最終更新日:2024年10月03日
この記事のまとめ
一世を風靡したNotesですが、その名前を目にすることが少なくなってから、かなり長い時間が経過しています。そもそも、Notesとは一体どのようなものでしょうか。
Notesは、HCLテクノロジーズ社が開発および販売を行っている、グループウェア用ミドルウェアです。2018年12月以前は、IBMが自社ソフトウェアブランドのひとつ、ロータス製品として開発販売を行っていました。
ロータスとは、Notesのオリジナルを開発したロータスデベロップメント社の略称で、NotesはしばしばLotus Notesと呼ばれました。Notesの黄金時代を知っている人には、そちらの方がなじみ深いかも知れません。
さて、黄金時代と書いた通り、Notesはグループウェアの歴史を語る上では欠かせない存在となっています。グループウェアとは、企業などの組織内で、コンピュータネットワークを介した情報共有を行うシステムのことを言い、サイボウズ OfficeやGoogle Workspace、Microsoft 365などがよく知られています。
Notesの最初のバージョンは、1989年にリリースされています。サイボウズ Officeがヒットするのはその10年ほど後ですし、Google WorkspaceやMicrosoft 365に至っては、最初のバージョンがリリースされたのは21世紀に入ってからのことですから、Notesの市場投入は非常に早い時期であったことがわかります。
1995年にはIBMがロータスデベロップメント社を買収することとなり、Notesのブランド価値が急速に高まりました。大企業を中心に導入が進められ、2000年頃にNotesはその歴史における頂点とも言える時代を迎えたのです。
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希望にあう案件を受け取るNotesをはじめとしたグループウェアとはどのようなものなのか、もう少し掘り下げて説明します。企業など、組織における情報共有という目的を達成するために、さまざまな機能を備えています。主なものを列挙します。
いずれも、当たり前に使ったことがある機能ではないでしょうか。このほかにも出退勤の時刻管理などのように、便利な機能が備わっている製品もあります。
さて、グループウェアの役割は組織内の情報共有だけではありません。組織外とのコミュニケーション円滑化にも役立てられています。企業にとって、グループウェアの利用は不可欠と言えるでしょう。
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希望にあう案件を受け取るNotesの製品名を厳密に言うと、Notes/Dominoとなります。このNotes/Dominoは、さまざまなグループウェアの機能をまとめた、統合されたプラットフォームでもあります。
そしてNotesはクライアントを指し、Dominoはサーバを指します。1980年代頃から、それまで主流だったホストが計算処理を行い、ターミナルは文字の入力と処理結果のみを受け持つモデルに代わって普及したのがクライアントサーバモデルですが、Notes/Dominoはその代表的存在と言えるものです。
ターミナルは、ユーザインターフェースはキャラクタベースに過ぎないなど、貧弱な処理能力しか持ちませんでした。それに対しクライアントは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供することが可能ですし、サーバから受信したデータについても、ある程度の処理を行うことができます。
このため、クライアントサーバモデルのシステムは広く受け入れられました。Notesもクライアントサーバシステムですから、クライアント側にはGUIを提供しています。コンピュータに習熟していないユーザにとって、操作の難易度は重要であり、それを下げたNotesが勢いを増したことは、当然のことと言えるのかも知れません。
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希望にあう案件を受け取る21世紀を迎える頃が、Notesにとっての全盛期とされています。Notesには数多くのメリットがあり、提供されているスクリプト言語により、独自のアプリケーションを開発できるという機能は支持を集めました。
アプリケーション開発の難易度も高くなく、エンドユーザでも開発が可能だったことも評価を高めたと言えるでしょう。企業の業務には固有の部分があり、デフォルトで提供されている機能ではそれをカバーできない場合でも、アプリケーションを作成することで対応が可能になるからです。
この先もNotesの栄華は続くと感じていた人たちも、当時決して少なくはなかったのでしょう。しかし、実際にはNotesはその後、長い衰退期に入っていきます。
Notesの衰退は、実のところWindows 95がリリースされた頃には、その萌芽を見て取ることができました。ロータスデベロップメント社は、もともと表計算ソフトであるLotus 1-2-3で知られており、MS-DOSがPCの主流OSであった時代には、このLotus 1-2-3が市場を席巻していました。
しかし、満を持して投入したはずのWindows向け初期バージョンで不良を出してしまうなど、Windows化で大きくつまずくことになるのです。Excelが猛烈なプロモーションを敢行したこともあり、Lotus 1-2-3はほどなくしてExcelに主流の座を明け渡すことになったのでした。
Notesの快進撃はしばらくの間続きましたが、その後にやってきたインターネットの普及は、高速および大容量化という通信環境の劇的な変化をもたらしたのです。それに伴う急速なWeb化は、低速な回線でもシュアに動作するというNotesの存在意義を脅かすこととなります。もちろん、NotesもWeb化に対応しようと試みたのですが、サイボウズ OfficeやGoogle Workspaceなど、後発のWeb対応グループウェアに対抗することはできなかったのです。
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希望にあう案件を受け取るそれにしても、なぜユーザがNotes離れを起こしてしまったのでしょうか。それを説明するには、Notesという製品が抱えていた問題点に触れる必要があるので、順番に整理していきます。
Notesにとって、最大のアピールポイントは、比較的容易に開発が可能なアプリケーションで、細かなニーズに対応が可能であったことでした。Notes導入が進んだ背景には、アプリケーションの存在があることは明白です。
ただし、このアプリケーションが、その先の足かせとなりました。ユーザが開発したアプリケーションは、Notesがバージョンアップした場合に動作は保証されず、改修が必要になることもあります。アプリケーションを積極的に作成していたユーザにとって、Notesのバージョンアップでそれらが動かないと業務が止まりかねませんし、改修には時間や経費も必要です。
そのため、Notesのバージョンを上げずに使い続けるという選択肢をとったユーザも少なくありませんでした。ただし、この対応はセキュリティ面および性能面で大きな問題をもたらし、望ましくない姿でNotesを使い続けることを意味します。
Notesで開発したアプリケーションのデータは、データベースに格納されます。そして、アプリケーションとデータベースは1対1で対応しています。アプリケーション単体で見た場合、データの検索は容易です。
しかし、開発するアプリケーションはひとつだけではありません。古いバージョンのNotesには複数のアプリケーションにわたって検索ができる機能を備えておらず、横断的な検索を行いたい場合は、それぞれのアプリケーションに対し、同じ検索を実行する必要があります。
組織の情報基盤であるNotesは、多様なデータを保存し、同時にそれらデータへのアクセス手段を確保することを行います。導入当初はシンプルだったワークフローも、その後複雑さを増していったことでしょう。データは日々蓄積され、それは歳月を重ねることで、しばしば当初想定した以上に膨大な量となっていきました。
導入時に最新であったコンピュータも、何年か使用するうちには時代遅れとなります。増大するデータを時代遅れのハードウェアで処理するということは、性能低下を招き、期待するレスポンスが得られなくなる可能性が高くなることを意味します。
Notesの利用継続を前提とした場合、ハードウェアの老朽化に関しては、たとえば仮想化を用いることで解決は可能です。ただしこの対応にも限界があり、Notesデータベースの肥大化の問題に対して効果は限定的であるため、さらなる対応が必要となります。
Notes最大の長所は、部門など小さな単位で業務への適合が可能なアプリケーションの存在です。しかしこれは、保守性の低下を招く諸刃の剣であったことが明らかになっています。
この独自アプリケーションは、Notes本体をバージョンアップした場合に動作しないことがままあります。そのため、本体のバージョンアップを行わずに、Notesの利用を継続するという判断がなされることも少なくありません。
しかし情報基盤となるグループウェアについて、古いバージョンを用いることはさまざまなリスクを伴います。一番の問題は、メーカーはいつまでも旧バージョンのソフトについてサポートを行うわけではないということでしょう。
サポート中であれば、ソフトウェアの不具合への対応や脆弱性への対応など、メーカーも責任を持って行ってくれるでしょう。しかしサポート期限が切れてしまうと、これらの対応が期待できなくなります。
古いソフトは安定して動いていることも多いですから、不具合対応の必要性は薄いと割り切ることは可能かも知れません。しかし、セキュリティなど脆弱性についての対応が行われないということは、非常に危険な状態でソフトを使い続けるということを意味します。
Notesには、グループウェアとして基本的な機能は備わっていますが、中にはアプリケーションの開発によるカスタマイズが前提となっている機能もあります。実用レベルでのNotes利用にとって、アプリケーションの開発は必要不可欠なものと言えました。
Notesのアプリケーション開発は、ユーザサイドでも可能なレベルの難易度とされています。しかし、それはIT技術者としての技能は問われないという意味に過ぎず、実際にはNotesの知識が要求されますし、業務に対する知識も必要になります。
それゆえ、アプリケーションについては属人的な要素が強くなることがあります。開発を担当したスタッフが退職した場合など、引き継ぎがうまくいかず、改修やメンテナンスが困難になるケースも、決して少なくはありません。現在、Notesの技術者が潤沢にいるわけでもありませんので、外部の専門家などに委託した場合の費用も嵩みますし、発展が見込めないシステムへの投資は、企業にとっては歓迎できないものであるという現実は直視する必要があるでしょう。
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希望にあう案件を受け取るレバテックフリーランスで、技術要件としてNotesが指定されている案件を検索してみましょう。案件数や単価、案件の内容はどのようになっているでしょうか(2024年9月4日時点)。
案件数の合計は77件で、多いとは言えません。平均単価は63万円、最高単価が85万円、最低単価は20万円です。60万円台の案件が41件と全体の半数以上を占め、他はあまり多くありません。
NotesからOffice365への移行を担当します。求められるのはNotesスキルで、月単価は65万円と平均単価よりやや高い金額となっています。
オンプレミスからクラウドへのアプリケーション移行と新規構築、さらには閉域網ネットワークの再構築を担当します。社内システムの構築および移行経験、クラウドサービスの導入ならびに構築経験などが求められる高スキル者向け案件でもあるため、月単価は82万円となっています。
社内向けシステムにおいて、Notesの改修、SharePoint等への移行、機能追加依頼への対応などを担当します。数少ないNotesの開発がある案件で、月単価は53万円です。
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希望にあう案件を受け取るユーザ企業にとっては、Notesの継続使用はデメリットも多く、負担になっていると考えることができます。それゆえ、Notesから他の情報基盤への移行を完了している企業も多く存在します。
注目の移行先ですが、クラウド型のグループウェアが選択されるケースが多くなっています。著名な製品としては、Microsoft 365やGoogle Workspace、サイボウズ Officeなどがあります。
移行に際しNotesユーザが気になるのは、独自に開発したアプリケーションがどの程度移行できるかということでしょう。これについては業務プロセスの刷新で対応する方法のほか、desknet's NEOやサイボウズ ガルーンといった、業務にあわせたカスタマイズが可能な製品を採用することでも対応が可能です。
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希望にあう案件を受け取る現在Notesエンジニアを取り巻く状況は、厳しいものであると言わざるを得ません。それでも、Notes案件を確保するにあたっては、どのような案件を選ぶのがベターなのでしょうか。
Notes案件には、既存Notesの運用あるいは保守の案件と、Notesから他のグループウェアへの移行案件に大別されます。フリーランスハブを見ると、大多数が移行案件であり、Notesがメインになる案件は決して多くありません。
ただし、段階的な移行を行う案件は少なくありません。将来的なNotesの全廃が前提であっても、当面は並行して運用するケースも多く、そこでNotesスキルを活かすことができます。
Notesエンジニアにとっては数少ないNotesの運用保守案件にこだわるより、新しい技術の習得が可能な移行案件が、将来性を考えてもベターと言えそうです。
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希望にあう案件を受け取るモバイル端末でNotesアプリケーションが動作する仕組みを提供するなど、Notesの刷新は今も続けられています。しかしながら、Webメディアなどにおいても、グループウェアの紹介記事にNotesが取り上げられることは、決して多くはありません。
残念ですが、Notesの将来性については明るいとは言えず、それが大きく変わる兆しも見えていないのが現状でしょう。
もちろん、Notesの人気には根強いものがあります。短期的には、案件そのものがまったく消えてしまうことはおそらくないでしょう。それでも、Notesの経験とスキルにこだわり続けるべきではなく、新しいスキルへの取り組みが求められる局面であると認識すべきではないでしょうか。ここまでNotesで培ってきたスキルや経験は、新しい取り組みへの大きな力になるはずです。
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