最終更新日:2025年08月21日
業務委託による所得がある人のなかには、確定申告が必要かどうか気になっている方もいるでしょう。確定申告が必要かどうかは、所得区分と所得額によって決まります。
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業務委託で仕事をする人の確定申告の要否は、所得額と所得区分によって決定します。
業務委託の仕事で得た所得の区分は、主に「事業所得」か「雑所得」の2つです。
ここでは、フリーランスや個人事業主が業務委託の仕事を行うケースと、給与所得者が副業として業務委託の仕事に取り組むケースに分けて、確定申告が必要となる条件について解説します。
多くのケースにおいて、フリーランスや個人事業主の業務委託による所得は「事業所得」にあたります。
フリーランスや個人事業主が業務委託で稼ぐ年間の事業所得の金額が基礎控除額の48万円を超えるケースでは、確定申告が原則必要です。得られた収入から必要経費を引いた所得金額が48万円を超える場合は、確定申告の手続きを行いましょう。
開業届を提出して個人事業主として事業を行っている場合は、「確定申告は個人事業主の場合年収いくらから? ケース別の要不要や手順」の記事もご覧ください。各種手続き方法や注意点について解説しています。
給与所得者が副業として取り組む業務委託による所得は、原則「雑所得」にあたります。
給与所得がある人の場合、業務委託による雑所得を含む各種の所得金額の合計が20万円を超えるケースにおいて、確定申告が原則必要になります。なお、給与所得や退職所得、一定の金融所得は20万円の判定から除外されます。
給与を1箇所からのみ受け取っている人は給与の支払者によって年末調整が実施されるため確定申告は不要です。しかし業務委託の副業を行う場合、雑所得については年末調整が行われないため、自ら所得金額を計算して確定申告の要否を確認しましょう。
会社員をしながら副業をしている方は、「副業所得が20万円以下でも確定申告は必要?ルールや注意点を解説」の記事も参考にしてください。
出典:
国税庁「確定申告が必要な方」
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
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希望にあう案件を受け取る業務委託契約とは、業務の一部または全部を、外部の個人や法人に任せる契約形態です。業務委託の契約形態は主に3種類に分けられます。ここでは、雇用契約の違いも踏まえて、基本的な仕組みを確認していきましょう。
フリーランスの仕事や会社員の副業では、企業と業務委託契約を結ぶケースが一般的です。主な契約形態は以下の3つです。
委任契約は主に法律行為を扱う場合に限られるため、業務委託の多くは「請負契約」か「準委任契約」を結ぶことになります。
業務委託の各契約形態について詳しく知りたい方は、「業務委託と請負の違いを分かりやすく解説!メリットとデメリットも紹介」の記事を参考にしてください。
雇用契約と業務委託契約は労働者(従業員)と使用者(企業など)の関係に明確な違いがあります。雇用契約では、企業の指示に従い従業員は決められた時間・場所で働くことが基本です。
一方で、業務委託契約では委託者と受託者は対等な立場で契約を締結します。指揮命令系統はなく、働く時間や進め方を受託者が自分の裁量で決められます。
雇用形態の違いの詳細は、「業務委託とは?契約形態や正社員・アルバイト・派遣との違いを簡単に解説」の記事をチェックしてください。
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希望にあう案件を受け取る所得税の確定申告の際、業務委託で仕事をする人は節税効果が高い「青色申告」と手続きが簡単な「白色申告」のどちらかで手続きを行うことになります。
ここでは、青色申告と白色申告の違いやメリット・デメリット、青色申告の要件について解説します。
確定申告の青色申告と白色申告の主な違いは、下記の表のとおりです。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
条件 | 不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかの所得がある人 | なし |
事前申請 | 必要 | 不要 |
記帳方法 | 複式簿記(原則) | 単式簿記 |
特別控除 | 最大65万円の控除あり | なし |
青色事業専従者給与 | 必要経費に算入可 | 不可 |
貸倒引当金 | 必要経費に算入可 | 不可 |
純損失の繰越しと繰戻し | 控除可 | 不可 |
業務委託による所得が事業所得にあたる場合は、青色申告での確定申告を検討できます。メリット・デメリットを比較して、青色申告と白色申告のどちらか希望する方法を選びましょう。
業務委託による所得が雑所得にあたる場合は、白色申告で確定申告の手続きを行います。
出典:
国税庁「No.2070 青色申告制度」
国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
所得税の確定申告時に選べる青色申告と白色申告には、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。
青色申告で所得税の確定申告を行う主なメリットとデメリットは、下記の表のとおりです。
青色申告のメリット | 青色申告のデメリット |
---|---|
・最大65万円の特別控除を受けられる ・家族への給与を経費計上できる ・貸倒引当金を経費計上できる ・赤字の繰越しもしくは繰戻しができる |
・手続きが煩雑 ・青色申告承認申請書を事前に提出しなければならない |
青色申告には税負担を軽くできる制度が数多くあります。複式簿記での帳簿付けや事前申請などの手間はかかりますが、得られる節税メリットが多いです。
白色申告で所得税の確定申告を行う主なメリットとデメリットは、下記の表のとおりです。
白色申告のメリット | 白色申告のデメリット |
---|---|
・手続きが比較的簡易 ・事前に提出すべき書類がない |
・節税効果が比較的薄い ・収支内訳書が必要なケースがある |
白色申告の大きなメリットは、青色申告と比べて手続きが簡易であることです。受けられる税制優遇は減りますが、確定申告にかける労力は少なく済みます。
ただし、所得が事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかに該当するケースや、前々年分の業務に係る雑所得の収入が1,000万円超のケースでは収支内訳書の添付が必要となり、手間が増えるため注意しましょう。
青色申告と白色申告のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、「青色申告と白色申告の違いは?メリット・デメリットをわかりやすく解説」の記事を参考にしてください。
出典:
国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」
業務委託で仕事をしている人が青色申告を行うためには、以下の要件を満たす必要があります。
節税効果が高い青色申告で確定申告をしたいと考えている場合は、要件に当てはまっているか確認しましょう。また、青色申告の手続きに向けて記帳や資料の保存を怠らないようにしてください。
青色申告を行う際に必ず提出が必要となる青色申告承認申請書については「青色申告承認申請書とは?書き方や届出の方法、提出期限などを解説」の記事を参考にしてください。
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希望にあう案件を受け取る業務委託による所得額が一定額を超える場合、確定申告をする必要があります。
ここでは、業務委託で得た所得税の確定申告のやり方を紹介します。確定申告の手順を押さえて、期日までに手続きを行いましょう。
業務委託の確定申告の手続きに向けて、必要書類を準備します。
青色申告で確定申告を行うケースで必要となる主な書類は下記のとおりです。
青色申告の場合、必要な書類が多くなります。漏れがないように準備しましょう。
白色申告で確定申告を行うケースで必要な主な書類は以下のとおりです。
白色申告を行うにあたって「所得が事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかに該当する」あるいは「前々年分の業務に係る雑所得の収入が1,000万円を超える」のケースに当てはまる場合、収支内訳書が必要です。
所得金額が分かる書類の一つに、源泉徴収票があります。源泉徴収票の要否については「確定申告に源泉徴収票は必要?書類一覧や確定申告に関する疑問を解説」の記事をご覧ください。
出典:
国税庁「〔令和6年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き〕申告書に添付・提示する書類」
必要な書類が用意できたら、確定申告書を作成しましょう。確定申告書を作成するときは、国税庁が公開している手引きのWebサイトページや確定申告書等作成コーナーを確認してください。
確定申告書は書面で作成する方法と、e-Tax(電子申告)で作成する方法の2つがあります。
e-Taxで確定申告書を作成する場合は自動計算が行われるため、画面に表示されるガイドに沿って金額を入力していけば比較的簡単に作成できます。
出典:
国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」
国税庁「国税庁 確定申告書等作成コーナー」
確定申告書の作成が完了したら、定められた期限までに所轄の税務署へ提出を行いましょう。確定申告の申告期間は、原則その年の翌年2月16日から3月15日までです。
確定申告書の提出方法は、主に下記の4つです。
なお、帳簿や決算関係の書類などは一定期間保存する必要があります。なくさないように保管してください。
出典:
国税庁「No.2020 確定申告」
国税庁「申告書の提出方法」
国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
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希望にあう案件を受け取る業務委託の所得によって確定申告の義務が発生しているにもかかわらず手続きを怠った場合、ペナルティとして無申告加算税や重加算税、延滞税が課されることがあります。
ここでは、確定申告をしないと課税される無申告加算税・重加算税・延滞税について解説します。
無申告加算税とは、決められた期日までに確定申告を適切に行わなかった場合に課される税金です。本来納付すべき税金に加えて、各ケースにおいて定められた割合を乗じた金額の無申告加算税が課されます。
無申告加算税は、申告時期や帳簿の提示内容によって適用される加算税率が変動します。2024年1月以降(令和5年分以降)の無申告加算税の加算税率は、下記の表のとおりです。
課税される条件 | 無申告加算税の加算税率 |
---|---|
税務署からの調査の事前通知より前に自主的に期限後申告をした | 5% |
税務署からの調査の事前通知より後に期限後申告をした | 50万円以下の部分:10% 50万円超~300万円以下の部分:15% 300万円超の部分:25% |
税務署からの調査の実施後に期限後申告をした | 50万円以下の部分:15% 50万円超~300万円以下の部分:20% 300万円超の部分:30% |
税務署からの調査時、帳簿の提示・提出の要求に応じなかった | 10% |
帳簿へ記載すべき売上金額の記載等を、本来の2分の1未満にした | 10% |
帳簿へ記載すべき売上金額の記載等を、本来の3分の2未満にした | 5% |
なお、期限後申告であっても次の要件をすべて満たすケースでは、無申告加算税が課税されません。
無申告加算税を課されないように、業務委託で仕事をするときは確定申告を適切な時期・内容で行いましょう。
重加算税とは、隠ぺい・仮装によって納税義務に違反したときに課される税金です。
2024年1月以降(令和5年分以降)における重加算税のケース別の加算税率は、下記の表のとおりです。
課税される条件 | 重加算税の加算税率 |
---|---|
過少申告かつ隠蔽・仮装が認められた | 35% |
無申告かつ隠蔽・仮装が認められた | 40% |
また、過去5年以内に無申告加算税あるいは重加算税を課されたことがある場合、さらに10%の割合を乗じて計算した金額が加算されます。
そのため、過少申告かつ隠蔽・仮装があったケースでは45%、無申告かつ隠蔽・仮装があったケースにおいては50%の加算税率になります。
確定申告で不正を行うと厳しいペナルティを受けることになるでしょう。業務委託による所得がある場合は、誠実で正確な確定申告をしてください。
延滞税とは、税金を期限までに納付しなかった際に利息として課税される税金です。
延滞税は法定納期限の翌日から納付までの日数に応じて、本税に対して課税されます。
2021年1月以後の延滞税の割合は下記のとおりです。
対象期間 | 延滞税の割合(年率) |
---|---|
納期限までの期間および納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで | 7.3%または「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低いほうの割合 |
納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降 | 14.6%または「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低いほうの割合 |
業務委託による所得の確定申告の手続きを完了させていたとしても、納付するべき税額を放置してしまうと延滞税が発生します。納付が遅れるほど税額が増えるため、早めに対応しましょう。
「確定申告をしたら会社に副業がバレてしまうかもしれない」という不安から確定申告の手続きを躊躇している場合は、「ダブルワークがばれる理由は?会社と揉めないための対策も解説」の記事もご覧ください。
出典:
国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」
国税庁「No.9205 延滞税について」
国税庁「延滞税の計算方法」
国税庁「延滞税の割合」
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希望にあう案件を受け取る源泉徴収とは、報酬を支払う側(発注元)が所得税をあらかじめ差し引き、代わりに国へ納める仕組みです。
業務委託の場合も、一部の報酬については源泉徴収が行われるケースがあります。たとえば、原稿料や著作権使用料、講演料、出演料、弁護士・税理士といった専門職への報酬などが対象となります。
なお、税理士法人など法人が報酬を受け取る場合は、源泉徴収の対象外となります。
源泉徴収の仕組みや計算方法の詳細が知りたい方は、「個人事業主が源泉徴収するケースとは?記載項目やポイント、計算方法を解説」の記事を参考にしてください。
出典:
国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
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希望にあう案件を受け取る業務委託でも、報酬が源泉徴収されるケースがあります。公認会計士や弁護士などの報酬や著作物への使用料、講演料などが対象です。確定申告をすれば、所得税が還付される可能性があります。
源泉徴収額は、発注元から交付される「支払調書」で確認可能です。支払金額が年間5万円を超えると、発注元は支払調書を税務署に提出する義務があります。
しかし、業務委託者に対して支払調書を交付する義務はありません。所得税の還付を受けたい場合は、支払調書の交付を依頼するか、請求書や帳簿で源泉徴収額を控えておくと安心です。
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希望にあう案件を受け取る業務委託による所得の金額が確定申告の義務が発生する基準額を下回っている場合でも、確定申告をしたほうがよいケースがあります。
確定申告が推奨されるケース例は下記のとおりです。
業務委託による所得額が基準額よりも低い場合においても、確定申告を行うことで税金の還付が受けられたり適用される控除が増えたりするなど、多くのメリットを享受できます。
なお、住民税の申告に関しては義務となるので注意が必要です。業務委託の所得が基準額未満だったとしても、所得があれば基本的に住民税の申告が必要となるため、確定申告を実施してください。
確定申告を行わない場合は、住民税の申告を居住地の市区町村にて別途行いましょう。
業務委託にかかる税金については、「業務委託契約の税金はいくら?確定申告のやり方や節税対策の方法も解説」の記事をチェックしてください。
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希望にあう案件を受け取る業務委託で報酬を得る場合、所得の金額と区分によって確定申告が必要かどうかが決まります。
フリーランスや個人事業主として働いている場合は、事業所得が48万円を超えると基本的に確定申告が必要になります。一方、副業で業務委託をしている給与所得者は、雑所得を含む所得額が20万円を超えると原則として確定申告が必要です。
業務委託による所得が一定額あるにもかかわらず確定申告をしないと、延滞税や無申告加算税などのペナルティが科せられるリスクがあります。
期日までに完了できるよう、確定申告のやり方や種類、必要書類などについて知り、正しく手続きを行いましょう。
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