PHPとPythonどっちを習得すべき？両者を比較して違いを把握しよう

プログラミング言語には複数の種類がありますが、その中でも需要が高いプログラミング言語がPHPとPythonです。プログラマーとして業務を行いたい場合、PHPとPythonのどちらを習得すれば良いかお悩みの方もいるでしょう。そこで本記事では、PHPとPythonそれぞれの特徴を比較しながら、両者のメリットとデメリットをご紹介します。

PHPとは

PHPはプログラミング言語の一種で、「Hypertext Preprocessor」を略した言葉です。主に動的なWebコンテンツを作成する際に使用され、「スクリプト言語」とも呼ばれます。HTMLに埋め込めることから、多くのWeb制作現場で活用されてきました。

PHPを活用すれば、ブログやSNS、予約システム、問い合わせフォーム、ECサイト、検索機能などが作成できます。その汎用性の高さから、Twitterや楽天市場、JTBの予約システム、Wikipediaなど、大手企業でも活用されています。

Pythonとは

Pythonは、オープンソースで運用されているプログラミング言語です。Pythonを使用することで、実用的で分かりやすいプログラムを組んだり、少ないコードでプログラムを書いたりできます。

最近ではAIの機械学習や、自動でデータの抽出及び処理をする「スクレイピング」でも用いられます。

Pythonを活用すれば、Webサービスやアプリの開発、機械学習を用いたAIの開発、スクレイピングによる自動データ収集システムの作成などが可能です。Pythonを使ったサービスの例としては、YouTubeや Instagram、Dropbox、Blenderなどが挙げられます。

PHPとPythonを徹底比較

汎用性が高く、大手企業でも使われているPHPとPython。ここからは、PHPとPythonを比較しながら両者の違いを見ていきます。

PHPとPythonを人気で比較

どちらもよく使われるプログラミング言語ですが、近年の傾向としてはPythonの人気が高まっているようです。PHPよりもPythonの方が人気が高い理由は、近年急速に普及しているAIや人工知能に関わる言語だからだと考えられます。

PHPとPythonをコンセプトで比較

PHPとPythonは、コンセプトにも違いがあります。PHPのコンセプトは「HTMLを取り込んで素早くWebサービスやアプリを開発すること」、Pythonは「コードの読みやすさ」です。

PHPは素早くWebサービスやアプリを開発することを重んじるのに対し、Pythonは読みやすく使いやすいプログラミング言語であることを重視しています。

PHPとPythonを汎用性で比較

PHPもPythonも身近なWebサービスやアプリで使われているプログラミング言語で、どちらもプログラミング言語の中では汎用性が高いとされています。

しかし、汎用性で比較すると、Pythonの方が優れているといえるでしょう。PHPがWeb開発に特化しているのに対し、PythonはWeb開発に加えてAIやデータ収集などにも用いられるためです。

PHPとPythonを学習難易度で比較

学習難易度で比較すると、PHPの方が学びやすいと考えられます。PHPはソースコードの可読性が高く、言語の仕組みを把握できれば活用できるからです。

Pythonも基礎学習程度であれば、学習難易度は比較的低いと言われています。しかし、機械学習などの専門性が高いプログラムの開発は難易度が高く、専門的な知識を習得するまでに時間がかかります。

総合的な学習難易度を比較すると、PHPの方が習得しやすいといえるでしょう。

PHPとPythonを案件数で比較

プログラマーとして働くためにプログラミング言語を習得する場合、スキルを活かせる求人の数が重要になります。

PHPとPythonの案件数で比較すると、PHPの方が案件数が多いことが分かります。実際に「Freelance hub」で案件を検索すると、PHPは20,289件、Pythonは10,532件でした（2022年10月27日時点）。

Pythonの方が人気が高いとはいえ、まだまだ案件数はPHPの方が多いようです。

PHPとPythonを将来性で比較

将来性で比較すると、Pythonの方が将来性があると推測されています。なぜなら、Pythonは今後伸びるとされるフィンテックやブロックチェーンシステムなどにも活用できるからです。

PHPのメリット

PHPを習得するメリットは、以下のとおりです。

• 構文がシンプル
• 開発実績など情報が多い
• データベースを操作しやすい
• 環境構築が不要
• 読み込み速度が速い

それぞれのメリットについて解説します。

構文がシンプル

PHPの大きなメリットは、構文がシンプルでわかりやすいこと。PHPの構文がシンプルなのは、Webサイトやアプリの開発に特化したプログラミング言語だからです。

構文がシンプルということは、変数の型を意識する必要がなかったり、配列の定義が自由であったりすることを意味します。つまり、学習難易度が低く習得しやすいというメリットにつながります。

他のプログラミング言語を習得する前に、基礎知識を身につける目的でPHPを学習する人も少なくありません。

開発実績など情報が多い

PHPはプログラミング言語の中でも特に人気が高いため、開発実績などの情報が多い点もメリットです。インターネット上には、PHPに関する情報が多く掲載されています。学習中に不明点が出てきた場合も、インターネットで検索すると解決できる可能性が高く、独学の助けとなります。

データベースを操作しやすい

PHPはデータベースとの連携を得意とする言語であるため、データベースを操作しやすいというメリットもあります。PHPとデータベースを連携すれば、容易に情報をデータベースに保存または更新したり、大量のデータから必要な情報のみを瞬時に取り出せたりします。

また、PHPはHTMLに直接書き込めることから、Webサーバーにある情報をWebサイト上に表示することも可能です。これにより、ECサイトの「商品検索機能」や飲食店サイトの「予約機能」などを簡単に作成できます。

環境構築が不要

PHPは手軽に実行環境を構築できるオンラインサービスが充実しているため、環境構築が不要な点もメリットです。オンラインサービスを活用すれば、初心者が躓きがちな環境構築をする必要がなくなります。

また、PHP対応のサーバーは安価で高性能な製品が多いため、自分で環境構築する際にコストを抑えられるのもメリットです。

このように、初心者が苦手な環境構築をスキップしたり、低コストで環境構築できたりすることは、PHPならではの魅力だといえます。

読み込み速度が速い

他のプログラミング言語に比べて、読み込み速度が速いというメリットもあります。Pythonと読み込み速度を比較すると、PHPで作られたWebサイトはPythonで作られたWebサイトの約3倍速く読み込めます。

Webサイトの読み込みの速さは、売上アップや顧客獲得などマーケティング戦略において重要です。PHPの読み込みの速さは大きなメリットになります。

PHPのデメリット

PHPにはメリットだけではなく、以下のようなデメリットもあります。

• セキュリティが脆弱
• エラーが起きやすい
• Web系の開発以外には向いていない

それぞれのデメリットについて解説します。

セキュリティが脆弱

まず、セキュリティが脆弱というデメリットがあります。PHPのセキュリティが脆弱な理由は、開発の自由度が高すぎるからです。

開発の自由度が高いということは、正しいコードが入力できていなくても開発できるということ。不備のあるコードでも問題のない動作に見えてしまい、セキュリティが甘くなります。

セキュリティが脆弱にならないようにするためには、コードについて正確な知識を身につけたうえで、しっかりとデバッグを行う必要があります。

エラーが起きやすい

エラーが起きやすいというデメリットもあります。セキュリティの脆弱性と同様、PHPの自由度の高さが原因です。

PHPは、自由にコードを入力しても実行可能です。これにより、実際には不備のあるコードでも問題のない動作に見えてしまい、開発後にエラーが発生してしまいます。エラーの発生を防ぐためには、デバッグを十分に行うことが大切です。

Web系の開発以外に向いていない

Web系の開発以外には向かないのもデメリットです。Web開発以外の案件はほとんどないため、Web系以外の開発をしたい人は他のプログラミング言語を習得しましょう。

Pythonのメリット

Web開発だけではなく、AIによる機械学習やデータ収集などさまざまなシーンで活用できるPythonには、以下のメリットがあります。

• 少ないソースコードで動く
• ライブラリが充実している
• オフサイドルール
• コンテンツを簡単に作れる
• 先端技術を習得できる

それぞれのメリットについて解説します。

少ないソースコードで動く

Pythonの大きなメリットは、少ないソースコードで動くこと。Pythonのソースコードが少ない理由は、インデントを文法として定めているからです。

少ないソースコードで動くということは、ソースコードを大量に覚える必要がない分習得しやすさにつながるでしょう。また、分かりやすいコーディングと読みやすさから、エラーの発生を予防しやすい、簡単なプログラミングなら短時間で終了するといったメリットもあります。

ライブラリが充実している

ライブラリが充実しているというメリットもあります。Pythonのライブラリが充実している理由は、海外で特に人気の高いプログラミング言語だからです。

海外ではライブラリの開発が盛んで、種類も豊富です。ライブラリを活用すれば記述するコードが少なくなり、シンプルなソースコードで開発できます。

オフサイドルール

Pythonにはオフサイドルールが適用されるというメリットもあります。オフサイドルールとは、処理の内容をブロックごとに字下げして範囲を指定する規則です。たとえば、if文やforループなどの処理は強制的に字下げされます。誰でも分かりやすいコードになるのがポイントです。

コンテンツを簡単に作れる

Pythonはライブラリが豊富にあるため、コンテンツを簡単に作れるのもメリットです。

ライブラリを取得すれば、初心者でも少ないコードで簡単にコンテンツを作成できます。ライブラリの活用は、コンテンツ制作のコスト削減にもつながるでしょう。

先端技術を習得できる

Pythonならではのメリットとして、先端技術を習得できる点も挙げられます。近年、AIは急速に普及しており、身近なものにも用いられるようになりました。今後もAIはさらに需要が高まると見られ、比例してPythonの需要も高まると考えられます。

Pythonのデメリット

Pythonには、以下のようなデメリットがあります。

• 日本語で読める情報が少ない
• 実行速度が遅い
• 多言語経験者は慣れるまで時間がかかる

それぞれのデメリットについて解説します。

日本語で読める情報が少ない

Pythonのデメリットの一つは、日本語で読める情報が少ないことです。Pythonは海外では広く知られていますが、日本で広まり始めたのは比較的最近。英語など外国語での情報は多数掲載されていますが、日本語で記された情報はまだ少なく、インターネットで調べにくい傾向があります。

実行速度が遅い

Pythonはインタプリタ型の言語であるため、実行速度が遅いのもデメリットです。小さなデータであれば実行速度の遅さが気になることはほとんどありませんが、大量のデータを扱う場合は致命的に感じやすくなります。

Webサイトの実行速度が遅いとユーザーの離脱率が高まり、マーケティング戦略に影響を及ぼしかねません。

多言語経験者は慣れるまで時間がかかる

多言語経験者は、慣れるまでに時間がかかるというデメリットもあります。Pythonはインデントを強要するため、他のプログラミング言語に慣れている人は煩わしさを感じやすいようです。

自分が書きたいコードが書けないため、他の言語に慣れている方はPythonに慣れるまで時間を要する可能性があります。

まとめ

素早さをコンセプトにWeb開発に特化しているPHPと、Web開発のみならずデータ収集やAIの機械学習などにも活用できるPython。それぞれの概要を把握したうえで、希望する業務内容に合ったプログラミング言語を習得しましょう。