NEW フリーランスが複数案件の掛け持ちを成功させる方法を解説！探し方も紹介

フリーランスは案件を掛け持ちできる

フリーランスは、原則として複数の案件を同時に掛け持ちすることが可能です。
会社員とは異なり、フリーランスは雇用契約ではなく業務委託契約が一般的であるため、契約上の制限がなければ自由に仕事を受けられます。

政府が公表した「令和4年度フリーランス実態調査結果」によると、フリーランスの案件の掛け持ちの実際の状況は下記のとおりです。
3割を超えるフリーランスが複数の案件を掛け持ちして仕事をしています。1つだけではなく、2つ以上の案件を掛け持ちしているフリーランスも存在します。

掛け持ちの状況	割合
掛け持ちしていない	66.1%
他に1つ掛け持ちしている	14.1%
他に2つ掛け持ちしている	8.8%
他に3つ掛け持ちしている	4.6%
他に4つ掛け持ちしている	1.1%
他に5つ以上掛け持ちしている	5.3%

また、同調査で「掛け持ちしていない」と回答した人に案件を掛け持ちをしていない理由を尋ねた結果は、下記の表のとおりでした。

掛け持ちしていない理由	割合
契約上、専属義務が課されているため	7.4%
掛け持ちしないという慣行があるため	3.4%
他の仕事を掛け持つ余裕がないため	48.2%
他の仕事を掛け持つ必要性がないため	39.1%
その他	1.9%

必要性を感じていないため掛け持ちをしていない人もいますが、6割近くのフリーランスが理由があって案件の掛け持ちを断念している状態です。
案件を掛け持ちしたいフリーランスは、契約内容やスケジュール管理などに注意が必要だといえるでしょう。

参考：内閣官房新しい資本主義実現会議事務局・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁「令和4年度フリーランス実態調査結果」

フリーランスが案件を掛け持ちするメリット

フリーランスが案件を掛け持ちすることには多くのメリットがあります。
ここでは、フリーランスが複数の案件を掛け持つことによる5つのメリットについて解説します。

収入を増やせる

フリーランスが案件の掛け持ちをする直接的なメリットは、収入が増加することです。複数の案件から報酬を得られるようになるため、単一案件を受注していたときと比べて収入が大幅に向上する可能性があります。
この収入増加は、フリーランスとしての経済的な安定や将来への備えに貢献するでしょう。

フリーランスがどれくらい稼げるのかについて知りたい場合は、「フリーランスの年収は？職種別の平均手取り相場や収入アップの方法を紹介」の記事をご覧ください。

リスクを分散できる

フリーランスにとって、案件の突然の終了や報酬の遅延は深刻なリスクです。複数の案件を掛け持つことで、フリーランスが抱えるこうしたリスクを分散できます。

1つの案件が終了しても、ほかの案件からの収入があれば生活の安定を保てます。これにより精神的な余裕も生まれ、より良い条件の案件を落ち着いて探せるようになるでしょう。
また、収入源が複数あることで、1つの案件の報酬が下がったり遅延したりしても全体の収入を安定させられます。
さらに、特定の業界や企業に依存しないことによって業界の景気変動にも強くなれます。このことは、フリーランスの長期的な安定につながるでしょう。

スキルや経験の幅を広げられる

フリーランスが案件を掛け持ちするメリットの一つは、スキル・経験の幅を広げられることです。

フリーランスが異なるタイプの案件を掛け持ちすると、さまざまな技術や業界、ビジネス領域に触れる機会が増えます。スキルの幅が広がり、フリーランスとしての市場価値が高められるでしょう。また、多様な経験は、フリーランスの長期的なキャリア形成において貴重な財産となるでしょう。

人脈が広がる

フリーランスが案件を複数掛け持ちをする大きなメリットは、人脈が拡大できることです。

フリーランスが複数の案件を掛け持ちすることで、より多くのクライアントや同業者との接点が生まれます。こうした人脈の広がりは、フリーランスとしてのキャリア発展につながります。
プロジェクトで協働することにより、異なる企業の担当者やチームメンバーとの関係が構築できます。仕事上で関係を構築した人たちは、別の案件を紹介してくれることもあるでしょう。

マンネリ化を防止できる

マンネリ化を防げることも、フリーランスが案件を掛け持ちするメリットです。

同じ案件だけを長期間続けているとメリハリがないと感じて、仕事へのモチベーションが低下することがあります。異なる案件を進めることが気分転換につながり、フリーランスとしての仕事全体の満足度が高まりやすくなります。

フリーランスが1つの案件で行き詰まりを感じたときは、別の案件に取り組むことがおすすめです。別の課題に向き合うことで思考が活性化され、創造性も保たれるでしょう。時には、とある案件での経験が別の案件の問題解決のヒントになることもあります。

フリーランスが案件を掛け持ちするデメリット

フリーランスが複数案件を掛け持ちすることには多くのメリットがある一方で、認識しておくべきデメリットもあります。
ここでは、フリーランスが案件を掛け持ちする主な4つのデメリットについて解説します。

タスク管理が複雑になる

フリーランスが案件を掛け持ちするデメリットの一つは、タスク管理が複雑化することです。

フリーランスが複数の案件を掛け持ちすると、タスク管理の複雑さが格段に増します。各案件の締め切りやミーティング、報告などを適切に管理できなかった場合、クライアントに不信感を持たれてしまうリスクがあります。

パフォーマンスが低下するリスクがある

フリーランスが案件を掛け持ちすることのデメリットには、パフォーマンスが低下することが挙げられます。

複数の案件を同時に受注して進めていると、注意が分散されます。それにより、各案件に対する集中力が低下するおそれがあります。また、複数の案件を掛け持ちすることで疲弊し、仕事の質が落ちてしまうこともあるでしょう。

休みが少なくなる

フリーランスが案件を掛け持ちするデメリットの一つは、休みが減ってしまうことです。

複数の案件を抱えるとその分仕事量やミーティングに要する時間が増えて、十分な休息時間が取れなくなるおそれがあります。特に納期が近づくと、夜遅くまで作業したり、休日まで仕事に充てたりしなければならない状況に陥りやすくなります。
休息不足は集中力や判断力の低下を招き、結果的に仕事の質にも悪影響を及ぼすため、注意が必要です。

事務作業の負担が大きくなる

フリーランスが複数の案件を掛け持ちするデメリットには、事務作業の負担が増えることがあります。

受注する案件が増えるほど、契約書の管理や請求書の発行、経費管理、確定申告などの事務作業の量も比例して増加します。これらの業務は直接的な収入につながるわけではないため、負担に感じる人も多いでしょう。
事務作業は可能な範囲で積極的に効率化し、本業に集中できる環境を整えることがおすすめです。

フリーランスの確定申告の方法について知りたい場合は、「フリーランスの確定申告はいくらから必要？必要書類ややり方も解説」の記事を参考にしてください。

フリーランスが複数案件を上手に掛け持ちするポイント

フリーランスが複数案件の掛け持ちを成功させるためには、事前の準備と戦略的なアプローチが必要です。
ここでは、フリーランスが複数案件を上手に掛け持ちするポイントを7つ紹介します。

締結前に契約内容の確認を徹底する

フリーランスが複数案件の掛け持ちしようとするときは、締結前に契約内容をよく確認しましょう。主な確認事項の例は下記のとおりです。

• 競業避止義務の有無や内容
• 成果物の著作権の取り扱い
• 機密情報の取り扱い
• 契約解除の条件や通知期間

契約内容に不明点があれば、締結する前にクライアントに連絡をとって確認しておくことが大切です。場合によっては、掛け持ちを前提とした条件に変更してもらえることもあります。

契約の流れや気を付けるべきことについて知りたい方は、「フリーランスが結ぶ契約とは？内容や注意点について解説」の記事を参考にしてください。

機密情報を守る

フリーランスが複数の案件を掛け持ちする際は、機密情報を厳守することが大切です。
クライアント間の機密情報を適切に管理することは、フリーランスとしての信頼維持のために欠かせません。特に競合関係にある企業の案件を同時に受ける場合は、情報の取り扱いに細心の注意を払う必要があります。
たとえば、以下のような対策法があります。

対策法	対策法の具体例
デバイスの切り替え	案件ごとに異なるPCやスマートフォンを使用する
アカウントの切り替え	案件ごとに別のユーザーアカウントを設定する
データ保存場所の分離	案件ごとに別のクラウドストレージを使用する
作業時間の分割	異なる時間帯や曜日で案件を切り替える

クライアントの信頼を損なえば、契約解除だけでなく損害賠償請求につながるおそれがあります。情報管理は徹底しましょう。

自身の稼働可能時間を把握する

フリーランスが案件の掛け持ちを成功させるには、自分の実際の稼働可能時間を正確に把握することが重要です。稼働可能時間を見誤ってしまった場合、スケジュールが破綻するおそれがあります。

1週間・1ヶ月の総稼働可能時間を現実的に見積もりましょう。そして、ミーティングや報告書の作成、休憩などの非作業時間を差し引いてください。また、予期せぬ問題が発生する可能性があるため、トラブル対応に費やす時間もあらかじめ見積もっておくと安心です。

適切な案件数に調整する

フリーランスが掛け持ちする案件数は、闇雲に増やせばよいというものではありません。自分のキャパシティや各案件の納期、性質に合わせて、適切な数を見極めることが大切です。

経験の浅いフリーランスはまず1つの案件に集中し、自分のキャパシティを把握してください。余裕ができてから徐々に案件数を増やしていくのが賢明です。

作業する時間・場所が自由な案件を選ぶ

フリーランスが掛け持ち案件を成功させるための重要な戦略は、時間や場所に柔軟性のある案件を選ぶことです。
リモートワークが可能な案件や急な対応が少ない業務の案件、ミーティングが少ない案件などがおすすめです。柔軟性が高い案件であればスケジュール調整がしやすくなるため、案件を掛け持ちしやすくなります。

既存クライアントと良好な関係を築けているのであれば、リモートワークへの切り替えやミーティング日程の調整などに対応してくれる可能性があります。フリーランスが案件を掛け持ちするにあたって現状が不都合な条件である場合は、働き方の見直しを相談してみることも一つの方法です。

リモートワークをしたいと考えているフリーランスは、「リモートワークと相性がいい仕事とは？多くの選択肢の中から自分にぴったりの仕事と出会う方法」の記事をご覧ください。

余裕のあるスケジュールを組む

フリーランスが複数案件を掛け持ちする際は、余裕を持ったスケジュール管理が成功の鍵となります。締め切りに余裕がないスケジュールでは、1つのトラブルが全体に波及するリスクがあります。

効果的なスケジューリングを行うために、案件間にバッファ時間を設けたり、予備日を確保したりしましょう。また、繁忙期と閑散期がある案件の場合、繁忙期が重ならないよう調整できると理想的です。
スケジュールを組む際には、タスク管理ツールを活用することがおすすめです。

心身の健康管理を怠らない

健康を損なって仕事ができなくなれば、せっかくの掛け持ちも意味がありません。フリーランスが複数案件を掛け持ちを成功させるためには、心身の健康管理に配慮することが大切です。
心身の健康管理のための行動例には以下のようなものがあります。

• 定期的な休息時間をとる
• 十分な睡眠時間を確保する
• 適度な運動をする
• 栄養バランスの良い食事をとる
• ストレス発散の時間を意識的に作る
• 作業環境を整備する
• 定期的に健康チェックを行う

企業では健康診断が義務付けられていますが、フリーランスはその機会を自発的に用意しなければなりません。フリーランスの健康診断については「フリーランスは健康診断を受ける？受診費用や医療費控除される方法を解説」の記事を参考にしてください。

フリーランスの掛け持ちに適した案件の探し方

ここでは、フリーランスが掛け持ち案件を探すために有効な方法を紹介します。

フリーランスエージェントを活用する

フリーランス向けのエージェントサービスは、掛け持ち案件を探すうえで有効な選択肢です。エージェントサービスを利用すれば、フリーランスは掛け持ち案件を効率的に見つけられます。
エージェントは案件の条件や内容を事前に整理し、スキルや希望条件に合った案件を紹介してくれます。エージェントに「リモートワーク可能」「週3日程度の稼働」などの条件を伝えて、掛け持ちがしやすいフリーランス案件を紹介してもらいましょう。
また、契約締結や請求書作成などに関するサポートが受けられる点も、案件を掛け持ちしたいフリーランスにとって大きなメリットです。

複数のエージェントに登録することで、より多くの選択肢から案件を選べます。各エージェントによって得意分野が異なるため、自分のスキルセットや状況に合ったエージェントを選びましょう。
「フリーランスエージェント徹底比較　【2025年最新】」の記事でおすすめのフリーランスエージェントを紹介しているので、あわせてご覧ください。

クラウドソーシングで探す

クラウドソーシングサイトは、フリーランスが掛け持ちする小規模な案件やスポット案件を見つけるのに適しています。メインの案件と並行して取り組める副業的な案件を探すケースに向いている方法です。
短期間で終了する案件はスケジュールに合わせて受注しやすいというメリットがあるほか、数多くの実績を積みたいときにも適しています。

ただし、クラウドソーシングサイトに掲載されている案件の単価は比較的低い傾向がある点に留意しましょう。案件の質を見極めることが大切です。

クラウドソーシングの詳細については「クラウドソーシングの仕事内容とは？必要なスキルや受注のコツも紹介」の記事を参考にしてください。

スキルシェアサービスに登録する

スキルシェアサービスとは、自分のスキルや知識を商品化して提供するプラットフォームです。自分の専門知識を整理して提供することで、案件作業の合間にも収入を得られる仕組みを構築できるでしょう。
時間の自由度が高く、継続的な収入源を作れる可能性があるため、フリーランスが掛け持ち案件を探すときに向いています。

知人から仕事を紹介してもらう

フリーランスが掛け持ちする案件を探す方法の一つは、知人から紹介を受けることです。
知人から案件を紹介してもらう主なメリットは、信頼関係がある状態から仕事をスタートできることや、条件・働き方の相談がしやすいことです。また、直接契約であるため仲介手数料がかからず、高単価になりやすいこともメリットです。

フリーランスが知人から案件を紹介してもらうときは、自分のキャパシティを考慮して無理のない範囲で仕事を引き受けてください。納期やクオリティを守り、知人との信頼関係を維持しましょう。

案件獲得に自信がないフリーランスの方は、「案件獲得できるフリーランスになる方法とは？営業スキルの重要性も解説」の記事を参考にしてください。

まとめ

フリーランスは複数の案件を掛け持ちすることが可能です。
フリーランスが案件を掛け持ちすることで、収入増加やリスク分散、スキル・経験の拡大などのメリットが得られます。一方で、タスク管理が複雑になったり、負担が増加したりする点には注意が必要です。

フリーランスが複数案件を上手に掛け持ちするためには、契約内容の確認や機密情報の厳守、スケジュール・タスク管理、健康維持などが必要になります。また、掛け持ちしやすい案件を見極めることも重要なポイントです。
ポイントを押さえて、フリーランスの案件の掛け持ちを成功させましょう。