テストエンジニアの副業の仕事内容は？必要なスキルや経験も紹介

テストエンジニアとは？役割や他職種との違い

テストエンジニアは、主にソフトウェアの動作に関するテスト検証をする職種です。

まず最初に、テストエンジニアの役割と、似た職種であるデバッガーやQAエンジニアとの違いを解説します。

テストエンジニアの役割

テストエンジニアとは、システムや製品の動作をテストで検証する仕事です。ソフトウェアを開発する過程で、不具合の有無を確認する重要な役割を担います。

テストエンジニアは、実施するテストの計画立案から実行、また、結果をふまえた改善策の提案まで、幅広く対応する職種です。
近年では、AIの発展に伴ってテスト作業の自動化が進んでいます。ただし、テストエンジニアの全業務を自動化できるわけではないため、今後も一定の需要が見込まれるでしょう。

デバッガーやQAエンジニアとの違い

テストエンジニアと特徴が似ている職種に、デバッガーやQAエンジニアがあります。
それぞれ開発中に担当する部分が異なります。

デバッガーの仕事では、テストを通じて発見された不具合の修正まで担当します。
また、QAエンジニアは完成したシステムの品質をテストする職種です。

テストエンジニアの副業に取り組みたい方は、他の職種との相違点をあらかじめ認識しましょう。エンジニア全体の解説は「エンジニアの種類と仕事内容は？必要なスキルや平均年収も解説」の記事をご覧ください。

テストエンジニアの副業の単価相場

ここでは、フリーランスHubに掲載されている求人をもとに、単価の相場を紹介します。

フリーランスHubに掲載されているテストエンジニアの案件情報によると、月額単価相場で多いのは月額60万～70万円と月額50万～60万円の案件です。また、月額報酬が100万円を超える案件もあります（2025年1月時点）。

また、開発言語別に平均単価をみてみると、月額単価が高い開発言語は「Apex」、「SAS」、「Transact-SQL」でした（2025年1月時点）。

副業で稼ぎたいと考えているエンジニアの方は、「エンジニアの単価｜計算方法や相場、市場価値の高い人材になる方法を解説」の記事も参考にしてください。

テストエンジニアの副業の仕事内容

テストエンジニアの仕事は、ただテストを実行するだけではありません。
ここでは、テストエンジニアの副業の仕事内容を5つに分けて説明します。

テスト計画の策定

テストエンジニアの業務は、実行するテストの計画を策定するところから始まります。ソフトウェアの動作を正確に評価するには、質の高いテストが重要です。

テストの計画は、ソフトウェアに関わるさまざまな観点から策定されます。具体的には、テストの目的、実施する範囲、テスト方法などが主な観点です。

ソフトウェアの開発と並行して、テスト計画の策定も進行します。テスト計画を開発の関係者に共有すると、円滑に進行できるでしょう。
「あなたならどう活かす？開発現場で参考にしたい情報まとめ」の記事では、開発の現場で役に立つ情報をまとめています。併せてご覧ください。

計画書に基づいた設計

テストエンジニアは策定したテスト計画に基づいて、テストの設計を実施します。テスト計画は、計画書の形式に落とし込んで設計の参考として利用します。

テストの設計では、検証する項目やデータの策定などシステムの完成度を正確に計測するための材料を揃えることが重要です。

必要なデータをすべて検出できるように設計されていると、質の高いテスト環境を構築できるでしょう。設計した内容は、「テストケース」の形式で一覧表にまとめます。

テスト実行

テスト計画と設計が完了したら、テストを実行します。テストケースに基づいて、正しい手順で正確にテストを実行することが大切です。

開発中のシステムにプログラムのミスはないか、各機能は誤作動を起こさず期待どおりの動作をするかなど、検証するポイントごとにテストの結果を出します。

テストが終了すると、テストエンジニアはレポートの報告に向けて結果をまとめます。生じた問題点は、明確に内容が分かるように記録を取りましょう。

レポート作成・結果報告

テストの結果をもとに、レポートを作成して開発担当者に報告をします。このプロセスにおいて、テストエンジニアにはテスト内容を正確に表現できる文章力や、コミュニケーション能力が求められます。
画像やデータを盛り込みながら、テストの目的から結果まで一貫して表現された資料を意識すると、誰にも伝わりやすいレポートが作れるでしょう。

また、テスト結果のレポートは必ず事実を伝えてください。不具合やエラーが多かったとしても、その事実を伝えることがテストエンジニアの大切な役割です。

結果分析・改善提案

テストエンジニアの仕事には、テスト後の結果分析や改善策の提案まで含まれます。テスト後はフィードバックを行い、機能の改善に貢献します。

結果分析とは、テストで発見された問題点を洗い出す作業です。その結果をもとに、レポートを作成してシステムの改善策を提案します。
主な改善策の例として、システムを正常に動かすためのプログラム設計や、より正確なテストを実現させるテスト設計の提案などが挙げられます。

時間をかけて計画・設計したテストの効果を将来に向けて最大限発揮するには、質の高い結果分析と改善提案が不可欠です。

テストエンジニアの副業に必要なスキル・経験

テストエンジニアの副業で仕事を受注するときは、一定のスキルや経験を求められます。
ここでは、テストエンジニアに必要なスキル・経験について解説します。

ソフトウェア開発のスキル・経験

テストエンジニアには、ソフトウェアを開発するスキルや、開発に携わった経験が求められます。

システムの機能や動作をテストするうえで、基本的なプログラミングスキルと経験は必要です。
なかでも、JavaScriptやRubyなど、プログラミング言語を利用した開発の経験や知識を持っていると、より高度な内容のテスト業務に携われるでしょう。

汎用性が高いシステム開発ができると対応可能な案件が増え、市場価値が高まります。
将来性のあるシステムや開発の詳しい分類について知りたい方は、「オープン系とは？Web系や汎用系などシステム開発の種類ごとの違いを紹介」の記事をご覧ください。

テスト工程のスキル・経験

テストエンジニアの副業に取り組む以上、テスト工程の経験やスキルは必須です。設計のみ、実行のみではなく、前述した工程全体の経験が求められるでしょう。

さらに、テスト計画をマネジメントする能力や異なる種類のテストを実行した経験があると、テストエンジニアとしてより重宝されます。
テストの種類とは、システム個々の機能を検証する単体テストや、機能間の連携を検証する結合テストなどです。

テスト工程全体の経験と、各工程の深い知識があれば幅広い仕事に対応できるでしょう。

コミュニケーションスキル

テストエンジニアは、開発の技術や経験に加えてコミュニケーション能力を求められる職種です。
テストを進めるうえで、同僚やクライアントなど、やり取りする相手が数多く存在します。たとえば、テストの計画や設計を行う段階では、開発の担当者と連携して内容を調整します。

円滑なやり取りを実現するには、意見を正確に伝える能力や、相手の意見を聞く傾聴力などのコミュニケーション能力が大切です。

テストエンジニアの副業のメリット

ここでは、テストエンジニアの副業のメリットを3つ紹介します。

収入を増やせる

テストエンジニアの副業を始めるメリットの一つ、収入が増加することです。
本業でもテストエンジニアの仕事をしている場合、スキルや知識をそのまま副業に活用して稼げます。

テストエンジニアの副業で得られる収入は、稼働時間や案件の単価によって変化します。専門性が高い案件を受注できると、収入を大幅にアップさせることが可能です。どの程度収入を上げたいのかを検討したうえで案件を精査することがおすすめです。

スキルアップやキャリアアップにつながる

副業を始めることで、テストエンジニアとしてのスキルやキャリアを高められます。副業では、本業とは異なる業務や勤務形態の環境で、新たな経験をすることが可能です。

副業を通じてさらに幅広い知識と経験を積んだテストエンジニアは、独立してフリーランスとして活躍することも視野に入れられます。

人脈を広げられる

テストエンジニアの副業をやるメリットは、人脈を広げられることです。本業では出会う機会のないエンジニア仲間や、クライアントとの関係構築ができます。

新たに人脈を形成できると、チームのメンバーから技術を学ぶ機会や、新しい案件を紹介してもらえる機会がつかめるでしょう。

テストエンジニアの副業のデメリット

テストエンジニアの副業にはデメリットもあります。
ここからはデメリットについて紹介します。

本業との兼ね合いが難しい

本業との両立は、テストエンジニアの副業を始めるときに直面する課題です。稼働時間の調整に失敗すると、本業と副業が両立できなくなるおそれがあります。

特に、本業でフルタイムの勤務をするケースでは、副業にかける時間の調整が重要です。深夜にわたる長時間の稼働は、本業のパフォーマンスに支障をきたします。
また、余暇に回せる時間を失い、体調を崩してしまう可能性もあるでしょう。

上手く稼げないこともある

テストエンジニアの副業を始めて間もないうちは、上手く稼げないことがあるでしょう。

案件の探索や受注から納品に至るまで、副業で収入を得るには多くのハードルが存在します。特に、副業やテストエンジニア自体が未経験だと、収入の確保は困難です。実績不足のため、案件に応募しても受注できないケースも想定されます。

副業の収入を安定させるには、スキル習得や実務経験の蓄積が重要です。

テストエンジニアに必要な能力やスキルアップ方法などを知りたい場合は、「テストエンジニアの仕事とは？年収や将来性なども詳しく解説」の記事も参考にしてください。

テストエンジニアの副業の始め方

ここでは、テストエンジニアの副業を始めるときの手順を解説します。
しっかり準備をして副業を始めましょう。

1.本業の会社での副業規定を確認する

就業規則で副業が禁じられている会社では、副業が発覚すると処分を受けます。
テストエンジニアの副業を検討するときは、本業の勤務先で副業が禁止されていないかどうかを必ず確認しましょう。
また、副業が許可されている会社であっても、稼働時間や日数など条件つきの場合もあるため、会社に確認を取ることが重要です。

会社に無許可で副業を始めた場合も、住民税が変動することで副業が発覚するおそれがあります。
本業の会社に副業がバレるリスクや対策法については「ダブルワークがばれる理由は？会社と揉めないための対策も解説」の記事に掲載しているので、不安な方はこちらの記事も参考にしてください。

2.自分のスキルと経験を棚卸しをする

テストエンジニアの副業を始める前に、自分が持っているスキルと経験の棚卸しをしましょう。ここでの棚卸しとは、過去の仕事をすべて洗い出し、自身が身につけた能力や、経験した業務を一覧として整理することです。

棚卸しを通じて、現時点で受けられそうな仕事のレベルや、将来の目標とするレベルの策定が可能です。
また、整理したスキルや経験の情報は、案件に応募するときの自己PRにも利用できます。

3.スキルを習得する

テストエンジニアとして求められるスキルの習得を目指しましょう。新たにスキルが身につくと、案件を受注できる可能性が広がります。
スキルの具体例は、システム開発の能力やテスト業務の経験などです。テストエンジニア自体が未経験の方は、ITの基礎から学びましょう。

また、資格を取得することも有効です。資格取得のための勉強をするうちに力が身につき、獲得した資格はスキルの証明になります。
テストエンジニアにおすすめの資格は「テストエンジニアが取得しておくと役立つ資格は？将来性も解説」の記事を参考にしてください。

4.実務経験を積む

スキルの習得とあわせて、実務経験を積み重ねることが大切です。
発注側はテストエンジニアとしての実績を重視する傾向にあります。

経験が乏しい場合でも、実績づくりは可能です。たとえば、「未経験者・初心者歓迎」と描かれた案件では、簡単なテスト業務を任せてもらえます。
最初は難易度の低い案件から始めて、徐々にレベルの高い案件に挑戦しましょう。

5.サービスに登録して案件を探す

テストエンジニアの副業案件を探す際は、各種サービスへ登録して探しましょう。
複数のサービスに登録し、同時に多くの案件が選択肢に入るような環境にすることがおすすめです。

以下で、テストエンジニアの副業案件を探すときに活用できる各種サービスを紹介します。

エージェントの活用

エージェントサービスを利用すると、テストエンジニアの副業案件を効率よく探せます。スキルや希望条件を登録することで、プロのエージェントに仕事を探してもらえるサービスです。
エージェントサービスは、スキルや経験があり、単価の高い案件を探したい人に向いています。
利用手数料として報酬から差し引かれるマージン率を比較し、自分に適したサービスを探しましょう。

エージェントの探し方について詳しく知りたい方は、「フリーランスエンジニアになりたい人必見！頼りになるエージェントを見つけるコツとは？」の記事を参考にしてください。

クラウドソーシングの活用

テストエンジニアの副業を探す際は、クラウドソーシングを活用しましょう。クラウドソーシングは、クライアントが案件情報を公開し、不特定多数の働き手からプロジェクトへの参加者を募る仕組みです。

クラウドソーシングサイトには多数の案件が公開されています。
また、クラウドソーシングには初心者向けの低単価案件も多く、実績づくりに向いたプラットフォームです。

エージェントサービスと同様に、報酬額からシステム利用料が差し引かれます。複数のサービスを比較しましょう。

求人検索サイトの活用

求人検索サイトも、テストエンジニアの副業の仕事を探せるツールです。
希望する勤務時間や雇用形態を選んで検索できる点は、求人サイトのメリットです。

応募や自己PRの手間はかかるものの、上手く活用すると高報酬の案件が受注できるでしょう。

SNSの活用

SNS上で営業活動をすることで、テストエンジニアの副業案件を獲得することが可能です。
クライアントが発信している案件情報にリアクションしたり、同業者と情報交換をしたりすることで、テストエンジニアの副業案件を見つけます。

エージェントやクラウドソーシングなど第三者を介するサービスとは異なり、発注者と直接やり取りできます。

人脈の活用

インターネットのオンラインサービスに加えて、オフラインの人脈も活用できます。テストエンジニアの実務経験を持つ方は、本業で築いている人脈の活用が可能です。

たとえば、同僚や友人に仕事を紹介してもらう方法や、前職の取引先と連絡を取る方法など、自分ならではのルートで案件を探し出せます。

ただし、契約の手続きや報酬の交渉などを自力で行わなければならないため、営業力を身に付ける必要があります。
営業活動については「フリーランスの営業のやり方とは？成功させるコツや戦略も紹介」の記事で解説しています。併せてご覧ください。

テストエンジニアの副業の選び方

ここでは、テストエンジニアの副業案件を選ぶ際のポイントを4つ紹介します。
自分が希望する条件に基づいて案件を選びましょう。

案件あたりの単価はどのくらいか

テストエンジニアの副業案件を選ぶときは、案件の報酬単価を確認しましょう。

自分の市場価値を知り、さまざまな形式の案件を調べ、テストエンジニアとして要求されるスキルや業務内容と単価相場の関係を把握することが大切です。
相場よりも明らかに単価が低い案件への応募は避けるようにしてください。

土日や平日夜、早朝に稼働できるか

自分の生活リズムに合った稼働ができる案件を探しましょう。

たとえば本業で日中にフルタイムの勤務をしているケースでは、平日の日中の稼働が不可能です。つまり、平日の早朝や夜、または土日が副業の主な稼働時間にあたります。
希望の時間での稼働が認められているかを事前に確認しましょう。

週の最低稼働時間が少なくても参画できるか

初めてテストエンジニアの副業に挑戦するケースでは、いきなり長時間の稼働に取り組むことは困難です。少ない稼働時間での参加が認められている案件を中心に探すことがおすすめです。

具体的には、週1～2日の稼働が認められている案件であれば、副業の初心者でも応募しやすいでしょう。慣れてきたら、徐々に稼働時間を伸ばすことを検討しましょう。

リモート勤務が可能かどうか

テストエンジニアの副業では、リモートでの勤務ができることも重要な条件です。
限られた時間で副業に着手するには、出勤の必要がないリモート可能な案件が適しています。

フリーランスHubの案件情報では、2025年1月時点におけるテストエンジニアのリモートワーク案件と常駐案件の割合は、リモートワーク案件が540件（29.5％）、常駐案件が1,291件（70.5％）でした。
リモートの条件は、案件の競争率が高い傾向があります。リモートでしか副業に取り組めない方は、さまざまな方法で案件を探しましょう。

テストエンジニアの副業をするときのポイント

最後に、テストエンジニアの副業をするときのポイントを紹介します。
ここで紹介する4つのポイントを押さえて、副業に取り組みましょう。

スキルアップし続ける

スキルを向上させると、自分のテストエンジニアとしての市場価値を上げる効果につながります。結果として、より高単価な案件の受注が可能です。
テストエンジニアにおけるスキル向上の例は、以下のとおりです。

• ひととおりのテスト作業を経験する
• テストの自動化ツールを使いこなす
• テスト工程のマネジメントを担当する
• 資格を取得し、体系的な知識を習得する

新たなスキルを身につけたときは、その都度ポートフォリオや自己PRをアップデートし、レベルがより高い案件の受注を目指しましょう。

ポートフォリオを作成するときは「ポートフォリオとは？作る意味やビジネスでの必要性、構成例などを解説」の記事を参考にしてください。

スケジュール管理を意識する

テストエンジニアの副業に取り組む際は、本業の時間も考慮に入れたスケジュール管理が大切です。本業があってこその副業のため、体調や生活リズムに悪影響が出ないように心がけましょう。

本業と副業のバランスが取れると、自分のパフォーマンスが最大限に発揮でき、収入も向上させられる可能性があります。

税金の申告の要否を把握する

テストエンジニアの副業をしたときは、確定申告の必要性を把握しましょう。

会社員の所得税は、毎月の給与から源泉徴収で差し引き、会社が納税する仕組みです。一方で、副業による所得が年間20万円を超えると、確定申告の義務が発生します。

確定申告に関する詳細は「業務委託に確定申告は必要？具体的なやり方も紹介」の記事を参考にしてください。

フリーランスになる場合はタイミングを見極める

テストエンジニアの副業が軌道に乗り始めると、本業を辞めてフリーランスへの転身を考え始める方もいるでしょう。会社員からフリーランスへの転身は、タイミングの見極めが重要です。

副業の収入が安定していないうちは、本業を手放すと大幅な収入減につながるおそれがあります。しかし、副業で本業と同等または本業以上に稼げているのであれば、フリーランスへの転身が成功する可能性は高いといえます。
また、事務作業や営業活動の見通しも立ててからフリーランスへの転身を検討しましょう。

まとめ

この記事では、テストエンジニア副業について解説しました。システムの動作や不具合の検証をするテストエンジニアは、スキルと経験があれば高単価の案件を獲得できるチャンスがあります。

自分の市場価値を把握し、必要なスキルを習得したうえで実務経験を積み重ねることが大切です。また、異なる種類の求人サービスに登録すると、数多くの求人を探せます。
エージェントやクラウドソーシングを活用して、市場のニーズに応えられるテストエンジニアを目指しましょう。