個人事業主として開業すべきサラリーマンとは?開業の手続きやメリットを解説!

最終更新日:2024年10月09日

日本においてじわじわと顕在化してきている、育児・介護と仕事の両立、ないし少子高齢化などを原因とした“働き手問題”。それらを改善すべく、2019年に厚生労働省から発表されたのが「働き方改革」です。

働く人の事情に応じて、多様な働き方の選択ができる社会を目指すこの取り組みは、現在「副業解禁」への追い風にもなっています。いくつかの調査資料によると、副業を希望する人は年々増加傾向にあり、すでに副業を始めている人はもちろん今後始めてみたいと考える人も非常に多いという結果が出ています。

ただしサラリーマンが副業を行う際、デメリットを含めた本業への影響があることも少なくありません。そのため副業を禁止している会社もあり、副業を始めるかどうかには慎重な判断が必要となります。

そこで今回は副業を考えている人に向け、個人事業主サラリーマンのメリット・デメリットに加え、手続きの方法などもあわせて紹介します。現在すでに副業を始めている人も、あるいはこれから副業を始めたいと考えている人も、次のステップへ向けぜひ役立ててみてください。

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個人事業主とは?

個人事業主とは、その名の通り個人で事業を行っている人のことをいいます。混同しがちなものとして法人がありますが、個人事業主と法人では申請・手続きの方法や経費の計上範囲など大きく違う点があります。

具体的にいえば、個人事業主が開業や廃業を行う際に費用はかかりませんが、法人が設立や廃業を行う際は数万円程度の費用がかかります。

また、個人事業主としての収益が大きくなれば、税金面などさまざまな理由で法人化するのが一般的となっています。そのため個人事業主よりも法人の方が、社会的な信用度も高くなる傾向にあります。

もちろん法人化するほどの収入を得るようになれば、サラリーマンとして勤めている企業を辞めるという選択肢が濃厚になってくるでしょう。

一般に、個人事業主が法人化するタイミングとしては年間の売り上げ1,000万円が目安といわれています。また後程詳細に説明しますが、サラリーマンであれば多くの場合、副業での収入が20万円を超えると自身での確定申告が必要な可能性が高くなってきます。

これらを総合して考えると、サラリーマンでありながら個人事業主として働いている人は、副業の年収が20万円以上~1,000万円の間にあるのが一般的だと考えてよいでしょう。

こうみると可能性やメリットを大きく感じてしまいがちですが、個人事業主は企業に雇われない働き方であるため、サラリーマンに比べていざという時の保険やサポートがほとんどないといっても過言ではありません。

それらの保険などは自身で準備しておく必要があるほか、そのためのお金もすべて含めて稼ぐ必要があります。個人事業主は働けば働くほど収入を上げることができますが、セーフティーネットなどもすべて自身で準備しなければならない、完全なる自己責任型の働き方であるといえるでしょう。

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個人事業主になるタイミングとは?

働き方改革を意識する企業が増え、副業にチャレンジする人も増加傾向にある現在の日本。サラリーマンでありながらこれから副業を始め、個人事業主として活躍したいと考える人も多くなってきています。

しかしいざ副業収入が発生しても、はたしてどのラインを境に個人事業主となるべきかを明確に判断できない、という人は多いようです。

今回はサラリーマンが副業を行う場合と、サラリーマンではない人が収入を上げ始めた場合についての判断基準を、国税庁のサイトを参考にご紹介します。

サラリーマンの場合

収入を得るすべての人が理解しておくべきなのが、“収入”や“所得”の意味についてです。

まず収入とは、給料をもらうサラリーマンでいえば年収(給料でいう総支給額)のことを指します。そして所得とは、その収入から給与所得控除を差し引いた金額で、手取りはそこからさらに社会保険料や税金などを差し引いた金額のことをいいます。

サラリーマンが勤めている会社からもらう給料は「給与所得」に分類されます。1カ所からの収入をもつサラリーマンでその収入が源泉徴収の対象となる場合、もし副業による収入が増えたなら、その副業収入から経費を差し引いた金額(所得)が20万円を超えるラインを目安に、自身での確定申告が必要となります。

つまりサラリーマンが個人事業主になるタイミングとしては、確定申告が必要となるライン「副業所得20万円以上」を超えたときであるといえるでしょう。

主婦・主夫などの場合

生活を共にするパートナーが給与収入のあるサラリーマン、そして自身は給与収入をもたない、いわゆる“主婦(主夫)”であるという人も、近年は在宅でできる仕事を行い、収入を得ているということが増えてきています。
この場合、パートナーが給与所得者であることで適用される配偶者控除、もしくは配偶者特別控除により、一般的に所得が38万円を超えなければ確定申告は不要となります。

しかしこの所得ラインはパートナーや自身の収入額により変動するため、家族の所得合計額によって変わる可能性があります。また、主婦(主夫)がパート・アルバイトを行いながら在宅ワークをしている場合にはまた基準が変わってくるため、詳しくは会計士などに相談してみるのがおすすめです。

所得がそれぞれのラインを安定的に超える場合

サラリーマンや主婦(主夫)が副業を行い、その所得がそれぞれの確定申告を必要とするラインを安定的に超える場合には、必ず確定申告を行う必要があります。

その際に“青色申告”を行えば、55万円~65万円の青色申告特別控除を受けることができるため支払う税金を少なくすることができるのですが、青色申告を行うには原則として青色申告承認申請書、そして開業届をあらかじめ提出しておく必要があります。

この開業届の提出をもって個人事業主となるため、青色申告を行うなら個人事業主としての活動が前提となる、と考えても良いでしょう。そして個人事業主となるための開業届提出は、開業してから1ヶ月以内と決められています。

つまり個人事業主になるべき場合とは「確定申告が必要となるラインを安定的に超える目処がたったとき」だといえるのです。

安定的な副業収入があるならば、後々は収入が増えていくことが考えられ、青色申告は重要なものになってくるでしょう。また、開業届の提出を怠ることは法律に違反してしまうことになるため、個人事業主になる場合は正しく手続きを行いましょう。

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開業の手続きのメリットについて

開業して個人事業主になると、青色申告特別控除以外にもさまざまなメリットを享受することができます。それらは大きく分けて3つです。

屋号が使える

屋号とは開業届けを提出する際に決めることができる、自身の“店の名前”のようなものです。

屋号を設定するかしないかは自由ですが、個人の名前ではなく屋号を使うことによって、個人事業主であるもしくは開業しているということを取引先などに理解してもらいやすくなります。

個人よりも会社の方が信用されやすくなるように、屋号を使った方が仕事を受注しやすくなる場合もあります。もちろん屋号を設定するかしないかは自由ですし、後から変更も可能です。しっかりと考え抜いた屋号を設定するとよいでしょう。

事業用口座を作ることができる

個人事業主になると、金融機関などで個人の口座以外に、屋号を使った事業用口座を作れるようになります。

これは確定申告のための仕分けを行ったり、事業収益の流れを把握したりするのに非常に有利なものであるため、ぜひ活用していくのをおすすめします。

ただしすべての金融機関で作成できるとは限らないため、事業用口座の開設を考えるのであれば、該当する金融機関にあらかじめ確認しておきましょう。

赤字繰り越しなどのメリットがある

副業を始めて数年は、思うように利益が上がらず赤字を抱えてしまうこともあるかもしれません。そんなとき青色申告承認申請書を提出しておけば、青色で確定申告を行うことによる“赤字繰り越し”のメリットを享受することができます。

赤字が発生した際、通常はただの赤字となってしまって終わりになります。しかし青色申告承認申請書を提出して青色申告を行う前提となっていれば、その赤字を繰り越して翌年度の黒字と相殺し、課税対象を減らすことが可能になります。

ただし前述したように、赤字繰り越しを行うためには青色申告を行う必要があり、そのためにはあらかじめ個人事業主として申請を出しておく必要があります。開業手続きを行うと、実はさまざまなメリットがあるということが分かるのではないでしょうか。

赤字を繰り越せるのは3年間となっています。副業やフリーランスで活動を始めたけれどなかなか軌道に乗らないというときはもちろん、景気に左右されて赤字となってしまったときにも非常に役立つ制度であるといえます。

これ以外にも、個人事業主としてサラリーマンが開業するメリットはいくつもあります。ただ、一度開業届を出して個人事業主になると翌年からは毎年必ず確定申告が必要になるうえ、廃業する際は廃業届を提出するなどいくつかの制約もあります。

サラリーマンとして勤めながら個人事業主を目指す場合は、仕事を軌道に乗せることはもちろんですが、開業や確定申告についてもしっかりと確認しておきましょう。

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開業の手続きの流れ

開業の手続き自体は非常に簡単で、方法としては管轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけです。
こちらの届け出用紙は税務署に置いてあるほか、国税庁のサイトからダウンロードして郵送で届け出ることもできます。

記載する内容は名前や住所、納税地(住所か、事業所がある場所かを選ぶことが可能)、屋号、事業の概要などです。記載する内容に関して分からないことがあれば、税務署に直接確認するのがおすすめです。

1点注意しておきたいのは、開業届や確定申告等の手続き・提出書類はそのまま原本を提出するだけでは、こちらに控えを残すことができない点です。このような書類を税務署に提出したという確実な記録を手元に残す場合は、必ず控えを作成しておきましょう。

その控えは原本を提出する際に一緒に出しますが、手渡しであれば口頭で、郵送であれば切手を貼った返信用封筒を入れるなど、控えをこちらへ戻して欲しい旨を示す必要があります。

特に開業届の控えは個人事業主であるということを示す大切な書類となり、さまざまなシーンで必要になる場合があります。急に証明が必要となった場合でもスムーズに対応するためには、やはりそれぞれの書類の控えはきちんと手元に置いておくことが大切であるといえるでしょう。

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副業は会社にバレる?

現在は日本全体で“働き方改革”が大きく掲げられていることもあり、副業に理解のある企業も増えてきています。しかし基本的には副業を禁止としている企業もまだまだ多く、そのような企業で働いている人は、副業が会社に分かってしまうと困るのではないでしょうか。

副業が会社にバレてしまう主な理由のひとつとして、住民税があります。こちらは所得税や消費税とは違って地方税のひとつとなり、確定申告とは違う計算方法・納付方法になっています。

そのため確定申告を自分で行っても、住民税の納付方法をきちんと選んでおかなければ会社に副業分の金額を載せた通知が届き、分かってしまうという仕組みです。

会社に副業分の住民税通知が届かないようにするには、確定申告の際にその通知を、会社ではなく自身が直接支払う「普通徴収」にして提出する必要があります。確定申告書の書き方などが不安であれば、会計士や地域の青色申告会などに相談し、正しい記載を行いましょう。

そのほか、副業が会社にバレてしまう理由としては、自身が本業の会社で副業を行っていることをうっかりほのめかしてしまうことや、誰かに話したことが人づてに会社関係者に伝わってしまうなどといったものがあります。

もちろん副業は会社の了承を得てから行うのが大前提ですが、さまざまな理由により会社の理解を得られていないという場合もあるでしょう。そんなときは会社の理解をきちんと得られるまで、手続きのミスをしないよう気をつけたり、うかつに人に話したりしないよう注意する必要があります。

とくに本業と副業が少し似ている内容であれば、本業のノウハウやスキルを活かすという場合もあるかもしれません。しかしその場合は本業とする会社の情報を漏洩していると捉えられる可能性もゼロではないといえるでしょう。

副業を行う際はどのような内容のものを選ぶかが非常に大切です。将来的には副業を成功させて本業にするつもりでも、今勤めている会社への敬意はしっかりと払い、デメリットを与えてしまうことのないように気をつけましょう。

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将来を考えるなら個人事業主も視野に!

現在の日本は、契約社員といった働き方や極力残業をしない働き方などが非常に多くなってきています。これらは自由に使える時間が増えるというメリットがある反面、収入が増えにくくなっているのがデメリットであるといえるでしょう。

この自由な時間を収入につなげるために、サラリーマンが副業を始めるのは非常に有効な手段です。

もちろん本業の仕事内容や情報を副業に流してしまうのはだめですが、ポイントだけを押さえてうまく副業に活かしたり、副業でまったく新しいチャレンジを行ったりするのはスキルアップにもつながるため、取り組むメリットはあるといえるでしょう。

また、今後はさまざまな職業で機械化が進み、簡単な作業であれば人間ではなくロボットが代用していくことになるとみられています。

そうなると何か特別なスキルや知識がなければ仕事をみつけにくくなるといっても過言ではなく、やはりそのためには何らかのスキルを身に付けるほか、“自身で収入を生み出す力”が必要になると考えられます。
現在はインターネットを使えばありとあらゆる情報を得ることができるうえ、SNSを使って知名度を上げ、起業したり収入につなげたりすることも難しくなくなってきています。

現在副業を行っているなら、その収入をもっと増やせるようさまざまな方法を考えてみましょう。その先にはきっと個人事業主としての選択肢があるはずです。
副業を上手に活用して、サラリーマンとしても個人事業主としてもいきいきと働ける環境を目指せば、将来的な道筋もしっかりとみえてくるでしょう。

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