NEW 個人事業主で月収50万の手取りは?年収金額や税金、稼ぐ方法を解説

最終更新日:2024年11月21日

「個人事業主が月収50万円だと手取り額はいくら?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
条件によって変動しますが、手取りの目安は約34万円です。この金額は比較的高水準だといえます。

本記事では、個人事業主が月収50万円を稼ぐためのコツや高収入を目指せる仕事などを紹介します。また、かかる税金や保険料の内訳なども解説します。これから独立する方や現在個人事業主として働く方はぜひ参考にしてください。

個人事業主の月収が50万円の場合の手取り額

個人事業主で月収50万円の場合、手取り額の目安は約34万円です。
内訳は下記に記載します。

月の事業収入から経費を差し引き、月収が50万円だったとします。
月収が50万円の場合、1年間の事業所得は600万円です。
1年間で納める税金・保険料をふまえた結果は以下のとおりになります。

※20歳~39歳で扶養家族がいない場合の例

項目 金額
国民健康保険 705,500円
国民年金 203,760円
所得税 494,500円
住民税 471,000円
手取り額 4,117,440円

1ヶ月の手取り額は、4,117,440円÷12ヶ月より34万3,120円です。

会社員との比較

会社員で月収50万円の場合、手取り額の目安は約38万円です。会社員は、個人事業主とは保険や年金の制度が異なるため、月収が同じ金額でも手取り額に差が生じます。

月収が50万円の年収は600万円です。
1年間で納める税金・保険料をふまえると、以下のとおりになります。

※20歳~39歳で扶養家族がいない場合の例
※賞与や控除などを含まない

項目 金額
健康保険 299,400円
厚生年金 549,000円
所得税 202,000円
住民税 309,500円
雇用保険 36,000円
手取り額 4,602,400円

1ヶ月の手取り額は4,602,400円÷12ヶ月より約38万3,533円です。

個人事業主の詳細や開業手続きを行うメリットなどを知りたい方は、「個人事業主として開業すべきサラリーマンとは?開業の手続きやメリットを解説!」を参考にしてください。

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個人事業主の手取りの計算方法

個人事業主の手取りの計算方法は、次のとおりです。

手取り額=収入-(経費+税金+保険料など)

個人事業主と会社員の大きな違いは、経費を収入から差し引くことです。通信費や書籍代など、事業にかかった費用は経費に計上できます。
税金や保険料は、会社員であれば給与から天引きされますが、個人事業主は後から納付します。
また、年間の所得金額が48万円以上の場合は、確定申告も必要です。

税金や確定申告に関する詳しい情報は、「業務委託契約の税金|所得税・住民税の概要や確定申告の方法とは」をご覧ください。

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個人事業主が手取り50万円を得られる月収は?

個人事業主が手取り50万円を実現するためには、月収75万円が目安です。

月の事業収入から経費を差し引き、月収が75万円だったとします。
月収が75万円の場合、1年間の事業所得は900万円です。
年収900万円のシミュレーションを以下に示します。

※20歳~39歳で扶養家族がいない場合の例

項目 金額
国民健康保険 890,000円
国民年金 273,760円
所得税 1,071,980円
住民税 752,600円
手取り額 6,061,740円

1ヶ月の手取り額は6,061,740円÷12ヶ月より50万5,145円です。

フリーランスが高収入を稼ぐ方法を知りたい場合は、「フリーランスの営業のやり方とは?成功させるコツや戦略も紹介」を参考にしてください。

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月収50万円を稼ぐ個人事業主の割合

中小企業庁の「令和4年度フリーランス実態調査結果」のQ8の回答によると、フリーランスで年収が600万円(月収が50万円)以上ある人の割合は、全体の約15%です。

フリーランス事業による年収 割合
100万円未満 14.1%
100~200万円未満 12.6%
200~300万円未満 12.7%
300~400万円未満 12.6%
400~500万円未満 9.5%
500~600万円未満 6.9%
600~700万円未満 4.2%
700~800万円未満 3.3%
800~900万円未満 2.0%
900~1000万円未満 2.1%
1000万円以上 3.4%
わからない・答えたくない 16.4%

年収の金額別で見ると、年収100万円未満である人の割合が最も高く14.1%です。月収50万円を稼ぐ個人事業主の割合は、決して多くないことが分かります。

また、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」の第6-1表によると、国内の正社員・正職員の平均月収は約33万6千円です。そのため、月収50万円は、正規雇用で勤務する人の平均月収よりも高いといえます。

フリーランスの年収については、「フリーランスの年収は?生計は立てられる?職種別にみる相場とは」も参考にしてください。

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個人事業主が支払う税金や保険料

ここでは、個人事業主が支払う税金や保険料について説明します。

所得税

所得税を簡単に説明すると、会社の給与やクライアントから支払われた報酬などにかかる税金のことです。
主に働く世代が負担する税金で、所得の大きさに応じた負担を求められる点が特徴です。

1年間の収入から経費を差し引いた残りの金額が所得にあたります。所得税は、(所得金額ー控除額)×税率で計算できます。
税率は「累進税率」といって、控除後の所得金額が高いほど税率が高くなる仕組みです。

住民税

住民税は地方税のひとつで、住んでいる自治体に納める税金のことです。
道府県民税と市町村民税があり、一括で納める必要があります。

住民税には、所得に応じて課される「所得割」と、所得にかかわらず定額の負担が課される「均等割」があります。
税額の計算方法は、次のとおりです。

(所得金額ー所得控除額)×税率ー税額控除額=所得割額
所得割額+均等割額=税額

個人事業税

個人事業税は住民税と同じく地方税で、事務所や事業所が所在する都道府県に納付します。

個人事業税は法定業種で定められた業種が課税対象です。法定業種は70あり、ほとんどの事業が当てはまります。
税率は3〜5%と、業種の区分によって異なります。

控除額が年間290万円であるため、事業所得金額が290万円以下の場合は納付が発生しません。

消費税

消費税は、商品の購入やサービスの提供時に課税されます。消費者が負担して、事業者が納付する税金です。
下記のいずれかの条件を1つでも満たす場合、個人事業者が課税対象の納税義務者となります。

  • 2年前の課税売上高が1,000万円を超える
  • 2年前の課税売上高が1,000万円以下で、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える
  • 適格請求書(インボイス)発行事業者である
  • 対象の課税期間の初日の前日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出している
    これらの条件に当てはまらない場合は免税事業者となり、消費税の納税義務が免除されます。

保険・年金

個人事業主は国民健康保険に加入します。また、年金制度は国民年金に加入することになります。
個人事業主と会社員が加入する保険・年金制度の違いは下記の表のとおりです。

個人事業主 会社員
加入する保険 国民健康保険 健康保険
加入する年金制度 国民年金 国民年金+厚生年金

国民健康保険は、会社の健康保険の加入者・生活保護受給者・後期高齢者医療制度の対象者以外のすべての人が加入する医療保険制度です。
国民健康保険料は収入や地域によって変動します。

国民年金は20歳以上60歳未満の人が全員加入する年金制度です。個人事業主は国民年金の第1号被保険者にあたり、自ら保険料を納めます。
会社員とは異なり、個人事業主は厚生年金には加入せず、国民年金のみに加入します。

厚生年金に加入できないことに不安を感じている個人事業主の方は、「個人事業主が加入する国民年金とは?制度の概要や手続きについて解説!」の記事もチェックしてください。将来受給する年金額を増加させられる「付加年金」や、私的年金制度の一つである「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などについても紹介しています。

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月収50万を稼ぐ個人事業主の生活水準

月収50万円を稼ぐ個人事業主の生活水準をイメージしましょう。月収50万円の手取り額を約34万円と仮定して、1人暮らしの場合と2人以上の世帯の2パターンを想定して、それぞれシミュレーションしました。
なお、支出項目は家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)をもとに作成しています。

1人暮らしの場合

1人暮らし(単身世帯)の家計シミュレーションは以下のとおりです。

支出項目 金額の目安
食費 46,000円
住居 23,800円
水道・光熱費 13,000円
家具・家事用品 6,000円
衣服・履物 5,000円
保険・医療 7,500円
交通・通信 21,700円
教養・娯楽 19,000円
その他 25,000円
支出合計 167,000円
貯金可能額 173,000円

※家計調査年報の「表Ⅱ-1-2 消費支出の費目別対前年実質増減率 -2023 年-」にある「単身世帯」をもとに作成
1人暮らしの場合、1ヶ月あたりの支出合計は16万7千円です。
教養・娯楽にある程度の金額を回しても、余裕のある生活ができるでしょう。

2人以上の世帯

2人以上の世帯の家計シミュレーションを以下に示します。

支出項目 金額の目安
食費 86,600円
住居 18,000円
水道・光熱費 23,900円
家具・家事用品 12,300円
衣服・履物 9,700円
保険・医療 14,700円
交通・通信 42,800円
教育 10,500円
教養・娯楽 29,700円
その他 45,800円
支出合計 294,000円
貯金可能額 46,000円

※家計調査年報の表Ⅱ-1-2 消費支出の費目別対前年実質増減率 -2023 年-にある「二人以上の世帯(平均世帯人員2.90人)」をもとに作成

2人以上の世帯の場合、1ヶ月あたりの支出合計は約29万4千円です。扶養する家族が増える分、支出は増加します。
また、子どものいる家庭の場合、子どもの養育費が人数分かかります。教育費のほかに子どもの生活費や保険代なども人数分かかることを考えると、余裕が少なくなるでしょう。

子育て中のフリーランスの方は、「フリーランスは保育園の申請で不利?保活の方法やポイントを解説!」の記事も併せてご覧ください。

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個人事業主で月収50万を狙える職種

ここでは、個人事業主で月収50万円が狙える職種を紹介します。

実務経験やスキルを活かせる人は、単価の高い案件を受注して、効率よく収入を増やしましょう。

プログラマー・エンジニア

プログラマーやエンジニアは高収入が期待できる職種です。

プログラミング言語の知識、開発や進行管理の実務経験など、専門的なスキルが求められます。主な仕事内容としては、ゲームやアプリケーションの開発、システムの構築などがあげられます。
複数のプログラミング言語を習得していれば、市場価値が高まるでしょう。

プログラミングスクールでプログラミング言語を習得しようと考えている方は、「おすすめのオンラインで学べるプログラミングスクール7選」を参考にしてください。

Webライター

Webライターは、主にWebサイトに載せる文章を書く職業です。

パソコンがあれば誰でも気軽に始められます。初心者向けの低単価な案件から、専門的な知識が必要な高単価な案件まで多種多様です。

専門性の高い案件であれば、高収入が期待できるでしょう。

Webデザイナー

Webデザイナーは、Webサイトをデザインする職業です。

クライアントの要望を汲み取り、目的に沿ったデザインを提案し、作成します。デザインだけでなく、全体の構成やコーディングまで任されることもあります。
HTML・CSSのほかに、JavaScriptやUI/UXの知識もあるとよいでしょう。

案件は、低単価のものから高単価のものまで幅広くあります。
実績を積んで高単価な案件を獲得できるようになれば、月収50万円も目指せます。

Webデザインスクールに興味をお持ちの方は、「Webデザイナーを目指せ!座学でもオンラインでも学べるWebデザインスクールまとめ」の記事を参考にしてください。

Webディレクター

Webディレクターは、Webサイト制作のプロジェクトを管理する職業です。
仕事内容は多岐にわたり、主に以下のものがあげられます。

  • コンテンツの企画提案
  • プロジェクトの進行管理
  • サイト制作
  • 記事作成・構成
  • サイト運用・改善

Webディレクターには、全体の流れを把握してプロジェクトを進行し、期日までにサイトを完成させる責任があります。
Web制作の経験に加えて、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルが求められるでしょう。

アフィリエイター

アフィリエイターとは、アフィリエイトで収入を得る人のことです。

アフィリエイトとは成果報酬型の広告です。Webサイトやブログに広告を掲載し、広告経由で商品を購入されると報酬が発生します。

PV数や検索エンジンの順位に依存するため、アフィリエイトはすぐに高収入が得られるわけではなく、稼ぐまでに時間がかかるでしょう。

主にサイト制作やWebライティングのスキル、SEOの知識が求められます。

イラストレーター

イラストレーターは、クライアントの依頼に応じてイラストを制作する職業です。近年はSNSを通じて依頼を受けることもあります。

クライアントの要望に沿ったイラストを納品することが求められます。クライアントの話から意図を汲み取る能力が求められます。
自分のイラストに、フリー素材にはない付加価値があるとよいでしょう。画力やデッサン力はもちろん、営業力も必要です。

イラストレーターの報酬の相場や仕事の流れなどを知りたい方は、「イラストレーターの単価、迷わず決めるコツは?相場や基準を解説」を参考にしてください。

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個人事業主が月収50万円や高い手取りを稼ぐコツ

ここでは、月収50万円や高い手取りを個人事業主が稼ぐ方法を紹介します。

スキルアップや資格の取得など、自分の市場価値を高めて報酬額の向上を目指すほかに、節税や控除で支払うお金を減らすことも有効な方法です。

高単価案件を受ける

単価の高い案件を受けることで、効率よく高収入を目指せます。

すでに実務経験やスキルを持っている場合は、高単価な案件を探しましょう。自分のスキルや経験を活かせる仕事がおすすめです。

また、個人事業主になったばかりで実績がないうちは、単価の高い案件が獲得できないこともあります。その場合は単価の安い仕事から受けて、高単価の案件が獲得できるよう実績を多く作りましょう。

受注できる仕事の幅を広げる

自分のスキルを磨いて、仕事の幅を広げることで収入を増やせます。

たとえば、Webデザイナーの場合、コーディングやライティングのスキルを身につけることで仕事の幅を広げられます。仕事の幅が広がれば、対応可能な案件が増え、高単価な案件も獲得しやすくなるでしょう。
需要の高いスキルを身につけることがおすすめです。スキルアップや資格の取得で仕事の質が高まれば、高収入につながります。

営業力を高める

個人事業主で高収入を目指すには、仕事の数を増やし、質を高める必要があります。
仕事の数を増やすには営業力が欠かせません。案件獲得ができるように対人スキルを高めて、営業力を磨きましょう。

クライアントと信頼関係を築く

クライアントと信頼関係を築くことは、仕事においてとても重要です。「また依頼したい」と思ってもらえれば、継続依頼の可能性が高まります。
反対に、一度でも信頼を失うようなことがあれば、今後の取引が難しくなるでしょう。クライアントとの信頼関係が収入に直結すると考えて、慎重に対応する必要があります。

クライアントと円滑なコミュニケーションが取れるように、コミュニケーションスキルを磨くことも大切です。

節税する

節税することができれば、その分手取りを増やすことが可能です。

個人事業主が節税をするには、最初に経費を見直しましょう。
収入から経費を差し引いた所得金額から、さらに所得控除を差し引いた金額が課税所得額です。課税所得額に対して税率がかかるため、経費や控除の金額を大きくして課税所得額を低くすると納税額が減らせます。
パソコンの購入費や光熱費など、経費として計上できる費用を確認しましょう。

控除を利用する

個人事業主が受けられる控除は、「所得控除」と「税額控除」の2種類です。

所得控除は、所得金額の合計から所得控除の合計を差し引いて計算する控除です。医療費控除や生命保険料控除、配偶者控除など、15種類の所得控除があります。
税額控除は、計算された税額からさらに控除ができる制度です。
どちらの控除も所得税の負担削減につながります。

他にも個人事業主が使える控除として「青色申告特別控除」があります。確定申告の青色申告をすることで適用される控除です。最大65万円の控除を受けられます。

青色申告の詳細情報については、「個人事業主に青色申告は必要?メリットや手続き、書類の提出方法を解説」の記事をご覧ください。

スケジュール管理を怠らない

個人事業主は、自分で仕事のスケジュールを管理する必要があります。納期に間に合わないことがあれば、信頼関係が壊れたり報酬が減ったりするでしょう。

過労や感染症の流行などによって、体調を崩して働けなくなることもあります。無理のないスケジュールを組んで、健康を維持しましょう。

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まとめ

個人事業主の月収が50万円のときの手取り額の目安は、およそ34万円です。
個人事業主で月収が50万円以上ある人の割合は約15%です。そのため、月収50万円を個人事業主として稼げている場合、高収入に分類されるといえます。

高い収入を稼ぐコツは、単価の高い案件を受注したりスキルアップしてワンランク上の仕事に関わったりすることなどが挙げられます。また、節税や控除を利用して支払うお金を減らすことも有効です。

個人事業主で月収50万円以上を目指したい人は、今できることから意識して取り組んでいきましょう。

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