UXデザイナーがなくなるとされる理由は？仕事に必要なスキルや目指す方法

UI/UXデザイナーは、Webデザイナーよりもマーケティングやユーザー心理に基づいたWebデザインを行うスペシャリストです。近年は「UI/UXデザイナーがなくなる」という声があり、気になっている方も多いでしょう。

職種として存続できるかは、本人の努力次第だといえます。本記事では「なくなる」と囁かれる背景や活躍するコツを紹介するので、UI/UXデザイナーの仕事に興味がある方はぜひ参考にしてください。

UXデザイナーがなくなるといわれる理由

IT産業の成長を背景に、Web関連の職業に興味を持つ人が増えています。中でも「UI/UXデザイナー」は、ユーザーとの接点をデザインする重要な職業です。一方で、「UI/UXデザイナーはなくなる」といった声も聞かれます。

ここでは、「なくなる」と言われる理由を解説します。UI/UXデザイナーを目指す方や将来に不安を感じる方は、ぜひ参考にしてください。

AIツールやノーコードツールが普及しているため

AIツールとノーコードツールの普及が進む中、専門知識なしで効果的なデザインを行える手段が増えました。UI設計はUXデザインで中心的な役割を果たしているものの、技術の進化による影響は顕著です。

たとえば、「WordPress」のようなプログラミング不要のツールの普及が挙げられます。WordPressでは簡単にWebデザインができ、知識がなくても魅力的なUIを作成可能です。ツールの技術的発展は、従来のUIデザイナー需要を減少させる一因になるでしょう。

Webデザイナーのスキルが高くなっているため

近年Webデザイナーのスキルが著しく向上し、UXを取り入れたデザインができる人材が増えているようです。結果として、UXデザインが当たり前のものとなり、業界全体のレベルが大きく向上しました。

全体的なスキルレベルの向上により、UXを考慮したデザインはUXデザイナーの専門業務ではなくなりつつある状況です。Webデザイナーのスキルアップ情報は、「Webデザイナーを目指せ！座学でもオンラインでも学べるWebデザインスクールまとめ」を参考にしてください。

担当する仕事の範囲が広く、あいまいなため

UI/UXデザイナーの業務はその範囲が広く、具体的な内容を明確にするのが困難です。たとえば、プログラマーは主にコーディングを担うと明確に区別できますが、UI/UXデザイナーはデザイン作業からユーザーリサーチ、体験の最適化まで幅広い作業をします。

役割が多岐にわたるため、職名があいまいで実務上不便だという意見があるようです。「UI/UXデザイナー」という呼称は、将来的には使われなくなると考える人もいます。役割がさらに細分化され、新しい肩書や専門職が登場する可能性もあるでしょう。

UXが誰でも意識する要素になっているため

今日UXの存在や重要性が広まっており、多くの企業がマーケティング活動に取り入れるようになりました。UXの存在や重要性がビジネスシーンで誰でも理解できる「当たり前」のものになれば、専門職としてのUXデザイナーの需要は減少する可能性があります。

本当にUXデザイナーはなくなる？将来性を解説

便利なツールが普及しているものの、デザインの微調整は人間が行うため、UXデザイナーが完全になくなるとは考えにくいです。AIなどの先端ツールを効果的に活用できるデザイナーは重宝される可能性もあります。

とはいえ、多くのデザイナーがUXを理解し実践すれば、UI/UXデザインは一般的なスキルになっていくでしょう。1歩先を行くデザイナーを目指す方は、「一つ先を行くエンジニア・デザイナーへ！｜付加価値をアップできるスキルの紹介記事まとめ」を参考にしてください。

UI/UXデザイナーとして長く活躍するためのコツ

UI/UXデザイナーとして長く活躍するには、最新のツールや技術を積極的に学び続ける姿勢が大切です。ユーザーのニーズを深く理解し、柔軟に対応する姿勢を持つことも成功の鍵となります。

ここでは、UI/UXデザイナーとして長く活躍するために押さえるべきポイントを見ていきましょう。

自分の強みを磨く

UI/UXデザイナーとして成功するためには、自分の強みを磨くのが大切です。デザインの基本をしっかりと学び、実践を重ねてスキルを高めましょう。最新のツールや技術に精通し、常に業界のトレンドを追い続ける姿勢も求められます。

自分の強みを最大限に活かして、長く活躍できるデザイナーを目指しましょう。スキルアップ方法については、「デザイン力を上げるコツとは？ぜひ取り入れたくなるスキルアップ法の記事まとめ」をご覧ください。

継続的に仕事を得る方法を考えておく

UI/UXデザイナーとして継続的に仕事を得るためには、自分を売り出すための戦略が必要です。

ポートフォリオを充実させ、自分のスキルや実績を明確に示しましょう。また、ネットワーキングを強化し、業界のイベントやオンラインコミュニティに積極的に参加して人脈を広げます。

フリーランスの仕事を安定して得るためには、クラウドソーシングサイトや専門の求人サイトを活用するのも効果的です。顧客との信頼関係を築き、リピーターを増やせれば長期的な成功につながります。

いずれフリーランスとして独立することも検討する

UI/UXデザイナーとしてキャリアを積んだ後、フリーランスとして独立するのも選択肢の一つです。

独立すると多様なプロジェクトに関わる機会が増え、自分のスキルを幅広く活かせます。自身のブランドを構築し、クライアントとの直接的な関係を築けば、報酬や働き方の柔軟性が向上するのもメリットです。

独立に向けた準備を始めれば、新たなキャリアの道が開ける可能性があります。

UXデザイナーの仕事内容と似た職種との違い

UXデザインと他職種との違いや具体的な仕事内容を理解すれば、今後のキャリアの方向性が明確になります。ここではUXデザイナーの仕事内容に加え、UIデザイナーやプロダクトマネージャーとの違いを見ていきましょう。

UXデザイナーの仕事内容

UXデザイナーは、ユーザーエクスペリエンス（ユーザー体験）を最適化する役割を担います。ユーザーがサイトに訪れた際にどのように感じ、どんな操作や行動を取るかを予測した情報をもとにサイト設計します。

リサーチをしてユーザーのニーズを理解し、プロトタイピングやユーザーテストに基づいた使いやすいデザインの作成が具体的な仕事です。UXデザイナーの仕事はサイトの見た目のデザインだけでなく、ユーザーの満足度を高めることに重点を置いています。

UIデザイナーとの違い

UIデザイナーは専門的にユーザーインターフェース（UI）を設計する役割を担い、ユーザーと商品・サービスをつなぐ部分のデザインをします。具体的には、クリックするためのボタン・商品の画像・紹介文・そのフォントや配置などをデザインするのが仕事です。

UIデザイナーが見た目のデザインに重点を置くのに対し、UXデザイナーはユーザーの感情や行動にも配慮した総合的な体験を設計する点が異なります。UIデザインについては、UI/UXデザイナーとして振り返りや業務に活かせる情報まとめを参考にしてください。

Webデザイナーとの違い

WebデザイナーとUXデザイナーの違いは、デザインの対象や目的、仕事の煩雑さ、必要なスキルにあります。

Webデザイナーは主にWebサイトそのものの制作に特化し、クライアントの要求に基づいて制作します。一方、UXデザイナーはユーザーのニーズや行動をもとにデザインを行うため、クライアントとは異なる視点から作業をします。

UI/UXデザイナーの年収・単価相場

フリーランスHubに掲載されているUI/UXデザイナー案件の月単価は幅広く、40万円ほどのものから80万円を超えるものまであります。年収換算すると、480万円〜960万円になります。

UI/UXデザイナー案件の単価相場は、個々の経験年数やスキルにより異なります。上記はあくまでも目安として参照してください。

なくなると言わせない！UXデザイナーに必要なスキル

UI/UXデザイナーになるには基本的なデザインスキル以外にも多くの技術が求められます。ユーザーのニーズを理解し、それに基づいて最適なデザインを提案するスキルは特に重要です。

「なくなる」と言われていても、新しいスキル・需要の高いスキルがある人材は多くのチャンスに恵まれる可能性があります。以下で必要なスキルをチェックしましょう。

Adobeツールを扱うスキル

デザインの現場でよく使用されるのが、Adobe社のソフトです。PhotoshopやIllustrator、XDなどは、UI/UXデザイナーにとって必須ツールとなっています。

Adobe製品は他のツールやソフトとの互換性が高いため、作業内容に応じて使い分けるのもポイントです。使い分けで作業効率が向上し、柔軟なデザイン作業が実現します。ツールについて詳しく知りたい方は、「詳細と製品情報」を参照してください。

UI・ビジュアルをデザインするスキル

UXデザインは、「戦略」「要件」「構造」「骨格」「表層」の5段階に分かれるとされています。特にデザインスキルが求められるのは、「骨格」と「表層」です。

「骨格」は、サイトの構造を基にUIを設計する段階です。骨格のステップでワイヤーフレームを作成し、ページの要素配置を決定します。この作業には、UIデザイナーが担当する情報デザインやナビゲーションデザインも含まれます。

「表層」は、色やフォントなどを決めてWebサイトを完成させる段階です。このステップでは、デザインカンプやデザインガイドラインを作成するスキルが求められます。

統一感と魅力を持たせるためには、「戦略」から「骨格」までの全体プロセスを考慮してデザインするのが重要です。

分析力・マーケティングスキル

UXデザイナーは、ユーザー体験の向上を常に追求する姿勢が重要です。優れたUXデザイナーは、探究心と分析能力を駆使して最高のパフォーマンスを発揮します。

ユーザーの行動分析と商品購入につながる効率的な設計には、マーケティングスキルが必要です。サイトを訪れたユーザーの動きを理解し、それに基づいて設計を最適化すると、使いやすさや分かりやすさを実現します。

また、継続的にユーザーテストをし、フィードバックを取り入れるのも重要です。これにより、常にユーザーにとって最適な体験を提供できます。

ワイヤーフレーム作成スキル

ワイヤーフレームとは、Webサイトの目的に応じて各要素をどこに配置するかを決める設計図のようなものです。

UI/UXデザイナーは単にワイヤーフレームを描くだけでなく、ユーザーにとって直感的で使いやすいWebサイトを構築するスキルが求められます。優れたワイヤーフレームはユーザーのナビゲーションをスムーズにし、満足度の高い体験を提供するでしょう。

コーディング・プログラミングスキル

Webサイトの設計やデザインを行う際は、基礎的なHTMLやCSSの知識、コーディングスキルが必要です。これらのスキルがあればデザインしたサイトを正確に実装でき、意図したとおりの動作や見た目を実現可能です。

案件によっては、コーディング作業をWebデザイナーやコーダーが担当することも。デザイナー自身がコーディングの知識を持っていれば、チームとのスムーズな連携を図れます。

客観的な視点

ユーザーの心理状況やサイトがユーザーに与える効果を考えるためには、制作する側ではなく利用者の立場になるのが重要です。

デザインや機能がユーザーにどのような影響を与えるかを冷静に判断し、客観的な視点で物事を考えるスキルが求められます。これにより、ユーザーにとって使いやすく満足度の高いサイトを作成できます。

コミュニケーションスキル

UI/UXデザイナーは他のチームメンバーとは異なる視点でWeb制作することが多く、チームメンバーやクライアントに助言したり代替案を提案したりする機会が増えます。

相手を不快にさせず円滑に提案を受け入れてもらうためには、高いコミュニケーションスキルが必要です。適切な言葉遣いや説得力を持てば、チーム全体が目標に向かって効果的に協力できるようになります。

コミュニケーションスキルについては、「イメージ通りのデザイン制作・依頼をするために実践したいコミュニケーションの取り方をご紹介！」を参考にしてください。

なくなるとの意見に与せずUXデザイナーを目指す方法

UI/UXデザイナーになるためには、デザインスキルやユーザーリサーチの知識が必要です。基本的なデザインツールの習得から始め、ユーザー行動を理解するための調査方法やプロトタイピング技術も学びましょう。

ここでは「なくなる」と言われても目指したい方向けに、スキルの学習方法や実践的な経験を積むためのステップについて紹介します。

Webデザインのスキルを身につける

UI/UXデザイナーは、Webデザインスキルの習得が不可欠です。

Webデザインは独学でも学べますが、多くのオンラインスクールでWebデザインのレッスンが提供されています。独学でモチベーションを維持するのが難しい場合や自己管理が苦手な場合は、スクールの利用が効果的です。

スクールでは体系的な学習と講師からのフィードバックが得られ、基礎から応用までのスキルを効率よく身につけられるでしょう。

UI/UXデザインスキルを身につける

Webデザインの仕事にある程度慣れたら、UI/UXデザインスキルを学び始めましょう。

UI/UXデザイナーを目指すからといって、Webデザインの仕事を辞めるのはおすすめできません。次の仕事までのブランクが生じてスキルを取り戻すまでに時間がかかるだけでなく、収入が減ってしまうためです。

UI/UXデザインスキルの学習で得た知識を実践にすぐに活かせば、自身の成長を実感しやすくなり、モチベーションの維持にもつながります。スキルを効率的に習得するためには、スクールに通うのがおすすめです。

ポートフォリオを作成する

Webデザイナーとして活動すると、勉強だけでは得られないスキルや経験を身につけられるでしょう。ポートフォリオは自分のスキルを示す重要なツールであり、クライアントや雇用主にこれまで身につけた自分のデザインセンスや技術力をアピールする手段です。

また、実践を通じて得た知識や経験をポートフォリオに反映させれば、より魅力的な作品集を作成できます。ポートフォリオについては、「魅力的・効果的に作品を見せよう！ポートフォリオ作成に関する記事まとめ」を参考にしてください。

UI/UXデザイナーの仕事を受注する

UI/UXデザインスキルが身についたら、UI/UXデザイナーとして案件を獲得するステップに進みます。

オンラインポートフォリオで、自身の実績やスキルをアピールします。さらに、クラウドソーシングサイトやフリーランス向けのプラットフォームを活用して仕事を探しましょう。

ネットワーキングも重要です。業界のイベントやオンラインコミュニティに参加すると人脈を広げられます。こうした活動を通じて信頼を築いていけば、継続案件を受注できるようになるでしょう。

先にPLやPMを経験するのもあり

Webデザイナーとして経験を積んだ後、WebディレクターやPM/PLなどの管理職を経てUI/UXデザイナーになるルートもあります。

UI/UXデザイナーには技術的な知識やソフトウェアのスキルだけでなく、ユーザーが求めるサービスを形にするための調査力や分析力、マーケティングの知見が必要です。PM/PLなどのマネジメント職を経験すれば、こうした幅広いスキルを身につけられます。

マネジメント職を通じて得た知識と経験は、UI/UXデザインの実務に大いに役立つでしょう。

UI/UXデザイナーにおすすめの資格

「なくなる」という意見に与せず、UI/UXデザイナーとしてキャリアアップしていくのに、専門性の高い資格を取得するのは有効だといえます。UI/UXデザイナーにおすすめの資格を見ていきましょう。

アドビ認定プロフェッショナル

アドビ認定プロフェッショナルは、Adobeの主要なデザインソフトウェア（Photoshop、Illustrator、XDなど）を扱うスキルを証明する資格です。

本資格を取得すれば、デザインソフトの高度な操作技術を持っていることを証明可能です。UI/UXデザイナーはこれらのツールを業務で日常的に使用するため、資格を取得すればクライアントや雇用主に対して信頼性が高まり、キャリアの幅を広げられる可能性があります。

ウェブデザイン技能検定

ウェブデザイン技能検定は、Webデザインに関する知識と技術を評価する国家資格です。

1級に合格すると、厚生労働大臣からウェブデザイン技能士の合格証書が発行されます。UI/UXデザイナーとしてのキャリアアップはもちろん、クライアントからの信頼獲得にもウェブデザイン技能1級は役立つでしょう。

HTML5プロフェッショナル認定試験

HTML5プロフェッショナル認定試験は、HTML5に関する専門知識とスキルを証明する資格です。

HTML5は幅広いデバイスに対応しており、Webデザインや開発の基礎になっています。HTML5プロフェッショナル認定を取得するとUI/UXデザイナーとしての付加価値が高まり、多様なソフトウェアやアプリケーションの開発・設計に携われるでしょう。

人間中心設計（HCD）専門家資格認定制度

人間中心設計（HCD）専門家資格認定制度は、ユーザーのニーズや行動を深く理解し、それに基づいて製品やサービスを設計するスキルを証明する制度です。

この資格を取得すれば、ユーザー中心のWeb設計のプロフェッショナルだと認められるでしょう。HCD専門資格はUI/UXデザイナーとしての信頼性を高め、キャリアアップに役立てられます。

ユニバーサルデザインコーディネーター認定資格

ユニバーサルデザインコーディネーター認定資格は、ユニバーサルデザインの観点から問題を解決するスキルを証明する資格です。ユニバーサルデザインは障害の有無や年齢に関係なく、誰もが利用しやすいデザインを目指す概念です。

資格取得により、UI/UXデザイナーとしての信頼性と市場価値がさらに高まるでしょう。Webデザイナー向けの資格については、「Webデザイナーの資格｜必要なスキルや向いている人も知ろう」を参考にしてください。

まとめ

「UI/UXデザインがなくなるかもしれない」と不安を感じる方に向け、UI/UXデザイナーの重要性や将来性について解説しました。仮にUI/UXデザイナーの肩書がなくなっても、スキルや経験は必ず今後の助けになるでしょう。本記事を参考に、自信を持ってUI/UXデザイナーの道を進んでください。