業務委託の報酬に確定申告は必要?基準となる所得金額や手続き方法を紹介

最終更新日:2025年03月11日

フリーランスや個人事業主として働く人は、業務委託契約を結ぶことがあります。業務委託契約で報酬を得た際、確定申告が必要なのか気になる人もいるでしょう。 そこで本記事では、確定申告の要不要を判断する基準になる所得金額、手続きのやり方などを紹介します。節税効果が高い青色申告についても解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

330,000件の中から 希望に合う案件を探せる

  • 20社以上のエージェント案件をまとめて検索
  • 新着案件をメールで受け取れる

業務委託契約で確定申告が必要なケース

業務委託契約を結んで働く人は、確定申告が必要な場合があります。以下で確定申告が必要なケースを確認しましょう。

フリーランスや個人事業主の場合

フリーランスや個人事業主は、年間の所得金額が48万円を上回る場合は確定申告する必要があります。所得金額とは、収入から必要経費を除いた分のお金です。

たとえば、収入が100万円だったとしましょう。業務委託をする際に50万円のパソコンを購入した場合、所得は50万円となります。フリーランスや個人事業主として業務委託で働いている方は年間の収入だけでなく、経費を正確に把握することが重要です。

給与所得者の副業の場合

給与所得者や年金受給者は、副業で得た所得金額が年間で20万円を上回ると確定申告をしなければなりません。収入から経費を引いた分のお金が20万円を超えるかどうかがポイントです。

ただし、株式の配当など特定の所得は20万円から除外されます。所得金額に含まれない所得は、国税庁のWebサイトを参照して確認してください。

案件獲得を効率化するなら

希望にあう案件を受け取る

業務委託契約とは

業務委託契約とは、企業が外部の個人や法人に業務の一部、またはすべてを依頼する取り決めです。業務委託契の形態は主に3種類に分けられます。ここでは会社員が企業と結ぶ雇用契約との違いも含め、業務委託契約の概要を見ていきましょう。

業務委託契約の種類

フリーランスの仕事や会社員の副業では、たいてい業務委託契約を結びます。主な契約形態は以下のとおりです。

  • 請負契約
  • 委任契約
  • 準委任契約

委任契約は法律業務を扱う形態なので、多くの場合は主に請負契約か準委任契約を結ぶことになるでしょう。各契約形態について詳しく知りたい方は、「業務委託と請負の違いを分かりやすく解説!メリットとデメリットも紹介」をご覧ください。

会社員の雇用契約との違い

雇用契約と業務委託契約は、労働者(従業員)と使用者(会社など)の関係に違いがあります。雇用契約は使用者の命令に従い、定められた時間と場所で働く形態です。対して業務委託契約は、自分の裁量に合わせて働けます。

業務委託とは?仕事内容ややめたほうがいいといわれる理由も解説」では雇用形態ごとに分けて違いを説明しているので、あわせてご覧ください。

案件獲得を効率化するなら

希望にあう案件を受け取る

確定申告で所得税が還付されるケース

個人事業主やフリーランスの業種には、報酬が源泉徴収されるケースがあります。公認会計士や弁護士をはじめとした専門職が受け取る報酬、著作物への報酬、講演料などです。確定申告すれば、所得税還付を受けられる可能性があります。

源泉徴収額は、発注元からの支払調書で把握できます。支払調書とは、クライアントが税務署に提出する年間の支払金額や源泉徴収税額が記載されている書類です。支払金額が年間で5万円超の場合、発注元は支払調書を税務署に提出する義務があります。

ただし、業務委託先である個人事業主やフリーランスに提供する義務は発注元にありません。そのため所得税が還付される可能性のある人は、支払調書の交付を発注元に依頼したり、帳簿や請求書で源泉徴収額を確認したりしましょう。

案件獲得を効率化するなら

希望にあう案件を受け取る

確定申告しない場合のリスク

確定申告を怠るとどのような事態になるのか、ペナルティがあるのかが気になる人も多いでしょう。ここからは、確定申告をしなかった場合のリスクを紹介します。

申告もれがバレる可能性がある

確定申告もれはバレる可能性があります。発覚する主な原因は、取引先が税務署に提出する支払調書の記載内容です。支払調書には以下の内容が記載されます。

  • 支払金額
  • 日付
  • 支払った相手の名前や住所

税務署は支払調書をもとに、個人事業主やフリーランスが確定申告を行っているか確認します。確定申告をしていないと、税務署にバレてしまうでしょう。

そのほか、知人や友人からの情報、マイナンバー制度を元にした所得情報から発覚するケースも少なくありません。確定申告を適切に実施し、法令遵守を心掛けましょう。

ペナルティが科されることがある

確定申告しなかった場合、延滞税や無申告加算税などのペナルティが発生することがあります。経済的負担が増加するだけでなく、信用にも大きなダメージを与えるでしょう。ペナルティの詳細は以下のとおりです。

延滞税

延滞税とは、税金を納める期日内に納付しなかった際のペナルティです。確定申告を怠ったときや指定の口座から税金を引き起こせなかったときに発生します。税率は以下のとおりです。

  • 締切日の翌日から数えて8週間以内:7.3%
  • 締切日の翌日から8週間を超えた:14.6%

手続きが遅れるほど税額が増えるので、期限内に納付するに越したことはないでしょう。

無申告加算税

無申告加算税とは、決められた期日までに申告しなかった人に対するペナルティです。税率は、納付する税金の額によって異なります。

  • 50万円以下:15%
  • 50万円以上300万円以下:20%
  • 300万円超:30%

指摘される前に自ら確定申告をした人は、税率が低く抑えられる制度が用意されています。確定申告をしていないことに気づいたときは、なるべく早く手続きしましょう。

重加算税

重加算税とは、確定申告に嘘の内容を記載したり、悪意を持ってデータの情報操作をしたりした場合に発生するペナルティです。以下のように重めの税率になります。

  • 過少申告:35%
  • 無申告:40%

何度も隠蔽を行った場合は、税率がさらに10%上乗せされる可能性があります。確定申告しなくてもバレないと考えていると、厳しい制裁を受けることになりかねません。正確な申告を心掛け、疑問点があれば早めに税理士や税務署に相談しましょう。

案件獲得を効率化するなら

希望にあう案件を受け取る

確定申告が必要な理由

業務委託契約で行った仕事は年末調整されないため、自分で確定申告する必要があります。経費の妥当性判断などの観点からも手続きの重要度は高いので、以下で詳しく見ていきましょう。

業務委託には年末調整がないから

業務委託では年末調整がないので、代わりに自分で確定申告する必要があります。一般的な会社員やアルバイト・パートスタッフであれば、企業が年末調整を行うので確定申告は不要です。

業務委託契約では基本的に報酬は事業所得として扱われ、個人事業主として業務に携わります。個人事業のため、確定申告の際に年間の報酬金額と必要経費を記入します。委託した企業は、この必要経費がいくらなのか把握できません。

さらに、受託側が他の会社から報酬を受けている場合も、委託側が他社の金額を把握するのは不可能です。こうした理由のため、業務委託契約では年末調整が行われません。

年末調整について詳しく知りたい方は、「年末調整は個人事業主に必要?確定申告と両方やる場合などケース別に解説」をご覧ください。

業務委託の報酬は事業所得になるから

業務委託契約で得た報酬は、給与所得ではなく事業所得として扱われます。給与所得の場合毎月の給与から所得税が引かれますが、事業所得では引かれません。この所得税の金額も計算して確定申告する必要があります。

必要経費の妥当性を判断するから

経費の妥当性を税務署で判断しなければならないため、確定申告は必要な手続きだといえます。経費としての妥当性があいまいな場合は自己判断せず、税務署に確認しましょう。

たとえば、経費を自己判断し、年間の合計所得金額が48万円を超えなかったので確定申告しなかったとします。このとき税務署が経費の一部を認めず、実際は48万円を超えていた場合、後から延滞税や無申告加算税などペナルティが発生する可能性があるでしょう。

個人事業主が経費にできるもの一覧|どこまで計上するかや上限の有無を解説」では経費になる費用を紹介しているので、ぜひ参照してください。

案件獲得を効率化するなら

希望にあう案件を受け取る

確定申告が不要でも住民税の申請は必要

確定申告が不要のケースでも、住民登録をしている市区町村への住民税の申告は必要です。所得税と住民税は連動しており、所得の申請をしなければ住民税の計算ができない仕組みになっています。確定申告で経費の割合が大きくなれば所得税が減り、連動する住民税も減額となります。

業務委託契約にかかる税金については、「業務委託契約の税金|所得税・住民税の概要や確定申告の方法とは」を参考にしてください。

案件獲得を効率化するなら

希望にあう案件を受け取る

確定申告の方法

確定申告は1年に1度、2月16日から3月15日の期間内に手続きしなければなりません。前年の1月1日から12月31日までの所得と税額を計算し、期限内に税務署へ届け出ます。具体的な手順を以下で見ていきましょう。

開業届の提出

フリーランスや副業を始める際、開業届の提出は義務付けられていません。ただし、青色申告するためには開業届の提出が必要です。白色申告を考えている人も、後に青色申告に切り替えることを考えて提出しておいた方が良いでしょう。

開業届の提出方法については、「個人事業主が出す開業届とは?書き方や提出するメリットなども解説」を参考にしてください。

青色申告承認申請書の提出

青色申告する場合は事業開始日から2ヶ月以内、または適用したい年の1月1日から3月15日までに青色申告承認申請書を提出しましょう。期間内に申請書を提出しなかった場合、自動的に白色申告となります。

記入方法については、「青色申告承認申請書とは?書き方や届出の方法、提出期限などを解説」を参考にしてください。

必要書類の準備

確定申告するにあたって準備しておかなければならない書類が、支出入や経費などを記した帳簿です。特に、青色申告する場合には複式簿記による帳簿の作成が義務付けられています。帳簿の記載内容をもとに確定申告の書類を記入します。

注意するポイントは、支出入や経費などを記した帳簿は7年間保存する義務があることです。仕事をする上で発生した出費のレシートや領収書も保存しましょう。経費の証明になるためです。

確定申告に必要な書類については、「確定申告に源泉徴収票は必要?書類一覧や確定申告に関する疑問を解説」が参考になります。

必要書類の提出

前述の帳簿を参考に作成した収支内訳書と確定申告書、決算書などの必要書類が揃ったら、税務署に提出しましょう。以下の4つから提出方法を選べます。

  • 税務署の窓口に持ち込み
  • 郵送
  • e-Tax
  • 税務署に設置された時間外収集箱への投函

青色申告する人は、特別控除のメリットを最大限に受けられるe-Taxがおすすめです。

案件獲得を効率化するなら

希望にあう案件を受け取る

業務委託で働く人が知りたい青色申告の基礎知識

青色申告の基礎知識を解説します。特別控除が受けられ、節税効果が高いのが青色申告のメリットです。白色申告との違いや必要な要件も知り、手続きに備えましょう。

青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告は所得税の申告方法で、税制上の優遇制度が大きく違います。主な違いは、以下のとおりです。

項目 青色申告 白色申告
事前申請 必要 不要
記帳方法 複式簿記(原則) 単式簿記
特別控除 最大65万円控除 特別控除なし
赤字繰越 3年間可能 なし
家族への給与 控除可能 控除不可(専従者控除のみ)
税務申告手続き 複雑 簡単
優遇措置 多い 少ない
貸倒引当金 計上可能 計上不可

どちらの申告方法にするかは、事業の規模や考え方によって判断すると良いでしょう。両者の違いについては、「青色申告と白色申告の違いは?メリット・デメリットをわかりやすく解説」を参考にしてください。

青色申告のメリット

青色申告は手間がかかりますが、その分大きなメリットがあります。主なメリットは、以下の4つです。

  • 青色申告特別控除を受けられる
  • 赤字を繰り越せる
  • 仕事を手伝う家族の給与を経費に計上できる
  • 30万円未満の耐用品を経費に計上できる
  • 貸倒引当金を経費に計上できる

各メリットの詳細については、「個人事業主に青色申告は必要?メリットや手続き、書類の提出方法を解説」を参考にしてください。

青色申告を行うための要件

青色申告は、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある
  • 開業届・所得税の青色申告承認申請書を提出済み
  • 複式簿記での帳簿をつけている

青色申告に帳簿は必要?種類や控除の条件、つけ方の手順を解説」では控除額ごとに要件を解説しているので、あわせて参照してください。

案件獲得を効率化するなら

希望にあう案件を受け取る

まとめ

フリーランスの活動や副業を始める際、多くの人が大変に感じる確定申告。とはいえ、確定申告は業務委託契約で報酬を得る人にとっては避けて通れない手続きです。ルールを最大限に利用して節税し、利益をより多く確保すると考えた方がハードルは低く感じるでしょう。

業務委託や確定申告に関する知識をしっかりと身につけ、作業に集中できる環境を整えてください。

次の案件探しの
情報収集ができる!

掲載数は330,000件!

あなたの適性単価がわかる!

エンジニア単価診断

エンジニア単価診断

あなたにピッタリ
フリーランス案件が見つかる

  • 133万件以上のフリーランス案件から一括検索

    335,377の案件を保有しており、エンジニアやクリエイター向けを中心にたくさんの案件を一括検索可能です。

    ※ 4月2日(Wed)更新

    33万件以上のフリーランス案件から一括検索

  • 2あなたの経験やスキルに適した案件をメールでお知らせ

    マイページに入力して頂いた経験や希望条件に合わせて、ご希望にマッチした案件をメールでお送りするので効率的な案件探しが可能です。

    あなたのプロフィールからおすすめの案件・求人

今すぐ無料登録

フリーランスの案件を検索する

都道府県を選択
  • 関東

  • 北海道・東北

  • 甲信越・北陸

  • 東海

  • 関西

  • 中国

  • 四国

  • 九州・沖縄

人気の記事

フリーランスとして仕事を得るには? 代表的な職種や案件の探し方を紹介

フリーランスの仕事に関心を持つ人は多いでしょう。エンジニア・クリエイター・コンサルタントなどは、フリーランスの仕事が多く存在します。この記事...

フリーランス人気

最終更新日:2025年03月06日

業務委託で副業をするには?メリットや案件の探し方を解説!

業務委託の副業を検討している方に向けて、メリット・デメリットや始める際の注意点などを紹介します。また、業務委託の副業でおすすめの職種や案件の...

業務委託副業人気

最終更新日:2025年03月07日

フリーランスの始め方は?必要な準備・手続きや独立するメリットを解説

フリーランスの始め方が分からない方に向けて、独立する方法や仕事の見つけ方、必要な準備・手続きを解説。また、フリーランスになるメリットや適性、...

フリーランス個人事業主人気

最終更新日:2024年11月25日

フリーランスとはどんな人?言葉の意味や働き方の種類、始め方を解説

この記事では、フリーランスの基礎知識や働き方の種類、活躍していくために必要な手続き、ノウハウなどを幅広く解説しています。フリーランスとして働...

フリーランス人気

最終更新日:2024年11月25日

あわせて読みたい関連記事

フリーランスの収入はどのように変化している?将来性をチェック!

柔軟な働き方ができるイメージのあるフリーランスですが、安定した収入を得られるのか不安を感じている人も少なくありません。ここでは、フリーランス...

フリーランス税金確定申告将来性

最終更新日:2025年01月24日

フリーランスにもおすすめ!クラウド会計対応の税理士事務所

個人事業主として独り立ちすると、税務処理などの対応に追われる日が必ずやってきます。その手間は業務効率に響くほど負担になるケースも…。そんな不...

フリーランス税金個人事業主

最終更新日:2024年12月11日

個人事業主が出す開業届とは?書き方や提出するメリットなども解説

この記事では、個人事業主として開業することを目指している方を主な対象に、開業届の概要や書き方、提出方法などについて分かりやすく解説しています...

フリーランス個人事業主開業

最終更新日:2024年10月03日

副業も個人事業主として届け出たほうがいいの?手続きの方法とは

この記事では、副業をしている会社員が個人事業として開業するべきか、メリットはあるのかなどについて解説しながら、個人事業主としての手続きや方法...

個人事業主確定申告

最終更新日:2024年10月04日

自由業とは?フリーランスやフリーターとの違いや種類、働き方もご紹介

この記事では、ここ数年で急増している「自由業」という働き方を紹介しています。どのような職種があるのか、どうすれば目指せるのか、メリット・デメ...

フリーランス個人事業主

最終更新日:2024年10月04日

おすすめのフリーランスエージェントの紹介記事