Webデザイナーとしてフリーランスになるには？年収や必要なスキルも解説

Webデザイナーがフリーランスになった場合の働き方

ここでは、企業勤めからフリーランスWebデザイナーとして独立した後の働き方を解説します。

働き方

フリーランスWebデザイナーの仕事は自由度が高く、多岐にわたります。主な仕事内容は以下のとおりです。

• Webページのデザイン
• 営業
• プロジェクト管理
• 実装後の確認作業

クライアントとの業務委託契約を結んで働くのが一般的です。契約形態について詳しく知りたい方は、「フリーランスが結ぶ契約とは？内容や注意点について解説」を参考にしてください。

働く場所

フリーランスWebデザイナーの働く場所は、主に自宅か客先常駐のどちらかです。自宅での仕事なら、柔軟に働けるでしょう。育児・介護と仕事の両立を目指す人、地方に住み続けたい人にとって魅力的な選択肢だといえます。

客先常駐の案件では、契約したクライアントのオフィスに出向いて仕事をします。チームで協力して進行するプロジェクトやセキュリティの高い案件に適しているのが特徴です。常駐案件は長期間続くことが多く、高収入が見込めるため、経験豊富なデザイナーに向いています。

会社員の働き方との違い

フリーランスと会社員は、仕事内容の幅や収入、自由度、契約形態などが異なります。

フリーランスは働く時間や場所を自由に選べます。ただし、収入は案件や稼働時間に大きく左右され、経済的には不安定に陥りやすい働き方です。加えて、案件獲得から納税までのすべてを自己管理する必要があります。

会社員Webデザイナーは企業に所属する働き方です。安定した収入や福利厚生があり、税金面は会社のサポートを受けられます。ただし、企業の方針に従わなければならず、自社サイトや関連プロジェクトに長期的に関わるのが一般的です。

いずれの働き方も一長一短なので、個人の価値観やキャリア目標に応じて選びましょう。「フリーランスと正社員どっちが得？メリット・デメリットや兼業の可否も解説」もあわせて参考にしてください。

未経験でフリーランスWebデザイナーになる方法

ここでは、未経験からフリーランスWebデザイナーを目指す際のステップを解説します。

未経験だと何が大変になるか知る

未経験からフリーランスWebデザイナーを目指すと、多くの課題に直面する可能性があります。すでに多くのデザイナーが活躍しているので、未経験者が信頼を得て仕事を獲得するのは容易ではありません。

経験者と比べたとき、未経験者に不足するものは以下のとおりです。

• 実務経験
• 営業スキル
• 経験豊富なデザイナーとの差別化

自分に足りない部分を知り、焦らずステップアップするのが大切です。

知識を習得する

最初は、フリーランスWebデザイナーに必要な基本的な知識とスキルを習得するのが大切です。基本的な技術があれば、案件を獲得できる機会が増える可能性があります。

スキルは書籍や学習サイトで学べます。短期間で効率的にスキルを身につけたい場合、スクールに通うのがおすすめです。自分の学習スタイルに合った方法を選びましょう。

必要なツールを揃える

フリーランスWebデザイナーとして成功するには、仕事で役立つツールを揃えるのも大切です。

パソコンはできるだけ高性能な製品を選ぶに越したことはありません。グラフィックの性能が高く、メモリ容量が十分なものを選んでください。作業がスムーズに進むよう、インターネット環境も整えましょう。

初心者向けの副業案件を受注する

一定のスキルや知識が身についたら、副業で実績を積むのをおすすめします。その際は、クラウドソーシングを活用すると良いでしょう。実績が少なくても案件を獲得できるチャンスがあります。

小さな案件から始め、少しずつ実績を積み重ねるのが大切です。

ポートフォリオを作成する

副業案件をいくつか受注した後は、ポートフォリオを作成しましょう。ポートフォリオは自分の過去の作品や実績を示す資料で、クライアントがデザイナーのスキルを判断するときの参考材料となります。

ポートフォリオ作成する際は、以下の点を意識してください。

• 誰に向けたデザインなのかを明確にする
• 受注できそうなテーマの作品を制作する
• 多くの種類の作品を制作する

実績が少ないうちは自主制作の作品を多く手がけ、ポートフォリオを充実させてください。作成のコツについては、「ポートフォリオとは？作る意味やビジネスでの必要性、構成例などを解説」を参考にしてください。

Webデザイナーがフリーランスになる際の準備

ここでは、フリーランスWebデザイナーになる際に準備しておきたい事柄を解説します。

税金の知識を身につける

フリーランスWebデザイナーとして独立する前に、支払う税金の種類や税務手続きを理解しましょう。税金や保険に関する知識が不足していると、思わぬ出費やトラブルにつながるおそれがあります。

特に、以下についてはよく調査しておきましょう。

• 所得税
• 住民税
• 消費税
• 健康保険
• 国民年金

上記について詳しく知りたい人は、「フリーランスが支払う税金の種類や節税対策について解説！」を参考にしてください。

健康保険と年金の手続きをする

会社員を辞めて独立する際は、健康保険や年金の手続きが必要です。

フリーランスは、会社員向けの健康保険や厚生年金に加入できません。手続きを怠ると、病気やケガをした際に医療費が高額になったり、老後の生活が不安定になったりするリスクがあります。手続きの期限や必要書類を確認し、計画的に対応しましょう。

フリーランスが加入する健康保険・年金について詳しく知りたい方は、「個人事業主向けの年金や健康保険は？代わりになる制度も紹介」を参考にしてください。

最低限の生活費を準備する

独立する前に、最低限の生活費を準備しましょう。

フリーランスは案件ごとに報酬が発生するため、収入のタイミングや額が不安定になりやすいです。特に独立したばかりだと、案件を開始してから報酬が振り込まれるまでに数ヶ月かかることもあります。

貯蓄がないと突然の出費や不意の収入減に対応できず、生活が立ち行かなくなるおそれがあるでしょう。最低、3ヶ月分の生活費の貯金をおすすめします。

書類のテンプレートを作る

契約書や見積書のテンプレートを事前に準備すると、クライアントとの取引がスムーズに進みます。トラブル防止にもつながるのもメリットです。

標準的なテンプレートを作成すれば、案件ごとに効率的にカスタマイズできて便利です。テンプレートには、以下の内容を入れましょう。

• 仕事の範囲
• 納期
• 報酬
• 著作権の取り扱い

自分でテンプレートの作成が難しい場合、弁護士や経験豊富なフリーランスに依頼するのも手です。「フリーランスの請求書の書き方とは？無料テンプレートも紹介」では請求書のテンプレートを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

人脈を作る

フリーランスWebデザイナーとして成功するには、会社員時代から人脈を作り、業界内外の人々と知り合いになるのが大切です。

事前に人脈を築くことで、案件獲得の機会が増えたり、モチベーションを維持できたりと多くのメリットがあります。オンラインコミュニティに参加したり、業界イベントに参加したりして人脈を広げましょう。

クレジットカードを作る

独立する前に、クレジットカードを作ることをおすすめします。フリーランスは収入が不安定になりやすく、クレジットカードの審査に通らないケースがあるためです。

クレジットカードは、経費管理や支払いを効率化するのに便利です。持っていないと経理が複雑になる場合があります。独立前にクレジットカードを作成すれば、開業直後の煩雑な手続きを省略できるでしょう。

「個人事業主向けのクレジットカードのおすすめは？メリットや注意点も紹介」ではビジネス用クレジットカードを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

デザインコンテストに参加する

フリーランスWebデザイナーを目指すのであれば、デザインコンテストへの参加がおすすめです。デザインコンテストに参加すると、ポートフォリオの強化や実践的なスキルの向上を図れます。

コンテストでの成績は、業界内での評価や人脈作りに影響する場合もあります。審査員や他の参加者からのフィードバックを参考に、自分のスキルを見直せるのもメリットです。コンテストが開催される機会があれば、失敗を恐れずに参加しましょう。

できれば会社勤めで実績を積む

独立することに不安を感じる場合は、まず企業に就職して経験を積みましょう。企業での勤務経験は、技術的スキルに加えて、業界の仕組みを学ぶ貴重な機会になるためです。安定した収入が得られ、お金の不安なくWebデザイナーのスキルアップが図れます。

また、会社員時代に築いた人脈や作品がフリーランス活動の基盤になる可能性があります。フリーランスを目指している方からすると遠回りに感じるかもしれませんが、長期的な視点で成功を目指すときには効果的な戦略といえるでしょう。

フリーランスWebデザイナーに必要なスキル

ここでは、フリーランスのWebデザイナーとして活躍するのに必要なスキルを紹介します。

Webデザインの知識

Webデザインの高度な知識は、独立する上で欠かせません。Webデザインは単に見た目を整えるだけでなく、ユーザー体験を向上させ、使いやすさを追求する重要な役割を担います。

フリーランスになる前に、以下の知識を身につけるようにしてください。

• 色彩のバランス
• タイポグラフィ
• 画像の配置
• ユーザーインターフェース（UI）
• ユーザーエクスペリエンス（UX）

デザインの基礎を学び、クライアントの要望に応じた実践的なスキルを磨くのが大切です。「デザイン力を上げるコツとは？ぜひ取り入れたくなるスキルアップ法の記事まとめ」ではデザインスキルの向上に役立つサイトを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

デザインソフトを扱うスキル

フリーランスWebデザイナーにとって、デザインソフトを扱うスキルは重要です。近年のデジタル環境において、Photoshop、Illustratorなどのデザインツールは欠かせないものになりました。ソフトウェアを自在に使いこなせる人は、クライアントから重宝されるでしょう。

最新のデザイントレンドに対応するために、新しいデザインソフトに対してアンテナを張るのが大切です。話題のデザインソフトについて積極的に学習し、他のフリーランスとの差別化を図りましょう。

マーケティングの知識

どのようなWebデザインならその企業に合うか、成果を上げられるかを知っているマーケティングの知識がある人は重宝されるでしょう。活躍し続けられるフリーランスWebデザイナーは、クライアントが何の目的でWebサイトを作りたいかをしっかり把握できています。

せっかくお金をかけてWebサイト制作という投資をするので、クライアントが大きな成果を出してくれそうな人を選ぶのは当然です。クライアントと意見交換しながら納品物で実際に結果を出せれば、リピート受注の可能性が高まると考えられます。

コーディングのスキル

Webデザイナーが制作したデザインは、その後エンジニアがコーディングを行うことでWebサイトとして機能します。Webデザイナーがエンジニアの視点で作業しやすい配慮をすれば、チーム全体の工数削減が期待できるでしょう。

HTMLやCSS、JavaScriptなどは、フリーランスWebデザイナーとして活動するならぜひ身につけておきたいスキルです。幅広い作業を担当できれば受注単価を上げられる可能性もあります。

プログラミングとの違いを知りたい方は、「コーディングとプログラミングの違いとは？学習方法や将来性も解説」を参考にしてください。

動画・アニメーションの知識やスキル

近年は、動画・アニメーションのスキルに注目が集まってきています。After Effectsの知識や簡単なイラスト・アニメーション制作ができると、フリーランスWebデザイナーとして受注できる案件の幅が広がるでしょう。受注単価が高くなる可能性もあります。

営業力

フリーランスWebデザイナーにとって、営業力も欠かせないスキルだといえます。会社員時代とは違い、独立後は自力で案件を獲得する必要があるためです。積極的に営業して実績を積み重ねれば、市場での評価が高まるでしょう。

多くの戦略を組み合わせることで、効果的な営業活動が可能です。「フリーランスの営業のやり方とは？成功させるコツや戦略も紹介」では具体的な営業方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

タスク・スケジュール管理力

フリーランスWebデザイナーには、タスクやスケジュール管理力も求められます。

フリーランスはクライアントとの契約や請求業務など、Webデザイン以外のタスクも管理しなければなりません。複数の案件を同時進行することが多く、それぞれの納期や進捗を把握し、計画的に進める力が必要です。

タスク・スケジュールを上手く管理できない場合、以下のリスクがあります。

• 納期に遅れる
• クライアントとの信頼関係に悪影響を与える

タスクやスケジュールが重なる場合、優先順位を決めましょう。ツールを活用して進捗を可視化するのも良い方法です。

コミュニケーション力

フリーランスWebデザイナーとして活躍するために、優れたコミュニケーション力も求められます。クライアントと直接やりとりする機会が多い傾向にあるからです。

クライアントのニーズを正確に理解し、自分のアイデアを効果的に伝える力が必要です。独立前からコミュニケーション力の向上を意識し、成功を目指しましょう。

AIを扱うスキル

フリーランスWebデザイナーを目指すなら、AIを活用するスキルも重要です。AIはデザイン業務を効率的に進め、競争力を高める手助けとなります。主なAIツールは以下のとおりです。

• ChatGPT
• Stable Diffusion
• tldraw

AIに使われるのではなく、AIを使いこなすスキルを磨くことを意識してください。最新のAIに関連するオンライン講義に参加したり、AIを使ってデザインの作成を試みたりしましょう。

クライアントの立場を考慮する姿勢

クライアントの立場に立って物事を考え、行動できるWebデザイナーは成功しやすいでしょう。フリーランスの場合、デザインスキルが高いだけではなく、クライアントのビジネスを成功に導く視点を持つことが求められるためです。

たとえば、クライアントがフリーランスを選ぶ以下のような理由を理解した上で行動するのが大切です。

• コスト
• 効率性
• 柔軟性
• 専門性

ニーズに応えることで、長期的な信頼関係を築けます。

以上がフリーランスWebデザイナーに必要なスキルです。技術的なスキルを身につける際には、資格も役に立ちます。Webデザイナー向けの資格を知りたい方は、「Webデザイナーの資格｜必要なスキルや向いている人も知ろう」を参考にしてください。

フリーランスWebデザイナーの案件獲得方法

ここでは、フリーランスWebデザイナーの案件獲得方法を紹介します。

エージェントの活用

フリーランスWebデザイナーがぜひ活用したいのがエージェントです。エージェントが営業を担ってくれるので、本業にしっかりと時間をかけることができます。

フリーランスHubでは、自分に合ったフリーランスエージェントを探すことができます。
気になる方は、「フリーランスエージェント徹底比較　【2025年最新】」をご覧ください。

クラウドソーシングへの登録

クラウドソーシングは、登録するだけで案件に応募できる手軽さが魅力です。単価は低い傾向にあるので、将来的に高単価案件へとシフトすることを意識した上で利用すると良いでしょう。

クラウドソーシングで仕事を得るコツについては、「クラウドソーシングの仕事内容とは？必要なスキルや受注のコツも紹介」を参考にしてください。

知人からの紹介

知人からの紹介は、フリーランスにとって効果的な案件獲得方法の一つです。信頼関係があるので、初めての取引でも不安なく仕事ができます。フリーランスの実績が少なくても、人脈があれば時間をかけずに仕事を見つけられるでしょう。

ただし、人脈が少ないうちは紹介を受けるのが難しい場合もあります。紹介だけに頼らず、他の獲得方法と組み合わせ、安定した仕事の確保を目指すのが大切です。

直接営業

潜在的なクライアントに直接アピールする営業活動も、フリーランスWebデザイナーの案件獲得方法の一つです。直接営業の主な方法としては、以下が挙げられます。

• 企業へのメール送信
• 企業への電話連絡
• 業界イベントへの参加

時間と労力を要しますが、営業がきっかけで長期的な取引につながる可能性もあります。

SNSを活用

SNSにフリーランスWebデザイナーとしての実績を公開すれば、宣伝になります。費用をかけずに案件を獲得したり、知名度を高められたりするのがメリットです。

InstagramやYoutubeで作品や制作過程をシェアしてフォロワーが増えると、デザインの依頼が来る可能性があります。ハッシュタグや位置情報を活用すれば、特定の地域や業種に関連したクライアントから直接コンタクトを受ける場合もあるでしょう。

フリーランスWebデザイナーの年収

フリーランスHubに掲載されているWebデザイナー案件は、月単価50万～60万円のものが多い傾向です。12ヶ月を掛けて年収換算すると、600万～720万円ほどが得られると想定されます。

月単価・年収は、個々のスキルや経験、案件の内容などにより変動します。高単価を目指したい人はスキルを身につけ、実績を積みましょう。他のクリエイター職の年収についても知りたい方は、「フリーランスの年収は？生計は立てられる？職種別にみる相場とは」を参考にしてください。

フリーランスWebデザイナーは難しいといわれる理由

ここでは、フリーランスWebデザイナーが難しいとされる理由を紹介します。

Webデザイナーは収入になるまでが遠い

フリーランスWebデザイナーは、成果物を提出したら即報酬の受け取りへ…というわけにはいきません。

納品できたら、今度はクライアントごとに決められた期間に請求書を出します。入金は早くても翌月末あたりでしょう。企業に勤めている場合は分担できる作業や雑務も、すべて1人で行うために時間がかかってしまい、それによって納品が後倒しになることもあります。

つい働きすぎてしまう

自宅を含めどこでも作業できるフリーランスWebデザイナーは、働きすぎて体調を崩してしまいがちです。

時間配分や働き方など自由に決められるため、急ぎの作業があれば休憩や眠る時間を割いて作業に充ててしまうこともできます。さらに複数のクライアントとの同時契約も多くなるため、案件を同時にいくつか抱えることもあるでしょう。

仕事とプライベートのメリハリをしっかりとつけ、常にベストな状態で働き続けることが大切です。

成長し続けなければ先がない

フリーランスWebデザイナーは、積極的に最新情報を集めて対応しなければ、「この人に仕事を頼みたい」と思ってもらえなくなるおそれがあります。

現在は手頃な値段で高品質な素材やテンプレートが多く、それを応用すればフリーランスWebデザイナーに依頼せずとも、素敵なサイトを作れてしまうこともあるでしょう。

フリーランスとして仕事を受け続けるなら、自分だけの強みを見つけ、新しい技術を取り入れながら常に進化していくことが求められます。

生活が大変になる場合がある

スキル不足のまま独立すると、生活が困難になるおそれがあります。技術力が不十分だと、対応できる案件が限られるためです。

フリーランスの世界では即戦力となるWebデザイナーが求められており、スキルが足りなければ思うように仕事を獲得できません。クライアントの期待に応えられないと、契約が早期に終了する場合もあります。

案件が見つからない、見つかってもすぐに切られるといった状況が続くと、生活が不安定になるでしょう。

悪質なクライアントに遭遇するリスクがある

フリーランスWebデザイナーとして活動する際、悪質なクライアントに遭遇するリスクがあります。以下のようなクライアントには注意してください。

• 仮入金をしないまま修正を何度も要求する
• 仕事内容が曖昧で具体的な指示がない
• 連絡が取れなくなる

悪質なクライアントに遭遇すると、時間と労力が無駄になります。案件に応募する前に、クライアントの評価や依頼内容を確認する姿勢が大切です。「業務委託のトラブル事例｜仕事内容や報酬の問題解決・回避に必要な方法とは」もあわせて参照し、起こりうるトラブルと対処法を知っておきましょう。

インハウス化により活躍しにくい場合がある

フリーランスWebデザイナーが活躍しにくくなりつつある理由の一つは、企業のインハウス化（内製化）が進んでいることです。

インハウス化が進む背景には、企業ブランドの統一性が重要視されるようになったことがあります。インハウスデザイナーは、制作上の社内ルールを理解しているので、フリーランスに依頼するより統一されたデザインを制作しやすいのがメリットです。

プロへの発注数が減る可能性がある

直感的で使いやすいWeb制作ツールの台頭は、Webデザイナーへの発注数を減少させる可能性があります。

ツールを使えば、デザインに詳しくない人でも簡単にプロのようなデザインを制作できます。シンプルなコーポレートサイトやランディングページなどであれば、Webデザイナーに依頼せずとも、クライアント自身が制作可能です。

フリーランスのWebデザイナーに求められるスキルや専門性は、昔よりも高度化しました。Webデザイナーとして活躍するには、ツールでは実現できない付加価値を提供しなければなりません。

修正作業で工数がかかりやすい

フリーランスのWebデザイナーはクライアントの要望に応じて複数回修正をしなければならない場合、工数がかかりがちです。

作業時間が長引き、他のプロジェクトや休息の時間を圧迫することもあるでしょう。新規プロジェクトに取り組んでいる際、以前納品したデザインの修正依頼があると、納期に間に合わなくなるおそれがあります。

修正作業に対応しても報酬が変わらないことが多く、実質的な時給は低下します。効率的に働くには、事前に修正の範囲を確認するなどの対策が必要です。

フリーランスの働き方の利点や注意点については、「フリーランスのメリットとデメリットとは？向いている人も解説」も参考になるので、ぜひご覧ください。

フリーランスWebデザイナーの適性

ここでは、フリーランスWebデザイナーに向いている人と向いていない人の特徴をそれぞれ解説します。

フリーランスWebデザイナーに向いている人

自己管理力が高く、行動力を持ち合わせた人はフリーランスWebデザイナーに向いています。以下のような人なら、独立後も成功しやすいでしょう。

• 納期を厳守できる人
• 積極的に営業できる人
• スキルアップに励める人

フリーランスは自由度が高い反面、すべてを自己責任で行わなければならないことを覚えておきましょう。

フリーランスWebデザイナーに向いていない人

以下のような人は、フリーランスのWebデザイナーになると苦労する可能性があるでしょう。

• 自己管理が苦手な人
• コミュニケーションが苦手な人
• 新しいことを学ぶ意欲が少ない人

スキルだけでなく自分の性格も分析した上で、フリーランスに転向するか判断するのが大切です。

Webデザイナーがフリーランスとして成功するコツ

ここでは、Webデザイナーがフリーランスとして成功するためのコツを紹介します。

自分のスキルやペースを正しく知る

フリーランスWebデザイナーは、自分に必要な睡眠や休息、プライベートな時間を確保した上で仕事時間を決めるのが大切です。

フリーランスになりたての人の中には、内容に見合わないほど受注単価を低く設定したり、無理をすること前提で最速納期を提示したりしてしまう方もいます。これは自分を追い詰め、結果的に不完全な状態での納品や締め切り超過、体調不良につながるため、避けるべきです。

健康管理については、「身体の不調は早めのケアが大切◎エンジニア・デザイナーの職業病対策まとめ」を参考にしてください。

聞きにくいからと放置しない

分からないところはそのままにしないよう心がけましょう。

フリーランスWebデザイナーの立場だとつい、「あまりしつこく聞いて契約を切られてしまったらどうしよう」などと考え、細部を確認しないまま進めてしまうこともあるでしょう。

結果、致命的な修正が発生したり、再受注が期待できなくなったりすることもあり得ます。透明度の高いやりとりはトラブルを避けるのに必要なことと心得て、疑問を放置しないようにしてください。

誰にでも気配り・心配りをする

誰にでも同じ態度で丁寧に接し、常にできる限りの気配り・心配りをすれば、信頼と安心感につながります。フリーランスWebデザイナーという個人で活動するなら、大きな強みとなるでしょう。

ただし、「仕事が欲しいから気配りする」のではなく、「気配りができるから仕事が集まる」ことを忘れてはいけません。仕事は作業的にこなすのではなく、1件ずつていねいに仕上げる気持ちを大切にし、納品の際は依頼してくれたことに感謝の気持ちを示しましょう。

クライアントのニーズを理解するよう努める

フリーランスWebデザイナーは、クライアントのニーズを深く理解し、それに応えるデザインを提供する姿勢が必要です。

要望を的確に把握し、デザインに反映させれば、満足度の高い成果物を提供できるでしょう。結果、リピート案件や紹介案件の獲得につながり、フリーランスとして安定して仕事ができるようになります。

具体的には、以下のような姿勢が大切です。

• 初期段階で詳細なヒアリングをする
• ライバルサイトの調査や分析をする
• 新たな提案があれば積極的にする

クライアントの目標達成に貢献すると、フリーランスとしての地位が安定するでしょう。

単価交渉をする

フリーランスとしての成功には、自分のスキルに合った案件選びだけでなく、適切なタイミングでの単価交渉も欠かせません。仕事の質に見合った報酬を得ることが収入の安定につながるためです。

低単価で多くの案件を抱えるより、適正単価で少数の案件をこなす方が収入が安定する傾向にあります。そのためには、単価交渉のスキルを磨くことが大切です。自分が提供するデザインの価値は明確に伝え、積極的に単価交渉をしましょう。

最新の情報・技術をキャッチアップする

最新の情報や技術を常に把握し、スキルを更新する姿勢も欠かせません。Webデザイン業界は急速に進化しており、新しいトレンドや技術が次々と登場するためです。

変化に適応し、クライアントのニーズに応えられるデザイナーがフリーランスの地位を確立できます。定期的に業界関連のウェビナーやオンラインカンファレンスに参加したり、AIツールを活用したり、デザインプロセスの効率化を試みたりすると良いでしょう。

Webデザイン以外にもスキルを磨く

成功を目指すには、Webデザインのスキルだけでなく、関連する他分野のスキルも磨くのが大切です。

競争が激しい業界で長く生き残るには、デザインスキルだけでは不十分です。マーケティングやプログラミングといった他のスキルを身につけ、仕事の幅を広げることで、クライアントから選ばれるフリーランスが目指せます。

継続的に案件を得る工夫をする

継続的に案件を獲得する工夫が、フリーランスWebデザイナーとして成功するには欠かせません。安定収入を得て長期的にフリーランスとして活動するには、一時的な案件だけでなく、継続的な仕事の確保が大切だからです。

具体的には、以下のような工夫をおすすめします。

• 既存クライアントとの関係を深める
• 多様なプラットフォームで案件を探す
• 専門性をSNSで発信する
• 人脈作りをする

工夫を実践することで、安定した仕事の獲得につながり、フリーランスの成功を実現できます。

案件を掛け持ちする

フリーランスwebデザイナーが案件を掛け持ちすることは、収入の安定化やスキルアップ、人脈拡大など多くのメリットにつながります。収入の安定性が向上すれば、経済的な不安が少なくなるでしょう。

ただし、複数の案件を同時に進行するため、スケジュール管理の徹底が求められます。納期を守りつつ、高品質な成果物を提供できるような工夫が大切です。自分の力量と時間を慎重に見極めた上で、複数の案件に対応してください。

まとめ

フリーランスWebデザイナーは、自由な働き方ができるのが魅力です。自分のスケジュールに合わせて仕事を進められ、クライアントやプロジェクトも選べます。得意分野での仕事がしやすく、収入も努力次第で増やせるでしょう。

一方で、収入が不安定になりやすく、営業や自己管理が求められる厳しさがあります。納期やクライアントの要望に応じた柔軟な対応も必要です。自分の性格やスキルを客観的に把握した上で、独立するかどうか判断してください。