副業起業とは？メリット・注意点や始めやすい仕事などを解説

テレワークの普及で、これまで通勤に使っていた時間を利用して副業を始める人が増えています。また、副業が軌道に乗ると「起業してみようか」と考える人もいるでしょう。

本記事では副業起業とは何かのほか、手続きやメリット、注意点、おすすめの職種などを紹介します。副業による起業を検討している人はぜひ参考にしてください。

副業で起業する働き方とは

副業起業とは、本業の傍らで事業を立ち上げ、自身のビジネスを育てる働き方です。収入アップやスキルアップ、キャリアチェンジなど多くのメリットが期待できます。リスクを抑えながら起業に挑戦できるため、新しいビジネスに興味がある人におすすめです。

そもそも「副業」「起業」とは何か

副業は、本業とは別に収入を得るための仕事です。本業の空いた時間での活動が一般的で、主に家計の補助や自己啓発を目的とします。副業の例として、会社員が週末に飲食店でアルバイトをすることがあげられます。

一方、起業は、個人事業主や法人として自らの事業を立ち上げることを指します。大きな違いは、オーナーとして事業を運営できる点です。

副業による起業が注目されている理由

副業による起業が注目されている理由は、厚生労働省がモデル就業規則を改定し、副業禁止の文言を廃止したことが挙げられます。それによって、従業員の副業を認める企業が増えました。

また、コロナ禍をきっかけに、テレワークが急速に普及したのも理由に挙げられます。テレワークは場所や時間に縛られずに仕事ができるため、副業や起業がしやすい働き方です。

その結果、日中は会社員として働き、副業するケースが増えています。安定収入を保ちつつ新たな収益源を確保し、経済面での不安解消やキャリアアップが目指せます。副業解禁の機運やテレワークの普及によって、副業による起業は今後ますます注目されるでしょう。

一般的な副業と副業起業の違い

副業と副業起業は、目的や将来性が異なります。一般的な副業は本業とは別に単に収入を得るのが目的で、会社員が週末にアルバイトをする場合が該当します。

一方、副業起業は事業としての成長を前提に、将来は本業に発展させるのが目的です。会社員が趣味のハンドメイド作品を販売するために、オンラインショップを立ち上げて発展を目指すのは副業起業といえます。

副業と副業起業は法人として登記しない限り、法律上の大きな違いはありません。副業起業は、一般的な副業よりも長期で成長と成功を目指す点が異なります。

副業で起業する方法は2パターン

副業で起業する方法は、個人事業主として始めるか、法人を設立するかの2つのパターンがあります。

• 個人事業主：手続きが簡単で開業のハードルが低い
• 法人：税負担の軽減や社会的信用の向上などのメリットがある

法人設立は個人事業主より手続きや費用コストがかかりますが、有限責任や税制上の優遇措置などメリットが多い起業方法です。最初は手続きや負担の少ない個人事業主としてスタートし、事業規模が大きくなってから法人設立を視野に入れる人が多い傾向にあります。

事業のビジョンや規模などを考慮し、個人事業主か法人設立かを選択すると良いでしょう。

副業については､｢業務委託で副業をするには？始め方や注意点について解説！｣の記事も参考にしてください。

副業で起業するときの手続き

副業で起業するときの手続きは、個人事業主と法人で異なります。それぞれの手続き方法を見ていきましょう。

個人事業主の場合

副業で個人事業主として起業する際は、税務署への届出手続きが必要です。収入によっては、確定申告や申告方法の選択も求められます。

個人事業主として起業を決めた場合、最寄りの税務署に開業届と事業開始等申告書を提出します。年間20万円以上の収入がある場合は、確定申告の手続きが必要です。

収入に応じて、白色申告と青色申告のどちらかを選びましょう。主な特徴は以下のとおりです。

• 白色申告：簡易な記録で済む反面、控除を受けられる項目が少ない
• 青色申告：申告時に各種の控除が受けられ節税効果が高いが、複式簿記が必要

確定申告に関する手続きは複雑な場合もあるため、不安な方は税理士に相談しましょう。専門家に相談しながら書類の提出や申告をすれば、ミスや申告漏れを防げます。

また､｢副業も個人事業主として届け出たほうがいいの？手続きの方法とは｣の記事では詳しく紹介しています｡

法人の場合

副業起業で法人化を考える場合、最初にビジネスモデルが法人化に適しているかを検討します。法人設立には法務局への登記申請が必要です。定款の作成や資本金の準備など、個人事業主にはない手続きがあります。

また、法人には株式会社や合同会社など複数の形態があり、最適な形態を慎重に選ばなければなりません。さらに、法人設立では定款で資本金を明確にする必要があり、資金の準備が求められます。

法人設立を決めた後は、早い段階で弁護士や司法書士などの専門家への相談がおすすめです。メリットとデメリットを慎重に検討した上で、専門家の助言を受けながら手続きを進めましょう。

更に詳しく知りたいという方は､｢個人事業主が法人化するメリットとは？デメリットや手続きの流れも解説｣の記事もおすすめです｡

副業で起業するメリット

副業で起業するメリットは多岐にわたります。ここでは、主なメリットを6つ紹介します。

好きなことを仕事にできる

副業で起業するメリットの一つは、好きなことを仕事にできる点です。

会社員として就職した場合、上司や組織の方針に従わざるを得ず、必ずしも自分の志向する分野や仕事ができるとは限りません。異動や配置転換もあり、自分の専門性や興味関心から外れた業務を担当する可能性もあります。

一方、起業であれば自分が本当にやりたいこと・得意なことを軸に自由に事業を設計できます。たとえば、趣味のハンドメイドを活かしてオンラインショップを副業起業すれば、毎日楽しみながら働けるでしょう。

好きなことを仕事にできる自由は人生の充実度を高め、モチベーションの源となります。

副業の不安定さを本業で補える

副業で起業する際のメリットは、本業の安定性で副業の不安定さを補える点です。

本業は生活の基盤として安定した収入を提供し、家計を支えます。起業は事業が軌道に乗るまでに時間がかかり、収入が不安定になりやすい傾向があります。本業を維持すると毎月一定の収入を得られて、生活費や事業運営に必要な資金を確保できるでしょう。

本業がない状態で起業を試みると、生活のために貯金を切り崩したり、アルバイトで収入を得たりする必要が出てきます。その結果、事業に注力しづらくなり、展開や発展が難しくなります。経済面から考えると、副業で起業するメリットは大きいといえるでしょう。

収入がアップする

副業をすると本業とは別の収入源を得られるため、収入が増加します。本業だけでは生活が厳しい場合、副業の収入があれば大きな助けになるでしょう。

たとえば、週末や仕事後の時間を利用してオンラインビジネスを始めると、ビジネスから得られる収益が本業の給与に加わり、生活に余裕が生まれます。事業に成功すれば、会社員では得るのが難しい高収入にもつながるでしょう。

リスクを分散できる

副業を通じて起業するメリットとして、リスクの分散があげられます。副業起業の場合、本業と副業の2つの収入源ができます。そのため、どちらかの収入が減ってももう一方で生活の維持が可能です。

たとえば、本業の会社の業績が悪化して収入が減ったとき、副業の収入があれば生活費を確保でき、経済的な困窮を回避できます。

さらに、副業は複数のクライアントから仕事を受けることで、リスク分散が可能です。1人のクライアントと契約するのではなく、複数のクライアントから報酬を得れば、収入の安定が図れます。

副業を通じて収入源を多様化することで、リスクを分散しつつより安定した生活を目指せます。

自分自身のスキルアップができる

副業を通じて起業することは、自己実現とスキルアップの大きなチャンスです。自分の専門分野のスキルを磨けるだけでなく、経営感覚を身につけられます。

副業では、本業とは異なる業務に携わる機会が多くなります。新しいスキルを習得したり専門分野の知識を深めたりする、良いきっかけにもなるでしょう。

また、起業することで、経営に関する知識や経験も積めます。事業計画の作成や資金調達などさまざまな課題に取り組めば、幅広いスキルの獲得が可能です。

キャリアチェンジの機会になる

本業とは異なるビジネスに携わることで、新しいスキルや経験を積み、まったく違う分野で活躍できる可能性が広がります。軌道に乗れば、独立して新たなキャリアを築くのも夢ではありません。

ITエンジニアが副業でカフェを経営する場合、本業とはかけ離れた接客業や店舗運営のスキルを習得できます。副業で培った経験やスキルを活かし、将来はまったく新しい会社を起業し、独立も目指せるでしょう。

副業で起業をするときの注意点・デメリット

ここからは、副業で起業を検討する場合の注意点やデメリットを紹介します。起業前に理解して、予想できる失敗は避けましょう。

拘束時間が増える

本業と副業の両立には時間と労力が必要であり、自由時間が減少します。その結果、心身の健康を損なう恐れがあるでしょう。

本業が休みの週末や夜間に副業に取り組めば、休息や趣味に割ける時間が減少します。無理な働き方を続けていると、睡眠不足に加え、運動不足やストレス過多にもつながりかねません。

副業起業を成功させるには、時間管理と体力維持を意識した対策が求められます。限られた時間で効率良く作業を進め、休息と運動を十分に取れるよう工夫します。心身の健康を維持しながら、事業を成長させられる事業計画を立てましょう。

職業によっては初期投資が必要

副業で起業する際の注意点として、職業によっては初期投資が必要な点があげられます。たとえば、ECサイトの立ち上げには、Webサイトの制作費や在庫の準備が必要です。コンテンツ制作を始めるには、カメラや編集ソフトなどの機材が欠かせません。

副業の初期投資は、事業の規模や内容によって大きく異なります。十分な資金準備ができていない場合、事業を軌道に乗せることが困難になったり、資金繰りに困ったりするリスクがあります。

十分な収支シミュレーションをして、無理のない範囲で事業を進められる計画を立てるのが大切です。

副業による起業を成功させるコツ

副業での起業は収入アップやキャリアチェンジなど、大きな可能性を秘めています。ここからは、副業による起業を成功させるコツを紹介します。

就業規則を守り、本業に支障をきたさないようにする

副業をする際は本業の就業規則を守り、本業に支障をきたさないようにしましょう。本業がおろそかになったり、会社に迷惑をかけたりすると、せっかくの副業起業が台無しになる恐れがあります。

企業によっては、副業を制限または禁止する就業規則を設けています。副業を始める前に会社の就業規則を確認し、副業が許可されているかどうか、許可されている場合は条件を確認するのが大切です。

また、たとえ副業が許可されていても、本業に集中できなくなるような仕事は避けなければなりません。副業の時間が本業の業務と重ならないように計画し、十分な睡眠と休憩が取れる範囲で副業に取り組みます。

副業による起業の成功には、時間管理と労力管理が不可欠です。本業と副業の両立をしっかりと考え、無理のない範囲で事業を進めてください。

明確な目標を持って取り組む

副業する際は、明確な目標を持って取り組みましょう。単に副収入を得たいという漠然とした目的では、長続きしにくく挫折する恐れがあります。

自分が副業でどのような未来を手に入れたいのか、具体的なビジョンを描きます。「将来は独立したい」と考えているなら、副業だけで生活ができるようスキルを磨いて実績作りに励みましょう。

将来の自分像や事業のビジョンを明確にし、目標を設定します。それによってモチベーションを維持し、着実に成果を上げられるでしょう。

確定申告や税金について調べておく

確定申告や税金については事前に調べて適切に対処しましょう。副業の年収が20万円を超えたら確定申告が必要です。収入が多い場合は、青色申告制度の利用で節税対策ができます。

確定申告を怠ると、無申告加算税をはじめとするペナルティを課される可能性があります。申告漏れや節税対策の不備は、副業の安定運営と将来の成長に悪い影響を及ぼします。

副業起業を成功させるには、確定申告や税金に関する知識を身につけ、適切な申告方法の選択が欠かせません。不安な方は専門家に相談しましょう。

青色申告・白色申告の特徴

青色申告は複式簿記による詳細な記帳が必要な申告方法です。青色申告特別控除や家族従業員給与の必要経費算入など、税制上の優遇措置が受けられます。白色申告は簡単な単式簿記で対応できますが、税制上のメリットはあまりありません。

収支が安定していて税金の節税を重視する場合は、青色申告がおすすめです。一方、副業収入が少なく、簡単な確定申告で済ませたい場合は白色申告が向いています。自分に合った申告方法を選択しましょう。

青色申告・白色申告の違いについては､｢青色申告と白色申告の違いは？メリット・デメリットをわかりやすく解説｣の記事でもまとめているので興味のある方はご覧ください｡

副業起業におすすめの職業6選

副業起業は、インターネットを利用して在宅でできる仕事がおすすめです。通勤の時間を節約しつつ、隙間時間で事業に取り組めるためです。ここでは、副業起業に適した職業を紹介します。

フリーランスライター

フリーランスライターは、副業起業におすすめです。Webライターやコンテンツ制作は需要が高く、文章の執筆に抵抗がなければ始めやすいのが特徴。コツコツと実績を重ねていけば、確実にスキルアップできる職業でもあります。

フリーランスライターは特別な機材やソフトが必要ないため、初期投資を抑えられるのもメリットです。ただし、実績が問われるケースが多く、ポートフォリオの準備が欠かせません。特に、報酬の高い分野ほど過去の執筆実績を求められます。

フリーランスライターについては､｢フリーランスライターになるには？仕事の探し方や必要スキルを紹介｣の記事でも詳しく解説しています｡

Webデザイナー

Webデザインのスキルや経験がある方には、Webデザイナーが向いています。近年、企業のWebサイト制作やランディングページ制作など、Webデザインの需要は高まっています。Webデザイナーは案件を見つけやすく、安定した収入が期待できる職業です。

多くの場合、クライアントや雇用主からポートフォリオの提出が求められます。実績を積むことで信頼を得やすくなるでしょう。

Webデザイナーを副業として始めれば、自分の時間を有効活用しながらスキルを向上させられます。将来は独立も目指せるでしょう。

また､｢Webデザイナーとは？仕事内容や未経験からなる方法を解説｣の記事ではWebデザイナーについて紹介しています｡

プログラマー・システムエンジニア

IT業界は人材不足が深刻化しており、プログラマーやシステムエンジニアは副業起業で安定収入を得やすい職業です。フリーランスとして活躍する人が多く、自己の希望に沿った仕事を見つけやすいのが魅力です。

単価はプログラミング言語やスキルレベルによって異なりますが、高単価案件が多くあります。経験とスキルを磨けば、高収入も期待できるでしょう。常に新しい言語やフレームワークのトレンドを把握し、勉強を続けるのが成功の鍵です。

ただし、本業との業務が重複するリスクもあるため、就業規則に抵触しないように働く必要があります。

プログラマーについては､｢プログラマーの仕事内容は？きついと言われる理由や将来性も解説｣の記事も参考にしてみてください｡

翻訳・通訳

翻訳や通訳の仕事は、語学力があれば参入が容易で、時間の拘束も少ない職業です。企業の文書やWebサイトの翻訳など、多岐にわたるプロジェクトに携われます。

翻訳や通訳として成功するには、TOEFLやTOEICなどの定量的なスコアで英語力を証明すると良いでしょう。良いスコアを取ると、それだけでより多くの案件に応募できます。

時間を有効活用しながら高品質な翻訳・通訳をすると、独立への道も開ける可能性があります。

コンサルタント

副業起業におすすめの職業として、コンサルタントがあります。自身の専門知識を活かしてクライアントをサポートする仕事です。経営コンサルタントとして企業の戦略立案や業績改善を支援したり、ITコンサルタントとしてシステム導入のアドバイスをしたりします。

専門性の高い知識や経験が求められるため、関連資格の保持や実績が成功のポイントとなります。プロジェクトマネジメントの資格や特定の産業に特化した認定を持てば、信頼性が高まるでしょう。

企業の課題解決を支援したり個人事業主の事業成長をサポートしたりと、コンサルタントの仕事は社会貢献度の高さが魅力です。

コンテンツクリエイター

近年注目を集めているコンテンツクリエイターは、独創的なアイデアと創造性を活かして働きたい人におすすめの職業です。

YouTubeやTikTokなどの動画配信プラットフォームやブログ、SNSなどを活用して、オリジナルコンテンツを配信します。条件を満たせば収益化も可能です。

たとえば、YouTubeなら視聴数やチャンネル登録者数に応じて広告収入が得られます。それだけでなく、投げ銭、企業案件なども収益につながります。人気コンテンツクリエイターになれば、安定した高収入を得ることも可能です。

コンテンツクリエイターは編集スキルとアイデア次第で、副業ビジネスを成功に導くチャンスがあります。

まとめ

副業起業をすると本業の収入に加えて副収入を得られるため、経済的な余裕が生まれます。自分の好きなことを仕事にすると、自己実現にもつながるでしょう。

注意点としては、本業とのバランスがあげられます。時間管理や会社で定められた規制に気を配らなければなりません。

始めやすい職業は、フリーランスライターやコンサルタントなどです。本記事で紹介した職業を参考にして、自分に合った副業を見つけましょう。