フリーランスは健康診断を受けるべき？受け方や受診費用の目安を解説

フリーランスも健康診断を受けるべき理由

フリーランスには健康診断を受ける義務はありませんが、自主的に受診することが推奨されています。
フリーランスが健康診断を受けるべき理由は、主に以下のとおりです。

• 病気の早期発見につながる
• 生活習慣病を予防できる
• 体調不良による収入減を防止できる
• クライアントや顧客に迷惑をかけることを防ぐ
• 保険や住宅ローンの契約で必要になるケースがある
• セルフメディケーション税制の適用条件の一つを満たせる

健康維持はフリーランスの基本だと考え、定期的に健康診断を受ける姿勢が大切です。

フリーランスの住宅ローン審査のポイントについては、｢個人事業主の住宅ローンで通りやすい？必要な条件や審査通過のコツも紹介｣で紹介しているので、審査を控えているフリーランスの方は参考にしてください。

出典：厚生労働省「セルフメディケーション税制（特定の医薬品購入額の所得控除制度）について」

フリーランスの健康診断の受け方と費用目安

ここからは、フリーランスの健康診断の主な受け方と費用目安を紹介します。

地方自治体が実施する健康診断

国民健康保険に加入しているフリーランスであれば、主に地方自治体が実施する健康診断を受けます。自治体ごとに実施しているので、最寄りの市区町村のホームページで情報を確認してみましょう。

指定の医療機関を利用する必要がありますが、無料〜500円程度で健康診断を受けられるケースが多いです。

個人事業主が基本的に加入する国民健康保険の詳細については、｢個人事業主向けの年金や健康保険は？代わりになる制度も紹介｣で詳しく解説しているので参考にしてください。

任意継続した健康保険が指定する健康診断

フリーランスは任意継続被保険者制度を利用して、前職の会社で加入していた健康保険を使って健康診断を受ける方法もあります。

資格喪失日（退職日の翌日など）の前日までに、被保険者だった期間が継続して2ヵ月以上ある場合、任意継続被保険者制度を利用できます。任意継続被保険者になりたい場合は、資格喪失日から20日以内に申出書を提出しましょう。

健康診断の受診方法については、各健康保険組合のホームページを確認してください。費用は無料のケースが多いほか、時期や健康診断の内容によって自己負担が発生する場合であっても数千円程度で済むことがほとんどです。

出典：全国健康保険協会｢任意継続の加入条件について｣

配偶者の健康保険が指定する健康診断

フリーランスが会社に勤める配偶者の健康保険に被扶養者として加入した場合、配偶者の健康保険が指定する健康診断を利用することが可能です。健康診断の具体的な受診方法については、配偶者の勤務先の健康保険組合に確認しましょう。

フリーランスが被扶養者として健康診断を受ける場合、費用は数千円程度かかるケースが多いです。

任意の病院やクリニックでの健康診断

フリーランスが健康診断を受ける方法の一つは、任意の病院・クリニックで受診することです。自身で受診先を選んで日程を調整し、受診コースを選んで予約を行います。

病院やクリニックで健康診断を受ける場合、基本的に全額自己負担です。費用は基本的な検査で1万円程度から、検査項目が増えれば10万円以上かかるケースもあります。

フリーランスが受けるべき健康診断の項目

ここでは、フリーランスが受けるべき健康診断の項目を紹介します。

健康診断の基本的な検査項目

一般的な定期健康診断の検査項目は、以下のとおりです。

• 問診
• 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
• 身体測定（身長・体重・胸囲）
• 視力
• 聴力
• 胸部エックス線検査
• 血圧
• 貧血検査
• 肝機能検査
• 血中脂質検査
• 血糖検査
• 尿検査
• 心電図検査

フリーランスは法定の検査項目を参考に、健康診断の内容を選択するとよいでしょう。多くの場合、基本的なコースとして設定されているので、受診先のコース内容をチェックしてください。

出典：厚生労働省｢一般健康診断の項目一覧表｣

健康診断の追加検査項目

フリーランスは健康診断において、基本的な内容に加えて以下のような検査項目を追加できます。

• 脳検査
• 婦人科、乳がん、女性更年期検査
• 前立腺、膀胱、男性更年期検査
• 認知症検査
• 甲状腺検査
• 大腸検査
• アレルギー検査

自分の健康状態や健康リスクに合わせて、追加項目を選択するとよいでしょう。

健康診断の特定健診の検査項目

特定健診とは、40歳～74歳の人を対象にした生活習慣病の予防・改善を目的とした健康診断です。メタボリックシンドローム対策が目的の一つになっており、「メタボ健診」と呼ばれることもあります。
特定健診の基本項目は、以下のとおりです。

• 質問票（服薬歴、喫煙歴等）
• 身体計測（身長・体重・BMI・腹囲）
• 理学的検査（身体診察）
• 血圧測定
• 脂質検査
• 血糖検査
• 肝機能検査
• 検尿

医師が必要と判断した場合、上記の項目に加えて詳細検査を実施するケースもあります。

メタボ対策については、｢デスクワーカー必見！試してみたくなる運動不足解消におすすめの方法を紹介｣を参考にしてみてください。

出典：
厚生労働省「特定健診・特定保健指導について」
厚生労働省｢特定健康診査の検査項目｣

フリーランスの健康診断の受診先選びのポイント

ここでは、フリーランスが健康診断の受診先を選ぶ際のポイントを紹介します。

個人でも健康診断を受けられる

フリーランスが健康診断を受ける際には、個人で受診できる医療機関を探す必要があります。
医療機関によっては、企業や団体のみを対象にしているケースがあります。健康診断を実施している医療機関に問い合わせて、個人での受診が可能かどうかを確認しましょう。

組織に属さず個人で働くデメリットについては、｢フリーランスのデメリット13選！メリットや懸念点への対処法も解説｣の記事を参考にしてください。

検査設備がひととおり揃っている

検査設備がひととおりそろっていることも、フリーランスの健康診断の医療機関選びの重要な基準です。検査設備が充実している医療機関であれば、自分の身体について詳しくチェックしてもらえます。

健康診断で自分が受けたい検査項目を洗い出してから、気になる医療機関の設備を確認してみるとよいでしょう。

身近でアクセスしやすい

フリーランスが健康診断を受ける際には、身近でアクセスしやすい医療機関がおすすめです。

定期的に健康診断を受診するためにも、通いやすい医療機関が望ましいでしょう。自分が利用する移動手段も踏まえて、通いやすい医療機関を探してみてください。

一般診療科も利用できる

健康診断の実施のみでなく一般診療科を併設していれば、健康診断で異常が見つかったとしてもそのままケアを受けられます。健康診断後の診察も同じ医療機関で受けられれば、フリーランスの健康維持に伴う負担が減ります。

健康診断をきっかけにして、自分のかかりつけ医を見つける意識を持つとよいでしょう。

アフターフォローが充実している

フリーランスが健康診断の受診先を探す際には、アフターフォローの充実度もチェックしてみてください。健康診断は受診して終わりではなく、その後のケアが重要であるためです。

医療機関によっては、専門のスタッフによる栄養・運動指導を受けられるので、チェックしてみるとよいでしょう。

評判や口コミが良い

医療機関の口コミ・評判をチェックすることも、フリーランスが健康診断の受診先を探すうえで大切です。

公式ページの情報に加えて、SNSで利用者の生の声をチェックするとよいでしょう。ポジティブな口コミだけでなく、ネガティブな口コミも確認して総合的に判断してください。

フリーランスが健康診断を受ける際の注意点

フリーランスが健康診断を受ける際には、以下の点に注意が必要です。

• 基本的には自己負担になる
• 自身の健康診断の費用は経費計上できない
• 早めに予約しておく
• 病歴や薬に関する情報を正確に伝える
• 食事や飲酒に関する制限を必ず守る
• 事前準備をしておく
• 結果を確認して今後に活用する
• 健康診断は定期的に受診する

健康診断は、受診前の準備や情報収集が必要です。また、受診後の活用が大切です。自分の身体や食事習慣に関する情報は正確に医師へ伝えて、検査結果をできるかぎり活用できるようにしましょう。

1回の受診で終わらせず、健康維持のために年1回の健康診断を心掛けてください。

個人事業主が確定申告で経費計上できる項目について知りたい方は、｢個人事業主の勘定科目一覧！経費に計上できる費用や仕訳方法も解説｣の記事で解説しています。あわせてご覧ください。

フリーランスが健康診断の費用を抑える方法

フリーランスが健康診断の費用を抑えるためには、以下のような方法が考えられます。

• 健康保険の健康診断を利用する
• 自治体の補助制度を利用する
• クレジットカードや保険に付帯する割引を確認する
• フリーランス向け福利厚生団体の補助金制度を利用する
• エージェントの福利厚生サービスを利用する

健康保険の対象となる健康診断を選んだり、割引サービスや補助金制度を積極的に利用したりすれば、フリーランスの健康診断の経済的な負担を抑えられるでしょう。

フリーランスは健康診断以外にもリスクに備えておく必要があります。準備を万全にしたい方は、｢個人事業主に保険は必要？おすすめの制度や経費計上の可否についても解説｣の記事もチェックしてください。

まとめ

フリーランスとして長く活躍し続けるためには、健康診断を定期的に受診して健康を維持していく意識が重要です。健康診断の受診方法や費用の目安を確認し、法定の検査項目や自分の健康状態を参考に、どのような検査を受けるのかを検討しましょう。

フリーランスが健康診断を受ける医療機関の選定基準は、通いやすさや設備の充実度、アフターフォローなどです。定期的な受診を習慣にして健康への不安を減らし、フリーランスとしてのキャリアの充実につなげてください。