Webディレクターは副業で稼げる？必要スキル・経験や案件の探し方を紹介

Webディレクターの副業の主な仕事内容

Webディレクターとは、Webサイトの制作におけるプロジェクトの総監督として、クライアントとの打ち合わせから企画・スタッフの選定・管理・品質管理までを担う仕事です。
ここでは、Webディレクターの副業の主な仕事内容を大きく3つに分けて解説します。

要求・要件の定義

要求定義や要件定義は、Webディレクターがプロジェクトの初期段階で行う重要な業務です。

クライアントと交渉して調整・要望をヒアリングし、Webサイトやアプリケーションが達成したい目標・ターゲットユーザー・機能を明確にしましょう。この情報をもとに、ワイヤーフレームの作成やコンテンツの制作などの具体的な作業に取りかかります。
さらに、チーム全体のスケジュール管理や各メンバーの役割分担を行い、プロジェクトの進行を円滑に進める役割を担います。

制作指揮

Webディレクターは、プロジェクトの進行管理とスケジュール管理を担当し、各メンバーへの指示やタスクの優先順位を設定します。

制作の進行中には成果物の品質チェックを行い、納品に適したクオリティか確認することが重要です。また、問題や要件変更が発生した際には、メンバーと協力してリスケジュールを行い、プロジェクトがスムーズに進むよう指揮します。
これによって、納期内での円滑な納品を目指せるようになります。

運用や更新

Webディレクターは、Webコンテンツの運用や更新も担当します。

Webサイトのメンテナンスやサーバー管理を行い、問題が発生しないように日々対応します。また、マーケティング結果をふまえてSEO対策やコンテンツの更新などの施策を行うことも多く、集客の観点からのサービス改善もWebディレクターの業務です。

運用や更新を自身で対応する場合もあれば、担当者へ指示を出して適切に業務を進行へと導く場合もあります。

Webディレクターのさらなる詳細や将来性について知りたい方は「Webディレクターとは？仕事内容や必要スキル、将来性を解説」の記事も参考にしてください。

Webディレクターの副業の単価相場

2025年1月時点のフリーランスHubで公開されているWebディレクターの案件情報によると、Webディレクター案件の月額単価は60万～70万円が最も多く、年収換算で720万〜840万円です。
月額50万～60万円の案件や月額70万～80万円の案件も数多くあり、また、月額100万円を超える案件も100件以上公開されています。
Webディレクターの報酬額は比較的高いといえるでしょう。

スキルや実績によっては高単価案件が受注できます。また、稼働日数を調整して複数案件を受注することで、総合的な年収アップもかなうでしょう。

Webディレクターで稼ぐ方法については「Webディレクターの年収は低い？高収入を狙う方法とは」の記事を参考にしてください。

Webディレクターの副業の種類

Webディレクターの副業には多様な選択肢があり、スキルや経験に応じてさまざまな案件に挑戦できます。
ここでは、Webディレクターの副業の代表的な種類について5つ詳しく紹介します。

Webディレクター

Webディレクターの副業では、主にWeb制作におけるディレクション案件が多く見られます。
Webディレクターの副業案件であれば本業の経験を活かしやすく、クライアントとの調整やスタッフへの指示出しなどのスキルが生かせます。

副業案件は多様で、Webサイトの改善に特化したものや、企画から納品まで幅広く関わるものなど、スキルや希望に応じた選択が可能です。

コンテンツディレクター

コンテンツディレクターは、Webサイトやブログ記事、ランディングページなどのコンテンツ戦略の企画・立案・管理を担当します。具体的には、コンテンツマネジメントシステム（CMS）での更新・公開や、キーワードリサーチ・SEO戦略・パフォーマンス分析などが業務内容です。

Webディレクターの副業には、WebコンテンツやSNSのディレクション案件もあり、媒体運用の経験が重要視されます。

動画ディレクター

動画コンテンツの需要が急増するなか、YouTubeやニコニコ動画などのプラットフォーム向けの動画ディレクターのニーズが高まっています。動画ディレクターは、映像企画の立案・撮影・構成・台本作成、さらには動画編集者へのディレクションまで幅広く担当します。

動画ディレクターには、映像制作現場での撮影・編集の知識やスキルも必要です。

アートディレクター

アートディレクターは、広告・Webサイト・ゲームグラフィック・商品パッケージなど、ビジュアル表現全体の監修を行う役割です。美術・芸術表現の総合演出を指揮し、デザイナーやクリエイターをまとめながら、クライアントの要望を実現するビジュアルを提案します。

コミュニケーション能力や企画力はもちろん、デザインの素養が求められます。プロジェクトを統率し、完成品を目にしたときの達成感は大きく、チームメンバーの成長にも寄与する重要な仕事です。

クリエイティブディレクター

クリエイティブディレクターは、Webサイト・Webシステムのデザイン・SNSのクリエイティブ制作における全体的な監修を行います。プロジェクトの戦略から進行までを担当する重要な役割です。

広告制作現場では、クライアントの要望をもとに戦略を立て、デザイナーやアートディレクターなどのスタッフを率いて制作を進めます。広告戦略から最終アウトプットまで一貫して責任を持ち、依頼主の課題解決を目的とした高品質な制作物の完成を目指します。

プロデューサー職にも興味がある方は「プロデューサーとディレクターの違いを解説！仕事内容や必要なスキルとは」の記事もご覧ください。

Webディレクターの副業に必要な知識・スキル・経験

ここでは、Webディレクターの副業に求められる知識・スキル・経験を解説します。

Webディレクターの副業は、知識やスキルが不足している状態では案件獲得が難しいです。また、未経験者も同様に案件を獲得することは困難でしょう。
ここで紹介する能力を身に付けて、実務経験を積み、Webディレクターの副業に挑戦してください。

IT・Web全般の知識

Webディレクターとしての業務では、Webデザイナーやコーダー・プログラマーなどのチームメンバーに指示を出すため、IT・Web関連の知識が必須です。

知識不足だと曖昧な指示や仕事の丸投げにつながり、クライアントの要望に応えられない可能性があります。案件によっては、ディレクター自身がデザインやコーディング業務を行うこともあるため、基礎的なスキルは必要です。

また、スマートフォンアプリやクラウドサービスなど、最新のインターネットビジネスに関する知識も重要です。

ディレクションスキル

Webディレクターの主な業務はWebディレクションであり、ディレクションスキルは最も重要視されるスキルです。

Webディレクションは、Webサイトやサービスの企画を立案し、デザイナーやプログラマーなどの制作スタッフに適切な指示を出し、プロジェクトを円滑に進行させる業務です。
副業案件でもこの役割は変わらず、どのようなプロジェクトでも制作を成功させるためにはディレクションスキルが必要です。特に、複数のスタッフをまとめ、全体を指揮する力が求められます。

Webディレクターとしての高い能力を裏付けるために資格を取得したいとお考えの場合は、「Webディレクター向けの資格22選｜必要なスキルや勉強方法も紹介」の記事を参考にしてください。

マネジメントスキル

Webディレクターの副業において、重要なスキルの一つがマネジメントスキルです。リーダーシップを発揮し、臨機応変な調整・対応が求められます。

Webディレクターはプロジェクト責任者として、限られた納期・費用でチームメンバーに的確な指示を出し、プロジェクトを成功へ導く役割を担います。プロジェクトが大規模になるほどタスク管理や進捗管理が複雑になるため、ガントチャートを活用してスケジュールを管理する能力が求められます。

コミュニケーションスキル

Webディレクターにとって欠かせないスキルの1つが、コミュニケーション能力です。

クライアントの要望を正確に引き出し、プロジェクトメンバーに的確に伝えることが求められます。特に、課題を発見し、解決策を提案する力が不可欠です。
プロジェクト進行において、各メンバーとの円滑な連携がなければ、認識のズレや進行の遅れにつながるおそれがあります。先回りして物事を考え、適切に指示を出すことで、プロジェクトを成功へ導く必要があります。

解析・分析スキル

Webディレクターには、Webサイトの解析・分析スキルが求められます。

Webサイトへの集客を行う場合、Webディレクターはアクセス解析や市場調査を行い、改善策を導き出す必要があります。
具体的には、PV数やユーザー属性などのデータを使って問題点を分析し、Webサイトの効果を測定します。事業の方向性を決定し、成功に導くスキルが不可欠です。

フロントエンド・バックエンド言語の知識

Webディレクターには、フロントエンドとバックエンドのプログラミング言語に関する基本的な知識が必要です。

JavaScript・HTML・CSSなどのフロントエンド言語は、ブラウザ上で動作し、ユーザーインターフェースの設計に関わります。
PHP・Ruby・Javaなどのバックエンド言語は、サーバーサイドでデータ処理やデータベース操作を担当します。

Webディレクターはこれらの言語がどのような機能を実装できるかを理解し、プロジェクトの全体像を把握して、適切な指示と品質管理を行う必要があります。

デザインに関する知識

Webディレクターにはデザインに関する知識が求められます。

デザイナーへの指示や修正依頼を円滑に行うためには、Webデザインの基礎知識が不可欠です。特にUI（ユーザーインターフェース）とUX（ユーザーエクスペリエンス）の理解が求められます。UI・UXの知識を持っていれば、ユーザーが使いやすいWebサイトを作成するための適切な判断が可能です。
また、デザインがWebサイトの目的に合致するか、またクライアントの希望を反映できているかのチェックも必要です。

UIデザインやUXデザインに関する知見を深めたい方は「UI/UXデザイナーとして振り返りや業務に活かせる情報まとめ」の記事も参考にしてください。

ライティングスキル

Webディレクターにとって、高いライティングスキルは重要な役割を果たします。

特に、SEOを意識したコンテンツ作成やターゲットユーザーに訴求するコピーライティング能力が求められます。
読みやすく、説得力のある文章を作成するための知識は、コンテンツマーケティングやネイティブアドなどでライティングを行う際に必要です。Webディレクターは、ライターへの発注や記事のチェックを行い、効果的なコンテンツが制作されるよう指導します。

各種デバイスの知識

Webディレクターにとって、各種デバイスの知識も欠かせません。

現在、Webサイトを閲覧する手段としてはPC・スマートフォン・タブレットが主流ですが、カーナビやテレビ、さらにはVR/ARや音声インターフェースなどの新しい技術も視野に入れる必要があります。デバイスによって使用場所や画面サイズ、ユーザー属性が異なるため、それに応じたUI/UX設計や機能調整が求められます。
特に、レスポンシブデザインやPWAなど、マルチデバイス対応に関する知識もWebディレクターに必要です。

プロジェクトを統括した経験

Webディレクターの副業をするには、プロジェクトを統括した経験は大きな強みであり有利にはたらきます。
プロジェクト全体をまとめた実務経験があれば、コミュニケーション能力やマネジメントスキルをアピールできます。
このような経験があると、クライアントから信頼を得やすく、案件獲得のチャンスが広がるでしょう。

ツールの使用経験

Webディレクターの副業には、各種Webツールの使用経験が求められます。

Photoshop・Illustrator・Figmaなどのデザインツールの知識は、デザイナーに正確な指示を出すために重要です。
また、チャットツールやWeb会議ツールを使いこなし、クライアントとのスムーズなコミュニケーションを図る能力も必要です。
さらに、TrelloやAsanaなどのタスク管理やプロジェクト管理ツールを駆使して、チームの進捗状況を把握し、効率的にプロジェクトを進めるスキルも欠かせないでしょう。

Webディレクターの副業をするメリット

Webディレクターの副業をする主なメリットは下記のとおりです。

• 収入アップできる
• 本業にも生かせるスキルが身につく
• 人脈が広がり、新規案件の獲得や転職につながる
• 独立の予行練習になる

Webディレクターの副業を行うことによって、本業以外の収入源を確保できたり、本業の仕事にも活用できるスキルを身につけられたりします。
また、副業でのプロジェクトをとおして築いた人脈は、新たな案件獲得や転職につながるでしょう。

さらに、Webディレクターの副業が順調であれば、将来的に独立することも可能です。副業をすることでフリーランスのWebディレクターとして働くための能力を磨き、資金を貯めて、独立に向けて準備を進めましょう。
フリーランスとして独立することを視野に入れている方は「Webディレクターこそフリーランスに！スキルを磨いて高収入を目指すには？」の記事をご参照ください。

Webディレクターの副業の探し方

Webディレクターの副業を探す方法には、下記のようなものがあります。

探す方法の種類	特徴
クラウドソーシング	業務委託案件を取り扱うサービス。クライアントが不特定多数に向けて募集をかける。初心者や未経験者向けの案件も取り扱っている。
エージェント	エージェントが登録者のスキルや希望条件に合った案件を紹介してくれるサービス。高単価案件も取り扱っており、スキルや経験が豊富なWebディレクターに向いている。
SNS	双方向のコミュニケーションが可能なSNSを活用して案件を獲得する方法。SNSに自分の実績・経歴を公開してスカウトを待ったり、クライアントの案件募集の投稿にリアクションをしたりすることで案件を獲得する。
知人からの紹介	知り合いを通じて案件を紹介してもらう方法。既知の間柄であるため、信頼関係が築かれた状態でやり取りを始められる。
直接営業	クライアントに直接アプローチを行い、案件を獲得する方法。スキルや実績が優れており、自らを売り出す営業力を持つWebディレクターに向いている。

それぞれ異なる特徴を持つため、自分やそのときの状況に合った方法を選びましょう。適した探し方を選択すれば、やりたいWebディレクターの副業案件に出会える確率が高くなります。

副業の基本的な始め方については「副業の始め方は？具体的なステップや主な職種、稼ぐコツを解説」の記事をご参照ください。

Webディレクターの副業をするときのポイント

ここでは、Webディレクターの副業を成功させるために押さえておくとよいポイントを3つ紹介します。
初めて副業に挑戦する方や、より成果を上げたい方はぜひ参考にしてください。

仕事内容や条件を確認する

Webディレクターの副業の契約をする前に、職務範囲と条件を細部に至るまで確認することが非常に重要です。

契約内容に誤解や確認不足な点があると、業務に入ってから「思っていた内容と違う」などといったトラブルが発生するおそれがあります。また、業務内容が自分の専門外であったり、業務範囲が不明瞭な場合もあります。
主な確認事項の例は以下のとおりです。

• 稼働時間
• 稼働日時
• 勤務場所
• 打ち合わせ方法
• 報酬
• 業務内容
• 経費の負担

これらの条件を事前に明確にし、自分のスケジュールや能力に合った契約を結ぶことがトラブル防止につながります。

レスポンスを早くする

副業としてWebディレクターを務める際は、レスポンスの速さが重要です。

迅速な対応がクライアントとの信頼構築の鍵です。
Webプロジェクトは短期間での進行が多いため、素早いレスポンスが円滑なコミュニケーションとスムーズな進行の確保に繋がります。また、早期の対応は問題発見と解決を促進し、プロジェクトの遅延やトラブルを未然に防げます。
信頼関係の構築とトラブル防止のため、迅速なレスポンスを心がけましょう。

ほかの職種の副業も視野に入れる

Webディレクターには、Webマーケターやライターなどの副業もおすすめです。

マーケティングの知識が豊富なWebディレクターは、副業としてWebマーケティングの案件に活かせるでしょう。
また、SEOやマーケティングの知識に加え、ライティングスキルを持つWebディレクターは、ライティングの仕事も向いています。自分でWebメディアやブログを運営することで、幅広い副業のチャンスを広げられます。

Webディレクターのキャリアパスについては、「Webデザイナー・Webディレクターからその先へ～今後のキャリアパスに役立つ記事まとめ」の記事を参考にしてください。

Webディレクターの副業の注意点

Webディレクターとしてのスキルを活かして副業で収入を得ることは魅力的ですが、副業を行う際にはいくつかの注意点があります。
ここでは、Webディレクターの副業の注意点を3つ紹介します。

本業の会社の就業規則を確認する

Webディレクターの副業を始める前に、本業の勤務先の就業規則を確認してください。
副業が禁止されている企業もあるため、無断で始めると懲戒処分を受けるおそれがあります。

また、副業が許可されている場合でも、届出が必要であると規定されていることがあるため就業規則には必ず目を通しておきましょう。
「秘密保持義務」や「競業避止義務」についても事前に確認します。これらの規定に違反しないよう、詳細を把握し必要に応じて上司に確認しましょう。

リスクについて詳しく知っておきたい方は「副業禁止の理由とは？会社にバレる可能性や本業の仕事と両立するコツを解説」の記事も併せてご覧ください。

本業を疎かにしない

Webディレクターの副業に注力しすぎて本業が疎かにしないように注意してください。

副業を始めたばかりの頃は、案件にかかる時間の見積もりやスケジュール管理がうまくいかないこともあるでしょう。
本業の仕事も考慮して余裕を持ったプランニングをしてください。睡眠や休息をしっかり確保し、体調管理に気をつけることで、健康を維持しながら長期的に副業を続けられます。

確定申告について知る

会社員として給与収入を得ている場合、副業の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。また、所得が20万円以下のケースでも、確定申告をすることで控除や税金の還付を受けられることがあります。
Webディレクターの副業をやるときは、確定申告に関する基本的な知識を身につけ、必要な申請を忘れずに行いましょう。

確定申告についてさらに詳しく知りたい場合は「業務委託に確定申告は必要？具体的なやり方も紹介」の記事を参考にしてください。

まとめ

Webディレクターの副業は、収入増加やスキルアップ、人脈の拡大などの多くのメリットがあります。
Webディレクターの副業を始める前には、事前の準備が重要です。勤務先の就業規則や契約条件、そして副業の仕事内容をしっかり確認しましょう。また、求められる知識・スキルを身につけて、実務経験を重ねて準備をしてください。