個人事業主申請・開業届の手順は?必要書類と内容をまとめて解説

2019年の終わり頃から、生活様式や働き方は大きく変化し、それに伴って会社員という働き方から個人事業主へと変わる人々も増えてきました。

個人事業主とは、自身の事業を持ち、働く人のことを指します。働く時間も方法も自分ですべて決められる自由さから憧れる人は多くいますが、やはり責任も負担も大きいため、早々にサラリーマンへと戻る人も少なくありません。

ただし軌道に乗れば、収入も可能性もやりがいも自分次第で広げることのできる働き方であるといえるでしょう。今回はそんな個人事業主になるための申請方法や手順、そして必要な書類に関する詳細などを紹介していきます。

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個人事業主とは

個人事業主とは、企業などに雇用されず独立して事業を営む人のことをいいます。ただし企業に雇用されて働くサラリーマンでも、自身で運営している事業があり、個人事業主として申請・開業していれば個人事業主であるといえます。

フリーランスと個人事業主の違いに関して疑問の声が上がりますが、実態としてフリーランスは働き方を表す言葉で、その中に法人、個人や個人事業主も含まれています。さらに留意すべきなのは個人事業主はあくまで税務署に開業届を提出した個人を特定するので、法人化した個人は含まれていないということです。

2020年の厚労省が発表したの[「フリーランス人口の推移」の調査](https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000654082.pdf])では、フリーランス広義での人口としては約462万人いるとされています。また個人事業主として開業している人はそれよりも少なくなると考えられますが、本業・副業共に事業を興しやすくなった現在、その数は非常に増えているとみられます。

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個人事業主になるメリット・デメリット

勤めている企業を退職して個人事業主となる場合、開業届を提出するのは退職後に心機一転、という方も多くいるでしょう。

退職をして個人事業主になる場合

会社員から個人事業主になる場合、注意しておきたい点としては、ローンや融資などが受けにくい可能性があるということです。
個人事業主は、生計が不安定と判断されることがあるため、個人事業主になってしばらくの間はローンや融資などが受けにくい可能性があります。

もし、融資を前提とした開業を考えていれば、あらかじめ退職後でも可能なものかどうかを相談しておくとよいでしょう。難しいようであれば退職前にそれらの手続きを行っておくという方法も考えられます。

また、個人事業主として働いた場合に、どのくらいの収入があればサラリーマン時代と同じ生活水準を保てるのかを、あらかじめ計算しておくことも大切です。個人事業主は保険や税金など、今まで勤める企業が負担してくれていた分をすべて自分で支払う必要があります。

社会保険と国民健康保険を比べても金額は大きく違ってくるため、諸々の支払いが苦しくなり、個人事業主として活動を続けることが難しくなる人も少なくありません。個人事業主が使えるサポートにどのようなものがあるか、事前にしっかりと調べておきましょう。

副業として個人事業主になる場合

サラリーマンを続けながら開業して個人事業主になる場合、軌道に乗るまではサラリーマンとしての収入が柱としてあるので、金銭的に困ることはないでしょう。ただし雇用されている状態だからこそ守るべきルールはあるので、注意が必要です。

副業として開業する場合は、まず本業の就業規則が副業OKであるかどうかを確認しておきましょう。もし副業がNGであるにも関わらず開業をしてしまうと、住民税の通知や日々の会話・態度から会社に発覚する可能性もあり、解雇などのペナルティを受けるリスクもあります。個人事業主として、仕事を請け負う中で信頼を獲得する為にもルールを遵守する姿勢は特に重要となるでしょう。

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個人事業主になる前に知っておくべき注意点

多くの人が開業を考えるのは、事業の収益がある程度安定してきたと感じる頃かもしれません。

サラリーマンとして雇用されながらの開業であったり、勤める企業を退職してからの開業であったりといくつかのパターンがあると思いますが、開業を視野に入れるのであれば、その前に知っておくべきいくつかの注意点があります。

開業届は1カ月以内に提出

所得税法第229条によると
「居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。」
と記載されています。つまり事業を始めたのであれば、その日から1ヶ月以内には必ず開業届を提出しなければならないということです。

確定申告を行う

個人事業主、つまり何かの事業によって利益を得ている人は、その収入に対する税金を支払う“確定申告”を行う必要があります。手間だと感じるかもしれませんが、場合によっては確定申告で払いすぎた税金分が戻ることもあるので、毎年必ず確定申告を行うこととなるでしょう。
また、開業と同時に青色申告特別控除の書類を提出しておけば、確定申告の際に大きな控除を受けられるメリットもあります。

ただし、個人事業主には雇用されている働き方に比べ、デメリットだと感じる部分も少なくありません。例えば、企業に雇用されていないために保険等の費用はすべて自身の収入の中から捻出する必要があります。収入は100%自身の働きによって決まるため、場合によっては波があり安定しないこともあるでしょう。
ですがサラリーマンとは違い、事業が軌道に乗れば収入は大きく上昇する可能性があるのがメリットと言えます。しかし必ずしもすべての事業がそうなるとは限らないため、さまざまなリスクを想定して準備しておく必要があるといえるでしょう。

個人事業主になったら屋号を決めよう

個人事業主として税務署に開業届を提出することで得られるメリットのひとつに、屋号を決められることがあります。

これにより金融機関では屋号での口座開設や、個人用とは別で屋号を使った事業用クレジットカードを作成することができます。屋号を決めるか決めないかは自身で選ぶことができますが、屋号を利用すれば開業届を提出する前よりも、さまざまな面でメリットは大きくなるでしょう。

開業届の提出をして、事業用口座を作る

開業する以前から事業を始めている場合、個人用と仕事用のお金の出入りを分けるために別口座を作る人もいるかもしれません。

しかし仕事用の別口座は、開業届を提出してから作成するのがひと手間省けるという意味でおすすめです。

その理由としては、開業届を提出する際に屋号を決めていれば、事業用口座として屋号を使えるからです。開業届の提出前に別口座を作ってしまっている場合は屋号への名称変更が必要ですが、開業届を提出してからであれば一度で屋号の入った事業用口座を作成することが可能です。

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個人事業主申請の事前準備をする

開業届を提出して個人事業主になる作業は非常に簡単です。しかし環境は大きく変化し、自身の事業の成功を考え始めなければなりません。必要な手続きの期間や情報収集などを含め、業務内容に合った事前準備をしておきましょう。

開業する業界の情報収集をする

今まで就業してきた経験やスキルを活かし、同じ業界で開業する人も多いでしょう。しかし個人事業主として仕事を始めると、思うように成果が上がらないと感じる人も多いかもしれません。

個人事業主はサラリーマンと違い、会社としてある資産やツール等を活用することができない中、自身で生み出した成果が収入に直結します。そのため開業する前には市場の動向や、企業の情報をはじめ、マネジメントや仕事に必要となるスキルのキャッチアップ等、出来る限り網羅的な情報を集める必要があります。また、どのようなやり方で収益を上げていくのか目処をつけておくことも重要な要素となります。

例えば個人事業主になってお店を開くのであれば、その場所周辺の人通りや年齢層、どのようなニーズがあるのかなどをチェックしておく必要があります。フリーランスとして活動する場合も、受注単価の相場やニーズ、集客方法のトレンドなどを知っておくことで有利に働くことも可能でしょう。

青色申告特別控除の申請は開業届と同時に

個人事業主になるなら、ぜひおすすめなのが青色申告です。ただし青色申告をするためには所得税青色申告承認申請書を事前に提出しておく必要があります。

それができていない場合は青色申告を行えず、確定申告の際に55万円~65万円の控除を受けることができません。

所得税青色申告承認申請書の提出は、開業から2ヶ月以内となっています。可能であれば開業届と同時に提出することで二度手間や提出忘れを防げるので、しっかりと確認しておきましょう。

税務署に提出する書類は控えを作成しよう

開業届や所得税青色申告承認申請書などの税務署に提出する書類は、基本的にそのまま税務署が預かることになります。

原紙のみ記載してそのまま提出してしまうと、どんな内容で記載したか分からなくなったり、記載した内容を外部に証明できなくなったりしますので、必ず控えとしてコピーをとり、自身で保管しておきましょう。

注意しておきたいのは、控えは作成しただけでは公的な証明にはならないということです。個人事業主として働いていると、場合によっては開業届などの書類を証明として求められる可能性もありますが、その場合は税務署の受領印がなければ認められないこともあります。

開業届などの原紙を提出するときに控えも同時に提出すれば、税務署側が受領印を押して控え側を戻してくれます。郵送で提出する際は切手を貼った返信用封筒が必要ですが、控えを返送してもらえるかどうかは該当する税務署に確認しておきましょう。

知らずに原紙のみを提出して後で困ることのないよう、事前の準備が大切です。

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開業するために申請が必要な書類

個人事業主として開業するために必要な書類は、基本的に開業届のみです。正式には“個人事業の開業・廃業等届出書”となり、国税庁のサイトからフォーマットをダウンロードすることができます。

項目は納税地や氏名、個人番号や職業、屋号、開業日や青色申告承認申請書を同時に提出するかどうか、そして事業の内容などです。個人番号(マイナンバー)を記載する場合は、本人を証明する書類等の提出も必須となります。

直接持参する場合は税務署で見せればよいですが、郵送の場合はマイナンバーカードや免許証等のコピーをとり、同封しましょう。

書き方として注意すべき点は以下の2点です。

納税地のチェック項目

開業届に記載する納税地には、住所地・居所地・事業所等の選択肢があり、適切なものを選ぶ必要があります。

一般的には住所地が納税地となります。そのため自宅で事業を行う人などは、住所地にチェックをし、自宅の住所を記載します。居所地とは国内に住所を持っていないけれど居所がある場合にチェックを入れます。同じく居所地を記載しましょう。

特例として国内に住所があり、居所が別にあるという人は居所地での納税も可能です。また、住所地や居所地とは別に事業所を持っている場合は、事業所の場所を納税地とすることができます。ただしその場合はあらかじめ届け出が必要です。

屋号の付け方に注意

屋号は自由に決めてよいものですが、「会社」など法人のみが使用できる文字を使用することはできません。また、有名な企業の社名を使ったり、混同されてしまうような屋号を付けたりするのも思わぬトラブルに発展しかねないため避けましょう。

開業届の提出方法は、納税地となる税務署に直接持参する、もしくは郵送する方法の2つです。ただし郵送で受け付けてくれるかどうかは税務署によって違う場合もあるため、事前に確認しましょう。提出の期限は開業から1ヶ月以内です。

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開業届以外に必要な書類

開業届を提出する際、場合によっては忘れずに提出すべき書類もいくつかあります。そのひとつが前述した所得税青色申告承認申請書で、開業届と同時に提出できるものです。ほかにもいくつか必要な書類があるので、紹介します。

青色事業専従者給与に関する届出書

確定申告で青色申告を行う個人事業主に従業員となる家族(生計を同じくしている配偶者など)がいれば、その家族に支払う給与を丸ごと経費にすることができます。

それを専従者給与といい、そのために提出する書類を青色事業専従者給与に関する届出書といいます。

この書類は税務署への提出となりますので、該当するのであれば開業の際に提出するとよいでしょう。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

こちらは10人未満の従業員を抱える個人事業主に該当する申請書となります。通常、従業員から徴収した源泉所得税は翌月の10日までに納付する必要がありますが、この書類を提出することにより、それを年2回のまとめ納付に変更することができます。

忙しい個人事業主には便利な特例となっていますので、該当する場合は早めに提出しておくとよいでしょう。また飲食店や宿泊業など、事前に届け出て許可や免許を得ないと運営できないものもあります。行う事業に必要なものがどれなのか、漏れなく確認して起きましょう。

都道府県税事務所には個人事業開業申告書を提出

実は個人事業主として開業する際には、税務署だけでなく都道府県税事務所に提出が必要な書類もあります。それが個人事業開業申告書です。

個人事業開業申告書は地方税に関する申告書類で、個人事業税に関わるものです。開業届と提出場所が違いますが税に関しての大切な申告書ですので、忘れずに提出しましょう。

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開業 1年目の税負担を軽くする方法

個人事業主1年目は、事業に必要な物を揃えたり売り上げが上手く伸びず、大変な状態になることが予想されます。そのためできる限り節税をしたいと考える人も多いでしょう。

1年目で事業に必要な設備の購入を行った場合、もしくは販売するための商品の在庫が多くなりそうな場合、通常であれば既定の評価方法で金額換算されます。

しかし所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書というものを提出すれば、その設備や在庫(棚卸資産)の評価額を納税者自身が選べ、メリットの大きい評価法を選ぶことができます。

開業して1年ほどは、自分ですべての費用管理を行うと間違って評価・申告してしまう可能性も考えられます。可能であれば税理士や会計士に相談してみることをおすすめします。

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個人事業主になった後にやるべきこと

個人事業主になったら、後は事業を運営していけばよいだけではありません。企業に雇われているサラリーマンとは違い、保険や年金の手続き・支払いから確定申告まで、すべてを自身で行わなければならないのが個人事業主なのです。

保険・年金関係の手続き

雇用されているサラリーマンが加入しているのは社会保険ですが、自身で事業を運営する個人事業主が加入するのは国民健康保険になります。

会社を退職して個人事業主となる場合は社会保険が利用できなくなるため、保険証を返還することになります。そのため退職したらすぐに市役所へ行き、国民健康保険への加入手続きを行いましょう。

ただし社会保険の被保険者として要件を満たしている場合、会社を退職しても任意で2年間のみ、社会保険を継続することもできます。この場合は社会保険の利用はできますが、全額を自身で支払わなければならないこと、出産一時金など支給されないものがあることなど理解しておくべきポイントがあります。

また、厚生年金から国民年金への切り替えも同じように行う必要があります。必ず早急に手続きを行い、遅れや漏れのないようにしておきましょう。

便利な共済・個人年金の加入

企業に雇用されているサラリーマンは、勤めている間の手厚い保険はもちろんのこと、退職後にもらえるある程度のまとまったお金もあるのが一般的です。
しかしすべてを自身で行う個人事業主は、自身で調べ、選んで準備しておかなければ後で困ることになりかねません。

そのため多くの個人事業主が、事業をやめた後のことを考えて共済や個人年金に加入しているケースが多く見受けられます。ただし利用するには掛け金が必要であるため、現実的に可能な掛け額と事業から手を引いた後にどのくらいの金額がほしいかを、考えながら利用していく必要があります。
もちろんすべての個人事業主に必要なものであるとはいえませんが、検討してみることで保障を得ることはできるでしょう。

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まとめ

個人事業主は事業の種類も働き方もさまざまで、自身に合った制度をどのように調べればよいか分からない、誰に聞けばよいのか分からないということもあると思います。実態としては、様々な手続きや留意する点等細かに発生するため、事前準備が重要となることをまずは留意して行動していきましょう。

困った事があれば、近くの税務署や税理士または会計士などのほか、商工会や商工会議所など専門家に相談してみるのがおすすめです。漏れなく申請を行い、スムーズな開業を行いましょう。

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