業務委託に確定申告は必要?具体的なやり方も紹介

最終更新日:2024年10月23日

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副業やフリーランスなど、業務委託契約を結んで報酬を得る働き方が注目を集めています。
その一方で、会社員の給料とは異なり、業務委託で得た報酬は確定申告を必要とするケースがあることはあまり知られていないようです。

中には確定申告を知らずに業務委託契約を結び、後になって苦労する方も。そうならないためには、確定申告が必要なケースやその方法、業務委託契約の知識を事前に身に付けておくことが大切です。

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業務委託契約とはどのような働き方?

業務委託契約とは、企業が組織外部の個人や法人に、業務の一部またはすべてを依頼する契約形態です。フリーランスや副業として業務を担うときは、たいてい業務委託契約を締結します。業務委託契約は雇用契約と異なり、委託側と受託側の立場が同等になるのが特徴です。

なお、厳密にいうと法律の上で業務委託契約という用語は存在しません。多くの場合、以下に挙げる3種類の契約形態を総称して業務委託契約とされています。

・請負契約
・委任契約
・準委任契約

委任契約は法律行為の業務を行う契約にあたり、主に代理人契約の際に使用される用語です。フリーランスや副業の業務委託契約では、主に請負契約と準委任契約が適用されます。

請負契約と準委任契約の違い

準委託契約の特徴は、業務の遂行自体に報酬が支払われること。業務にあたった時間分や日数に応じた報酬が支払われます。準委託契約において、委託側は受託側に対する指揮命令権を持っていません。

一方、請負契約は依頼された業務を完了させることで報酬を得る形態です。たとえば、システム開発の請負契約では、依頼されたシステムの開発から納品、委託側の確認作業まで終えて報酬が支払われます。

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業務委託契約で得た報酬に確定申告は必要?

業務委託契約で報酬を得たら、基本的には確定申告を行わなければなりません。

フリーランスや個人事業主の人は、年間の合計所得金額が48万円を上回る場合は確定申告をする必要があります。ただし、この48万円は所得金額であり、必要経費を除いた金額です。

また、給与所得者や年金受給者は、副業として得た所得が年間で20万円を上回ると確定申告をしなければなりません。前述のどれにも当てはまらなければ、確定申告は必要ないでしょう。その一方で、確定申告の必要がない人も、申告により源泉徴収額の一部が還付されるケースがあります。

フリーランスや個人事業主の人であれば、報酬から必要経費を引いた金額が赤字の時には確定申告する必要がありません。ただ、青色申告をしている人は赤字分を3年間繰り越しできます。

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確定申告が必要な理由について

そもそも、なぜフリーランスに確定申告が必要かというと、委託した企業側は業務委託契約で発生した報酬の年末調整を行う必要がないためです。

会社員の人は、企業側が年末調整という形で確定申告を代行しています。この年末調整を行えるのは、企業と雇用契約を結んだ会社員の人だけです。よって、業務委託契約で得た報酬は自分で確定申告しなければなりません。

また、委託側の企業には受託側の必要経費を把握しきれないという事情も。詳しくは後述しますが、このような理由から業務委託契約では確定申告が必要になります。

業務委託では年末調整が行われない

一般的な会社員やアルバイト・パートスタッフであれば、企業側が年末調整を行うので確定申告を行う必要がありません。

一方、業務委託契約で報酬を得るケースでは基本的に事業所得として扱われ、個人事業主として業務に携わります。個人事業のため、確定申告の際に年間の報酬金額と必要経費を記入します。委託した企業は、この必要経費がいくらなのか把握できません。

さらに、受託側が他の会社から報酬を受けている場合も、委託側が他社の報酬額を把握することも不可能です。これらの理由のため、業務委託契約では年末調整が行われません。

業務委託契約での報酬は事業所得として扱われる

業務委託契約で得た報酬は、給与所得ではなく事業所得として扱われます。給与所得は、毎月の給与から所得税が引かれる一方、事業所得では引かれません。この所得税の金額も計算して確定申告します。

また、前述のとおり、事業所得であれば報酬から必要経費を引いて申請することで節税が可能です。この必要経費とは、報酬を生み出すためにかかった費用のこと。たとえば、プログラミングやライティングのような事業をする場合パソコンが必須のため、パソコンを買い替えた際にかかった金額は経費として計上できます。

基本的には、受託した仕事を行うために発生した出費は経費に分類できますが、経費として扱ってよいのか分からない出費は、税務署へ事前に質問しましょう。

必要経費の妥当性を判断するため

業務委託契約では、受託側は個人事業主として扱われます。そのため、業務で発生した消耗品やその他の出費は必要経費として計上が可能と前述しました。そして、その出費が経費として適切か判断するのは税務署です。

必要経費の自己判断は控え、税務署に確認しましょう。たとえば、経費を自己判断し、年間の合計所得金額が48万円を超えなかったので確定申告しなかったとします。このとき、税務署が経費の一部を認めず、実際は48万円を超えていた場合、後から延滞税や無申告加算税などペナルティが発生することもあります。

住民税の申請は必要

確定申告の必要がないケースでも、住民登録をしている市区町村への住民税の申請は必須です。所得税と住民税は連動しており、所得の申請をしなければ住民税の計算ができない仕組みになっています。また、確定申告で経費の割合が大きくなれば所得税が減額になり、連動する住民税も減額となります。

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確定申告の方法

確定申告は1年に1度、2月16日から3月15日の期間内に実施しなければなりません(※2022年度)。この期間内に、前年の1月1日から12月31日までの所得と税額を計算して税務署へ届け出ます。

確定申告には青色申告と白色申告があり、個人事業主はこの2つのうちどちらで申告するか選択可能です。青色申告は節税に関して大きな優遇がある一方で、申告手順が少し複雑です。白色申告は、申告が簡単にできるため初心者向けといえます。

青色申告をするときの手順は以下のとおりです。

・開業届を税務署に提出
・確定申告に必要な書類の準備
・2月16日から3月15日に書類を提出

開業届の提出

フリーランスや副業を始める際、開業届の提出は義務付けられていません。ただし、青色申告をするためには開業届の提出が前提です。白色申告を考えている人も、後に青色申告に切り替えることを考えて開業届は提出しておいた方が良いでしょう。

青色申告承認申請書の提出

青色申告を行うためには、事業開始日から2ヶ月以内、または適用したい年の1月1日から3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。この期間内に申請書を提出していなければ、自動的に白色申告となります。

確定申告書の準備

確定申告をするにあたり、準備しておかなければならない書類が、支出入や経費などを記した帳簿です。特に、青色申告をする場合には複式簿記による帳簿の作成が義務付けられています。この帳簿を基に、確定申告の書類を記入します。

注意するポイントは、支出入や経費などを記した帳簿は7年間保存しておく義務があることです。また、仕事をする上で発生した出費のレシートや領収書は保存しておきましょう。これらが経費の証明になるためです。

書類の提出

前述の帳簿を参考に作成した収支内訳書と確定申告書、決算書などの必要書類が揃ったら税務署に提出します。現在では、書類を直接税務署に持ち込まなくても提出可能です。以下の4つから提出する方法を選べます。

・税務署に持ち込み
・郵便を使った郵送
・e-Taxの利用
・税務署に設置された時間外収集箱への投函

青色申告であれば、特別控除のメリットを最大限に受けられるe-Taxの使用をおすすめします。

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青色申告のメリット

これまでの解説で、青色申告は手間がかかり、書類の準備も複雑で大変そうなイメージを持たれたでしょう。その一方で、青色申告にはその分大きなメリットも用意されています。

ここでは、フリーランスとして活動する上で影響の大きいメリットを4つご紹介します。そのメリットは、以下の4つです。

・青色申告特別控除を受けられる
・赤字額の繰り越しが可能
・30万円未満の耐用品を経費として一括計上可能
・事業での使用を証明できれば経費として計上可能

それぞれのメリットについて解説します。

青色申告特別控除を受けられる

白色申告にはない青色申告のメリットが、特別控除です。この控除により、納税額を減額できます。この控除は所得金額を減らせるため、所得税・住民税の節税につながります。

控除額には、10万円・55万円・65万円の3段階が用意されています。ただし、控除とはいえ65万円控除であれば納税額がそのまま65万円減額されるわけではありません。税率を10%とすると、65万円控除で減額できる金額は6万5千円です。

赤字額の繰り越しが可能

青色申告では、年間の赤字額を最大で3年間繰り越しが可能です。つまり、赤字になったとしても翌年に繰り越すことで、翌年の収入がその分下がるので節税ができます。たとえば、今年の赤字が100万円だったとします。翌年は100万円の収入があるまで黒字にならず、黒字ではないので税金もかかりません。

30万円未満の耐用品を経費として一括計上可能

通常、経費の計上には減価償却という仕組みがあります。これは、10万円以上で耐用年数1年以上のものが対象となり、数年かけて少しずつ経費として計上する仕組みです。たとえば、個人が仕事のためのパソコンを25万円で購入しても、25万円すべてをその年の経費として扱えるわけではありません。

そのような減価償却ですが、青色申告では少額減価償却資産の特例という制度が用意されています。この制度は、購入した耐用年数1年以上のものが30万円未満であれば、経費としてその年に一括計上できるものです。つまり、青色申告であれば、先ほど例に挙げたパソコンの費用を一括で経費として扱えるため、その分節税できます。

事業での使用を証明できれば経費として計上可能

自宅で仕事をする際の家賃や光熱費、水道代などは家事関連費として扱われ、通常必要経費として計上できません。一方、青色申告であれば、事業に使用したと証明できる分は必要経費として扱えます。

家賃を経費として計上する場合、仕事部屋の床面積の割合に応じて必要経費を計上します。仕事部屋の面積が全体の20%、家賃5万円とすると、1万円を必要経費として計上可能です。光熱費や水道代も同じように必要経費として扱えます。

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まとめ

フリーランスの活動や副業を始める際、多くの人が大変に感じる確定申告。その確定申告も、業務委託契約で報酬を得るためには避けて通れないルールです。むしろ、そのルールを最大限に利用して節税し、利益をより多く確保すると考えた方がハードルは低く感じます。

業務委託や確定申告に関する知識をしっかりと身に付けて、作業に集中できる環境を整えましょう。

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