化が必須とも言えるこれからの経営には、より便利なシステムの導入が欠かせません。そのために大きな力を発揮するのが情報を横断・一元化できるSAPのERPシステムであると言えます。

さまざまな企業に合わせて適切な形でSAPを導入・経営サポートを行えるSAPコンサルタントは今後、さらに需要が増えていくと考えて良いでしょう。ただしシステムはどんどん複雑化してきており、近年多くのERPパッケージで見られるクラウド化もその一つです。

今後はSAPコンサルタントと言えど、SAPを始めとした幅広い知識を持つ人が求められるようになるでしょう。長く活躍していけるSAPコンサルタントを目指すなら、クラウドを含め常に新しい情報を取り入れて学び、企業一つひとつに合った提案を行えるよう、スキルと知識を磨いて行きましょう。

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