最終更新日:2024年10月03日
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この記事のまとめ
ITの利活用は今後も広く深く進んでいくと考えられますが、十分なセキュリティ対策と情報の正しい管理の実施こそあわせて必要とされる重要課題であり、企業においては事業活動の存続と社会的責任、信頼に関わる重大問題です。
これに対応するプロフェッショナルとして、高い注目を集めているのがセキュリティエンジニアです。情報セキュリティ業務に特化した技術者であるセキュリティエンジニアは、最前線に立って最新の脅威に備え、企業や組織、個人が安全にICTの恩恵を受けられる環境を整え守る仕事を担っています。今回は、今後もますます重要になると考えられる、このセキュリティエンジニアの仕事について詳しく解説します。
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おすすめの案件を受け取るセキュリティエンジニアとは、その名の通り情報セキュリティに関する領域の業務に特化したエンジニアのことをいいます。ITインフラの中で、とくにサーバーの構築や運用・保守、業務システム、ネットワークの構築などを担い、セキュリティに配慮した設計や運用の工夫、最新の脅威に関する情報をもとにした対策の実施といった仕事を行っています。
サイバー攻撃からの被害を未然に防ぐためのメンテナンスや防御強化を行うほか、何らかの異常が確認された場合に迅速な調査を実施し、被害を最小限に抑えて大規模なシステム障害や情報漏洩から、クライアントを守る役割も果たしています。日頃から脆弱性や不正侵入の形跡がないか調査を行ったり、組織全体での情報セキュリティマネジメントの仕組みづくりをサポートしたりといった仕事も、セキュリティエンジニアの担うところとなっています。
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おすすめの案件を受け取るしかし、技術の進展とインターネットの普及、廉価で多彩なデバイスの登場、画期的な業務支援サービス・ソリューションの開発などから、企業のIT利用は時代を追うごとに重要で不可欠なものとなり、今では欠かすことのできないインフラとなりました。扱う情報の量や質も変化し、あらゆる企業が社内外で秘匿性の高い情報や重要機密データに触れ、その取り扱いにかかるシーンも増えています。
社内システムとしても、サーバーとPCといった簡単な構成から、各種ネットワーク機器にモバイル端末、クラウド利用、仮想化システムなど多様化と複雑化の進んだ仕組みが一般的となりました。限られたオフィス環境を飛び出し、あらゆる制約をなくすものとなった一方で、セキュリティを施すべき箇所も大幅に広がり、対策が容易ではなくなっています。
加えてサイバー攻撃の手法は飛躍的に高度化し、手口が巧妙で脅威が見えにくくもなっています。ITの活用は事業の運営と発展に欠かせぬものですが、それとともにセキュリティの強化が急務であり、どこからやって来るか分からない高度で深刻な攻撃と脅威から、複雑なシステムを包括的に守るには、専門的な知識と技術を持ったプロフェッショナルでなくては対応しきれない時代となっているのです。
企業は自社の顧客である一般生活者・消費者に関する情報や、取引先の情報をビジネス資産として蓄積しています。サービスの運営上、本人確認のためのID・パスワードや住所・氏名、口座情報、カード情報などの個人情報を預かることもあるでしょう。万が一、これらの情報データが外部に流出した場合、個人や取引先に多大な被害が及び、築いてきた信頼を大きく失うこととなってしまいます。
損害を補償してなお信頼を回復することは容易でなく、それまで本業が非常に好調な成長拡大路線にあったとしても、事業継続困難となり、破綻してしまう場合もあります。漏洩の原因は外部からの攻撃や不正侵入による場合もありますが、実は多くのケースが内部の人間による人的ミスに起因するといわれています。脅威への対応とともに、こうした思わぬ事故の発生を未然に防止するのも重要なセキュリティ対策です。
プログラムに寄生するコンピュータウイルスやトロイの木馬、ワーム、スパイウェア、ボット、バックドアなど、マルウェアと呼ばれる悪意を持ったソフトウェアやコードにより、深刻な被害を受けている企業は非常に多くなっています。マルウェアに感染すると、重要な社内秘の機密データが外部にさらされたり、重要ファイルや情報の消失、書き換え・改ざん被害といったものが生じたりするほか、システムの破損・障害に至るケースもあります。
ユーザーに気づかれることなく、長期間にわたって潜み、裏口を開けてセキュリティホールを作り出したり、外部攻撃者からの乗っ取りを受けて他のコンピュータやネットワークの攻撃を仕掛ける踏み台や加害者にされたりといった事例も増えており、感染の検知が難しい上に深刻で広範な被害を及ぼす結果になることが少なくありません。
不正送金などの直接的な金銭的被害、システム復旧にかかる費用、固有の高い価値を持った情報資産の消失や盗聴被害など、企業が被る損害はきわめて多大なものとなります。感染を防ぐ対策を徹底するとともに、その兆候が確認された場合にはいち早く適切な対応をとるなど、被害を最小限に抑える技術的対処が欠かせません。
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おすすめの案件を受け取るセキュリティエンジニアの何よりのやりがいは、やはりクライアント企業やそのサービスのユーザーなど、多くの人々をIT犯罪の危険から守り、救出できること、日々の安心・安全を守る影のヒーローとなることができることでしょう。自身が持つ高い専門知識とスキルにより、堅牢で安定性の高いシステムを構築したり、システムの脆弱性やマルウェア感染の兆候を誰よりも早く発見し、情報事故や多大な実害が生じる事態を未然に防ぐことができた場合などには、とても大きなやりがいを感じられるはずです。
セキュリティ分野の専門家として頼りにされ、感謝をもってその働きを認めてもらえれば、なお自身の存在意義を強く感じられもするでしょう。日々いたちごっこのように技術的高度さと巧妙さ、あらゆる面での強度を増していく攻撃者と対峙し、自身の技術レベルや専門知識も深化させていけることも強いモチベーションになります。さまざまなデバイスやネットワーク、サーバーなど攻撃のターゲットとなる可能性がある場所はシステム全体、組織全体に広がっていますから、それだけ幅広い領域の業務知識を身につけられる点もセキュリティエンジニアという仕事の魅力です。
世界での重要性が増したことで、その能力を測り示す認証資格なども増えていますから、資格を取得してキャリアとすれば、確かに自らがスキルアップできているという実感を得やすくもなっています。
セキュリティエンジニアは、こうしたやりがいに満ちた職種ですが、そのやりがいは裏返せばそのまま、この仕事の厳しさを示しているともいえます。どんなに万全の対策を施し、堅牢なシステムを構築しても、絶対に安全で完璧な仕組みなど存在しません。思わぬところからセキュリティが突破され、重要な内部情報が流出したり、データやシステムが破壊されたり、顧客の個人情報が漏洩するなどといった事態になれば、クライアントには甚大な被害がもたらされてしまいます。それは企業の根幹を揺るがし、事業の存続を不可能にしてしまうかもしれません。
そのような被害を生じさせないことがセキュリティエンジニアの役目であり、そのためのプロフェッショナルとして仕事を任されているのですから、日々の業務で感じるプレッシャーは相当のものがあります。ミスは許されず、持てる知識と技術が厳しく問われる責任の重い仕事です。
サイバー攻撃の手法は進化を続け、対策はもちろん検知も難しくなる一方ですから、一度身につけた知識やスキルだけでは対応しきれません。常に最新のセキュリティ知識を学び、アンテナを張って情報を収集、自らの技術を磨き続けなければならないでしょう。
多数存在する専門資格についても、それらを保有しているかどうかで能力を判断されたり、市場価値を決められたりしてしまう場面も少なからずあり、実務だけでなく、資格取得に対応した勉強にも取り組まねばならない状況が生まれています。忙しく、負うべき責任も重いセキュリティエンジニアにとって、さらに厳しい事態ともいえます。
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おすすめの案件を受け取るセキュリティエンジニアには、どういったタイプの人が向いているのでしょうか。仕事傾向から考えられる適性をまとめてみます。
セキュリティエンジニアは、クライアントのニーズに応えながら、高いセキュリティ環境を確保したシステムの設計や機器設定を正確に、注意深く行う必要があります。細かな点にまで気を配り、入念な対策を施せる人でなければ、評価される仕事はできないでしょう。担う業務の範囲も量も多く、業務時間も長くなることが多いハードな仕事でもあります。体力的にも精神的にも、タフで根気強く、集中力を維持して働くことができる人でなくては務まりません。
攻撃を受けた場合にも、どこのセキュリティホールが狙われ、どういった問題が発生しているのか、注意深く丁寧に探せる力が必要です。甚大な被害となる前に応急的処置を迅速にとることがまず必要ですが、その後の根本的解決に至るまでの試行錯誤や、攻撃を仕掛けてくる悪意を持った見えない敵との戦いは長期戦になることも少なくありません。なかなか解決策が見つからない中でも、コツコツと問題点を潰し、小さな異常や穴、兆候も見逃さない注意力と高い集中力を持って、粘り強く取り組んでいく必要があります。
情報セキュリティの領域を担う者として、秘匿性の高い個人情報やプライバシーに関わる情報、企業内の機密情報などを取り扱うセキュリティエンジニアは、その安全を守る者として高いモラルを持った人物でなければなりません。セキュリティの専門知識と高度なスキルは、悪用すればプロの攻撃者となることができるものでもあります。自身の知識とスキルを常に社会的利益につながる形で使うことができる人、私利私欲とは切り離して安心・安全の価値を提供し、最前線で戦って健全なネットワーク環境を守ることに全力を尽くせる人、そうした人物であることが求められます。
また、自身の設計に甘さがあったり、攻撃に対する初動対応を間違ったりしたことによって、サイバー攻撃やマルウェア感染による被害が深刻なレベルで広がってしまった場合、クライアント企業は多大な損害を被ることになります。強い責任感を持って常に仕事に取り組み、最後までやり抜く力を持った人でなければならないでしょう。言葉以上に実行は大変なことですが、重い責任のある仕事であることを自覚し、プロフェッショナルとして振る舞うことができれば、信頼され評価されるセキュリティエンジニアとなれるでしょう。
変化のめまぐるしいIT業界ですが、セキュリティ分野のトレンド変化や技術進展も非常にスピードの速い領域であり、日々アップグレードされていく情報を自ら収集し、学びとして自身の内に取り込んでいける人でなければ、セキュリティエンジニアとして長く活動することはできません。誰かにいわれてから学ぶ、トラブルが発生してから慌てて学ぶといった対応ではとても間に合わず、業務に支障をきたしてしまいます。
新しいことを調べ、学ぶことが好きで、自ら積極的に情報を取りに行ける人、そうした日々の自己研鑽が苦にならずに続けられる人、そうした人はセキュリティエンジニアに向いています。
意外に思われるかもしれませんが、セキュリティエンジニアにはコミュニケーション能力も重要なものとして求められます。クライアントとやりとりを行うことが多い職種であるとともに、各専門領域を持ったエンジニアやWebクリエイターらと情報を交換し、設計・開発時に連携を図ることもありますから、さまざまなバックグラウンドの人と、スムーズに、密にコミュニケーションをとっていける人であることがポイントになります。それぞれの求める要件の聞き取りや、セキュリティ面からの提案を的確に分かりやすく伝えるなど、ヒアリングとプレゼンテーションの両面でコミュニケーション能力が重要となります。
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おすすめの案件を受け取る慢性的な人材不足にあるIT業界の中でも、とくに昨今高いニーズがあり、カバーすべき業務範囲も非常に広くなってきているのがセキュリティエンジニアです。ニーズの増加と多様化を背景に、一口にセキュリティエンジニアといっても、その活動領域や得意とする分野、技術傾向により、さまざまなタイプの専門家が活動するようになってきています。
仕事内容としては、コンサルタント領域中心で活動するか、技術領域メインで活動するかにより、大きな違いがありますから、ここではその2つのケースについて整理し、具体的なセキュリティエンジニアの仕事をみていくこととしましょう。
コンサルタント領域を中心とする場合のセキュリティエンジニアの仕事内容は、クライアント企業のセキュリティ診断やセキュリティポリシーの策定、基本的な体制整備を行うこと、さらにシステムのセキュリティ対策に関する設計や運用方法提案、改善支援、社員への情報教育などが主なものとなります。
クライアントが用いている業務システムやアプリケーション、これから新規に開発・導入・提供しようとしているシステムなどに対し、セキュリティ診断を行います。既知のサイバー攻撃手法やセキュリティインシデント、最新トレンドや懸念される脅威など、さまざまな情報と照らし合わせながら、重大なセキュリティホールはないか、改善すべき脆弱性、将来的リスクとなる可能性がある部分などの洗い出しを行い、どういった攻撃でどの程度の危険があるのか、評価して状況を報告します。
ソースコードのチェックや、疑似攻撃を仕掛けることによってテストする脆弱性診断を施す場合もあり、それらの検証結果に基づいた対策の提案を行うことも仕事となります。見つかった脆弱性や対策が不十分なウィークポイントについては、それを改善する策を実際に講じるところまで業務として担う場合も多くなっています。
企業の経営層やIT担当者などから聞き取りを行い、システム運用の現状と求めるセキュリティレベルの情報から、構築すべきセキュリティ管理体制や追加で講ずるべき対策の検討、提案などを実施します。状況調査を行って、今ある問題点を報告すること、必要な施策を提案することが基本的な仕事内容となります。
相談を受けたコンサルティングとして、提言・助言を行うものにとどまるため、ヒアリングとプレゼンテーション、レポートの作成・提供といったところまでになるケースが一般的ですが、緊急の対策を求められる場合、具体的な企画立案・設計・導入へとつながることもあります。
また、展開する事業に応じた必要セキュリティレベルを長く安定的に維持するため、セキュリティ監査を効率的かつ効果的に実施するための計画案を出したり、監査の実施方法における改善点を指摘したりして、長期的なスパンでのセキュリティ管理における支援業務を任される場合もあります。
コンサルティングからの発展的業務として、改善すべき問題点、現状の課題など要件を詳しくヒアリングし、それをもとに専門的知見から企画書を作成、具体的なセキュリティ対策方法の提案を行います。対策ツールの活用やシステム機器の選定、セキュアなコーディングの実装、アクセス権限管理の是正などその内容は多岐にわたり、ただその場で対策を導入するだけでなく、その後の運用支援まで視野に入れた計画とすることが求められます。
必要に応じてヒアリングと提案を繰り返し実施し、企画提案の骨子が固まったら、より詳細な内容を詰め、クライアント企業に最適なセキュリティマネジメント設計としていきます。ルールの適用対象範囲を明確化させたり、組織体制の見直しや新たな業務ルールの考案を行ったり、情報システムのレイヤーごと、また業務フロー内でのポイントごとでのセキュリティチェック項目の設定、システムやアプリケーション、適用した業務ルールの運用などに関する全体設計などを行って、セキュリティ状態の改善を図ります。
場合によっては、業務の実施方法などから見直してもらうといった大幅なスタイル変更を依頼しなければならないケースもあり、丁寧な説明でクライアントの理解を得ながら、慎重に進めることが重要となります。
専門家として、最新のセキュリティ関連法規やサイバー攻撃の手口に関する情報を分かりやすく提供し、クライアント企業のセキュリティ意識向上を図ります。情報漏洩は社内の人間による意図しないヒューマンエラーに因る場合も少なくないため、全社的なリテラシーの向上、啓蒙活動の実施も、重要なセキュリティ対策のひとつとなります。
セミナーや研修の実施、ドキュメント資料の配付、メールによる周知などで広くセキュリティ教育を行うほか、IT担当者や情報セキュリティの担当者向けに企業のセキュリティレベル向上に寄与する手法のアドバイスを行うなど、さまざまな対象層でセキュリティの重要性理解と対策への協力を求めていきます。
技術的な領域をメインにしたセキュリティエンジニアの場合、その仕事内容はシステム開発におけるセキュリティ分野全般の担当が主なものとなり、要件定義から設計、製品導入、設定、運用・監視などまでを一貫して担っていきます。システムに障害が発生したり、サイバー攻撃の被害を確認したりした場合などには、即座に対応して適切に処理し、被害を最小限に抑えることも重要な仕事となります。
システムやサービスの新規開発・構築に際し、クライアントが求めるセキュリティ要件のヒアリングや集積、洗い出しを専門的な知見から進め、整理して要件定義書にまとめます。OS、ファイアウォール、認証工程、ソフトウェアやプログラム上の具体的攻撃対策など、レイヤー別に細かく落とし込み、漏れなく行き届いた計画の基礎とすることが重要です。
個人情報保護法が施行されて以後、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)やプライバシーマークの取得を目指し、その認証が受けられる仕上がりを求めるクライアントも増えていますから、その支援業務の一環として、対応した要件定義を行うようにする場合もあります。
要件定義がきちんと行えているかどうかは、最終的な堅牢性に大きく関わってくるところとなりますから、丁寧に、かつ開発のごく初期段階のうちにしっかり完了させなければなりません。中でもインフラに関わるセキュリティ要件の場合、全体に与える影響が大きく、その後のハードウェア、ミドルウェア構成にも変更を加えなければならなくなる可能性がありますから、計画に不具合を生じさせないよう、速やかに確定させておく必要があります。少なくとも、実際の機器選定が開始される前に完成させておくべきです。
まとめた要件定義書をもとに、具体的なセキュリティ上の設計書を作成していきます。あくまでシステムとして安全に動作する環境へ導くことが重要ですから、ただ闇雲にセキュリティを強化すれば良いというものではありません。セキュリティエンジニアは円滑なネットワークの運用や管理、導入する機器のタイプ、サーバーの状態、採用アプリケーションなどまで分析し、全体を考慮した上で、最適なセキュリティ設計を行う必要があります。
ITの幅広い知識が要求される高度な作業となります。昨今はデータをクラウドで管理するなど、積極的にクラウドを用いるケースが増えているため、クラウド構築までカバーしたセキュリティ設計が行える技術者へのニーズが高まっています。
設計書に従い、実際にセキュリティ対策の実装作業を進めていきます。ネットワークやサーバー、OS、ソフト、アプリケーションなど、システムを構成するあらゆるレイヤーのそれぞれに対し、ミスのない作業で完了させていくことが必須であり、設計と同じく幅広い知識とスキルが要求されます。他の開発エンジニアとも協力しながら、機器のマウンティングやコンフィグ作業、暗号化、認証設定、アクセス権限の設定・管理、セキュアプログラミングなどを行っていきます。
脆弱性の種類は多岐にわたり、対象が異なればさらにそれぞれに対処法が存在するなど、組み合わせで導かれる実装方法は非常に多くの選択肢と可能性がありますから、最適なものを素早く見出して判断し、確実にその実装を完了させるというセキュリティエンジニアとしての総合力が問われます。
予定した形で完成したシステムやアプリケーションを対象に、隠れた脆弱性がないか、セキュリティホールとなり得るポイントはないか、確認するためのテストを実施します。これまでに知られている攻撃手法をもとに擬似的なサイバー攻撃を仕掛けて問題が発生しないか確認作業を行ったり、あらためてソースコードのチェックを行ったり、念入りなテストを多角的に進めていきます。
さまざまな攻撃者の存在や不正アクセスの可能性を想定し、実際の運用を開始しても安全が保たれるか、よくよく確認を行わねばなりません。とくに外部ネットワーク上にのせるオープンなWebシステムとする場合や、さまざまなネット環境からの利用が想定されるシステムの場合、このテスト作業は非常に重要です。想像力も働かせ、多彩なシミュレーションのテストを実施、潜在的な脆弱性や問題点が発見された場合には、設計・実装工程に立ち戻り、追加の対応策を検討していきます。
テストまで完了し、完成したシステムやアプリケーションとして納品・導入した後は、重大なセキュリティインシデントの発生を防ぐための運用・保守作業にあたります。システム障害やサイバー攻撃の被害からクライアントやユーザーを守るための仕事で、セキュリティ上のアプリケーションやOSアップデート、通信データの監視、ログファイルの定期的なチェック・保存作業、必要な場合にはアクセス権限の管理なども行い、高いセキュリティ性を維持していきます。
最新の脅威に関する情報収集を行ってそれらへの対応を行ったり、定期的な侵入テストを実施したりすることもセキュリティエンジニアの仕事となります。また、異常を検知したり、障害発生の報告を受けたりした場合には、速やかに技術的対処を施し、被害の拡大を防ぎます。
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おすすめの案件を受け取る幅広い知識と高度なスキルが要求され、担当する可能性のある仕事の工程も多いセキュリティエンジニア、責任も重い立場ですから、相応の報酬が得られるか年収実態も気になるところです。セキュリティエンジニアの年収は、個人の能力や担当する仕事の内容、経験、環境などにより大きく異なります。およその傾向としては、国内企業に比べ、外資系企業の方が年収水準が高いことが指摘できます。
目安となる平均としては、厚生労働省の「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」の公開データが参考になります。これによると、セキュリティエンジニアを含む「セキュリティエキスパート(オペレーション)」職種の全国平均年収は、令和5年調査で558.3万円となっています。ちなみに東京都で絞り込むとより高く、616.7万円になりました。地方より都心で高い傾向がみられます。
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」で明らかにされた国内民間企業の給与所得者平均年収は、全体で458万円となっていますから、セキュリティエンジニアの平均年収は、他の一般職種に比べてかなり高い水準にあるといえるでしょう。
フリーランスの場合、企業に所属する会社員エンジニアと異なり、社会保険面や税金面、経費負担などがありますから、単純に収入として比較することはできませんが、参考としてみておくと、レバテックフリーランスの「セキュリティエンジニアの求人・案件」月額単価相場(2024年9月2日時点)で、平均単価は73万円、最低単価が25万円、最高単価が140万円となっていました。仮に平均単価クラスの案件を継続受注できたとして、年収を単純計算すると、73×12カ月で876万円になります。
この単純計算による年収で1,000万円ラインとなる月額単価80万円超えの案件も、1,071件中341件と約30%にのぼっており、高い技術力をもってすれば、年収1,000万円超の高所得者層として活躍していくことも十分に可能でしょう。
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おすすめの案件を受け取るセキュリティエンジニアには、この職種で活動するために必ず取得しておくことが求められる国家資格のようなものはありません。ですから、特別な資格を所持しなくても、セキュリティエンジニアになることは可能です。しかし、スキルや知識をどの程度有しているかは目に見えませんから、重要な仕事を任せるかどうか決めるクライアントの立場に立って考えれば、何か指標が欲しいと思うのも当然でしょう。
そのため、実務経験・実績とともに、持っている資格やその認証レベルが注目されることも少なくありません。そうした市場ニーズに応えるように、セキュリティ関連の資格は数多く存在します。そこで、セキュリティエンジニアとして活躍するには、どのようなスキル・知識が求められるのか、取得しておくと良い資格にはどのようなものがあるか、主なものを確認しておきましょう。
セキュリティが関係する対象はあらゆるレイヤーに広がっていますから、一人前の仕事をこなすためには、幅広い知識を持ち、それを活かすことができなければなりません。
情報セキュリティに関する専門的な知識が必要であることはいうまでもありません。新たな攻撃手法の確認や脅威の出現、それらへの技術的対処法、未然に防ぐ対策面の技術進展、脆弱性の発見方法、ファイアウォールやウイルス、マルウェアについて、セキュリティプロトコル・暗号化関連など、さまざまな知識が必要です。
最新情報へとアップデートしながら自身の内に蓄え、複雑化と高度化が進むセキュリティ分野だからこそ、頼りになるプロフェッショナルとして、広く、深く、高度で専門的な各セキュリティ知識を持っておくことが大切です。
セキュリティ対策を施したり、チェックを行ったりする業務上、セキュリティエンジニアはサーバーやOS、ネットワーク、データベース、クラウド、ソフトウェア、アプリケーション、各種デバイス・機器類などについて、基本的な知識が身についていなければなりません。対象が非常に幅広くなりますが、どれかに特化するのではなく、ITインフラ全体として、システムを構成する具体的なものとして、全般の知識を一定以上身につけておくべきでしょう。
成り立ちや働き、動作の仕組み、異なる種類ごとにある特徴など、エンジニアとしてそれぞれの知識を深めておくことが求められます。セキュリティ設計時に判断・選定を行ったり、必要な対策を実装したり、テストの実施、障害や攻撃を受けた際の迅速な対処など、あらゆるシーンで、それらへの知識がベースとしてなければ、たちまち困ってしまいます。プログラミング言語の扱いでも、基本的な言語スキルに加え、セキュアなプログラミングが行える知識が必要ですし、システムを構成するハードウェアやミドルウェア、各ツールの組み合わせで生じる可能性のある脆弱性についても、きちんと理解しておかなければなりません。
まずは基礎知識の習得から始め、中でもセキュリティ案件との関わりが深く、仕事上緊急度と必要性の高い分野、自身の興味関心も高い得意分野などについてはより深い、専門的知識までカバーするよう努め、IT全体の知識を広く持つようにすると良いでしょう。
個人情報保護法や不正アクセス禁止法など、情報セキュリティの重要性について、社会の関心が高まるとともに、法整備も進んできています。適切な情報の取り扱い、安心・安全な利用ができる環境構築にあたっては、そうした法律に関する知見も必要です。新たに施行される法律や、既存法規の改定・改正など、最新情報も反映させた法的知識を身につけておきましょう。
セキュリティエンジニアの仕事は、クライアント企業の機密情報など情報資産を保護したり、業務システムや事業展開するWebサービスの安全性を確保したりと、企業活動の全般、運営の根幹に関わる重要なものです。セキュリティが関係しない部署はほぼ存在しないといって良いため、ヒューマンエラーを含めた対策で全体のセキュリティ性向上に寄与するには、全社員への教育啓蒙も必要になります。
そのため経営層とやりとりを行うことが多く、最適なセキュリティ導入の提案などでも、経営に関する知識が必要になるケースがしばしばです。アクセス権限管理など会社としての体制を構築するサポートや、各種コンサルタント業務を提供するには、経営から財務、法務に関する知識も求められるでしょう。個々に異なる企業組織の形態に合わせ、本業の事業展開にできる限り負荷をかけないようにしながら、セキュリティ体制を構築、マネジメントできなければなりません。このようにITの技術面だけでなく、全般的なビジネス知識が必要になる点も、この職種の特徴です。
セキュリティエンジニアが自身のスキルレベルを証明し、面接時やクライアントとの契約時にアピールしたり、取得を目指す過程で体系的な知識の習得とさらなるスキルアップが見込まれたりするという点で、役立つ資格は多くあります。関連資格の取得は自己研鑽と自身の市場価値向上の両面で有効となります。
「情報処理安全確保支援士試験」は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって運用されている試験で、セキュリティ分野の最難関に位置するものです。合格すると、経済産業大臣から合格証書が交付され、所定の登録手続きを完了させることで国家資格としての「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」資格保持者となることができます。
サイバーセキュリティのリスクに関する分析・評価を行い、組織の事業やサービス運営、情報システムの安全を確保する総合能力や、技術・管理両面でセキュリティ性向上に有効な対策の助言・提案を行って経営層の支援にあたるスキルなどが問われます。かつての情報セキュリティスペシャリスト試験をベースに、2017年春期からスタートした試験で、合格率は2割弱となっています。
セキュリティエンジニアに求められる総合的な知識と実践能力を問う高度な試験で、情報セキュリティマネジメントシステムやリスクアセスメントに関する知識はもちろん、マネジメントの指導・助言が行えるレベルであるか、システムの企画・設計・開発・運用におけるセキュリティ業務を主導できるか、セキュリティインシデントの管理体制構築、攻撃・障害への対応、セキュリティ方針や諸規定の策定、内部不正防止、教育・訓練指導、監査知識などまで幅広い内容が対象となります。
試験は四肢択一の多肢選択式と記述式からなり、春と秋に実施されています。
同じくIPAによって運営されている「情報セキュリティマネジメント試験」は、ITの安全な利用を促進する人材として、情報セキュリティマネジメント業務の提供を通じ、さまざまな脅威から継続的に組織・システムを守る基本的なスキルがあるかチェックし、認定する国家試験です。SCに比べ難易度は低く、業務で個人情報を取り扱う担当者、外部委託先へのセキュリティ評価や確認を行う人、ITパスポート試験からのステップアップを図る人などを広く対象としており、セキュリティエンジニアの基本知識と技能を示す入り口としてお勧めです。
試験はCBT方式で、随時実施となっています。
「シスコ技術者認定」は、世界最大のコンピュータネットワーク機器メーカー、Cisco Systems社が認定する資格で、さまざまな分野・レベルのものが用意されています。それぞれ3年間の資格有効期限があり、上位資格の受験には下位資格の取得が条件となっていますから、計画的にステップアップして学び、取得していく流れを踏まなければなりません。
エントリー、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパートの4段階に分かれ、ネットワークの専門家に向けた総合的基礎を問うCCT、プログラミングスキルや、ネットワークアクセス、IP関連にセキュリティ基礎も含んだ、ITアソシエイトレベルの職務に備えるCCNAなどをスタートとし、プロフェッショナル段階以上から、セキュリティ領域に特化した認定資格が設定されています。
「CompTIA認定資格」は、グローバルなIT業界団体として米・シカゴで設立されたCompTIAによる認定制度のセキュリティ領域資格で、ベンダーニュートラルな国際IT資格として高い知名度と評価があります。実施試験数も多く、IT業界で幅広く活用されており、スキルの習得とキャリアパスに役立つ資格となっています。試験は13業務分野に分かれ、それぞれ3~4のレベル別で実施されており、「CompTIA Security+」は、セキュリティ分野のコアスキルを保有することを示すものです。ネットワークセキュリティ、企業コンプライアンス、運用セキュリティ、脆弱性と脅威、データベース、アプリケーション、ホスティング、アクセスコントロール、認証マネジメント、暗号化などの分野から出題され、総合力をチェックできます。
セキュリティエンジニアであれば、そのひとつ上に位置する「CompTIA CySA+」が最適で、セキュリティ実務者として3~4年の実務スキルを評価するものとなっています。セキュリティ領域最高レベルの「CompTIA CASP+」になれば、サイバーセキュリティ関連の高度エンジニアとして豊富な知識とスキルを有する人材であることが認められるとされています。
「CISM(Certified Information Security Manager)」は、情報システムコントロール協会(ISACA)が創設した国際資格で、日本語名称を「公認情報セキュリティマネージャー」といいます。情報セキュリティ管理の知識と経験を評価するもので、セキュリティマネジメント業務における現場分析をもとにした実践的基準と試験問題が特徴となっています。実務経験も5年以上が必要で、セキュリティエンジニアとしても上流工程から関わる力があるか、より上位のセキュリティマネージャーやセキュリティコンサルタントとしての知識やスキルがあるかどうかが問われます。
四肢択一の選択方式試験で、連続4時間に150問を解き、200~800点までのスケールドスコアにより評価、450点以上を獲得すると合格になります。
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おすすめの案件を受け取るセキュリティエンジニアは、保守や運用を担うセキュリティオペレーターなど関連する入門的な職種から目指すケースか、アプリケーション開発やネットワーク構築など、周辺領域のエンジニアとして業務に就いていた人がセキュリティ分野の重要性をより強く意識するようになって、専門知識を増やしてキャリアチェンジで目指すケースのいずれかが主な道となっています。
その後のキャリアパスとしては、どのようなものが考えられるかですが、基本的に同じセキュリティ関連でキャリアアップを図ることが多く、監査法人などのセキュリティコンサルタントや、企業コンプライアンス部門の情報セキュリティ担当責任者、セキュリティアナリストなどになるといった道があります。なおセキュリティアナリストの場合は、とくにログ解析や分析の知識とスキルを強化します。
このほか、マネジメント力を高めて、セキュリティ分野に強いプロジェクトマネージャーなどマネジメント職種でキャリアを積んでいくケース、ホワイトハッカーとして活動を始めるケース、独立してフリーランスのセキュリティエンジニアとなったり、海外市場に挑戦したりするケースもあります。
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おすすめの案件を受け取る先述のように、セキュリティエンジニアには必須の資格があるわけではなく、業務をこなす上で必要な知識とスキルが身についていれば、未経験から目指すことができない職種ではありません。しかしIT職種の中でも高度な専門職としての色が濃いセキュリティエンジニアの仕事は、容易に務まるものではなく、すぐにこの職種で活躍することはかなり現実問題として厳しいといえます。
代表的なルートとしては、関連する情報工学などの学部で学び、基本的な専門知識を習得して大学を卒業、または情報系の専門学校を卒業し、IT企業などに入社します。そしてシステムエンジニアやインフラエンジニア、ネットワークエンジニアなど、周辺領域の開発エンジニアとして実務経験を積み、セキュリティ分野の学びを深めてキャリアアップを図るという流れをとると良いでしょう。さまざまな現場を経験しながらスキルと知識を増やし、カバーできる領域を広げながら、資格の取得も進めておくと、よりスムーズなキャリアアップでセキュリティエンジニアになることができます。
当初からセキュリティ領域に絞り込み、所属企業の中で選ぶことができれば、保守・運用のセキュリティオペレーターなどから始め、その中でのリーダー役や管理者へステップアップ、設計・実装、マネジメントなどの知識とスキルを強化し、上位職にあたるセキュリティエンジニアを目指すという道もあります。
他に、ある程度エンジニアやプログラマーとしてのスキルが身についていれば、派遣社員の求人案件やクラウドソーシングなどでセキュリティエンジニアの初歩的案件、セキュリティ領域での作業補助を担当する案件などを探し、働きながら一人前のセキュリティエンジニアとして十分な技術を習得、キャリアアップを実現できるよう、自らプランニングして道を究めていく方法も考えられます。
自身の経験や雇用形態、現状あるスキルなどを考慮し、最適な方法を見極めましょう。
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おすすめの案件を受け取るセキュリティエンジニアについて、詳しく解説してきました。高度な専門性を備え、知識と技術を武器に、情報社会の安全を最前線で守るセキュリティエンジニアは、欠かすことのできないきわめて重要な役割を果たしています。セキュリティエンジニアがなければ、あらゆる企業や団体の事業存続がたちまち困難になってしまうでしょう。
日に日に巧妙で高度なものとなっていくサイバー攻撃や数々の脅威に対し、今や専門的知識とスキルなくして対応することは不可能です。ITの恩恵を受け、ビジネスや社会の発展を推進するには、リスク対応とセットで開発を進めるほかありません。だからこそセキュリティエンジニアの仕事が求められるのです。責任も重い大変な仕事ですが、それだけに大きなやりがいがあり、社会的意義も大きな職種です。関心のある方は、ぜひセキュリティエンジニアを目指してみてください。
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最終更新日:2024年12月25日