絵を描くという特技を生かして、イラストレーターになりたいと思っている人は多くいます。人気の高い職業ですが、具体的な仕事内容や、なるための方法はあまり知られていません。
本記事では、フリーランスのイラストレーターの仕事内容や、なる方法、継続して仕事をとり続ける方法などについて見ていきます。
イラストレーターの仕事は、クライアントからの依頼をもとに、本や雑誌、ゲームなどで使用するイラストを描くことです。自分のセンスを生かして芸術性を追求するというより、クライアントの要望をしっかりと汲み取って、イラストに忠実に反映することが求められます。
前述した通り、フリーランスのイラストレーターの主な仕事は、クライアントから依頼されたイラストの作成です。イラストの種類は本や雑誌、ポスター、ゲーム、アニメなど多岐にわたります。
最近は、ソーシャルゲーム系の仕事が多いようです。任せられる作業はスキルや実績によって異なりますが、キャラクターイラストの制作や背景イラストの制作、武器のデザイン制作などがあります。
イラストの制作はPhotoshopやIllustratorなどのソフトを使用することがほとんどです。Adobeが開発した「Photoshop」は、画像の編集に適しており、写真に写ったパーツの移動や、くすんだ画像の色を鮮やかにすることなどができます。精密な画像解析や画像処理もできることから、医療や科学など幅広い分野で使われています。
IllustratorもAdobeが開発したソフトで、さまざまなデザインを自由に行えます。ロゴの作成やグラフの作成、ポスターのデザインなど、さまざまなシーンで使われています。
PhotoshopやIllustratorは、多くの企業やプロジェクトで使われているので、イラストレーターの必須スキルと言っても過言ではありません。クライアントによっては、別のソフトを指定したり、ソフトの使い分けを指示したりすることもあります。
イラストレーターには、フリーランスとして働く人と、企業に所属して会社員として働く人がいます。ここでは、フリーランスのイラストレーターと、会社勤めのイラストレーターとの違いを整理します。
フリーランスと会社勤めで最も異なるのは収入です。会社員であれば、担当したイラストの単価や作業の大小、描いたイラスト数などにかかわらず、毎月一定の収入を給与として得ることができます。
しかし、フリーランスのイラストレーターは、自分の働いた分だけしか収入になりません。描くイラスト数が多かったり、単価の高いイラストを描いたりすることで、高収入を目指すことはできますが、仕事がとれない月には、会社員の給与を大きく下回ってしまうことがあります。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書 2019」によると、イラストレーターを含む文筆系のフリーランスの年収は、200万円未満が32.0%と最も多く、200万円以上400万円未満が26.9%、400万円以上600万円未満が21.5%、600万円以上800万円未満が8.2%となっています。
フリーランス全般で見ても年収が200万円未満の人は23.1%なので、他業種のフリーランスと比べても、文筆系のフリーランスは、安定して収入を得続けることが難しいと言えるでしょう。
とは言え、文筆系のフリーランスであっても、年収が1,000万円以上1,200万円未満の人は2.3%、1,200万円以上1,500万円未満の人は0.9%など、高収入を実現している人もいます。スキルを磨き、実績を積むことで、フリーランスとして活躍し続けることは十分可能です。
会社勤めのイラストレーターは、会社が見つけてきてくれた仕事をこなすことがほとんどです。しかし、フリーランスになると、仕事を探してくれる人はいないので、自分で営業をして、自分で仕事を探さなければいけません。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書 2020」によると、2019年10月23日から11月24日にかけて実施した調査において、22.4%のフリーランスが「仕事がなかなか見つからない」と回答しています。
また同調査では、働き続ける上で重要だと思うことについて、「自分を売る力(セルフブランディング)」を挙げている人が、63.2%います。
フリーランスのイラストレーターとして活躍し続けるためには、イラストにかかわるスキルや専門性を磨くだけでは不十分であり、仕事を得るための営業力や、クライアントのニーズを把握するためのマーケティング力なども必要になります。
イラストレーターは、クライアントの要望を引き出して、忠実に表現するのが仕事です。会社勤めのイラストレーターの中には、営業職の人や上司が、クライアントとの調整をしてくれていたという人もいるでしょう。しかし、フリーランスになると、クライアントとの交渉も自分でやらなければいけないため、高いコミュニケーション力が求められます。
また、仕事を獲得し続けるためには、人脈を広げることも大切です。他のイラストレーターなどと積極的にコミュニケーションをとることで、次の仕事に生かせることもあります。
前述の「フリーランス白書 2020」によると、フリーランスとして働く人に、働き続ける上で重要だと思うことについてたずねたところ、「人脈」と回答した人は56.9%、「自分の意見を相手に上手に伝える能力」と答えた人は49.1%います。
調査結果からも、フリーランスには、高いコミュニケーション力が必要になることが分かります。
では、実際に、フリーランスのイラストレーターになるには、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、フリーランスのイラストレーターになるための2つの方法を紹介します。
最短でフリーランスのイラストレーターになる方法は、すぐに独立してフリーランスになる方法です。「そんなことできるの?」と思う人もいるかもしれませんが、スキルが高く、実力が高い人の中には、企業に就職することなく、すぐに独立する人もいます。
ふたたび既出の調査に立ちかえって見てみると、フリーランスで働く人のうち、4.8%は「過去に1つの会社に所属していたことはない」と回答しています。
自信があって、すぐにでもフリーランスとして活動をはじめたい人は、チャレンジしてみても良いかもしれません。
フリーランスのイラストレーターになる方法の2つ目は、経験を積むために、まずは制作会社などの企業に就職する方法です。企業に就職することで、安定した収入が得られますし、人脈を広げることもできます。
フリーランスのイラストレーターとして活動するためには、イラストレーターして、3年以上の実務経験があった方が良いとも言われます。
フリーランスエージェントでも実務経験を必須としているところもあるので、独立してから仕事探しで苦労をしたくない人や、確実にステップアップしたい人などは、企業に就職してから、フリーランスを目指す方が良いかもしれません。
フリーランスのイラストレーターは、会社勤めのフリーランスと違って、自分で仕事を探して、獲得しなければいけません。ここでは、フリーランスのイラストレーターの具体的な仕事のとり方について紹介します。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が、フリーランスとして働く人に、「仕事はどのようなところから見つけますか」と質問したところ、73.8%が「人脈(知人の紹介を含む)」と回答しました。
2番目に多いのは「過去・現在の取引先」で52.3%、3番目は「自分自身の広告宣伝活動」で23.8%、4番目は「エージェントサービスの利用」で15.0%、5番目は「クラウドソーシング」で12.3%となっています。
フリーランスになったら、周囲の人に公言しておくと、イラストレーター仲間や、友人などから、仕事を紹介してもらえることがあります。また、フリーランスになった後も、人脈を広げる努力をし続けることが推奨されます。
クラウドソーシングとは、群衆「クラウド」と業務委託「ソーシング」を合わせた言葉で、インターネットを活用して、仕事を受注・発注できるサービスのことを言います。
発注者は、インターネットを通じて、人材を広く募集することができ、求職者は、自宅にいながら仕事探し、受注、納品、報酬の受け取りまでを完了させることができます。時代の流れとともに、リモートワークへの注目が高まっていることから、今後も需要が高まっていく可能性があります。
日本では、ランサーズやクラウドワークス、ココナラなどのクラウドソーシングサービスがあり、「YouTubeマンガの制作」や「タロットカードのイラストの作成」など、イラストやキャラクター作成に関するさまざまな仕事も用意しています。
無料で手軽に登録できるものがほとんどなので、フリーランスとしての活動をはじめたら、登録しておいても損はないでしょう。
ストックイラストサイトとは、自分が描いたイラストを登録し、半永久的に販売できるサービスです。イラストレーターは、基本的には、クライアントからの依頼をもとにイラストを作成しますが、ストックイラストには、決まりがないので、自由に描くことができます。
ストックイラストで定期的に収入を得るには、たくさんイラストを描かなければいけませんし、時間もかかります。安定した収入につなげるためには、どのようなイラストの需要が高いかなどを考える必要もあるでしょう。
ストックイラストサイトには、イラストACやPIXTAなどがあります。サイトに登録することで、多くの人の目に触れるきっかけになります。次の仕事につながることもあるので、まずは登録してみてはいかがでしょうか。
コンテストに応募し、入賞することで、自分が描いた作品が商品のパッケージに採用されたり、次の仕事につながったりすることがあります。入賞すると、自分の実力をアピールする武器の1つにもなるので、時間を見つけてチャレンジしてみても良いかもしれません。
コンテストの情報は、日本最大級のコンテスト情報サイト登竜門や公募ガイドONLINEなどで探すことができます。
フリーランスのイラストレーターにとって、ポートフォリオとは、自分が描いたイラストをまとめた作品集のようなものです。自分のスキルやセンス、実績をアピールするのに有効で、クライアントから提出を求められることもあります。
Web上でポートフォリオを公開することでファンがつき、仕事を獲得するきっかけにもなります。直接つながりのある人だけでなく、作品を通じて、多くの人に自分の強みをアピールすることができます。フリーランスのイラストレーターは必ず作成した方が良いでしょう。
多くのイラストレーターがポートフォリオの発信に利用しているサイトには、foriioやCREATORS BANKなどがあります。
foriioはクリエイターのポートフォリオが集まるサイトです。作品の追加が簡単で、PSD、AI、PDF、TIFF、WEBPの画像変換に対応しています。クリエイターとプロジェクトをつなぐ「案件マッチ機能」も近日公開される予定です。
CREATORS BANKもクリエイター向けのポートフォリオサイトです。ランキング形式でクリエイターを紹介しているので、上位を目指して、作品づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。その他、Instagramやブログなどを通じて、自身の作品を発信するのもオススメです。
イラスト関連のイベントに出店したり、クリエイターの交流会に参加することでも、人脈を広げたり、仕事につなげたりすることができます。
クリのみは「クリエイター飲み会」の略で、クリエイター、エンジニアが「気軽に交流できる場」として、2012年にスタートしました。
年4回、新宿で開催され、これまでにのべ2,861人が参加しています。オンラインでの参加もできるようになったので、地方に住む人でも参加がしやすくなりました。
イラストレーターはもちろんのこと、デザイナーやフォトグラファー、ライター、建築家、作曲家など、さまざまな分野のクリエイターとの人脈を広げることができます。
abalone(アバロン)は、中小制作会社やフリーランスがつながることを目的とした交流会です。多くのクリエイターの人脈づくりに役立てられてきました。オンラインでの交流会も定期的に開催されているので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
フリーランスという働き方が身近になるとともに、フリーランス向けの求人も増えてきました。
フリーランス向けの求人は、クラウドソーシングでも探すことができますが、高単価な仕事を安定して獲得し続けるためには、フリーランス向けのエージェントサービスを利用するのがオススメです。
エージェントサービスを提供している企業では、大手企業から直接受注した高単価の案件を数多く用意しています。参画までの条件の交渉や、契約手続きなどもサポートしてくれるので、フリーランスデビューしたばかりの人や、クライアントとの条件交渉や商談が苦手な人でも安心です。
案件に参画中にも、専門性の高いコーディネーターからのフォローを受けられるなどのメリットもあります。
フリーランスHubでは、自分に合ったフリーランスエージェントを探すことができます。
フリーランスエージェント一覧
フリーランスになった場合の仕事をイメージしやすいように、ここでは、フリーランスとして活躍するイラストレーターの仕事の進め方を紹介します。
これまで説明してきた通り、フリーランスは仕事探しも自分でやらなければいけません。特に、イラストレーターは、仕事を探す前の下準備が大切になります。
フリーランスのイラストレーターが、クライアントに自分のスキルや実績をアピールするには、自分のイラストを見てもらうのがいちばんです。ポートフォリオを充実させたり、自分の作品を発信するサイトを作成したりするなどし、丁寧に下準備をしましょう。
仕事を探すための下準備が終わったら、いよいよ仕事探しをはじめます。
仕事の探し方は、前述の「具体的な仕事のとり方」を参考にしてください。
仕事を受注したら契約を結びます。知人や友人などからの紹介であっても、仕事を受注するたびにしっかり契約書を取り交わすことが大切です。イラストを納品した後に、報酬が支払われなかったり、クライアントから一方的に条件を変更されたりするなどのトラブルを防ぎます。
面倒がらず、必ず契約手続きを踏むようにしましょう。
イラストレーターは、クライアントの要望をイラストに反映するのが仕事です。クライアントの満足度を高める仕事をするには、クライアントの要望を細かく引き出すことが大切です。過去の作品やラフ画なども使って、クライアントのイメージを具現化するようにしましょう。
クライアントとの打ち合わせは、ZoomやSkypeなどを使ってリモートで行われることも増えてきました。いつでも、リモートで打ち合わせができるように、これらのソフトを使えるように準備しておくのがオススメです。
イラストのイメージができたら、クライアントにラフ画を確認してもらうようにしましょう。
本制作に入る前にイメージを共有して、方向性を確認しておくことで、修正にかかる時間を大幅に短縮することができます。クライアントが提出を求めていない場合でも、率先してラフ画を提出することが推奨されます。
ラフ画で完成イメージをクライアントと共有したら、本制作に入ります。自分の好きなものを描くのではなく、クライアントからの要望を最大限に反映させることを優先させます。
イラストが完成したら、クライアントに納品します。
フリーランスのイラストレーターの場合、納品時に修正を求められることが少なくありません。次の仕事につなげるためにも、面倒がらずに、丁寧に対応しましょう。
クライアントの満足できるものができたら納品完了となり、報酬を受け取ります。
フリーランスの場合は、請求書の発行も自分でやらなければいけません。契約を交わした内容をもとに請求書を作成・発行し、報酬を受け取りましょう。
どれだけイラストを描く能力が優れていても、フリーランスでは活動することが難しく、会社員に戻ってしまうイラストレーターがいます。
フリーランスのイラストレーターとして活躍し続けるためには何が必要なのでしょうか。成功例と失敗例から、必要なスキルを見ていきます。
より良い作品を描きたいと言う気持ちがあっても、納期を超えて、作品づくりに没頭してはいけません。
フリーランスのイラストレーターは、納期をしっかり守った上で、ベストな作品をクライアントに提案するのが仕事です。万が一、納期に間に合いそうにないときには、クライアントに早めに相談するようにしましょう。
イラストレーターの仕事はクライアントの要望をイラストに描くことです。そのため、フリーランスのイラストレーターには、クライアントの要望を引き出す、高いコミュニケーションの能力が求められます。
思い込みで仕事を進めたり、自分の好みを押し付けたりすることはNGです。クライアントとしっかりコミュニケーションをとって、良好な関係を築けるようにしましょう。
豊かな表現ができるグラフィックソフトが増えたことで、イラストレーターの仕事の多くに、グラフィックソフトが使われるようになりました。
多くのプロジェクトや案件で使用されている「Illustrator」と「Photoshop」は最低限使いこなせるようになっておくことが推奨されます。他のイラストレーターと差別化し、フリーランスとしての案件獲得を有利にするために、資格の取得を目指しても良いでしょう。
フリーランスのイラストレーターには、ソーシャルゲーム系の仕事を中心に多様な仕事が用意されています。活躍し続けるためには、イラストを描くスキルはもちろんのこと、グラフィックソフトを使いこなす技術や、自分を売り込む営業力なども必要になります。
能力や実績があれば、会社勤めよりも高収入を目指すことも可能です。独立することに不安がある人は、フリーエージェントのコーディネーターに相談することからはじめても良いかもしれません。
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