フリーランスは新卒でもなれる？メリット・デメリットや必要なスキルを解説

フリーランスは会社や上司に束縛を受けず、スキルを存分に発揮できる働き方だと感じる人は多くいます。しかし、新卒からフリーランスで働くにはスキルや人脈、経済力といった条件を満たさなければならず、成功するのは簡単ではありません。

本記事では、新卒でフリーランスになるメリット・デメリットや必要なスキル、おすすめの職種などを解説します。新卒からフリーランスを目指したい方は、ぜひ参考にしてください。

新卒からフリーランスになるのはリスクが高い

新卒からフリーランスになるのはリスクの高い選択だと考えられます。

新卒という就職に有効なカードを失うだけでなく、研修や指導がないためすべてを自分で学ばなければなりません。いざ就職したいと思い直したときには、新卒の肩書が失われています。

「やはり厳しい」と感じてやり直そうとすると、新卒時の就職以上に難易度が高くなります。新卒でフリーランスを目指す場合、こうしたリスクを念頭に入れましょう。

新卒でフリーランスになるデメリット

新卒からフリーランスで働くデメリットを紹介します。フリーランスは税金の手続きに加え、自己管理やスキル習得など大変な面が多くあります。デメリットを把握し、リスクに備えましょう。

自分で税金を管理しなくてはならない

会社員なら所得税や住民税、社会保険料は会社が管理し、給与から天引きで支払われます。少なくとも新卒の間は、税や保険料を意識する機会はありません。

フリーランスは自ら確定申告して、税金や保険を自分で納めなければなりません。フリーランスは業務の知識やスキルだけでなく、お金に関する知識が必要です。

税金については､｢フリーランスが支払う税金の種類や節税対策について解説！｣の記事もチェックしてみてください｡

研修を受けられない

新卒の会社員には、入社後しばらくは研修が施されます。配属予定の部署でのOJTを通じ、手厚い指導が受けられるでしょう。未経験の仕事内容でも研修を受ければ、一定レベルまで知識やスキルが引き上げられます。

対して、新卒フリーランスに研修はありません。フリーランス案件では即戦力が求められるので、すでに一定の知識・スキルがあるのが前提の働き方となります。

仕事量や報酬が不安定である

会社員は仕事について会社から指示を受けます。フリーランスは営業活動から自分でしなければなりません。自ら営業して仕事を獲得し続けなければ、満足のいく報酬を得られないでしょう。

仕事と報酬の不安定さはフリーランスのリスクです。新卒フリーランスはスキルの証明がないことが多いので、実績が受注につながるフリーランスとして安定的に仕事を得るのは厳しいといえます。

社会的信用を得にくい

フリーランスと会社員は、社会的な信用度に大きな差があります。社会的信用は、クレジットカードの契約やローンの申し込みに影響します。会社員なら問題なく通過できる契約でも、フリーランスは厳しい視点でチェックされるでしょう。

転職のときに苦戦しやすい

新卒からフリーランスとして働くと、転職時に経歴が不利になる恐れがあります。新卒での就職では将来性込みで採用されます。一方転職では、企業は即戦力として働ける人材を求めるでしょう。

もちろん、フリーランスで即戦力となれる実績を積んでいれば問題ありません。しかし、そうでない場合、新卒に比べると採用のハードルが高くなります。

また、新卒からフリーランスで働いていると、採用担当者から「この人は会社での仕事に向いていないのでは？」と思われる可能性もあります。

自己管理が必要

フリーランスは働く時間や日々の仕事量が決まっていません。

時間があっても仕事がなければ収入は得られず、働いた方が良いのに怠けることもできます。納期ギリギリで仕事をこなす姿勢が身につくと仕事の質が下がり、信用を失いかねません。

自分の仕事量を見定め、時間管理ができる人でなければ、フリーランスとしての活躍は難しいでしょう。

やめたほうがいい理由については､｢フリーランスはやめたほうがいい理由は？メリットや続けるためのコツも解説｣の記事でもまとめているので興味のある方はご覧ください｡

新卒でフリーランスになるメリット

新卒からフリーランスで働くことにはメリットもあります。個人のスキルや性格次第ですが、新卒採用と比べて充実した仕事ができるでしょう。新卒フリーランスのメリットを解説します。

好きな仕事ができる

フリーランスは仕事の分野や内容、取引先を自分で選べます。仕事を依頼される範囲内ではありますが、業務内容を自分で選択できるのはフリーランスの大きな強みです。

サラリーマンの場合、会社の指示で向いていない部署に回される恐れもあります。自分は営業に向いていないと感じても、「営業は仕事の基本だから」と強要されるケースは多々あるようです。

こうした異動を気にせず、自分の得意分野で勝負できるのはフリーランスのメリットです。

時間や場所を自分で選べる

フリーランスは仕事を納期までに仕上げるのが第一で、それが可能ならフルタイムで働く必要はありません。

自分のペースで仕事を進めて、余った時間を他のことに自由に使えます。働く場所も自宅やオフィスなど自由に選択可能です。もちろん転勤はなく、家庭と離れて暮らす心配もありません。

仕事をする時間や場所を自分で選択できるのはフリーランスの強みです。

在宅ワークについては､｢在宅ワークで稼ぐことはできる？稼げる職種や案件獲得方法について解説！｣の記事でも詳しく解説しています｡

責任ある立場を経験できる

新卒採用であれば研修から始め、少しずつ業務経験を積みます。責任ある立場につくには何年もかかるのが一般的でしょう。

フリーランスであれば、早い段階からディレクションやマネジメントを経験できます。スキルがあるのが前提ですが、取引先と対等に交渉し、自分の強みを活かす形で業務を進められます。

就職活動が不要になる

通常、新卒の就職活動には1年から2年程度の期間が費やされます。説明会に参加し、面接を何度も繰り返すでしょう。企業研究や面接の練習も欠かせません。

新卒フリーランスは、こうした時間を他のことに充てられます。フリーランスのスキルや経験、知識を身に付ける時間として学生生活の後半を費やせるでしょう。

自分の希望する職種でアルバイトとして経験を積んだり、資格や技能の習得に時間を使ったりすることもできます。

高収入を目指せる

会社員の成果は企業が受け取り、収益から給与や賞与が支払われます。

フリーランスでは成果はすべて自分の報酬になります。1人で案件を成し遂げた場合、その成果と報酬はすべて自分のものです。そのため、結果次第ではフリーランスは会社員より高収入を目指せる可能性があります。

収入アップについては､｢フリーランスの年収は？中央値や手取り相場、収入アップの方法を紹介！｣の記事も参考にしてください。

新卒でフリーランスになるための最低条件

誰もが新卒からフリーランスで働けるわけではありません。フリーランスで安定して働くうえで求められる最低条件があります。

自己管理ができる

自己管理ができるのは、フリーランスとしての最低限の条件です。

フリーランスは仕事の量や時間を自分の裁量で決められます。フリーランスはスケジューリングや自己管理をできることが前提で成り立つ働き方です。

自分に甘えず時間を有効に使える人でなければ、フリーランスとして実績を重ねるのは難しいでしょう。

ニーズを踏まえた事業をしている

フリーランスで仕事を受けるには、業務がある程度社会的なニーズに合致する必要があります。

ニーズの多い業務でもその分野に多くの会社が参入していたら、フリーランスが割り込む余地がない恐れがあります。この場合は仕事の受注が難しいでしょう。

フリーランスとして成功した多くの人は、一般企業では満たせない特定のニーズに特化した仕事をしています。フリーランスで働く前にはこうしたニーズの分析が欠かせません。

事業内容に対する高いスキルと営業力を持っている

ただ黙って待っているだけでは仕事は得られません。フリーランスとして安定して働くには、案件を獲得し続ける営業力が求められます。

クライアントと対等に交渉して報酬に見合う案件を獲得するには、業務に関する高い知識とスキルが必要です。新卒フリーランスは、経験の面で不利といえます。クライアントが納得するだけの資格やスキルを示さなければ、仕事を得られないでしょう。

向上心がある

フリーランスの収入は、自分の市場価値に応じて決まります。現在ある程度ニーズがあり、仕事を獲得できていても、その状態を維持できるとは限りません。自分のスキルや市場価値を高め続けるのが長く活躍する条件です。

常に次のステップを見据えて準備してスキルアップできる人は、フリーランスとしての成功が見込めるでしょう。

礼儀・社会常識を備えている

新卒の会社員は社会人としての礼儀や立ち居振る舞い、社会常識などを研修で学びます。対してフリーランスは、礼儀や社会常識も自力で習得しなければなりません。自己研鑽が不十分でマナーに問題があると、社会人としての信用を得られないでしょう。

また、プロとしての自信と余裕を感じさせる振る舞いや、人から好印象を持たれる言動もフリーランスに不可欠な要素です。

フリーランスよりも会社員が向いている人の特徴

新卒フリーランスとして働くには、相応の資質が求められます。新卒フリーランスを目指すより、最初は会社員としてキャリアを積む方が向いている人もいます。

他人の目が気になる

周囲の評価や他人の目が気になる人は、フリーランスより会社員の方が向いているでしょう。フリーランスで働くと、社会的な信用や周囲からの理解が得にくくなります。長く働くには挫折や批判を過度に気にせず、前向きに捉えるメンタリティが求められます。

周囲からの評価でやる気や向上心が増すタイプの人は、最初は会社員としてキャリアを積みましょう。

実績や人脈がない

フリーランスとして仕事を獲得するには、実績や人脈が必要です。

実績や人脈に不安がある人は一度会社員として働き、ある程度それらを得てからフリーランスとして活動することを検討しましょう。実績に自信を持ち、人脈が広がってからフリーランスを選択しても遅くはありません。

また、会社員の間に自分がフリーランスとして働けるかどうか見極めるのも大切です。

金銭に余裕がない

フリーランスは収入が不安定になりがちです。ある程度の実績や成功体験を積むまでは、安定した収入は望めないでしょう。目安として、収入がなくても3ヶ月程度は生活できるだけの貯蓄がないと、フリーランスの活動は難しいといえます。

新卒の時点で金銭的な余裕がなく、貯蓄が少ない人がフリーランスを選ぶと危険です。会社員として働きつつ、充分な貯蓄を蓄えてからの独立の方がリスクが少ないでしょう。

新卒フリーランスに必要なスキル

新卒からフリーランスとして働くのはリスクが伴う選択です。しかし、一部の人にとってはフリーランスの方が自己実現を果たせるでしょう。

ここからは、新卒フリーランスに求められるスキルを紹介します。フリーランスを検討している人は、自分にこれらのスキルが備わっているかどうか確認してください。

専門性

フリーランスは会社で受ける教育や研修を受けられません。仕事をするうえでのスキルや専門性は自力で身に付ける必要があります。

フリーランスとして働くと、年齢や経験に関係なく同業者と競い合うことになります。専門性がないと、案件獲得は難しいでしょう。案件が獲得できるだけの専門性やスキルが身についている人は、新卒であってもフリーランスとして活躍できます。

営業力

フリーランスとして仕事を続けるには、自分のスキルをアピールする力が欠かせません。

フリーランスへの案件紹介サイトやエージェントが存在しますが、求人に応募する際は実績やスキルを自分でクライアントに伝えます。アピールする力が弱いと、受注相手として選ばれにくくなるでしょう。

また、多くの案件はオンラインでやり取りします。そのため、文字で自己をアピールをできる文章力も求められます。

また､｢フリーランスの営業のやり方とは？成功させるコツや戦略も紹介｣の記事では営業について紹介しています｡

計画力

フリーランスにとって、期限内にきちんと仕事を終わらせるのは最低条件です。期限に間に合わない、品質が基準に達しない状態での納品を繰り返すと、クライアントからの信頼を失い、新たな案件の獲得が厳しくなります。

計画性を持って充分な品質の仕事ができるよう、計画・実行するスキルが求められます。

コミュニケーションスキル

フリーランスは案件を獲得した後も、打ち合わせや確認作業でクライアントと頻繁にやりとりをします。書面やメールでのやり取りも多いので、クライアントの意図を汲み取って期待される条件を考慮するコミュニケーションスキルが必要です。

また、やり取りを通じて自分から人脈を広げる積極性も求められます。高いコミュニケーションスキルがあると、フリーランスとしての可能性が広がるでしょう。

向上心

高い向上心は、フリーランスのみならず社会人として成功するために必要な条件です。

現時点での自分のスキルを客観的に評価し、将来に向けてどの方向にスキルアップするか考える向上心が欠かせません。フリーランスとして長く仕事をするには、積極的な勉強や学ぶ姿勢が重要です。

経理の知識

フリーランスは自ら確定申告をします。経理処理や書類の作成、帳簿付けへも自力で対応できなければなりません。経理の知識が足りないとこうした作業に時間がかかり、意図せず脱税をしてしまうケースもありえます。

経理の知識をしっかり身に付ける、会計ソフトを利用する、税理士に頼むなどの対策をしましょう。

経費については､｢経費の勘定科目一覧｜個人事業主の按分方法や節税対策なども解説｣の記事でも役立つ情報を紹介しています。

フリーランスにおすすめの職種

すべての職種でフリーランスとして活躍できるわけではありません。フリーランスに向いている職種と向いていない職種があります。ここからは、フリーランスにおすすめの職種を紹介します。

エンジニア・プログラマー

エンジニアやプログラマーは、フリーランスとして活動しやすい職種です。近年はAIの発展や急速なDXの浸透に伴い、プログラマーやIT系エンジニアの需要が高まっています。

ただし、これらの職種で活躍するには、最新の言語やITの情報に加え、幅広い知識とスキルが必要です。在学中から多くの言語に触れ、経験を積んでおきましょう。

また､｢システムエンジニアとプログラマーの違いは？仕事内容や必要なスキルを解説｣の記事では違いについて紹介しています｡

ライター

ライター業はフリーランスとの相性が良く、多くのフリーランスが存在する職種です。

初心者向けから上級者まで幅広い仕事があり、案件数が多いのもフリーランスとして参入しやすい理由だといえます。オンラインの記事を執筆するWebライターというジャンルが確立されたことも、ライター人気を後押ししていると考えられるでしょう。

ただし、ライターの報酬は実績やスキル次第で大きく変わります。新卒時点では生活できるだけの報酬が得られない可能性もあるので注意してください。

フリーランスライターについては､｢フリーランスライターになるには？仕事の探し方や必要スキルを紹介｣の記事でもまとめているので興味のある方はご覧ください｡

デザイナー

デザイナー業もインターネットを通じて多くの案件が募集される職種です。クライアントの要望を聞きながらサイトを構築するWebデザイン系の仕事は、近年増加傾向です。

Webデザインには専門的な知識が必要で、プロジェクト次第では実務だけでなく適切な助言も求められます。多くの技能が必要なので、職種自体のハードルは高いといえます。

デザイナーについては､｢デザイナーの種類と仕事内容は？年収やあると活かせる資格も解説｣の記事もチェックしてみてください｡

イラストレーター

イラストレーターは本や雑誌、ゲーム、ポスターなどで使用するイラストをデザインする職種です。

クライアントから依頼を受けて適切なイラストを描くので、ニーズを汲み取るスキルが求められます。近年はIllustratorやPhotoshopを使用して仕事が主流なので、こうしたソフトを使いこなす力も欠かせません。

また、SNS経由で仕事の依頼を受けるケースも多く、オンラインの活動や宣伝が案件獲得を左右します。

イラストレーターについては､｢イラストレーターの仕事内容や流れは？単価相場や必要なスキルなども解説｣の記事も参考にしてください

スポーツインストラクター

スポーツインストラクターはジムやフィットネスクラブ、スポーツクラブの外部講師として働く職種です。学生のときからアルバイトで経験を積んでいる人におすすめといえます。

ただし、スポーツが好きなだけでは仕事が務まりません。専門知識やトレーニングのノウハウ、人を励ます方法、セルフプロデューススキルに応じて評価が大きく分かれます。

新卒フリーランスのキャリア

新卒でフリーランスになったあと、今後のキャリアをどのように重ねるかという見通しは将来を左右する要因です。働く前や働いている間は自分のキャリアについて考えましょう。

フリーランスを続ける

フリーランスとして成功すると、多くの人がそのまま働き続けます。何年も経つと、自分のアピールポイントやセールスポイントが明確になるでしょう。

将来の展望や今後のキャリアアップを常に意識し、自分をアップデートするのは必須です。現状に満足せず、上を目指す姿勢を持ちましょう。

法人化する

新卒フリーランスとして事業に成功し、法人化にたどり着く人もいます。多くはありませんが、フリーランスの成功例の一つです。

フリーランスの起業は失敗談が話題になりやすいため、不安になる方もいるでしょう。しかし、フリーランスとして実績を積んだうえでの起業や法人化は、必ずしも失敗するとは限りません。

法人化はフリーランスとしてのスキルやノウハウを保ちつつ、新しいクライアントを開拓できる有望な選択肢です。

法人化については､｢個人事業主が法人化するメリットとは？デメリットや手続きの流れも解説｣の記事でも詳しく解説しています｡

就職する

フリーランスとしてある程度の実績を積んだあと、改めて就職する人もいます。フリーランスとして得た経験とスキルを軸に、起業にハンティングされることもあるでしょう。クライアント企業にそのままスカウトされるケースもあります。

いずれも仕事内容が評価されて得られる着地点です。早くから責任ある立場で働けるため、新卒フリーランスの成功例と考えられます

まとめ

新卒フリーランスは、決して安易に選択できる道ではありません。しかし、スキルや経験が十分にあれば、成功を手にする可能性がある道でもあります。自分のスキルや条件、職種などをよく考えてから新卒フリーランスを目指しましょう。