最終更新日:2024年10月02日
個人事業主として起業するのは簡単で、管轄の税務署に開業届を提出するだけで完了します。設立費用も必要なく、誰でもなれるのがメリットです。しかし、起業するにあたっては、デメリットも把握した方が良いでしょう。
本記事では、個人事業主として起業する際のメリット・デメリットや開業手続きを紹介します。税金の仕組みや法人との違いにも触れるので、ぜひ参考にしてください。
案件獲得を効率化するなら
希望にあう案件を受け取る個人事業主として起業する際は、いくつかの手順を踏む必要があります。ここでは、個人事業主として起業するときの手続き・手順を6ステップで解説します。
最初に、事業内容や事業を通して収益を上げる仕組みを計画書にまとめましょう。事業計画書を作成すると、事業の目的や経過、資金の調達方法などを整理できます。以下の4つを記載してください。
事業計画書は他人に見せるために作成するので、分かりやすい内容を意識しましょう。
次に、事業専用の口座を開設します。口座名は個人事業で使用する屋号や個人名で登録しましょう。資金を管理しやすくするため、クレジットカードはプライベート用・事業用で分けるのがおすすめです。
ただし、個人事業主は収入が不安定でクレジットカードの審査に通らないことも。心配なら、会社に勤めている間にクレジットカードを作るのも手です。
個人事業主として公的に認められるために、開業届を提出しましょう。開業届の提出先は、事業を営む地域を管轄する税務署です。
開業届には屋号を記載する欄があります。屋号を前もって決めておくと、開業届をスムーズに作成できるでしょう。
開業届を提出するタイミングで、青色申告と白色申告のどちらを利用するか決めておきましょう。両方とも確定申告の方法を指します。
青色申告では要件を満たすと特別控除が受けられますが、白色申告は受けられません。特別控除額は最大65万円です。
青色申告を利用したい場合、青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。白色申告は事前申請なしで可能です。
青色申告承認申請書は、開業届と同時に出すことをおすすめします。提出忘れを防げるためです。
事業開始等申告書は地方税に関連する書類であり、各都道府県の税事務所に提出します(※都道府県により提出先は異なる)。ただし、提出は必須ではありません。
会社を退職して個人事業主となるとき、自分で健康保険へ加入し直さなければなりません。これまで勤めていた会社の国民健康保険を継続する方法と、新たに国民健康保険に加入する方法があります。
勤めていた会社の健康保険に入ることを「任意継続」といい、最長2年間の加入が可能です。ただし、任意継続では、これまで会社が負担していた保険料も自分で払う必要があります。国民健康保険に入る場合、保険料は新たに計算されます。
任意継続を利用する際は、退職日翌日から20日以内に手続きしなければなりません。国民健康保険の加入手続きは、退職日翌日から14日以内です。
案件獲得を効率化するなら
希望にあう案件を受け取る「個人事業主または法人のどちらで起業するか」と悩む人がいます。ここからは、個人事業主として起業するメリットを3つ見ていきましょう。
個人事業主の開業手続きは、法人と比べると簡単です。法人は手続きが多く、設立までに1週間〜1ヶ月ほどかかります。個人事業主は開業届の提出さえすれば開業可能で、最短1日で終わります。
また、法人を立ち上げるときには費用がかかりますが、個人事業主にはかかりません。簡単な手続きでお金をかけずに起業できるのが個人事業主の魅力です。
個人事業主は利益によっては税負担が少なくなります。個人事業主の所得税は累進課税制度で、所得が少ないと税金も減るのがメリットです。
初年度から大きな利益を見込めないときは、個人事業主としてスタートするのがおすすめ。事業がうまく軌道に乗り、収入がある程度増えたら法人に切り替えると良いでしょう。
法人になると、多くの事務作業をしなければなりません。業務に取り組みながら煩雑な事務作業を進めるのは大変でしょう。
その点、個人事業主は収入や経費の管理が比較的簡易です。近年は便利な会計ソフトが開発されていて、収支管理がしやすくなっています。起業する際は、会計ソフトを導入するのがおすすめです。
案件獲得を効率化するなら
希望にあう案件を受け取る個人事業主として納得のいく開業をしたい場合は、デメリットの把握が欠かせません。ここでは、個人事業主として起業する3つのデメリットを解説します。
個人事業主は法人と比べて社会的信用を得にくいです。開業のハードルが低いため金融機関の信頼が得られにくく、融資が受けられない可能性が高くなります。収入が不安定な面も信頼性に影響しているようです。
金融機関や取引先から社会的な信頼を得るには、収入を含めた事業の実績が必要です。
個人事業主が支払う所得税には、所得に応じて税率が増える累進課税が導入されています。収入が増えて社会的信頼が得やすくなるものの、その分税金も増えて手取りが減るのがデメリットです。
No.2260所得税の税率を参照し、以下の表に所得税率をまとめました。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~194万9,000円まで | 5% | 0円 |
195万円~329万9,000円まで | 10% | 9万7,500円 |
330万円~694万9,000円まで | 20% | 42万7,500円 |
695万円~899万9,000円まで | 23% | 63万6,000円 |
900万円~1,799万9,000円まで | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円~3,999万9,000円まで | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
法人が支払う法人税は、所得が800万円以下であれば一律15%、800万円超は23.2%です。収益が800万円を超える場合、所得税より法人税のほうが安くなります。
個人事業主が人を雇う場合、法人より採用の難易度が上がる傾向にあります。個人事業主に対して、「事業が小規模で不安定」と思う人もいるためです。採用したいのに応募が来ない事態に陥る恐れがあります。
案件獲得を効率化するなら
希望にあう案件を受け取る個人事業主と法人の大きな違いは、開業までの手続きや税金の種類、社会的信用度です。ここからは、両者の違いについて解説します。
個人事業主は、開業届を提出するだけで始められます。
法人は法務局で登記申請が必要なうえ、事前に用意する書類も多くあります。設立登記申請書や登録免許税分の収入印紙、定款発起人の同意書、就任承諾書などです。
個人事業主にかかる税金は、主に所得税・個人住民税・消費税・個人事業税です。法人には、法人税・法人住民税・法人事業税・消費税がかかります。
税金によって税率や仕組みは異なります。事業の状態や規模によっても課税される税金は変わるので、気をつけましょう。
個人事業主と法人ともに、事業にかかる費用を経費として計上可能です。ただし、法人は個人事業主より経費に計上できる範囲が広くなります。
たとえば、法人は給与や退職金、生命保険料の一部などを計上できます。個人事業主はこれらを経費として処理できません。
法人は個人事業主と比べ、社会的信用度が高い傾向にあります。法人は設立時に法律に従って、法務局に登記申請をしているためです。
法務局に登記した住所や資本金などは、誰でも閲覧できます。多くの情報が公開されている分、信頼度が高まります。
案件獲得を効率化するなら
希望にあう案件を受け取る個人事業主として起業するときに用意した方が良いものは、以下のとおりです。
名刺や事業用のメールアドレスは、取引先の人や顧客とのやり取りで使用します。個人用のメールアドレスを使うと私用の連絡と混ざってしまい、返信の遅れ・漏れの原因となります。
Webサイトは事業のアピールのために必要です。デザイナーやイラストレーターなどにとっては、ポートフォリオにもなるでしょう。
会計ソフトやプリンター・スキャナーは事務処理に欠かせません。事務処理の負担を減らすには、使いやすい機器を揃えることが大切です。
案件獲得を効率化するなら
希望にあう案件を受け取るここからは、個人事業主に関するよくある疑問と回答を紹介します。起業前に疑問を解消しておけば、安心して起業準備を進められるでしょう。
個人事業主は業務量や業務時間を自分で決められますが、会社員は企業が定めた規則やルールに沿って業務を進めます。
会社員をしながら副業として個人事業主になるのは可能です。ただし、企業によっては副業を禁止しているため、事前に確認しましょう。
フリーランスは企業に雇用されず、独立して働く人全般を指します。自分で会社(法人)を設立している人もいるのがポイントです。
対して個人事業主は会社、つまり法人を設立していません。同じ独立した働き方でも、会社を経営している人がいるか否かが異なります。
個人事業主か法人を選ぶときは、以下の2点を基準にすると良いでしょう。
起業後に見込まれる利益が少ないのであれば、税率が低くなる個人事業主がおすすめです。利益が800万円を超える、または金融機関から融資を受けたうえで事業を進めたいのであれば法人化が向いています。
個人事業主として開業するときには費用はかかりません。しかし、開業後は事業をするうえでお金が必要です。業務に必要な道具や電子機器、事務用品などにかかる費用があげられます。
予想外の出費に慌てないためにも、開業前にある程度の資金を用意しましょう。資金が用意できない場合は、銀行からの融資をおすすめします。
案件獲得を効率化するなら
希望にあう案件を受け取る個人事業主として起業するメリットやデメリット、手続きなどを解説しました。個人事業主は簡単に開業できますが、法人と比べるとデメリットもあります。今後の流れや働き方、必要な費用もイメージしたうえで開業準備をしましょう。
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