WordPressを使う仕事は具体的にどのような内容か気になる人は多いでしょう。必要なスキルや仕事を獲得する方法についても把握しておきたいところです。また、WordPressは未経験のフリーランスにも向いていると言われています。その理由や、フリーランスでWordPressに関する仕事を獲得するときの注意点についてもまとめました。
WordPressとは
WordPressは、ブログソフトとして開発されました。コンテンツマネジメントシステム（CMS）として認識している人は多く、CMSにおけるWordPressのシェアは高くなっています。
CMSのデファクト・スタンダードと言ってもいいWordPressは、フリーランスエンジニアを志望する人には、おすすめの技術です。
WordPressが利用される理由
WordPressが大企業や個人事業主の間で利用される理由をまとめました。メリットを知って、効率よくサイトの構築やカスタマイズをしましょう。
費用が掛からず、導入が簡単
WordPressは、無料で利用できるオープンソースのソフトウェアです。サイトの構築やカスタマイズも無料でできます。初めてWebサイトを制作する方にも初期費用がかからない点で人気です。
ただし、サーバー代・ドメイン使用料金はかかります。サイト名を広めたいときは、料金を支払って独自のドメインを採用しましょう。
また、高い機能性や凝ったデザインを求める際は、有料プランの利用もおすすめです。
インターネット上に情報が多い
WordPressは、利用率が高いオープンソースです。操作も簡単なツールのため、個人事業主や中小企業も利用しています。
そのため、インターネット上に基本の操作方法やより活用できる機能性について情報が出回っています。初心者も、インターネットの情報のみでサイトを制作・運用できるツールです。
他のCMSは専門の指南書を手に入れて学ぶ必要がありますが、WordPressであればインターネット上にも情報が多いため、簡単に新しい情報を手に入れて知識を得られます。
拡張性が高く、対応範囲が広い
WordPressは、独自のデザインや機能を増やす拡張性が高いツールです。
プラグインやテーマを使用すればさまざまな希望を実現できます。同業他社との差別化を図るために、オリジナルのデザインや機能を構築したいときも、専門のプラグインを盛り込めば簡単に実装可能です。
企業向けサイトの構築であれば、専門の知識がある程度必要となります。専門知識を得ることで、自作もできるでしょう。
複数人で同時に編集可能
サイトは中身を充実させることで、信頼やリピーター獲得につながります。
WordPressは、IDとパスワードがあれば同じWordPress上に複数人がログインして編集もできるので、担当者が複数人いればより多くの情報や機能を搭載できるでしょう。
作業効率を上げて短時間で作業ができるため、より顧客が求めるサイト構築を目指せます。
サイトの定期的な更新や新商品のアップをすることで、リピーター獲得も目指せるでしょう。
WordPressに関する仕事の種類
WordPressを扱う仕事は、副業やフリーランスとしての人気が高いです。どのような仕事内容があるかまとめました。
サイト構築・リニューアル
WordPressを扱う業務のなかでも多いのが、新規でのサイト構築や既存HTMLサイトのWordPressへの移行といったリニューアル業務です。
WordPressエンジニアが行うサイト構築・リニューアルの業務内容は幅広いものの、多くはレンタルするサーバーの選定から始まります。その後WordPressのインストールやクライアントからのヒアリングを行い、適切なサイト制作を開始。WordPressはテーマのテンプレートが豊富なので、クライアントが希望するテーマがあればそれを利用します。
テーマを使用せずゼロからすべて作っていく完全オリジナルな仕事も需要があり、その場合は少し難易度が高いでしょう。
テーマのカスタマイズ・改修
既存のWordPressブログやWebサイト、テーマに対してクライアントの希望に合わせたカスタマイズをする業務です。こちらはすでにできあがっているものに手を加えることになるため、通常あまり多くの時間はかかりません。
ただし、カスタマイズの内容によっては時間と労力を要し、単価も高くなる傾向にあります。受注する際は自分の持つスキルの範囲でできる内容かどうか、しっかりとヒアリングをしてから受注するようにしましょう。
オリジナルテーマの開発・販売
WordPressに関するスキルと知識が豊富な人なら、自分で作ったオリジナルのテーマを販売することもできます。ただし、ユーザーライクなデザインや機能性を考えながら制作する必要があるので、開発スキルはもちろんデザインスキルも必要です。
また、制作・販売したら終わりではなく、メンテナンスやアップデートなどのアフターサポートも必要なため、継続的に手をかけることが必要になります。そのためテーマ販売は、WordPress関連のなかでもかなり難易度が高い業務であると言えるでしょう。
WordPressでのサイト制作の手順
WordPressエンジニアの仕事について、具体的な流れを追っていきましょう。ここでは、小規模な企業サイトを作る一般的な手順について説明します。
サイトの構成等はクライアントからの指示があるほか、WordPressをインストールする環境は用意され開発には既存のテーマを用いるのが前提です。
WordPress本体のインストール
多くの場合、WordPressを使ったWebサイトは、レンタルサーバー上に展開されています。また、独自ドメインを取得して、サイトを運用しているケースも増加中です。
レンタルサーバーなど、クライアントから用意された環境にWordPressをインストールします。主要なレンタルサーバーでは、WordPressのインストールはいくつかの設定のみで、簡単に行うことが可能です。
テーマの選定とインストール
WordPressで重要な意味を持つのが、テーマの選定です。新しく作るWordPressサイトでの、構成あるいはコンテンツを考慮して使用するテーマを決めます。
テーマには、無料のものと有料のものがあり、有料テーマはデザイン性も高く機能も豊富です。価格にも幅がありますので、あらかじめリサーチしておくといいでしょう。対象となるテーマをダウンロードして、インストールを行います。
WordPressでできることを追加するプラグインも、必要に応じてインストールしましょう。
コンテンツの作成
固定ページの基本的な設定を行います。WordPressにおける固定ページとは、ブログや掲示板のように投稿を行うページ以外です。
さらに、ページレイアウトの編集を行います。サイトのタイトル変更、キービジュアルとなる画像の設定などを行った後、固定ページやフッターの編集を行う流れです。
デザイン等の調整
コンテンツができ上がったら、HTMLやCSSを変更してデザイン面の調整を行います。デザインはクライアントから指示があることも多いです。デザインについては、HTMLやCSSに詳しい人に外注に出すこともあります。
また、表示項目の追加や変更も必要に応じて行いますが、この場合はPHPを用いることが多いです。
これらの作業が終わったら各種テストを行い、問題なければ納品。ページ追加や修正といった仕事では必要な作業を行いテスト、納品となります。
WordPressの仕事が未経験者にも向く理由
WordPressの仕事はフリーランスになってから日が浅い人にも向いている理由を解説します。
基本を習得しやすく、学習コストも低い
仕事を受注できるスキルレベルは概ね、以下に示す通りです。
- 基礎的なHTMLおよびCSSの知識がある
- WordPress管理画面の扱いができる
- HTMLをWordPress化できる
- WordPressをサーバーにインストールできる
- 基本的なデザインの知識がある
ここまでの学習を、比較的容易に行うことができます。プログラミングスクールの利用が近道ですが独学でも十分身につけられますし、HTMLやCSS、デザインの知識も模写によるトライ＆エラーで身につけることが可能です。
基本スキルだけでできる改修業務もある
サイトの改修では上記の技能があれば容易に対応可能です。
改修は主にページの追加、デザインや不具合などの修正で、広く利用されているWordPressにはこうした小さな内容が数多くあります。
経験が乏しい状態で大きな仕事に入るのは難しいため、小さな業務で実績を積み上げ自信をつけることも大切です。
経験が少なくても、在宅でフリーランスが可能
WordPressを使用する仕事は規模が小さなものが主流で、新規の開発でもチームで開発を行うというものがあまりありません。
このことも、経験が少なくても仕事を請けやすいというWordPressの特色につながります。在宅向きですので、とりわけクライアントへの常駐を望まない人には魅力的です。
PHPスキルを着実に上げられる
WordPressは、プログラミング言語であるPHPで作られています。そのため、WordPressの仕事では、PHPで書かれたプログラムを変更するシーンも多いです。
ネットに情報の多いWordPressなら分からないことがあっても検索して対応可能ですし、実際の変更結果はその場で確認することができますので、PHPやプログラミング言語への理解が浅い人でも対応できます。
WordPressを使った仕事を繰り返すことで、ゆっくりとはいえ着実に、PHPのスキルを向上させることができるでしょう。
高単価の仕事も多い
WordPressの仕事は、単価も比較的高いことが多くなります。クラウドソーシングサイトを見ても、同じWebサイト関連となるHTMLやCSSを使った開発に比べると、単価は高めです。
これには、HTMLやCSSを操作できる人は比較的多く、WordPressで開発ができる人はまだ少ないからという理由があります。
また、WordPressで作ったサイトは継続的に手を入れる必要があるため、開発や修正の仕事を請けたサイトについてはその後も需要があるといえるでしょう。
金額が小さくても保守契約をいくつか締結できれば、収入を安定させることができます。
WordPressエンジニアになる方法
WordPressエンジニアになるには技能や知識が必要です。習得するための主な方法としては、以下が考えられます。
独学
独学は、少しの時間でも学習を積み重ねれば知識の習得ができ、費用面での負担が少ないことがメリットです。
手順としては、学習サイトが提供している動画で概要をつかむところからはじめるといいでしょう。学習サイトはいくつかありますので、好みで選んでください。動画を見ながら、実際に自分でも操作をしてみることが習熟の早道です。
また、書籍も利用しましょう。ネット上の情報より体系的に書かれているので、断片的なWordPressの知識がつながり、迅速な課題解決ができるようになります。
プログラミングスクール
プログラミングスクールの活用も有効な手段です。スクールではわからない部分も速やかに、講師に確認することができます。
新しい技術を習得する場合、わからない部分をそのままにせず、早めに解消することが大切です。費用は必要になりますが、その分のメリットはあると言えます。
企業で経験を積む
企業で、WordPressの経験を積むという方法もあります。未経験者に対して求人を出していることがあるので、確認してみましょう。
先輩からさまざまな知識や技術を効率的に得ることができるのは、技術を身につけたい人にとっては、大きな魅力となります。
必要なスキル
WordPressエンジニアには、WordPress以外にも必要となるスキルがあります。
プログラミング・マークアップ言語のスキル
Webを構成する基本となるHTML、ページの見え方をサポートするCSSについても、最低限となる部分は知っておきたいところです。HTMLはマークアップ言語と呼ばれるものの一種で、CSSはそれを補完する位置づけです。この2つの言語は、習得は比較的簡単とされています。
プログラミング言語では、PHPの習得が必要ですが、習得の難易度は高くはありません。
HTMLファイルをWordPress化するスキル
依頼のなかには、でき上がっているWebページ（HTMLファイル）のWordPress上への追加という仕事があります。その場合、以下のような手順でHTMLファイルをWordPressに対応させなければなりません。
- 読み込みファイルのパス変更
- HTMLファイルの分解
- ヘッダー・フッターのWordPress対応
- リンク要素のパス変更
- CSSファイルの編集
読み込みファイルやリンク要素のパス変更では、PHPの知識も求められます。とはいえ、一回内容を理解してしまえばそう難しいものではありません。
いずれも定型的な作業ですので、経験を重ねていくことで、効率的に行えるようになります。
各種プラグインに関する知識
PHPには、いろいろな機能を追加できるプラグインが多数用意されています。
最低限必要となるプラグイン、要望を実現するために必要なプラグインを選び、設定ができるレベルが必要です。プラグイン同士での相性から、不具合が発生するケースもありますので、取捨選択と代替案を選ぶことができるだけのノウハウも持っておきましょう。
仕事を獲得するには
どのようにして仕事を獲得するのかも、知っておきたいところです。
フリーランスエージェント
まず検討したいのは、フリーランスエージェントです。エージェントを利用すると、担当者からのサポートが期待でき、業界動向などさまざまな情報を得ることができます。
WordPressの一定以上のスキルがあって、高額な仕事を目指す場合には、このフリーランスエージェントの活用は不可欠であると言えるでしょう。
人脈の活用
過去の勤め先や友人の紹介など、人脈の活用も積極的に検討してください。これまで行ってきたWordPressでの仕事実績などをポートフォリオとしてまとめ、どのようなものを作ることができるかをアピールしていくことで、仕事につながることがあります。
Webサイトやブログを作りたい人がいないか周囲に声がけしてみると、案外見つかるものです。人間関係ができ上がっている相手または関係者との契約ですから、信頼感があります。安心して仕事に取り掛かることができることは、大きなメリットと言えるでしょう。
ブログやSNSでのアピール
ブログやSNSでのアピールです。
ブログであれば、自分で開発したWordPressでのサイトを利用することで、アピールに説得力を持たせることができます。SNSでも、WordPressで勉強したこと、仕事としての実績、やりたいことなどを発信することで、企業担当者の目にとまったり、他のWordPressエンジニアと出会ったりするなど、仕事の可能性は広がります。
こちらは一般に、相応の時間が必要になる方法です。少しずつでいいので、日々発信していきましょう。
仕事の獲得率アップのコツはスキルを掛け合わせること
WordPressでのWebサイト制作は、周辺のさまざまな技術やスキルと組み合わせて行っていくものです。ゆえに、関係するスキルを多く身につけておくことで、可能性は大きく広がります。
WordPressと組み合わせるスキルは複数あるので、以下の例を参照してください。
- インフラの構築力
- デザイン
- ライティング
- Webマーケティング
- データベース
こういったスキルを組み合わせていくことで仕事獲得の可能性が広がっていきます。1つを究めるよりは、複数のスキルを一定水準まで到達させることを優先したいところです。
WordPressで仕事を始める際の注意点
これからWordPressエンジニアとして活動しようと考えている人のなかには、自身のブログやWebサイトをWordPressで運営している人は多いのではないでしょうか。
しかし、WordPress自体を操作するエンジニア側になるのであれば、ユーザーとして使うだけでは分からなかったさまざまな知識やスキルが必要になります。
WordPressの仕組みが分かったからと言って簡単に仕事を受注してしまうと、対応できずにトラブルにつながってしまう可能性もあります。まずはWordPressに関しての自分の知識・スキルを正しく把握し、レベルに合った仕事から徐々にステップアップしていくようにしましょう。
小さな仕事でスキル磨きから始めよう
サイト構築やリニューアル、大規模なカスタマイズの仕事は、多くの時間と労力、WordPressに関する深い知識が必要になります。
しかし、WordPressエンジニアを始めたばかりでそのような仕事を受けるとトラブルにつながる可能性もあるので、まずはサイトの問題改善や復旧、デザイン調整などから受注していくのがおすすめです。
問題なく対応できる自信がついたら、無料ブログサービスやHTMLサイトからのWordPress移行業務、新規サイト構築を経てオリジナルテーマ作成をするなど、知識を学び実践しながら高難易度のものに挑戦していくとよいでしょう。
仕事の相場を知っておこう
フリーランスとして活動する場合、募集への応募や企業に直接営業をかけることで仕事を受注します。しかし、毎月常に同じ業務・同じ収入が確保できるわけではなく、持っているスキルによっては応募しても受注まで至らないこともあるでしょう。
手当たり次第に営業をかけ相場を下回る仕事を受注してしまうと悪いサイクルに入ってしまう可能性もあります。
長く活躍できるWordPressエンジニアを目指すなら、仕事内容の相場をしっかりと把握しておきましょう。求められている業務に見合ったスキルを確実に提供し、適正な報酬を得ることが大切です。
仕事をいくつか受けたら確定申告を意識しておこう
企業に属さずWordPressの仕事を受注する場合、所得が規定の金額を超えたら確定申告が必要となります。今後もフリーランスや副業でWordPressを仕事にしていくなら避けては通れないので、所得が少ないうちから早めに情報を集め、シミュレーションしておくのがおすすめです。
フリーランスと副業では確定申告が必要となる所得額が異なります。
確定申告に関することは、会計士や税理士などに相談でき、最初は無料で対応してくれるところも多いため、あらかじめ調べておきましょう。
実際の単価は？
フリーランスHubのWordPressの求人一覧によると、2023年5月時点の報酬単価は200,000万円から1,200,000万円の仕事まで幅広くあります。
高額の仕事についてはWordPress以外の技術要素が要求されるものが多いです。WordPressの要素が強い仕事でも、本格的なPHPでの開発力が要求されています。また、数年以上の実務経験を求められる仕事がほとんどです。
単価の低い内容としては、ECサイトの運用やWebサイト再策の仕事が募集されています。
多くの場合、PHPのスキルは、WordPressでの開発経験を積むことで、徐々に向上していくものです。経験を積むことで、WordPressを活かした高額の仕事の受注を目指すことは、十分可能であると言えます。
WordPressの将来性
WordPressはもともとブログ向けに作られたものでしたが、その使いやすさと機能性から、今では個人や企業のWebサイトとしても世界中で利用されています。
WordPressでブログ・Webサイトを運営することで、サービス提供元の都合に左右されにくいのが大きなメリットだと言えるでしょう。
さらに誰でも簡単にコンテンツを追加・編集できるCMSであるため、今後もWordPressの需要は増えていくと見られています。
したがってWordPressの導入やカスタマイズ・テーマ作成を担えるWordPressエンジニアも、ますます需要が高まっていく見込みです。
まとめ
WordPressの技術習得は比較的容易です。WordPressのほかHTMLやCSS、PHPと広範囲の知識が必要にはなるものの、フリーランスエンジニアとして要求される、ミニマムの知識量は多くありません。
このことは、仕事を請けるレベルに立つまでの時間が比較的短いことを意味します。大きな仕事をこなせるようになるまでには、習熟度を高める必要はありますが、実務をこなして高いスキルをつけていくことは可能です。
WordPressには、中～小規模のプロジェクトが多くなることも特性としてあげられます。クライアントへの常駐が必要になるようなチーム開発より、1人でこなせる仕事が多数で在宅フリーランス向けも多めです。
需要がありながら、WordPressを扱える人は決して多くありません。それゆえに、単価が高い仕事が多いことも特徴です。フリーランス希望の人には、魅力的と言えるのではないでしょうか。
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※ 4月24日(Wed)更新
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