個人事業主が屋号を持つメリットは?決め方・ネーミング例や変更方法を解説

最終更新日:2025年11月14日

「個人事業主に屋号は必要なのか」「屋号はどのように決めるべきか」など、悩んでいる方もいるでしょう。事業内容に合った分かりやすい屋号を付けることで、個人事業主の事業にプラスにはたらきます。 本記事では、個人事業主が屋号を持つメリットや決め方のポイント、登録・変更方法を解説します。個人事業主が付けてはいけない屋号や事業形態別のネーミング例もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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個人事業主の屋号とは

屋号とは、個人事業主が業務で使用する事業の名称のことです。国税庁では「個人事業者が使う商業上の名称」と定義されており、法人でいう会社名のような役割を果たします。

屋号が使われる主な場面

個人事業主の屋号が使われる主な場面は、以下のとおりです。

  • 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)
  • 契約書
  • 請求書
  • 見積書
  • 領収書
  • 名刺
  • 銀行口座の開設
  • 融資申込書
  • 確定申告書
  • 青色申告決算書

開業届には屋号欄があります。書類記入時に屋号名が決まっていれば、提出時に記入しましょう。
また、確定申告書や青色申告承認申請書をはじめとする税務書類を作成する際も、屋号がある場合は同じ名称を統一して記載します。

確定申告が必要になるかどうかの判断については、「確定申告は個人事業主の場合年収いくらから? ケース別の要不要や手順」の記事を参考にしてください。

個人事業主の屋号と商号の違い

「商号」とは、法人における正式な会社名のことです。

商号は法人設立時に登記が必須であるうえ、「△△株式会社」「△△銀行」のように法人格を示す名称を含める必要があります。
一方で個人事業主の場合、屋号の商号登記は義務付けられておらず、原則として自由に設定できます。

個人事業主の屋号と雅号の違い

「雅号」とは、文学活動をする個人が自分自身に付ける名前のことです。代表例として、芸能人の芸名や著述家のペンネームなどが該当します。

屋号が事業の名称として用いられるのに対し、雅号は主に活動における表現名として使われます。雅号は事業名ではなく個人の活動名であるため、屋号のように書類に使われることは一般的ではありません。

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個人事業主の屋号あり・なしは任意

個人事業主にとって屋号の登録はあくまで任意です。屋号を登録せずに本名のみで個人事業主として活動しても問題はなく、ビジネス文書や確定申告書類にも対応できます。

ただし、開業後に屋号を持つ場合は、税務署に変更届を提出するなどの追加手続きが必要になります。そのため、将来的に屋号を使う可能性がある場合は、開業時にあらかじめ登録しておくほうがスムーズにビジネスを展開できるでしょう。

開業届の書き方については、「個人事業主が出す開業届とは?書き方や提出するメリットなども解説」の記事で詳しく解説しています。

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個人事業主は2つ以上の屋号を持つことも可能

個人事業主は、ビジネスの種類や内容に応じて2つ以上の屋号を持つことが可能です。たとえば、飲食店とオンラインショップを運営している場合、それぞれに屋号を持てば事業内容や方向性がより明確になり、顧客やクライアントにも分かりやすく伝えられます。

2つ目以降の屋号を追加登録する際は、開業届の屋号欄に追加する屋号のみを記入欄に書いたうえで、備考欄に屋号の追加登録をする旨を記載します。
また、同一住所において、同じ屋号を複数の事業に使用したりそれぞれで異なる屋号を登録したりすることも可能です。

個人事業主が2つ以上の屋号を持つ場合は、ビジネスを円滑に展開できるよう帳簿や書類を分けて管理しましょう。

なお、個人事業主が引っ越しする際の住所変更手続きについては、「個人事業主が引っ越ししたらどうする?移転手続きについて解説」の記事を参考にしてください。

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個人事業主が屋号を登録・変更する方法

個人事業主が屋号を登録・変更する場合は、状況に応じて必要な手続きが異なります。
下表に、さまざまなケースにおける必要な手続きをまとめました。

ケース 手続き先 必要な手続き
屋号のみを登録・変更する場合 税務署 開業届の提出(登録時)
確定申告書類に変更後の屋号を記載(変更時)
インボイス登録している屋号を変更する場合 税務署(インボイス関連) 「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」の提出
屋号を商号登記・変更する場合 法務局 商号登記申請書の提出(登記・変更時)
屋号を商標登録・変更する場合 特許庁 商標登録願の提出(登録・変更時)

個人事業主が事業の開始と同時に屋号を持つ場合は、開業届に記載するだけで登録できます。変更時には、確定申告書に新しい屋号を記載するだけで対応が済みます。
インボイス制度に登録し、「適格請求書発行事業者公表サイト」に屋号を公表している場合は、「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」の提出が必要です。

なお、登録商標は登録後には変更できないため、内容を修正したい場合は新しい商標として出願する必要があります。

インボイス制度による影響について詳しく知りたい方は、「インボイス制度とは?個人事業主に必要な対応をわかりやすく解説」の記事もチェックしてください。

出典:厚生労働省「D1-67 適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出手続」

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個人事業主が屋号を持つメリット

個人事業主が屋号を持つと、ビジネスの信頼性やブランド力を高め、顧客やクライアントに分かりやすく事業内容を示せるなどのメリットがあります。
ここでは、個人事業主が屋号を持つメリットを紹介します。

屋号が入った口座が開設できる

個人事業主が屋号を持つと、屋号が入った銀行口座を開設できます。

屋号が入った銀行口座を個人事業主が持っていれば、事業用とプライベート用の資金の流れを明確に区別できたり、取引内容を整理しやすくなったりして経理作業がスムーズになります。
また、屋号が入った口座を使用すれば、顧客やクライアントにとっても信頼感が増し、安心して取引できる環境を整えられるでしょう。

個人事業主が屋号が入った銀行口座を開設する方法については、「個人事業主は口座開設した方が良い?屋号付きのメリットを紹介」の記事で詳しく解説しています。

社会的な信用が高まる

個人事業主が屋号を持つと、社会的な信用を高められます。

屋号はビジネスの内容をベースに決めるのが一般的です。そのため、個人事業主が屋号を持つことで、展開しているビジネスの特徴やサービス内容を対外的に分かりやすく伝えられるようになるでしょう。たとえば、業種や業態をイメージしやすい屋号を使用すれば、顧客やクライアントに信頼感を与えられます。
屋号は単なる名称ではなく、ビジネスにおいてブランド力を高める重要なツールだといえます。

公私を区別しやすくなる

公私を区別しやすくなることも、個人事業主が屋号を持つメリットの一つです。

請求書や領収書、名刺などの事業用書類に統一して屋号を記載すると、事業関連の支出や取引を判別しやすくなります。これにより、経理処理や確定申告がスムーズになるでしょう。

なお、屋号による統一感は、顧客やクライアントに対して信頼感やプロ意識を示す効果も期待できます。

本名を公にせず活動できる

個人事業主が屋号を持つことで、本名を公にせずに活動できるメリットがあります。

公開されるWebサイトや名刺などでは、屋号だけを記載して本名は伏せても問題ありません。屋号の使用によってプライバシーを守れるため、本名を公にせず活動したいと考えている個人事業主にもおすすめです。

法人化する際にそのまま使用できる

個人事業主が屋号を持っていると、法人化する際にそのまま商号として引き継ぎできます。法人化する際に屋号を継続して使用することで、個人事業時代の取引実績や活動実績を第三者に提示しやすくなり、信用力を高められます。
また、すでに築いたブランドイメージを維持できるメリットもあるでしょう。いずれ法人化したいと考えている方は、個人事業主のうちから屋号を登録しておくことも方法の一つです。

個人事業主が法人化を検討すべきタイミングについては、「個人事業主が法人化するメリットとは?デメリットや手続きの流れも解説」の記事を参考にしてください。

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個人事業主が屋号を持つデメリット

個人事業主が屋号を持つメリットは多いですが、デメリットもあります。
ここでは、個人事業主が屋号を持つデメリットを紹介します。

簡単に決められない

屋号選びはビジネスのイメージづくりに大きく影響するため、簡単に決められるものではありません。決めるまでに時間・労力がかかることは、個人事業主が屋号を持とうとすることのデメリットだといえるでしょう。
屋号が重複しても違法性はありませんが、既存のサービスや事務所と同じ名称だと模倣だと認識されて印象が悪くなる可能性があるため注意が必要です。

屋号を決める際は事前に類似の名称がないか確認することがおすすめです。なお、屋号はインターネットで検索できるほか、法務局でも調べられます。

クライアントを混乱させる可能性がある

屋号と本名の使い分けが曖昧な場合、クライアントを混乱させるおそれがあります。特に、契約書や請求書などの公的書類で屋号と本名の併記ルールが統一されていない場合、トラブルの原因になったり信用を損なったりするため注意が必要です。

個人事業主が屋号を持つ場合は、本名との使い分けに関するルールを明確にしておきましょう。

変更する際に手間がかかる

個人事業主が屋号を変更する際の手続きに手間がかかることも、屋号を持つデメリットの一つです。
屋号の変更後も、顧客やクライアントへの報告に始まり、必要に応じて請求書や領収書、名刺などのビジネス文書、チラシやポスターなどの印刷物もすべて変更しなければなりません。
屋号を変更する際は、事前に影響範囲を確認して計画的に実行してください。

また、屋号を商号登記・商標登録しているケースでは、変更にあたって費用が発生するので留意しておきましょう。

屋号を決めるときに失敗して変更せざるを得ない状況になるのを防ぐために、「屋号の決め方7選|仕事上の名前をつけるメリットや失敗しやすい方法も解説」の記事も参考にしてください。

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個人事業主におすすめの屋号の決め方

個人事業主が屋号を決める際は、決め方のポイントを押さえておくことによって後悔のない屋号を付けられます。
ここでは、個人事業主におすすめの屋号の決め方について解説します。

ビジョンに沿った屋号を付ける

個人事業主におすすめの屋号の決め方の一つは、ビジョンに沿った屋号を付けることです。

個人事業主が屋号を決める際は、まず「どのような商品・サービスを提供するのか」「どのような価値を届けたいのか」などの目的・方向性を言語化することがポイントです。自分のビジネスの目的や方向性を明確にすることで、ビジョンに沿った一貫性のある屋号を考案できるでしょう。

事業内容が分かりやすい屋号にする

個人事業主には、どのようなビジネスをしているかを直感的にイメージできる屋号がおすすめです。たとえば、店舗やクリニック、事務所を開いている場合は、店名やクリニック名、事務所名をそのまま屋号にする方法もあります。

屋号を見ただけでサービスの内容が伝わると、顧客やクライアントに覚えてもらいやすく、個人事業主としての信頼性の向上にもつながるでしょう。

覚えやすい屋号にする

覚えやすい屋号を持つと顧客やクライアントに印象づけやすくなります。
個人事業主の屋号には、以下のような文字を使用できます。

  • 漢字
  • ひらがな
  • カタカナ
  • アルファベット
  • 数字
  • 記号「,」「.」「-」「&」「・」「'」

アルファベットや外国語を使用する場合は、第三者にとって読みやすいかどうかを考慮しましょう。また、覚えやすい屋号にするためには、短く簡潔な言葉を選ぶのもポイントです。親近感が湧くような屋号や発音しやすい名称は、紹介や口コミで評判が広がりやすいメリットもあります。

ほかの屋号との差別化を図る

個人事業主が屋号を決めるときは、ほかの屋号との差別化を図ることも大切です。

たとえば、自分のニックネームを屋号に使うとシンプルながらも覚えてもらいやすく、個人としての存在感をアピールできます。また、地域に根ざしたビジネスを展開する場合は、「東京△△サロン」「大阪△△店」のように地名を屋号に取り入れるのも効果的です。
名前や地域名を盛り込んで周囲との差別化を図ると、顧客やクライアントに信頼感や親近感を与えられるでしょう。

ドメインを取得できる屋号にする

個人事業主が屋号を決めるときは、屋号を使ったドメインが取得できるかどうかを事前に確認しましょう。
すでに存在しているドメインと同じものは取得できません。ドメイン検索サービスのサイトなどを使って、付けようとしている屋号の名称を使用したドメインが存在していないかを確かめてください。

ドメインとはインターネットにおける住所にあたるもので、「△△.com」「△△.co.jp」などの形式で表記されます。屋号とドメインを統一するとWeb上でのブランド認知が高まり、個人事業主としての信頼感を効果的に示せるでしょう。

ドメインの取得をはじめ、フリーランスとして活動するうえでやるべきことは、「フリーランスになる際のやることリストは?独立に必要な準備や手続きを解説」の記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。

画数を参考にする

個人事業主が屋号を決める際は、画数を参考にするのも方法の一つです。
たとえば屋号を吉や大吉とされる画数にすると縁起が良く、商売繁盛や運気上昇につながるとされています。

屋号を決める際は、事業内容やビジョンなどを反映し、分かりやすい名称を付けることが基本です。しかし、どうしても屋号を決められないときは、補助的な判断材料として画数を参考にしましょう。

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個人事業主が付けてはいけない屋号

個人事業主には、屋号として使用できない名称が存在します。トラブルを回避するためにも、屋号を付ける前に確認しておきましょう。

会社や法人と誤認させるもの

屋号はあくまで個人事業の名称であり、会社や法人と誤認させる可能性があるものは付けられません。具体的には、以下のような名称が該当します。

  • 会社
  • 合同会社
  • 合資会社
  • 合名会社
  • △△Co.,Ltd.
  • △△Inc.

ほかにも、△△銀行、△△保険など、特定の業種を指す法人格も、個人事業主の屋号として使用できません。

法人について詳しく知りたい方は、「個人事業主と法人の違いとは?それぞれのメリット・デメリットも比較」の記事をチェックしてください。

商標登録されているもの

個人事業主が屋号を付ける際、商標登録されている名称と同一のものや類似するものは付けられません。
すでに登録されている商標を無断使用すると商標権侵害となり、差止請求や損害賠償請求のリスクがあります。

「特許情報プラットフォーム」では、商標登録の有無を検索して確認できます。屋号を登録する前に商標登録の有無をチェックしておきましょう。

公序良俗に反するもの

個人事業主の屋号には、差別的や暴力的、侮辱的などの公序良俗に反する名称は付けるのは避けてください。
公序良俗に反する屋号は多くの人に不快感を与えるおそれがあり、たとえ登録できても事業に悪影響を及ぼすでしょう。

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個人事業主向け事業形態別の屋号のネーミング例

ここでは、個人事業主向けにビジネス形態別の屋号のネーミング例を紹介します。個人事業主として屋号を決める際の参考にしてください。

店舗を経営するケース

店舗を経営する個人事業主は、店名をそのまま屋号にするケースが多い傾向にあります。
具体的には、以下のようなネーミングがおすすめです。

  • △△△屋
  • △△△工房
  • △△△ショップ
  • サロン△△△
  • △△△家
  • △△△商店
  • △△△本舗
  • ベーカリー△△△
  • △△△堂

ただし、名称が異なる複数の店舗を経営しているケースなど、統一性がある屋号を付けるのが難しい場合はこの限りではありません。
また、店舗の名前をそのまま屋号にするとありきたりな印象になるため、あえてインパクトを重視した別の名称にするのも方法の一つです。

クリニックや事務所を開くケース

個人事業主としてクリニックや事務所を開くケースでは、以下のようなネーミングを参考に屋号を考えてみてください。

  • 地域名+歯科クリニック
  • 個人名+内科
  • 個人名+医院
  • △△△事務所
  • △△△デザイン事務所
  • オフィス△△△
  • チーム△△△
  • スタジオ△△△
  • △△△ラボ
  • △△△企画
  • △△△制作

店舗と同様に、個人経営のクリニックや事務所では名称をそのまま屋号にするケースが多いといえるでしょう。

拠点を構えずに活動するケース

店舗や事務所などの拠点を構えずに活動する個人事業主の中には、屋号を持たずに本名または別名で事業を行うケースもあります。
また、小説家や漫画家などの著述家、芸能界で活動している方の中には雅号を持つ人もいます。

職種別の屋号のネーミング例を知りたい方は、「屋号のサンプルと決め方|フリーランスの屋号ネーミングのポイント」の記事もご覧ください。

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まとめ

個人事業主や任意で屋号を付けて事業活動を行うことが可能です。

個人事業主の屋号は、法人における企業名にあたるものです。社会的な信用が高まったり、公私の区別が明確にできたりと、ビジネスを行ううえでさまざまなメリットがあります。
自身が運営する事業の内容やビジョンに合わせて適切な屋号を付けて、個人事業主の事業をさらに良いものにしましょう。

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