Linuxを使うエンジニアの仕事とは?活用領域や将来性も解説

最終更新日:2024年10月02日

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この記事のまとめ

  • LinuxはオープンソースのOSとしてアプリケーション開発など幅広い分野で使われており、インフラエンジニアにとって必須のスキルである
  • Linuxインフラエンジニアは需要が高く将来性のある職種であり、高収入も期待できる
  • Linuxインフラエンジニアが年収アップするにはLinuxや関連スキルの習得、上流工程の経験、コミュニケーション能力の向上が重要である

本記事では、Linuxが使われる領域や仕事内容、必要とされる理由について説明していきます。また、インフラエンジニアのLinuxを使った仕事ではどのくらい稼げるのか、将来性はあるのかなどについてもまとめました。

インフラエンジニアを目指して学習している人は、Linuxについて理解しておきたいところです。

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Linuxの基礎知識

Linuxは、MacOS、Windows 10などと同じOS(オペレーティングシステム)の1つです。フィンランドのリーナス・トーバルズ氏により開発されたもので、最初のバージョンは1991年に公開されました。

OSとは、ユーザーやアプリケーションプログラムとハードウェアの中間に位置するソフトウェアのことで、データのやり取りを効率的に行いながら、パソコンを動かしたり、管理したりするためのシステムです。

トーバルズ氏は、もともと自分のパソコン用にLinuxを開発したのですが、その後幅広く利用されるようになり、現在ではスーパーコンピューター、サーバー、家電の組み込みシステムなどにも使われています。

そのように利用が拡大されていった理由は、トーバルズ氏がこのシステムを誰もが無償で使えるOSS(オープンソースソフトウェア)としたことにも関係しているでしょう。またGPL(General Public License)というライセンス体系を採用し、自由に使用、修正、変革、配布できるようにしたことで、世界中の開発者の手によって改良や機能の拡張が行われていきました。その結果、あらゆる方面で活用できる柔軟性とクオリティが実現されています。

厳密に言うとトーバルズ氏が開発したLinuxは「Linuxカーネル」というオペレーティングシステムの中核部分です。一方カーネルと、デスクトップやサーバーで使用されるアプリケーションなどをまとめたものは「Linuxディストリビューション」と呼ばれ、パッケージ化されています。一般的にLinuxとは、後者です。

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Linuxインフラエンジニアの仕事内容

Linuxを使うインフラエンジニアの仕事は、クライアントにヒアリングで要望を聞きインフラ環境の提案・要件定義、設計、OS・ミドルウェアのインストール、設定の構築、運用・管理などを行うことです。

インフラ環境の提案・要件定義

インフラ環境の提案・要件定義では、クライアントから必要な機能、性能をヒアリングし、その実現を目指して、構築するインフラの仕様を検討します。

要件定義は、サーバー設計の方向性を定め、使いやすく信頼性の高いインフラの構築を目指す業務です。仕様は本当に実現可能かという事前査定やPoCを十分に行い、さまざまな面から検証した上で決定。この過程でOSS製品の適用の可否、仮想化の可否についても検討されます。

設計

設計は、提案・要件定義で定められた仕様に従い、予算や開発期間を加味しながら、実際のハードウェア構成やソフトウェアについて決定する段階です。
サーバーの台数などの物理的な要素に加え、各ハードウェアとの互換性を意識したソフトウェアやLinuxOSのバージョンの選択、各種パラメーターの設定値、ハードウェアに対応するドライバやファームウェアのバージョンも決定します。
ログの管理体制など運用開始後の対応も決定。これらを設計書としてまとめます。

構築

構築は、設計書をもとにサーバーやネットワーク機器を調達し、機器類を接続してインフラ環境の構築をする業務です。
OSやミドルウェアなどのインストール、パラメーター値の設定を行い、システムの礎となるインフラを構築します。

ミドルウェアとは、OSとアプリケーションの中間に入るソフトウェアのことです。プログラムが動作するために必要なサーバーやデータベースなどのやりとりをしています。

運用・保守

構築したインフラが稼働したあとは、インフラを安定的に稼働させ続けるための運用・保守が必要です。
計画に基づいた定期的なシステムの起動・停止や、ソフトウェアのアップデート、パッチの適用などのメンテナンス作業、障害発生時の速やかなトラブルシューティングなどを行います。
稼働中のITインフラに障害が発生すると、サービスが正常に稼働せず、クライアントに損害を与えることになるため、慎重かつ綿密に行わなければなりません。

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Linuxはどのような分野で使われるのか

LinuxはIT業界のどのような分野で使われているのか見ていきましょう。

アプリケーション開発

Linuxを活用したものには、業務アプリケーション開発、Androidアプリケーション開発などがあげられます。AndroidもLinuxをベースにスマホ用に開発したOSです。

Linuxは、WindowsやMacOSで一般的に使用されている大抵のプログラミング言語に対応しています。そのため利便性が高く、快適なプログラミングが可能です。また、ソフトウェアを開発するための統合開発環境もLinuxに対応。Linuxによりアプリケーション開発の負担を軽減し、効率的な作業を実現しています。

サーバー構築

Linuxは、サーバーOSでも利用が多いです。OSは、ユーザー側に利用されるクライアントOS、サーバー側で利用されるサーバーOSに分けられています。クライアントOSは、ビジュアルや操作性などに重点を置いた機能を備え、サーバーOSはファイル共有やメール送受信といった多くの接続要求に耐え機能を安定的に稼働させる機能を持っているのが特徴です。

企業によっては多くのアクセスがあるため複数のサーバーが必要になり、その分コストもかかってしまいます。一方でLinuxは、OSSで基本的に無料で使用することができるため、サーバーの構築、運用での大幅なコスト削減を実現可能です。

組み込みシステム

電化製品や自動車などの組み込みシステムの開発も対象です。組み込みシステムとは、スマートフォンやテレビ、洗濯機、自動車、製造ロボットなどに組み込まれているコンピューターシステムを指します。

現代はあらゆるものがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の時代を迎え、組み込みシステム分野はさらなる進化が期待されている領域です。

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Linuxインフラエンジニアの仕事の数と年収

インフラエンジニア向けにどのくらいの仕事があるのか、収入はどの程度が目安なのか見ていきましょう。

フリーランスHubで2024年8月時点の求人を調査したところ、インフラエンジニアとしての求人が13,714件ありました。インフラエンジニアの月額単価相場は、60万円~70万円が5,000件弱と最も多く、次いで月70~80万円が多いことがわかります。
最高単価は150万円、最低単価は30万円です。

70万を月額平均と考えた場合、インフラエンジニアの年収を推定すると、以下のようになりました。

平均年収…840万円
最高年収…1,800万円
最低年収…360万円

また、同じくフリーランスHubでネットワークエンジニアの求人を見ると4,288件ありました。最高単価は200万円、最低単価は25万円です。月額単価相場を見ると、月60~70万円、次いで月70~80万円が多いことがわかります。

70万を月額平均と考えた場合、これらから導けるネットワークエンジニアの年収は以下の通りです。

平均年収…840万円
最高年収…2,400万円
最低年収…300万円

あくまで目安のため、参考としてください。

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Linuxインフラエンジニアが年収アップするには

Linuxを扱うエンジニアが年収アップにつなげるためのポイントを説明していきます。

Linuxスキルの習得に日々努力が必要

インフラエンジニアに求められるLinuxのスキルを習得するだけではなく、常に新しい情報を収集し、積極的に学ぶ姿勢が大切です。

LinuxはOSSであるという特徴から、日々世界中で開発が続けられており、ある程度習得したときにはさらに変化・進化している可能性があるため学習には終わりがありません。

インフラエンジニアとして質の高い作業をするためには、常に積極的に学ぶ意欲を持つことが求められます。学んだことを実践していくことは自身の成長につながり、高い信頼を得られるほか、大規模プロジェクト、高収入の仕事に参画できるなどの可能性も出てくるでしょう。

Linux以外の開発スキルも持つ

Linux以外にもインフラやシステム構築に関する知識とスキル、サーバーやネットワークに関するスキル、機器に関する知識、使い方など、習得するものはたくさんあります。

近年は、AWSAzureなどクラウドコンピューティングサービスを活用する企業が増えているため、それらの知識とスキルを習得すると仕事の領域が広がり収入アップを目指せるでしょう。

上流工程を経験しておく

インフラエンジニアの仕事は「提案・要件定義」「設計」「構築」「運用・管理」に分かれますが、その中で要件定義や設計を行う仕事が上流工程となります。

要件定義や設計においては、ネットワークやサーバー、使用する機器、活用するソフトウェアなど、インフラ構築やシステム開発に関する幅広い知識とスキル、経験が不可欠です。

技術面だけでなく、コミュニケーションスキル、論理的思考、リーダーシップやマネジメントスキルなどほかのスキルが求められるため、希少性が高まり収入もアップするでしょう。

2024年8月時点のフリーランスHubの求人を見ると、Linuxスキルが必要な仕事では、サーバーの保守・維持で~60万円/月、インフラ構築で~100万円、インフラ環境開発で~115万円となっています。
同じスキルを使用する仕事でも、上流工程になるほど月額単価は高く、年収に換算すると差はさらに広がることが分かるでしょう。

プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーなど、上流工程を指揮できる立場にあるポジションでは高収入の仕事を獲得できるチャンスとなります。

コミュニケーション能力を高める

クライアントと円滑なコミュニケーションを取り、適切な要件定義を行うために、コミュニケーションスキルは必須だといえるでしょう。ITインフラは、流通や製造などのIT関連以外の分野にも広く導入され始めており、クライアントのITやLinuxの知識が豊富とは限りません。

クライアントの要望や実現したいサービスをヒアリングし、予算や制限の中で最適な要件を納得の上で提案、要件定義をするスキルが必要です。また、社内のほかのインフラエンジニアと連携を取って開発を行うためにも、コミュニケーション能力の高さが求められます。

経理・生産管理など現場に即した業務知識

業務用のアプリケーション開発など、経理や生産管理を主眼に置いたアプリケーション開発を行うためには、現場に即した業務知識を持ち利用者の立場に立って仕様を決定する能力が必要とされます。

業務の流れや動き、使われる用語や業務そのものへの理解がなければインフラの要件定義は難しいでしょう。また、クライアントとのヒアリングの過程で、開発時だけでなく運用時の予算的な制限が課される場合もあります。経済的な観点もまた、インフラエンジニアには必要です。

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Linuxインフラエンジニアの仕事に役立つ資格

スキルを磨きながら資格を取得していくことも、仕事の幅を広げ収入アップの可能性につながります。また、転職するときやフリーランスとして独立するときに有利になることも。インフラエンジニアが取得しておくとよいものを、いくつかあげていきます。

ネットワーク系の資格なら「Cisco」

シスコ認定試験は、シスコシステムズ社が認定する民間資格です。ネットワークに関する基本や、シスコシステムズ社が開発・製造しているルーター、スイッチなどの知識、スキル、プラクティスを証明します。

レベルは初心者向けのものから順に「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」の4段階。「エキスパート」はチームを指揮しながら始動もできるレベルで、権威ある資格として多くの企業で重視されています。

サーバー系の資格には「LPIC」

LPICは、「Linux Professional Institute Certification」
を略したもので、カナダの非営利組織が運営しており、国際的に認知されているLinux技術の認定資格です。LPICレベル1~3、またはLinuCレベル1~3まであり、資格認定だけでなく、認定者へのキャリアサポートも行っています。

Linuxのスキルを活かして活躍するために、ぜひチャレンジしておきたい資格です。

データベース系は「Oracle Master」

Oracle Masterは、日本オラクル社のOracle Databaseの管理スキルを証明する資格です。オラクル社製品などの知識も問われ、難易度は4段階。 「Bronze(ブロンズ)」「Silver(シルバー)」「Gold(ゴールド)」「Platinum(プラチナ)」で、プラチナが一番難易度が高くなります。

シルバー以降は、 世界共通となるOracle Certification Programの認定がもらえますが、下位レベルの資格から順番に取得する必要があり、いきなりゴールドの試験を受けるといったことはできません。

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Linux系インフラエンジニアの働き方

Linux系インフラエンジニアとして働くためには、Linuxを使ったシステム開発や運用をしている企業に社員として就職する、または派遣社員として入る、フリーランスとして独立するなどの選択肢があります。

初めのうちは経験を積む必要があるため、企業に就職しインフラエンジニアとして働くことが望ましいでしょう。そこでスキルを磨き実績を積み重ねることで、転職やフリーランスへの移行などを目指していくことができるようになります。

近年は、フリーランスのインフラエンジニアが増加中です。働き方には、「常駐型」と「在宅型(リモート)」があり、一般的にエンジニアの場合は常駐型が多い傾向にあります。

その理由は、ネットワークやシステムの構築・運用などはチームで働くことが多く、クライアント先での社内コミュニケーションも欠かせないため、常駐での作業のほうが効率的とされるからです。またセキュリティ上の懸念から、社外での作業を認めていない企業も少なくありません。

ただし、成果を出し信頼関係を築いていくことで、在宅を認めるケースもあります。常駐型の求人にも「リモートOK」などの条件がついていることがあり、完全リモートではなくとも、週の何日かは在宅を認めるという企業もあります。希望する働き方があれば、あらかじめエージェントサービスで相談しておくとよいでしょう。

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Linuxインフラエンジニアの将来性

インフラエンジニアは、今後も需要が高まると予想されています。ITやインターネットが普及・浸透しつつある現代は、ITインフラが整備され、24時間365日正常に稼働しているのが当たり前です。

社会インフラや企業の情報システムに欠かせないインフラエンジニアは、景気やトレンドに左右されない仕事として、今後もなくなることはないでしょう。

その中でLinuxは、オープンソースのOSとして業務システム、Webアプリケーション開発、IoT開発、ゲーム開発など規模に関係なく利用されており、利便性から企業もLinuxのスキルを持つ人材を求める傾向にあります。

現段階では、Linuxの活用がなくなることは、考えにくいというのが現実です。これからインフラエンジニアを目指す人にとっても、Linuxのスキルは必須と言えるでしょう。

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おわりに

ITエンジニアの需要に対し、人材は不足しており今後もその傾向は続くと言われています。エンジニアを目指す人にとっては、仕事を獲得できるチャンスであり、その中でインフラエンジニアは、未経験からでも始めることができる仕事です。

インフラエンジニアは運用・監視・保守などの作業から始め、経験を積みながら構築、設計と難しい工程にステップアップさせていくことができます。

また、必要とされているITインフラの仕事なので、将来性もあり長期的に安定したキャリアが期待でき、努力次第でキャリアの領域を広げることができるでしょう。

Linuxを学ぶためには、スクールやWeb講座、Web教材、書籍などがあります。インフラエンジニアを目指す、または興味がある人は、前向きに将来を見据えて勉強してみてはいかがでしょうか。

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