インターネットの基盤ともいえる部分を管理・構築・運用しプライベートやビジネスのなかでの便利さを守ってくれているのがインフラエンジニアと呼ばれる職業です。
今回はそのインフラエンジニアの資格情報をまとめました。フリーランスに転向するメリットやデメリット、求められるスキルや仕事の受注方法なども紹介します。
インフラエンジニアとはIT情報基盤を支えるインフラストラクチャー、主にサーバーやネットワークなどの環境整備を行う技術専門職種です。
より細分化された職業としては、ネットワークエンジニアやサーバーエンジニア、データベースエンジニアなどがあり、その総称として「インフラエンジニア」という名称が使われています。
便利なITシステムやWebサービスも、インフラエンジニアの構築するサーバーやネットワーク、OSやミドルウェアなどのデータの受け渡しを行う基盤が機能しなければ使い物になりません。インフラエンジニアは、ITの「縁の下の力持ち」であり、彼らの働きによって24時間365日、ITの恩恵がもたらされていると言っても過言ではないでしょう。
ここからはインフラエンジニアの仕事概要を段階を追って具体的にみていきましょう。
クライアントの要望を細かくヒアリングし、どのようなインフラを構築すれば良いか検討し、技術的な落とし込みを行います。設計段階では実際の利用状態を想定し、扱うデータの内容や予想される負荷、必要な処理速度、セキュリティなどを考慮し、コストや物理的環境条件などにも気を配りながら機器・スペックを選定。費用対効果を把握し、構築作業におけるフローやエラーハンドリングについてもイメージと対処準備を行いながら、詳細な設計・企画書をまとめます。
要件定義と設計ができていれば後の運用が滞りなく安定し、作業全般も効率良く進められるため開発プロジェクトの成否を左右する重要なフェーズといえ、ある程度時間をかけて丁寧に行うことが大切です。
作成した設計書に基づき、ハード・ソフト、ミドルウェアと機器や必要物を調達して、実際に物理的な構築作業を行っていきます。サーバーを設置し、ケーブル配線を行ってネットワーク設定を行うほか、OSの準備、ソフトウェアのインストールと初期設定なども実施。
構築が完了したら、問題なく正常に動作するかチェックするテストを行います。必要に応じて負荷テストやセキュリティチェックも実施し、問題が確認された場合には速やかに改善措置を講じます。
完成・納品となっても、インフラエンジニアの仕事が終わりとなるわけではありません。実際に運用を開始したら、24時間365日安定して動いているかその動作状況を監視し、メンテナンス・管理を行うのも大切な仕事です。
サイバー攻撃やアクセスの極端な集中、その他災害など非常事態の発生により、障害が起きた場合には、速やかにその発生箇所と原因の特定を進め、応急処置や復旧作業にあたらなくてはなりません。被害を最小限に抑え、迅速なトラブルシューティングが行えることも、インフラエンジニアには強く求められるところです。
この他に、仕様変更や更新作業など、インフラとして円滑に運用できる状態を保つための定期的なメンテナンスやチェックも担当します。
インフラエンジニアの仕事をするにあたり、スキルの基礎を固めるためまたは証明として使うために資格取得を目指すのもおすすめです。
インフラエンジニアであればIT関連の職務に従事する方向けの試験情報処理技術者試験のうち、ネットワークスペシャリスト試験やデータベーススペシャリスト試験などを取得するのがおすすめです。
情報処理技術者試験には、これらのほか基本情報技術者試験や応用情報技術者試験といったITに関する基礎を身につけられるもののほか、スペシャリストのための資格も用意されています。
AWS認定は、Amazonが運営するクラウド関連を専門とした資格です。AWSは需要があり、今後も増えていくと見られています。エンジニアとしてはぜひ学んでおきたいものなので、学びながら資格取得を目指してみるのもよいでしょう。
LinuCは、オープンソースのOSであるLinuxに関連する資格です。ネットワークやサーバーをゼロから設計・構築し運営していくエンジニアは、それらの仕組みに対する理解を深めておく必要があります。
Linuxは無料で使える自由度の高いオープンソースであるため、インストールにお金がかからずカスタマイズも自由です。使う人や用途に合わせていろんなことができ、ITに関わる仕事をするのであればLinuxの知識は必須であるといっても過言ではないでしょう。
資格は3つのレベルに分かれており、今のスキルに合った試験を受けることができます。取得しておけば、フリーランス活動の心強い味方となるかもしれません。
担当する企業でネットワークやサーバーに関するトラブルが起こったときは、業務に支障をきたしてしまうためインフラエンジニアはすぐに現場に向かい、解決しなければなりません。状況によっては休日や夜間でも対応します。トラブルが解決しなければ帰宅できないことも少なくありません。
また、メンテナンスやシステム導入の際はネットワークが使われていない時間を選ぶ必要があるので、サービスや契約内容によっては夜勤勤務もあります。
トラブルが起こらない状態を保つことが成果であるため、実績が見えにくくモチベーション維持しにくい点も辛い部分と感じる人もいるようです。
フリーランスHubで、インフラエンジニアの仕事を探した結果、募集中のものだけで658件が該当しました。(2023年5月29日時点)
募集が終了しているものも含めると10,165件あり、最高月額単価は150万円、最低月額単価は11万円、平均月額単価は約70万円程度です。最低単価はかなり低い水準ですが、40万円以下の内容は全体の1%に満たず、ごく少数のため、この値は例外的なケースと考えられます。
最大のボリュームゾーンは月額単価60万円台で3,839件が該当、全体の約40%弱です。分布として突出しており、平均も約70万円程度のため、およそこのあたりが標準といえるでしょう。
仮に平均的な報酬を年間継続受注できたとすると、年間の収入は70万円×12ヶ月で840万円程度です。保険料の負担など備えておくべき出費もありますが、会社員エンジニアと比べてもかなりの高収入が期待できるでしょう。
続いてインフラエンジニアと一口に言っても、さまざまな職種があるため、より細分化してそれぞれの相場もみていきます。
フリーランスHubで、サーバーエンジニアについて調査(2023年5月29日時点)したところ、60万円台が圧倒的に多く、平均単価は65万円、最高単価は120万円でした。インフラエンジニア全体で見たときと同様、月額単価60万円代の割合は40%程度です。
ネットワークエンジニアもサーバーエンジニアとほぼ同様の傾向で、月額単価60万円台が圧倒的に多く、平均単価は66万円、最高単価で210万円でした。
サーバーエンジニアより全体数が少なめですが、単価相場の分布は非常によく似ています。
データベースエンジニアは比較的数が多く、60万円台が最多である傾向は同じと認められるものの、その他の帯域にも数がある程度分散しており、平均単価は70万円、最高単価が115万円となっていました。高単価な仕事が存在する分、やや平均が引き上げられていることに特徴があるようです。
インフラエンジニアがフリーランスとして働く場合、メリットは多くなると考えられます。ただし企業に属さないことによるデメリットももちろんあるので、自身の得意不得意や環境に合わせて考えてみましょう。
メリットは以下の通りです。
会社員として企業に勤める場合、どうしても仕事の内容に偏りがあったり、やりたいことができなかったりします。フリーランスになる大きなメリットはさまざまな仕事に挑戦できること、伸ばしたいスキルを伸ばしやすいことなどがあります。
夜勤のない働き方や土日休みの働き方を選ぶことも可能。ライフスタイルに合わせた、無理のない働き方ができます。
インフラエンジニアの働き方は基本的に、クライアントとなる企業に直接足を運んで一定期間、社員のように勤める形となる常駐スタイルがほとんどです。
たくさんの企業の雰囲気や社風を知ることは、さまざまな知識や効率的な仕事のやり方を学ぶうえで欠かせないことであり、世の中や今後の生き方を考えるきっかけにもなります。
会社員とフリーランスの大きな違いは、年収が変わってくることです。会社員として活躍するインフラエンジニアは仕事内容と給料が見合わない、と考える人も多いようですが、フリーランスとして個人で仕事を受ければ、受注した金額はすべて収入にすることができます。働けば働くだけ比例するように収入が上がり、高単価な仕事にチャレンジするモチベーションも高まるでしょう。
フリーランスになるとメリットが大きい反面、デメリットも少なからずあります。フリーランスとしての経験を積むことでクリアできるものもあるので、よく理解してから臆せず取り組むことが大切です。
自分で受注できるため仕事をどれくらい受けるのか、どのタイミングで次を探すのかなど、働ける量と収入のバランスで悩んでしまう人は多いようです。
たくさん受けると収入は増えますが、無理をして体を壊してしまい結局すべてキャンセル、収入ゼロなどということにもつながりかねません。フリーランスは福利厚生もないので不安になることもあるでしょう。人によっては常に悩みを抱えている状態になることもあります。
フリーランスになると収入をすべて自分が受け取れる分、すべての業務をひとりでおこなわなければなりません。企業に営業をかけて仕事を受注し、実際に仕事をしたら請求書を出すなど、仕事が始まってから終わるまでにやることはたくさんあります。
取引先への交渉やメールのやりとり、確定申告などは手間がかかり大変だと思うこともあるかもしれません。仕事を掛け持つとやりとりも増えてきて混乱するため、会社員として働くほうが楽だと感じる人も多いようです。
フリーランスは受注や仕事などを含め基本的に一人で活動するため、同僚や同期、自分のことを理解してくれる上司などがおらず孤独を感じてしまうこともあります。
疑問に思うことでも、会社員であれば気軽に周囲に聞くことができますが、フリーランスは相談しやすい相手がいない場合もあるでしょう。
しかし近年はツイッターなどのSNSで気軽に同じ職種の人とつながり、疑問や孤独感などを簡単に解消できるようになりました。SNSを通じて有益な情報を得られることもあるので、フリーランスであるからこそSNSを活用するのがおすすめです。
インフラエンジニアに求められるスキルについて解説します。
ネットワークとサーバーの基礎知識は、インフラエンジニアとして活動していくためになくてはならないものです。会社員であれば教えてもらいながら身につけていける場合もありますが、フリーランスは自身で知識を習得する必要があることが前提となります。
クライアント側からすれば、フリーランスであれば基礎的な知識は持っているはずと考えられているので、フリーランスに転向するならネットワークとサーバーの基礎知識は確実に身についている状態にしておきましょう。
インフラエンジニアがフリーランスとして活躍していくために、クラウド関係のスキル・知識は必ず身につけておきたいものの1つです。近年、クラウドが活用されることが増えてきて、オンプレミスの仕事は減りつつあります。
クラウドとオンプレミス、両方の知識を備えておくことが、フリーランスとしてさまざまな仕事を受注するためのポイントになるでしょう。
どのエンジニアでも「クライアントの要望を反映させた作業」が大前提となります。クライアントの依頼内容や要求を深くヒアリングし把握することが大切です。さらにフリーランスであれば、会社や所属するチームのしがらみはありません。
エンジニア側から見たより良い案があれば積極的に提案して導入することもできます。フリーランスだからこその親身なコミュニケーションを通じ、仕事の質の向上を図れる場面はあるということです。
フリーランスは仕事探しから受注、メッセージのやりとり、実際の作業、請求書の送付までを基本的にすべて1人で行います。仕事の実務以外にも細々とした業務に多くの時間がかかるため、それらもすべて含めて考えつつスケジュールや品質を管理しなければなりません。
バランスよく無理のないスケジュールを組めればよいのですが、希望にあう仕事がタイミングよく舞い込んでくることは少ないです。
高単価のものや経験が積めそうな仕事などの募集のタイミングが重なっていると、先が不安になり同時進行を考えることもあるでしょう。しかし、不安と焦りから無理をするとやがて心身の疲労が蓄積し、あとで大きなダメージとして出てきてしまうこともあります。
働かなければ収入はゼロ、ただし働き過ぎにも注意すべきフリーランスは、自身に合った「ちょうどよいバランス」を保ちながらセルフマネジメントしていく能力が重要です。
会社員であれば企業の営業部をはじめとする専門のチームが仕事を取ってきてくれますが、フリーランスは受注するところからすべて自分で行います。受注は難しく、仕事がなかなか取れなくてフリーランスを続けられないという人も少なくありません。
フリーランスは知識とスキルをしっかりと身につけ、保有スキルや成果物をポートフォリオにまとめ応募する際に提出しましょう。募集の内容に合わせて「私はこのようなスキル・経験があるので、今回の募集にこのような形で役立てたいと思っています」と具体的にアピールしてください。
クライアントは自信のない人に仕事を頼もうとは思いません。できないことをできるというのは避けますが、必ずやりきる自信があるならその旨をしっかり伝えてください。
また、フリーランスとしての経験が少ないうちは、応募しても採用されなくて当然、くらいに考えておくとよいでしょう。たくさん応募しても受注できるのはほんの1~2件かもしれませんが、コツコツ実績と経験を積んでいくことで受注できる確率は高くなっていきます。
指示通りにだけ動けるインフラエンジニアより、上流工程から担える人材の方が高単価を引き出せます。また、インフラの開発はチームで行いますから、進捗状況などを管理しチーム全体をまとめられるマネジメントスキル、リーダーシップ、コミュニケーション力があると高評価です。
上流工程やマネジメント業務を含む仕事は、それ自体も高単価になる傾向が強いので、ぜひ積極的に参画し実績に加えていきましょう。
昨今のサーバーやネットワーク周りでは、急速にクラウド化が進んできています。クラウド環境の構築で基本となるサーバーやネットワーク、ストレージなどの仮想化はもちろん、コンテナ技術についての十分な知見や開発経験があれば、高単価を見込みやすいです。
将来的にも通用する力をもったエンジニアとして評価されやすくなり、市場価値の高さを示すアピールポイントにできるでしょう。今後これらに関連したものの増加が予測されるため、今から開発経験を積んでおくことをおすすめします。
新規のクライアントにとって、実績とともに参考にしやすいのが資格です。客観的にスキルや能力を証明できる資格があればアピールしやすく、高単価を引き出せる可能性が高まります。特にインフラエンジニアにとって有用と考えられる主な資格をみておきましょう。
インフラ開発は通常、ある程度の規模をもったチームで臨みます。その場合、作業をベンダー側に任せる場合も多いです。ベンダーを上手くとりまとめるコツを身につけプロジェクトの進捗を円滑化できればコストや工期を最小化した最適な結果で返せ、エンジニアとしての市場価値が高まります。
フリーランスになったばかりだと稼ぎにくいのが実情です。しかし、インフラエンジニアとしての実務経験が長いほど、稼げるようになるまでの期間は短いと考えられます。エンジニアは実力社会なので、大切なのは努力であることを覚えておきましょう。
インフラエンジニアとしての業務経験が3年以上ある場合は、フリーランスに転向後、早い段階で仕事を獲得できるでしょう。収入も会社員時代とさほど変わらない額を期待できる可能性は高いです。
実務経験年数が3年未満で受注できる仕事は少なめです。インフラエンジニアとして会社員からフリーランスに転向するなら、まずは実務経験を3年以上積みましょう。
もちろん実務経験が1~3年程度でもフリーランスに挑戦はできますが、同じレベルの会社員と比べると収入は期待できない可能性があります。ただしエンジニアは実力社会であり、フリーランスは努力次第で収入を上げていける働き方です。交渉や営業のやりかた次第では「稼げない期間」を短縮することも可能だといえるでしょう。
インフラエンジニアに必要なネットワークやサーバーの知識があるレベルだと、フリーランスとしてやっていくのは不可能に近いと考えるほうがよいかもしれません。なぜなら企業のネットワークの基礎部分を担う作業に、実績のない人を選ぶことはできないからです。
まずは会社員として一から経験を積み、実績とスキル・知識を増やすことから始めてください。フリーランスとして活動するのは、3年後くらいを目標にしておくとよいかもしれません。
いざフリーランスとして活動を始めようと思ったら「自分のスキルや条件に合った仕事がなかなか見つからない」「思っていたより仕事がない」などという壁にぶつかり、悩んでしまう人は多いです。
そのようなときは自身の現状とこれからを考えながら上手に仕事とマッチさせてくれるフリーランスエージェントを利用してみましょう。
未経験だと少し厳しいですが、何年か実務経験のあるインフラエンジニアなら、フリーランスとして活躍していくことは十分に可能だと考えてよいでしょう。ただし、インターネットや情報に関する技術は日々ものすごい速さで進歩していくため、常にアンテナを張って情報収集やスキルアップを怠らないことが大切です。
インフラエンジニアとして自信がついたらぜひ、フリーランスという新たな道へ踏み出してみましょう!
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