個人事業主と法人の違いとは?税金や確定申告、メリット面の相違点を解説

最終更新日:2025年01月24日

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この記事のまとめ

  • 個人事業主と法人は、事業開始時の手続き、税金、経費処理、社会的信用、社会保険加入義務、赤字繰越控除、責任範囲、確定申告などが異なる
  • 個人事業主は開業・廃業手続きが簡素で自由な働き方ができる一方、収入が不安定で確定申告の手間がかかる
  • 法人は納税額を抑えられ社会保険に加入できる一方、事務手続きや費用がかかり赤字でも法人住民税の支払いが発生する

個人事業主と法人には、開業の手続きから税務申告に至るまで、多くの違いがあります。それぞれ異なるルールが適用されるため、働き方に応じた正確な手続きが必要です。

そこで本記事では、個人事業主と法人の違いやメリット・デメリットを紹介します。個人事業主が法人化を検討するタイミングもあわせて解説するのがポイントです。個人事業主の方はぜひ参考にしてください。

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個人事業主と法人の違い8項目

記事のはじめに、個人事業主と法人の違いを8項目に分けて紹介します。納税義務の範囲や経費の処理方法、確定申告期限など、両者に適用される条件は多くの面で異なります。正しい手続きができるように、情報を整理しましょう。

事業開始時の手続き

事業を開始する手続きにおいて、個人事業主と法人には違いがあります。

個人事業主が開業をする際は、税務署に開業届を提出するだけで手続きが完了します。また、提出にかかる費用は不要です。

法人として会社を設立する場合は、法務局にて登記申請の手続きを実施します。同時に、設立会社の形態に応じて登記費用が発生します。株式会社ならば約25万円、合同会社なら約10万円程度の登記費用がかかるでしょう。

税金の違い

次に、税金に関する違いを解説します。税の呼び方や税率などのルールが異なる点を把握しましょう。

個人事業主 法人
所得税 法人税
個人住民税 法人住民税
消費税 消費税
個人事業税 TD法人事業税

個人事業主は所得に対して所得税が発生し、法人には法人税が発生します。

経費の違い

事業で生じた経費の扱い方も個人事業主と法人では異なります。

個人事業主では、自宅をオフィスとして用いるケースがあります。その際、家賃や水道光熱費の支出は私用か事業用かの判断が難しいです。そこで、自宅の面積や時間などの使用割合に応じてプライベートと事業を分ける「家事按分」をし、経費を算出します。

法人の場合は、従業員への給与や賞与などの費用を経費として計上可能です。

社会的信用の違い

社会的信用は、事業用の資金調達で融資を受けるときに重要です。

法人は、個人事業主よりも社会的信用度が高くなります。会社法に基づいた厳格な運営が求められ、個人事業主より安定していると判断されるからです。

個人事業主が社会的信用を得るには、運営情報の開示や長期の実績が必要になるでしょう。

社会保険の加入義務

個人事業主では従業員数が5人未満の場合に社会保険への加入義務が免除されますが、法人では義務づけられます。雇用主は従業員の社会保険料を半額負担するため、少人数の組織の場合、法人の方が社会保険の負担が大きいでしょう。

ただし、失業や傷病のリスクに備えられる社会保険は、求職者へのアピール材料になります。

赤字の繰越控除の違い

赤字の繰越は、確定申告の際に使える制度です。前年以前の赤字額を繰り越して当年の利益から控除する方法であり、所得税や法人税の負担を減らせます。

個人事業主は3年間、法人は10年間の繰越が認められています。事業開始の時期に投資が先行して赤字が続くケースでは、法人の方が税負担をより大きく減らせるでしょう。

責任の範囲の違い

事業で発生した損害の責任範囲も異なるので覚えておきましょう。個人事業主の場合、事業上の責任はすべて事業主自身が負う「無限責任」が課されます。しかし、法人では限られた範囲内での「有限責任」を負います。

個人事業主は自らの私財を取り崩してでも責任を負う義務がありますが、法人の代表者は私財の保護が可能です。

確定申告の違い

個人事業主と法人では、確定申告の税金の種類や、申告の期限が異なります。

個人事業主は、所得税・消費税・復興特別支援税の申告が義務です。また、申告期限は対象決算年の翌年2月16日〜3月15日と定められています。

法人の申告対象となる税金は、以下の5種類です。

  • 法人税
  • 消費税
  • 都道府県民税
  • 市町村民税
  • 法人事業税

法人の確定申告期限は決算日から2ヶ月以内と定められています。たとえば3月31日が決算日の場合、5月31日が申告期限日です。

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個人事業主のメリット・デメリット

ここからは、個人事業主のメリットとデメリットを紹介します。個人事業主は、手続きや仕事の裁量がすべて個人に委ねられるため、自由に仕事を進められるのが魅力。しかし、収入や確定申告の面で不安が生じる恐れがあります。

開業・廃業手続きが簡素

開業や廃業に伴う手続きが簡単なのが個人事業主のメリットです。

まず、税務署に「開業届」や「廃業届」を提出するだけで済みます。電子申告システムのe-Taxを利用すれば、オンラインでも開業手続きが可能です。法人のような設立費用はかかりません。

事業開始に必要な時間や事務手続きの労力が少なく、手軽に開業できるところは個人事業主の大きな魅力です。

自由な働き方ができる

自由な働き方を実現できるのもメリットです。

会社の就業規則に縛られないため、都合の良い時間に好きな場所で仕事を進められます。定年制度がなく、体の動くうちは生涯現役で働けます。能力を活かして売上を伸ばせば、収入を大きく増やせるでしょう。

収入が不安定

個人事業主のデメリットとして、収入の不安定さがあげられます。

会社員は基本給として毎月決まった額の収入を得られます。しかし、個人事業主は仕事量や報酬額に応じて収入が変化するので、毎月の収支予測が立てにくいです。

さらに、社会保険料を自分で全額支払うので、予想より手取りが少なくなるケースもあります。

自分で確定申告をする必要がある

確定申告に手間がかかるのも個人事業主のデメリットです。

会社員は年末調整で所得税額が確定します。個人事業主が所得を申告する際は、申告書類の税務署への提出が必要です。会計ソフトへの入力や申告書の作成には、多くの時間と手間がかかるでしょう。

本業と申告手続きの両立が難しい場合は、税理士への相談を検討してください。

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法人のメリット・デメリット

法人にもメリットとデメリットが存在します。個人事業主よりも納税額の抑制や社会保険の加入による恩恵を受けやすい一方、事務手続きに要する費用負担が多くなります。

納税額を抑えられる

法人化すると、所得に対してかかる税金を抑えられる可能性があります。

個人事業主の所得には所得税が、法人の所得には法人税が課されます。所得税では累進課税によって所得額に応じた税額が課される一方で、法人税の最大税率は23.40%です。

つまり、一定以上の所得が発生する場合、個人事業主よりも法人の方が税制上の恩恵を受けられます。

社会保険の加入

社会保険に加入できるのも法人のメリットです。

個人事業主に社会保険加入の義務は存在しませんが、法人には従業員の人数に関係なく社会保険の加入が義務づけられています。

事業主と従業員には社会保険料の支払い負担が発生するものの、従業員は国民年金に加えて厚生年金の給付を老後に受けられます。福利厚生の充実により、優秀な人材を確保できる可能性が高まるでしょう。

事務手続きや費用がかかる

事務手続きの手間や費用が発生するのは、法人のデメリットです。

個人事業主の開業手続きは簡素ですが、法人では登記の手続きが発生します。登記は複雑で、登録免許税や専門家報酬などまとまった費用が必要です。

また、会計や事務手続きの業務負担が大きくなることも考えられます。法人税申告書や決算書の作成には多くの時間を要するでしょう。

赤字でも税金の支払いがある

法人では、赤字を計上しても税金を支払わなければなりません。

個人事業主が赤字を計上した場合、所得税や住民税が免除されます。しかし、法人では黒字・赤字に関係なく法人住民税の支払いが義務付けられます。

法人住民税は、均等割と法人税割で構成される税制です。均等割、資本金や従業員数などに応じた額をあらゆる法人が納税する税金で、赤字であっても納税が求められます。

一方の法人税割は、法人税に一定税率をかけた額にあたります。赤字で法人税の負担がない場合、納税不要です。

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法人化を検討するタイミング

記事の最後に、個人事業主から法人へ移行するおすすめのタイミングを紹介します。

1つ目は、年間の所得が700〜800万円を超えたときです。個人事業主が所得700〜800万円を得た場合は23%の所得税率が適用される一方、法人が同額の所得を得た場合は基本的に15%の法人税率です。法人の方が税額が安くなります。

2つ目は、年間の売上が1000万円を超えて消費税の納税義務が発生したときです。消費税は2期前の売上を基準に計算するため、法人化をすると2年間納税義務を免れます

両方とも節税対策につながるのでおすすめです。

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まとめ

本記事では、個人事業主と法人の違いを解説しました。両者には行政手続きの面で多くの相違点があります。

なお、どちらにもメリット・デメリットがあるのが特徴です。法人化を検討する際は、個人事業主と法人のどちらがより自身の経営状態に適しているかを考えましょう。

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