副業で個人事業主になる目安は?開業のメリットや青色申告の確定申告も解説

最終更新日:2025年05月15日

「副業で個人事業主になったほうがよい?」とお悩みの会社員の方もいるのではないでしょうか。 副業で一定の収入がある場合は、個人事業主になったほうが税制面でメリットを得られることがあります。 本記事では、副業で個人事業主になる目安を紹介。また、副業で個人事業主になることによるメリット・デメリットや成功させるポイントも解説します。そのほか、個人事業主になるときの方法も解説するので参考にしてください。

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会社員が副業で個人事業主になる目安

副業をしている会社員は、個人事業主になることを自由に選択できます。節税面で有利となるケースに当てはまる場合は、個人事業主になることがおすすめです。

会社員が副業で個人事業主になる目安は、確定申告で青色申告ができるかどうかが一つの基準となります。
以下の条件を満たす人が副業をしている場合は、個人事業主になることを検討しましょう。

  • 副業の年間所得が20万円を超える
  • 事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかの所得がある

参考元:
国税庁「No.2020 確定申告」 ※2025年4月15日に利用
国税庁「No.2070 青色申告制度」 ※2025年4月15日に利用

なお、上記の条件に当てはまっていたとしても、個人事業主になることをおすすめできない人もいます。詳しくは「個人事業主になれない人もいる?向いてない人や適性、なる方法を解説」の記事を参考にしてください。

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個人事業主とは

個人事業主とは、企業に雇用されない仕事の形態で、開業届を提出して継続する事業に従事する個人を指します。法人の設立者は対象外です。

個人事業主の仕事は、継続性と反復性が要件です。つまり、不動産を売却して1年だけ利益を得た人や、くじで一時的な高額収入を得た人は、個人事業主ではないといえます。
本業で会社員として勤める人であっても、副業で継続的な事業所得を得るのであれば、開業届を出して個人事業主になれます。

自営業やフリーランスなど、個人事業主と類似する働き方との違いについては、「フリーランスと個人事業主の違いは?メリットやなる方法を紹介」を参考にしてください。

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副業で個人事業主になるメリット

ここでは、会社員が副業で個人事業主を始めるメリットを7つ紹介します。

副収入が継続的に得られる

個人事業主として副業に取り組むことで、本業とは別の収入が継続して得られます。収入源が増えると生活に余裕が生まれ、より充実した暮らしが期待できます。

個人事業主として認められるような継続性と反復性がある副業であれば、安定した収入が得られる状態だといえます。

副業で高収入を稼ぎたいと考えている方は、「副業の始め方は?具体的なステップや主な職種、稼ぐコツを解説」の記事も参考にしてください。

青色申告を利用できる

副業で開業届を出した個人事業主は、青色申告を利用できます。青色申告承認申請書を税務署に提出して承認されると、青色申告事業者として確定申告をすることが可能です。
青色申告が利用できれば、多くの節税効果が得られます。具体的な節税のメリットは、主に以下の4つです。

  • 青色申告特別控除を利用できる
  • 家族の給与を経費として計上できる
  • 赤字の繰り越しができる
  • 少額減価償却資産の特例の活用ができる

青色申告と白色申告について詳しく知りたい方は、「青色申告と白色申告の違いは?メリット・デメリットをわかりやすく解説」の記事を併せてご覧ください。

貸倒引当金の計上ができる

貸倒引当金の計上ができることもメリットの一つです。貸倒引当金とは、売掛金や貸付金の債権が回収できなくなるリスクに備えて、一定額の見込みを立てる損失額のことです。

特に青色申告をしている個人事業主は、個別貸倒引当金以外にも、一括評価による貸倒引当金も計上できます。年末時点の債権価額に対して、基本的に5.5%の金額が貸倒引当金として計上可能です。必要経費の額が増えるため、所得税の節税につながります。

本業との損益通算ができる

損益通算とは、事業所得・不動産所得・山林所得、譲渡所得に対して赤字となった場合、損失分は本業を含めた総所得金額から控除できるという制度のことです。

損益通算ができれば、課税対象となる所得金額が減り、結果的に節税につながります。

経費の範囲が広がる

開業届を提出した事業所得者は、幅広い範囲で必要経費を計上できます。事業の運営に関わる支出であれば、経費に計上することで課税対象所得が減り、所得税の軽減につながります。
必要経費の具体例は、事務用品の購入費用や、業務上の移動に伴う交通費などです。

個人事業主の経費は、「個人事業主が知りたい勘定科目と経費|計上できない費用やペナルティも解説」の記事も参考にしてください。

屋号を利用できる

個人事業主として開業届を出すと、新たに屋号をつけることが可能です。
屋号とは、事業所名や店舗名にあたるもので、事業内容を対外的にアピールできます。取引の際の名称や振込先となる口座名義に屋号を利用できるため、社会的な信用が高まります。

屋号をつけるかどうか迷っている場合は、「個人事業主に屋号は必要? 名称の例や変更手続きについて解説」の記事を参考にしてください。

独立や起業の予行練習になる

現在は会社員として勤めながら副業をし、将来的に独立や起業を考えている人には、個人事業主としての開業がおすすめです。
副業で個人事業主として仕事を始めた場合、事務手続きや税金、帳簿の記帳などの対応が生じます。これらの作業は独立・起業をした際にも必要となるため、予行演習になります。

将来的に起業することを検討している方は、「副業起業とは?メリット・注意点や始めやすい仕事などを解説」の記事も併せてチェックしてください。

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副業で個人事業主になるデメリット

副業で個人事業主になると、開業前にはなかった困難が生じる可能性があります。デメリットを加味したうえで、個人事業主になるかどうかを判断することが大切です。
ここでは、会社員が副業で個人事業主を始めるデメリットを5つ紹介します。

青色申告に手間や時間がかかる

個人事業主になると利用できる青色申告は、数多くのメリットがあります。しかしその一方で、白色申告と比べて手続きが煩雑であるデメリットがあります。

青色申告は白色申告と違い、事前に申請して承認を得なければ利用できません。また、青色申告は複式簿記で記帳する必要があります。さらに、併せて提出する書類も多くなる傾向にあるため、手間・時間が比較的かかります。

青色申告か白色申告のどちらを選ぶべきか迷っている方は、「個人事業主は白色申告を選んでも良い?青色申告との違いも解説」の記事も参考にしてください。

失業手当がもらえない

個人事業主になるデメリットの一つに、失業手当がもらえないことが挙げられます。

通常、雇用保険に加入していると離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あれば失業手当を受けることができます。
しかし個人事業主や自営業など、企業に属さずに自ら事業を営んでいる場合、雇用保険の基本手当の受給資格を満たさなくなります。たとえそのときに副業による収入が少なかったとしても、失業手当はもらえません。

個人事業主は自主的にリスクに備えておく必要があります。「個人事業主の保険|加入を検討した方がいいおすすめの制度を紹介」の記事を参考にして、リスクヘッジをしましょう。

税金の負担が増える可能性がある

個人事業主の所得税は累進課税制度が適用されるため、所得金額が増加すると税金の負担が大きくなる可能性があります。

個人事業主の年間の合計所得金額が2,400万円以下のケースにおいて、基礎控除額は48万円です。年間の所得額が48万円を超える場合、個人事業主は所得税が課税される可能性があるため、留意しておきましょう。

所得が増加しても所得税の負担を軽減したい人は、節税対策をすることが大切です。個人事業主の方は「個人事業主の節税対策とは? おすすめの方法や活用できる制度を紹介」の記事もご覧ください。

プライベートとの両立が難しくなる

個人事業主としての事務手続きの量と作業の増加に伴って、副業とプライベートの両立が難しくなる可能性があります。
個人事業主になると、副業に取り組む時間や事務手続きにかかる時間が増加します。その分、趣味や娯楽、休息に割ける時間が減ります。特に本業がフルタイム勤務の人は、平日の出勤前や帰宅後、休日など、限られた時間で副業に取り組むケースが一般的です。

自分が受注できる仕事の量を適切に判断し、プライベートの時間をスケジュールに組み込むことが大切です。

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個人事業主として副業を始めるときの手続き

ここでは、個人事業主として副業を始めるにあたって必要な準備を解説します。

運転資金を用意する

個人事業主として副業を始めるときには、十分な運転資金を用意しましょう。事業用の銀行口座やクレジットカードなどを用意します。

事業用の口座名義には、開業届を出すときに決めた屋号が使えます。屋号付きの口座があれば、売上や仕入の取引をする際に便利です。
個人事業主の必要経費の支払いには、事業用のクレジットカードがおすすめです。個人用と分けて運用することで、経費がスムーズに管理できます。

開業前の準備をする

開業前の準備として、必要書類の取り寄せやスケジューリングを行います。提出窓口や提出期限は書類によって異なるため、書類作成・提出が無理なくできるスケジュール設定が大切です。

提出義務が発生する書類は状況によって変わるため、納税義務の要件を確認しながら準備します。手続きに不明な点があれば、提出先の機関に問い合わせて間違いがないようにしてください。

開業届を提出する

新たに個人事業を営むときは、管轄の税務署に開業届を提出します。定められた書式に従い、開業届を作成しましょう。
開業届の提出期限は、事業開始日から1ヶ月以内です。

参考元:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 ※2025年4月15日に利用

開業届に関する詳細は、「個人事業主が出す開業届とは?書き方や提出するメリットなども解説」の記事を参考にしてください。

事業開始等申告書を提出する

新たに個人事業を営む際は、事業開始等申告書を提出します。提出先は、管轄の都道府県税事務所や市町村です。
なお、事業開始等申告書の名称や提出義務は地方自治体によって異なります。各自治体の案内を確認しましょう。

参考元:
東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」 ※2025年4月15日に利用
独立行政法人中小企業基盤整備機構「個人事業の開業手続き」 ※2025年4月15日に利用

青色申告承認申請書を提出する

青色申告書での所得税の確定申告を希望するのであれば、青色申告承認申請書を管轄の税務署に提出します。提出期限は、確定申告と同様の3月15日です。
青色申告は節税のメリットが高く、最大で65万円の所得控除が適用できます。

参考元:国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」 ※2025年4月15日に利用

青色申告承認申請書の詳細については「青色申告承認申請書とは?書き方や届出の方法、提出期限などを解説」の記事を参考にしてください。

適格請求書発行事業者の登録申請書を提出する

開業を機にインボイス制度への対応をする個人事業主は、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出します。申請書の送付先は管轄のインボイス登録センターです。
適格請求書発行事業者になると、消費税額を正確に計算できたり取引先に選んでもらいやすくなったりするメリットがあります。

参考元:国税庁「D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)」 ※2025年4月15日に利用

適格請求書発行事業者の登録が始まったことの影響について知りたい場合は、「インボイス制度とは?個人事業主に必要な対応をわかりやすく解説」の記事をご覧ください。

事業内容に合わせて書類を提出する

前述の各書類は、業態や規模に関係なく、多くの事業に共通する手続きです。一方で、次に紹介する書類は、特定の条件を持つ個人事業主のみに提出義務があります。
必要となる書類の例は、以下のとおりです。

  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
  • 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
  • 営業許可申請書・営業届
  • 火を使用する設備等の設置(変更)届出書

従業員の有無や事業内容などを確認し、必要書類を期限までに提出しましょう。

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個人事業主として行う副業を成功させるポイント

ここでは、個人事業主としての副業を成功させるために押さえたいポイントを紹介します。

自己管理を徹底する

個人事業主には労働時間や勤務地など就業規則にあたるルールが存在せず、基本的には事業主本人の判断で決められます。個人事業主として副業をする際は、仕事に関する自己管理を徹底することが大切です。
自己管理のポイントには以下のものが挙げられます。

  • 作業時間と納期の調整
  • 本業との兼ね合いを考えたスケジューリング
  • リフレッシュ時間の設定

副業の影響で体調を崩したり、納期に追われたりして本業に支障が出ると、信頼を損なうおそれがあります。
ストレスマネジメントについては「フリーランスこそ心のケアを大切に◎参考にしたいメンタル管理術まとめ」の記事で紹介しているので参考にしてください。

家族の理解を事前に得る

同居する家族がいる人は、個人事業主として副業をすることに対して、家族の理解を得ることが大切です。

個人事業主として副業に注力する場合、生活リズムが変化し、家族に影響を及ぼす可能性があります。特に自宅で副業に取り組む人や夜間に稼働する人は、家族からの協力が得られることの重要性が高いです。
同居する家族にあらかじめ説明を行い、良好な家族関係を維持できるように努めましょう。

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まとめ

副業をしている会社員は、個人事業主を兼業することが可能です。
副業で一定の金額を稼いでいる場合は、個人事業主になったほうが税金の面でメリットが得られる可能性があります。また、屋号を利用できることや独立・起業の準備になることもメリットです。
一方で、節税効果がある青色申告には手間がかかることや失業保険の受給対象から外れてしまうことなどには留意しておく必要があります。
副業で個人事業主になろうかどうかを迷うときには、メリット・デメリットを比較して検討しましょう。

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