在宅ワークで資格は必要?ITフリーランスの仕事につながる資格

最終更新日:2024年10月04日

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この記事のまとめ

  • 在宅ITフリーランスにはSE/PG、フロントエンドエンジニア、データサイエンティストなど様々な職種がある
  • 在宅ITフリーランスに資格は必須ではないが、実績が少ない場合は案件獲得の際に有利に働く場合がある
  • 在宅ITフリーランスが取得する資格は、自身の目指す職種やキャリアパス、案件の要件などを考慮して選ぶべきである

在宅のITフリーランスの働き方について

ITエンジニアは、在宅ワークとの相性がよく早くから導入されてきましたが、近年はコロナ禍による外出自粛など社会的な影響で働き方が変化し、さらにその傾向が進んでいます。

在宅で働くことを希望するフリーランスのITエンジニアの中には、資格を持った方がよいという人もいれば、資格が必要ないという人もいます。どちらが正しいのでしょうか。

まずは、在宅のITフリーランスにはどのような仕事があるのかおさらいしておきましょう。在宅ワークがしやすいITエンジニアには様々な職種があります。

SE/PG

代表的な在宅ワークのITエンジニアには、Web開発に携わるSE(システムエンジニア)、PG(プログラマー)があります。SEの業務内容は幅広く、主にプロジェクトの設計から開発、ツールの作成などを行い、PGは、設計書や仕様書などに基づいてプログラミングを行います。

それぞれ専門性の高い仕事ですが、案件の規模や内容によってはどちらも兼任することがあります。

フロントエンドエンジニア

WebサイトやWebアプリケーションなどユーザーが画面越しに閲覧する部分のデザインや機能を開発します。Webデザイナーの設計をもとに、HTML、CSS、JavaScriptなどを使い、コーディングを行います。

データサイエンティスト

データサイエンティストは、ビッグデータや社内システムに蓄積された様々なデータを用いて分析・解析を行います。抽出したデータを営業やマーケティング、企業の意思決定など、ビジネスの成長や課題改善をサポートするため高度な技術が求められます。

ITヘルプデスク/テクニカルサポート(システム運用)

社内スタッフや顧客からの寄せられるメールや電話の問い合わせに回答する仕事です。様々な質問や問い合わせに迅速に対応できる豊富な知識が求められることから、IT関連の資格を取得している人が多い傾向にあります。

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在宅のITフリーランスの年収は?

ITエンジニアの案件には、Web開発、アプリケーション開発、ソフト開発、データ分析、ネットワーク監視、ゲーム開発など多岐にわたります。

では、これらITフリーランスはどのくらい報酬を得ているのでしょうか。レバテックフリーランスが公開している職種別の案件数や相場からみていきます。(2024年9月4日時点)

同サイトに掲載されている案件から平均単価と最高単価を算出されたもので、年収は12か月分とします。

職種/案件数(うちリモート案件数) 月額平均単価 平均年収 月額最高単価 最高年収
SE/27,482件(15,326件) 71万円 852万円 295万円 3,540万円
PG/14,995件(7,066件) 67万円 804万円 155万円 1,860万円
フロントエンドエンジニア/8,160件(4,912件) 72万円 864万円 145万円 1,740万円
データサイエンティスト/782件(505件) 75万円 900万円 155万円 1,860万円
テクニカルサポート/1,853件(500件) 55万円 660万円 135万円 1,620万円

これらは、企業や案件内容、スキルや経験によって異なります。案件としては、Web開発やスマートフォンフェームの開発、データ解析などの報酬が高い傾向にあります。

また、事業を立ち上げたばかりのスタートアップ企業などがスキルのある人材を求める傾向にあり、大企業に比べて柔軟な働き方に対応するところもあるため、交渉しやすいでしょう。企業との相性がよければ、継続して案件を受注できる可能性もあります。

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在宅のITフリーランスに資格は必要?

ではこれらの案件を獲得するためには、資格を持っていた方がよいのでしょうか。

実はITエンジニアは、特に資格が必須というわけではなく、どちらかと言えば実績が重視される世界であるため、無資格で働いている人も多くいます。

ただしこれは、フリーランスとして多くの案件を抱え、経験を積んでいる場合であり、そのような人は資格の有無はあまり関係ないと言えます。一方、フリーランスとしての仕事がまだ軌道にのっていない場合は、資格を持っていた方が案件を獲得しやすくなります。

仕事を発注する側にとっては、実績の代わりに資格がスキルや信頼性の判断材料の1つになるからです。案件によっては資格が求められることもあり、そのような場合は報酬単価が高くなる可能性があります。

また、フリーランスの場合、資格取得にかかった費用は軽費として計上することができます。スキルとして身について、有利に働くことはあっても邪魔にはなりません。時間を調整できる間に資格を取っておくとよいでしょう。

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ITフリーランスが取得するべき資格とは?

では実際に、どのような資格があり、どれを取得すればよいのでしょうか。

Tエンジニアにおすすめの資格はたくさんあります。それらを「IT全般」「ITエンジニア系」「マネージャー系」「その他」の4つのカテゴリーに分けて紹介していきます。自分に役に立つ資格があるかみていきましょう。

IT全般・基本

基本情報技術者

基本情報技術者は、情報処理推進機構(IPA)が主催し経済産業大臣が認定する国家資格です。

情報処理技術を活用した戦略立案などに関するマネジメント、システムの設計・開発・運用に関するテクノロジー、解析技術のストラテジー、プログラミング言語など、高度なIT全般に関わる基礎知識と技術を評価するものです。知名度も高く、幅広い職種でアピールできます。

ITエンジニアとしてキャリアをスタートさせるためにも受けておきたい資格試験です。2020年、2021年は試験の延期、受験者の傾向などにより合格者が48~49%まで上昇しましたが、通常は25%前後の合格率となっています。

応用情報技術者

応用情報技術者は、同じIPAが主催する国家資格で、「情報処理技術者」よりワンランク上の試験です。

テクノロジー、マネジメント、ストラテジーをベースに、プロジェクトを経営や動向など多角的な観点から把握できること、ITエンジニアとしてプロジェクトマネージャーなどのもとでシステムの開発・運用・保守ができることなど、より実践的なスキルが証明されます。

合格率は約22%前後と難易度は高めですが、システムエンジニアやプログラマーにとっては案件獲得に大きく寄与する資格となるでしょう。

エンジニア系

IPA主催のエンジニア系資格

IPAではほかにも、様々なレベルや専門分野の資格試験を設けています。

システムアーキテクトは、システム開発や組み込み・IoTシステムにおける設計など、上流工程を担当できるスキルを証明するものです。要件定義や調査・分析能力、仕様書の作成などより高度な技術が求められ、合格率は13%前後と難易度がとても高くなります。

また、ネットワーク技術を持つネットワークスペシャリスト、データベース技術を持つデータベーススペシャリスト、組み込み系システムの技術を持つエンベデッドシステムスペシャリスト、そして情報セキュリティマネジメントの技術を持つ情報処理安全確保支援士試験があります。

それぞれ専門分野の開発における要件定義や調査・分析能力、設計・開発・運用・管理・指導までのスキルが問われ、合格率はそれぞれ15~16%前後となっています。

AWS認定資格

AWS認定資格は、アマゾン・ウェブ・サービスの略で、Amazonが提供しているクラウドの専門知識を認定する資格です。クラウドプラクティショナー、アーキテクト、デベロッパーの分野でそれぞれ期間とレベルを設けています。

「基礎コース」は6か月間のAWSクラウドと業界の知識を学ぶもので、これからAWSを学びたいという人でも合格しやすく難易度は高くありません。

次のステップの「アソシエイト」では1年間のAWSクラウド使用、問題解決と解決策の実施といったスキルを身につけます。クラウドプラクティショナーとアーキテクト分野はネットワークやクラウドの基本的な知識とスキルを持っている前提で行われるため、難易度は少し高くなり、デベロッパー分野はそれらと比較すると難易度は低めです。

そして、「プロフェッショナル」では、2年間のAWSクラウドを使用し、ソリューションの設計、運用、トラブル解決など包括的な経験とスキルに基づいて認定されます。これは3分野とも最高レベルの認定であるため、難易度は高くなります。

さらにネットワーク、データベース、データアナリティクス、セキュリティ、機械学習など専門知識分野の認定も行っており、豊富な知識と高度なスキル、経験が求められます。

Linux技術者認定「LinuC(リナック)」

Linux技術者認定「LinuC」はLPI-Japanが運営をする認定で、Linuxについての知識やスキルだけでなく、システム開発に必要となる仮想化技術/クラウドやセキュリティ、ネットワークの基礎についての知識やスキルも証明することができます 。特定のベンダーに依存しない中立な資格で、多くの大手IT企業のエンジニア向け人材育成にも活用されており、就職や転職にも有効です。

初級エンジニア向けとなっていているLinuCレベル1は、仮想環境を含むLinuxシステムの基本操作とシステム管理が行えるエンジニアであることを証明します。LinuCレベル2ではLinuxシステムの設計、構築、トラブルシューティングまで行えるエンジニアであることを証明します。

レベル3は3つの試験があり、Linux、Windows、Unixが混在するシステムの開発(300試験)、セキュリティシステムの開発・運用(303試験)、クラウドコンピューティングシステムの開発・運用(304試験)があり、それぞれ個別に認定取得が可能です。

シスコ技術者認定

シスコ技術者認定は、世界最大級のコンピューターネットワーク機器の開発・販売を行っているシスコシステムズが、同社製品やネットワークを中心にIT分野の技術を認定する資格です。

資格は初級レベルから順にエントリー(CCENT・CCT)、アソシエイト(CCDA・CCNA)、プロフェッショナル(CCDP・CCNP)、エキスパート(CCIE・CCDE)、そして最高レベルのアーキテクト(CCAr)の5段階、9種類の資格があります。

システムエンジニア、ネットワークエンジニアなどに実用性の高い資格で、国際的にも認められており持っていると信頼されやすくなりますが、問題はすべて英語で行われます。また資格を維持するためには再試験、または次のステップの試験を受ける必要があります。

オラクルマスター

オラクルマスターは、日本オラクル社が認定するデータベースの認定資格です。資格は4段階で、Bronzeはプロジェクト全体への理解とデータベースの基礎知識、Silverは開発者・運用担当者・データアナリスト向けにデータベースの運用管理や基本的なSQLを学びます。

Goldはデータベース管理者向けにマルチテナント環境のスキル、バックアップや修正などのパッチ管理スキルなど、Platinumはデータベースのエキスパートとして性能の管理やセキュリティなどの技術も問われます。

それぞれ順番に受ける必要があり、GoldとPlatinumは合格後に研修を受けて認定となります。

オラクルは日本国内でもシェア率が高く、世界規模でも知名度の高い資格なので、データベースを扱うシステムエンジニアやデータアナリストなどにおすすめです。### マネージャー系

IPA主催のマネジメント系資格

IPAが主催する資格の中には、CIOやCTO、ITコンサルタントを目指す人向けのITストラテジストがあります。経営に基づくIT戦略の策定、ITを活用したプロジェクト、業務、製品・サービスなどの創出などのスキルが問われます。

また、ITサービスの管理や評価を行うITサービスマネージャ、プロジェクト全体の意思決定や管理を行うプロジェクトマネージャ、情報システムや組み込みシステムの管理や評価を行うシステム監査技術者などがあります。

これらはチームのリーダー、プロジェクトリーダーなどプロジェクトを包括的に管理、指導する役割を目指す人のための認定資格です。いずれも合格率は12~15%と低く、かなり難易度が高い資格です。

ITILファンデーション

ITILファンデーションは、多国籍企業や政府機関と提携し英国政府認定のもと実施している世界的な認定資格で、日本ではPeopleCertが行っています。

ITサービスマネジメントの概念や組織・人材、情報技術に関する知識やサービス、管理など基本的な知識を幅広く問われるもので、60分の試験で4択式の問題が40問、難易度はそれほど高くないとされています。

PMP試験

PMPは、一般社団法人PMIが実施、米国PMP本部が認定する資格で、プロジェクトマネジメントの専門知識を評価するものとして世界的にも広く認知されています。

PMP試験は、35時間のPM研修を行ってから試験を行います。合格後は3年間の間に必須単位を取得してから、資格を所有する会員として登録される仕組みになっています。合格率は非公開ですが、合格した人の正解率は60%前後という話もあり、難易度は高くないとされています。

マネジメントに関わる案件はフリーランスでも常駐型が一般的ですが、近年は在宅での仕事へシフトする動きがあるため、将来的には在宅でプロジェクトを円滑に遂行できる人材が求められるでしょう。

マネジメント系はかなりの技術力が必要とされるため、フリーランスでもプロジェクトマネージャークラスを目指す人は視野に入れておきたい資格です。

その他

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

MOSは、Microsoft社が行っている資格で、Excel、Word、PowerPoint、 Access、 Outlookの5科目で、Microsoft Office製品の利用スキルを証明できる資格です。ITスキルではないものの、業務・作業効率を高めあらゆるビジネスで活用できるため、人気のある資格です。

IPAの主催する初心者向けIT資格「ITパスポート」の合格率は50%前後ですが、それと同等と言われており、難易度は高くないとされています。

「G検定」「E資格」

G検定・E資格はITエンジニア系の中でも、ディープラーニング(深層学習)特化した知識が問われる資格試験です。ディープラーニングの知識を事業に活かすジェネラリスト(G検定)、実装するエンジニア(E資格)があります。

G検定は人工知能分野、ディープラーニングの概要、手法など基礎的な問題を、E資格では確率・統計や情報理論、機械学習の基礎や深層学習とネットワークに関する手法などの問題が出されます。受験者の半数以上が合格しているので、難易度はそれほど高くないでしょう。

ウェブデザイン技能検定

ウェブデザイン技能検定は、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が主催し、厚生労働大臣が認定する国家資格です。資格は3級から1級までの3段階で、3級は初心者向け、2級は2年以上の実務経験者、1級は条件により5年または7年の実務経験が必要です。

Webデザインに関する知識や技能、コーディング、IllustratorやPhotoshopなどのソフトを使ったレイアウトやデザインの作成、バナー作成、配色などレベルに応じて評価されます。

合格率は3級で60~70%ですが、2級で30~40%、1級になると10~20%と言われており、難易度が高くなります。

DTPエキスパート

DTPエキスパートは、グラフィックや印刷メディア、関連知識を有する資格で、「DTP(デスクトップ・パブリッシング)」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーション」の5つの分野で評価します。パソコン上でのデータ作成スキルが問われ、合格率は40~50%前後と言われています。

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資格取得を決める3つの要素とは

資格が必要か、どの資格を持つべきかは、自身のやりたい仕事や働き方によって異なります。それでも資格を取るべきかどうか悩む場合は、3つの観点で考えてみましょう。

1つ目は「関わる案件が資格を必要としている」です。自分のやりたいと考えている案件に資格が必要とされる場合は、別の案件でも問われる可能性がありますし、なくても企業へアピールしやすくなります。

2つ目は、「資格を持つことで案件が受注しやすくなる」ことです。実績がない間にフリーランスとして案件を獲得するためには、自己のスキルを代わりに証明できるものが必要です。発注する側にとっては、信頼できる材料を与えることになるでしょう。

そして3つ目は、「すでに実績がある」です。実績があるならいらないのでは、と考えがちですが、会社員で実績を積んでいても、フリーランスとしての実績が少ない初めのうちは案件の獲得は簡単なことではありません。

それに実績があれば、資格取得にかかる学習コストや時間をかなり節約することが可能です。資格を持つことでライバルとの差別化を図り、受注しやすくなるでしょう。またスキルアップとしても評価される可能性があります。

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まとめ

在宅ワークがさらに促進されれば、ますます案件獲得のライバルが増える可能性があります。市場に注目しながら、案件の傾向なども調べてみましょう。

資格は、持つことが目的なのではなく、持つことによって信頼される、高額な案件を受注できるなど、キャリアをサポートしてくれるものです。時間もお金もかかるものですから、自分の達成したいキャリアや目標を明確にした上で、自分にとって必要なものを取得しましょう。

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