年末調整は個人事業主に必要?申請のやり方や提出書類・スケジュールを解説

最終更新日:2025年11月14日

個人事業主として活動するなかで、「年末調整は必要か」と悩む方もいるでしょう。個人事業主の場合、原則として年末調整は不要ですが、ケースによっては実施する必要があります。 本記事では、個人事業主が年末調整をしなければならないケースや一般的なスケジュール、必要書類、申請のやり方を紹介します。年末調整を怠った場合の従業員側・雇用主側のリスクもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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年末調整は個人事業主本人には原則不要

企業に雇用されておらず、事業所得のみを得ている個人事業主であれば、年末調整は原則必要ありません。

年末調整は、一定条件を満たす給与所得者を対象とした手続きです。そのため、個人事業主には年末調整が基本的に不要です。ただし、個人事業主でも特定のケースでは年末調整が必要になります。

出典:国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」

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年末調整とは

年末調整とは、給与所得者が源泉徴収されている所得税の過不足を調整するための手続きを指します。源泉徴収とは、雇用主が給与所得者の毎月の給与から所得税分を天引きして先に国に納める制度です。

年末調整が必要となる人

国税庁によると、12月に行われる年末調整は以下の条件に該当する給与所得者を対象としています。

  • 企業に雇用されて1年を通じて勤務している
  • 年の途中で企業に雇用されて年末まで勤務している

年末調整は、12月31日時点で在籍している社員を対象としています。
年の途中で退職した場合は対象外になるため、自分で確定申告をして納税額を調整する必要があります。退職後に収入がない場合でも還付を受けられる可能性があるため、忘れずに確定申告をしましょう。

年末調整と確定申告の違い

年末調整と確定申告は、どちらも年間の所得税額を確定させる手続きです。しかし、それぞれで対象者と手続きの流れが異なります。

確定申告とは、個人の年間の所得金額と所得税額を確定させて、税務署へ申告・納税する手続きです。確定申告は、給与所得が年末調整調整済みの人には不要です。また、副業所得が20万円以下の人や課税所得がない人なども、確定申告をする必要がありません。
年末調整は従業員に書類の提出を求めたうえで雇用主が手続きを進める一方で、確定申告は基本的に納税者本人が書類をそろえて行う必要があります。

確定申告に関する詳しい情報については、「確定申告とは?全くわからない人向けに必要書類や作成方法を解説」の記事を参考にしてください。

出典:国税庁「確定申告が必要な方」

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個人事業主本人に年末調整が必要なケース

個人事業主本人には年末調整は原則不要ですが、状況によっては必要となる場合があります。
ここでは、個人事業主本人に年末調整が必要なケースを紹介します。

給与所得がある場合

個人事業主と会社員を兼業している場合、基本的には年末調整をする必要があります。企業に雇用されていて給与所得がある方は、正社員やアルバイトなどの雇用形態を問わず原則として年末調整の対象です。

令和8年分の年末調整の場合、月額105,000円以上の給与を受け取っている場合は源泉徴収が発生するため、年末調整が必要になります。
ただし、年末調整を受けられるのは給与所得分のみです。給与所得がある個人事業主が副業として得た事業所得が20万円を超える場合は、確定申告もしなければなりません。

個人事業主がダブルワークでアルバイトする際の注意点については、「個人事業主がアルバイトする際の注意点|雇用する人も必見のポイントを開設」の記事を参考にしてください。

出典:国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)」
出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」

個人事業主から会社員になった場合

年の途中で個人事業主から会社員として転職し、年末まで在籍している場合も年末調整の対象です。年末調整の要否は「年末時点で企業に雇用されているかどうか」で判断できます。

ただし、個人事業主として活動していた期間の事業所得については、年末調整の対象外です。この場合、給与所得に関しては勤務先で年末調整を受けて、個人事業主として得た事業所得については自分で確定申告を別途行う必要があります。

フリーランスと正社員のどちらが自分に合うのか悩んでいる方は、「フリーランスと正社員どっちが得?メリット・デメリットや兼業の可否も解説」の記事を参考にしてください。

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個人事業主が雇用主として年末調整を行うべきケース

ここでは、個人事業主が雇用主として年末調整を行うべきケースを紹介します。

正社員やアルバイトなどの従業員を雇用している

個人事業主として従業員を雇用して給与を支払っている場合、雇用主として年末調整をする必要があります。従業員の年末調整は法律で雇用主に義務づけられており、期日に間に合うよう計画的に対応しなければなりません。

給与の支払いが発生している場合は、従業員の雇用形態にかかわらず年末調整の対象です。正社員だけでなくパートやアルバイトも年末調整の対象になるので、注意しましょう。

青色事業専従者がいる

青色事業専従者がいる場合も、雇用主として年末調整をする必要があります。

青色事業専従者とは、青色申告者が生計をともにして給与を支払っている配偶者や親族(15歳未満の人を除く)のことです。
青色事業専従者も通常の従業員と同様に、条件を満たす場合には年末調整が必要です。

個人事業主は青色申告をすれば青色事業専従者の給与を経費として計上できます。青色申告の基礎知識については、「個人事業主に青色申告のやり方は?提出する書類やメリット・注意点を解説」の記事で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてください。

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個人事業主が年末調整をしないリスク

ここでは、個人事業主が年末調整をしないリスクについて解説します。

従業員として年末調整をしないリスク

給与所得を得ている従業員としても働いている個人事業主が年末調整をしないリスクは、以下のとおりです。

  • 所得税の過払い分の還付を会社から受けられない
  • 確定申告による追加納税が必要になる
  • 各種控除の申告を自分でしなければならない
  • 自分で確定申告をしなければならない

従業員が年末調整に必要な書類の提出を怠った場合は確定申告によって所得税の申告を行うことになります。確定申告をする場合、年末調整を雇用主にやってもらう場合よりも手間がかかりやすい点を理解しておきましょう。

確定申告を怠った場合のペナルティについては、「確定申告は個人事業主の場合年収いくらから? ケース別の要不要や手順」の記事をチェックしてください。

雇用主として年末調整をしないリスク

従業員を雇っている個人事業主が年末調整をしない主なリスクは、以下のとおりです。

  • 税務署から指摘を受ける
  • 罰則が科せられる
  • 従業員が自ら確定申告をしなければならない
  • 従業員からの信頼を失う

従業員の年末調整は、所得税法190条にて雇用主の義務であると規定されています。雇用主は年末調整を通じて従業員から源泉徴収した所得税を正しく計算し、過不足を調整して納税することが必要です。

雇用主である個人事業主が年末調整を怠った場合、税務署からの指摘を受けたり延滞税・罰金などのペナルティを科されたりするおそれがあります。
また、年末調整を怠ることで従業員に確定申告の手間が発生し、信頼を失う可能性があるでしょう。

出典:e-GOV法令検索「所得税法」第百九十条

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個人事業主の年末調整のスケジュール

ここでは、個人事業主が従業員として年末調整をするケースと雇用主として年末調整をするケースに分けてスケジュールを紹介します。

従業員として年末調整をする場合のスケジュール

個人事業主自身が従業員として勤務先から年末調整を受ける場合は、勤務先の担当者からの指示に従い、遅滞なく書類を提出する必要があります。

この場合、一般的に10月下旬〜11月上旬に勤務先の担当者から必要書類の提出の案内が行われます。そして、必要となる年末調整の書類を11月下旬~12月上旬までに提出する流れです。
ただし勤務先によってスケジュールは多少前後することがあるため、勤務先からの案内をよく確認しましょう。

雇用主として年末調整をする場合のスケジュール

個人事業主が雇用主として年末調整をする場合の具体的なスケジュールは、おおむね以下のとおりです。

時期 実施すべき作業
10月下旬〜11月上旬 各種申告書や控除証明書の提出を従業員に依頼
12月上旬まで 各種申告書や控除証明書を各従業員より回収
12月中旬まで 回収した書類をもとに正確な課税所得・税金額を算出
12月の給与支給時 所得税額の過不足分を清算
翌年1月10日まで 所得税徴収高計算書(納付書)を作成して税務署へ提出
所得税を納付
従業員に源泉徴収票を配付
翌年1月31日まで 税務署へ源泉徴収票と法定調書合計票を提出
市区町村へ給与支払報告書を提出

雇用主である個人事業主は翌年1月31日の提出期限から逆算してスケジュールを組んで、従業員に対して年末調整関連の書類提出の依頼を行いましょう。

年末調整と関係が深い源泉徴収について知りたい方は、「個人事業主が源泉徴収するケースとは?記載項目やポイント、計算方法を解説」の記事をご覧ください。

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年末調整の主な提出書類

ここでは、年末調整の主な提出書類を紹介します。

申告書

年末調整には、以下の申告書を使用します。

  • 扶養控除等申告書
  • 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書

上記のうち、住宅借入金等特別控除申告書以外は国税庁のWebサイトで帳票のダウンロードが可能です。住宅借入金等特別控除申告書は、控除対象分が税務署から給与所得者本人に送付されます。

出典:国税庁「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」

控除証明書

年末調整において各種控除を利用する場合は、申告書に証明書の添付が必要です。控除証明書は、従業員が各自で入手して提出する必要があります。雇用主側としては、各種証明書を紛失・廃棄してしまわないように従業員へアナウンスするとよいでしょう。

確定申告に必要な書類については、「確定申告に源泉徴収票は必要?書類一覧や確定申告に関する疑問を解説」で解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

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年末調整の申請方法

ここでは、年末調整の申請方法について解説します。年末調整は、紙ベースで行うほかに電子申請も可能です。

紙ベースの申請

紙ベースで年末調整を実施する際は、紙の申告書を用意して従業員に配布し、記入・提出してもらいます。

電子での対応に従業員が不慣れな場合は、紙ベースの方が対応しやすいことがあります。しかし、従業員への配布から回収までに管理の手間がかかる点や、手計算による計算ミスが発生しやすい点はデメリットだといえます。

電子申請

近年では、年末調整専用のソフトやシステムを使用して従業員から必要な情報を電子的に収集し、計算や申告書作成を効率化できます。
従業員への周知やソフトの使い方に関する説明など、電子申請の導入時には手間が発生しますが、計算ミスの削減や業務効率化につながるメリットがあります。

電子データの保管については、「電子帳簿保存法とは?対応する書類や正しい処理の仕方をわかりやすく紹介」の記事を参考にしてください。

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まとめ

年末調整は一定の条件を満たす給与所得者を対象とした手続きであり、企業に雇用されていない個人事業主は原則不要です。

ただし、年の途中で会社員になったり兼業していたりする場合など、個人事業主にも年末調整が必要なケースがあります。また、従業員や青色事業専従者に給与を支払っている場合は、雇用主として年末調整をする必要があります。

個人事業主として活動する場合は、自分の状況を整理し、年末調整の要否を確認してください。年末調整の実施にあたっては、スケジュールと必要書類をよく理解し、遅滞なく手続きを進めましょう。

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