
最終更新日:2025年11月14日

「個人事業主はどのような保険に加入できるのか」「どのようなリスクに備えておくべきか」など、不安に感じている人もいるでしょう。個人事業主は基本的に国民健康保険に加入するのに加え、リスクに備えて共済や民間保険を利用するケースもあります。 本記事では、個人事業主が加入できる公的医療保険を紹介します。加入を検討するとよいおすすめの民間保険や保険料の経費計上の可否も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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会社員が勤務先を通じて健康保険組合や協会けんぽなどに加入するのに対し、個人事業主は原則として国民健康保険に加入します。ただし、条件を満たせばほかの方法の選択も可能です。個人事業主が利用できる医療保険制度を見ていきましょう。
国民健康保険は、ほかの医療保険制度に加入していないすべての住民を対象とした制度です。個人事業主のような自営業者をはじめ、農業・漁業従事者などが多く加入している公的医療保険です。
国民健康保険は都道府県が財政運営の責任主体となり、市区町村とともに運営しています。保険料は加入者が全額を自己負担する仕組みで、住んでいる自治体や前年の所得額によって金額が決まります。
国民健康保険の制度についてさらに知りたい人は、「個人事業主向けの年金や健康保険は?代わりになる制度も紹介」も参考にしてください。
出典:厚生労働省「国民健康保険制度」
会社員から個人事業主に転身した場合、以下の条件を満たしていれば健康保険の任意継続が可能です。
任意継続期間は原則として2年間です。任意継続すると、会社員時代の健康保険のサービスを継続して利用できます。
出典:全国健康保険協会「退職後の健康保険について」
国民健康保険には、業種ごとに組織される国民健康保険組合のものもあります。文芸・美術分野の人を対象とした文芸美術国民健康保険組合や、東京都内の美容業に従事する人が対象の東京美容国民健康保険組合などです。
業種ごとの国民健康保険は自治体とは保険料の計算方法が異なるため、条件によっては負担額を抑えられます。一般的な国民健康保険とは制度や給付内容が異なる場合がある点は注意しましょう。
個人事業主は、家族が勤めている会社の健康保険の扶養に入れる場合もあります。家族の扶養に入れば自分で保険料を支払う必要がなくなるため、コスト負担を減らして手取りを増やせるのがメリットです。
個人事業主が扶養に入る条件やメリットについては、「フリーランスは扶養に入れる?制度を利用する条件や年収・収入の壁も解説」で解説しています。
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希望にあう案件を受け取る公的年金は老齢年金・遺族年金・障害年金を給付する制度で、1階部分にあたる国民年金と2階部分にあたる厚生年金で構成されます。会社員が国民年金と厚生年金の両方に加入できるのに対し、個人事業主やフリーランスは国民年金のみに加入する仕組みです。
そのため、厚生年金に加入できる会社員と比べて、個人事業主は将来受け取れる年金額が少なくなる傾向にあります。任意で「付加年金」や「国民年金基金」に加入すれば、国民年金に上乗せして将来受け取れる年金額を増やせるでしょう。
国民年金の加入手続きや保険料については、「個人事業主の国民年金はいくら?加入手続きと保険料控除・免除の方法」も参考にしてください。
出典:厚生労働省「2025年度版年金制度のポイント」
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希望にあう案件を受け取る介護保険制度は、高齢者や要介護者が必要に応じて介護サービスを利用できるように設けられた公的制度です。個人事業主も含む40歳以上の全国民が自動加入する仕組みになっています。
被保険者は年齢によって、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40〜64歳)の2つに区分されます。第2号被保険者の保険料は、加入している医療保険の種類によって算定方法が異なるのが特徴です。
一方、第1号被保険者の保険料は、市区町村ごとに定められた基準額に前年の所得額に応じた割合を掛け合わせて算定されます。
介護保険制度は要介護者が介護サービスを利用するためだけではなく、予防的な支援や地域包括ケアの取り組みにも活用されます。
出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」
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希望にあう案件を受け取るここでは、個人事業主が加入できる中小企業向けの共済制度を見ていきましょう。
小規模企業共済は、個人事業主をはじめとする小規模事業者を対象とした退職金制度です。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、毎月一定の掛金を積み立てることで、廃業や退職の際に共済金を受け取れる仕組みになっています。
掛金は月1,000円から7万円の範囲で設定でき(500円単位)、積み立てた金額は全額が所得税計算における「小規模企業共済等掛金控除」の対象になります。小規模企業共済制度の利用によって、個人事業主は節税効果を高めながら将来に備えることが可能です。
中小企業退職金共済制度は中小企業で働く従業員のための退職金制度で、従業員を雇う個人事業主も加入できます。事業主が毎月掛金を支払い、運営団体である勤労者退職金共済機構(中退共)が従業員の退職時に直接退職金を支給する仕組みです。
掛金は全額非課税で経費計上できるほか、加入初期には掛金助成も受けられます。中小企業退職金共済制度を利用することで、個人事業主として自らの負担を抑えながら、従業員のための退職金制度を整えられます。
出典:
厚生労働省「中小企業退職金共済制度(中退共制度)」
厚生労働省「中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成」
経営セーフティ共済とは中小企業倒産防止共済制度の愛称で、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための公的制度です。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、個人事業主やフリーランスも加入できます。経営セーフティ共済に加入している個人事業主は、取引先が倒産した際に無担保・無保証人で資金の借入が可能です。
借入限度は売掛金債権等の額、または掛金の10倍(最大8,000万円)のいずれかの少ないほうが採用されます。なお、掛金は月5,000円から20万円まで自由に設定でき、全額を経費として計上可能です。
個人事業主が節税のために利用できる制度については、「個人事業主の節税対策とは? おすすめの方法や活用できる制度を紹介」もチェックしてみてください。
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希望にあう案件を受け取る個人事業主として活動するうえで病気やケガ、収入減少、働く場所の損害といったリスクに備えるためには、民間保険への加入がおすすめです。ここでは、個人事業主におすすめの民間保険を紹介します。
生命保険は、死亡や病気などのリスクに備える保険です。生命保険の主な種類は、以下の3つです。
| 種類 | 概要 |
|---|---|
| 定期保険 | 一定期間のみ保障される保険で、保険料が比較的安い。 |
| 終身保険 | 一生涯保障される保険で、貯蓄性もある。 |
| 養老保険 | 満期まで生存すれば満期金を受け取れ、死亡時には保険金が支払われる。 |
すでに生命保険に加入している場合でも、個人事業主になったタイミングでリスクを洗い出し、保障内容を見直すとよいでしょう。
医療保険は、病気やケガによる通院や入院に備える保険です。
個人事業主として国民健康保険に加入すると、医療費の自己負担は最大3割に抑えられます。しかし、先進医療の費用や入院中の食事代、差額ベッド代などは公的医療保険の対象外であるため、場合によっては医療費の負担が大きくなります。
医療保険に加入しておくことで、公的医療保険制度ではカバーできない部分の経済的な負担を減らせるでしょう。
がん保険は、保障対象を「がん」に限定した医療保険です。がんの診断を受けた時点で一時金が支給されたり、公的医療保険が効かない先進医療の高額費用が保障されたりします。
なかには、通院治療や抗がん剤・放射線治療にも対応している商品もあります。治療が長期化・高額化しやすい「がん」に対する経済的な備えとして、個人事業主も加入を検討するとよいでしょう。
就業不能保険は、病気やケガで長期間働けなくなったときに給付金を受け取れる保険です。就業不能保険に加入しておくと、個人事業主として働けない期間の収入をカバーできるメリットがあります。
なお、給付金はさまざまな用途で利用可能です。たとえ預貯金がある場合でも、収入減に備える安心材料として就業不能保険の加入を検討してみてください。
出産・育児において個人事業主が利用できる制度については、「フリーランスは育休や産休が使えない|利用できる制度や備えを紹介」で解説しています。
所得補償保険は、病気やケガで短期間働けなくなった場合の収入減に備える保険です。なかには、働けなくなった直後に保障を受けられる商品もあり、万が一のときにも生活を維持できます。
個人事業主は会社員のように傷病手当金を受け取れる制度がありません。そのため、就業不能保険や所得補償保険などに加入して収入面のリスクに備えるのが重要です。
個人年金保険は、公的年金を補うための私的年金です。個人事業主やフリーランスの場合、国民年金のみでは老後資金が不足する可能性があります。
個人年金保険で積み立てた保険料は将来年金として受け取れるため、老後の生活への備えとして加入を検討するとよいでしょう。なお、支払った保険料は一定条件のもと所得税や住民税の課税対象から控除できるため、節税効果も期待できます。
火災保険は、火災や落雷、風災などで建物が損害を受けたときに備える保険です。個人事業主として自宅を事務所として使用している場合や、店舗運営を行う場合など、建物が損害を受けると業務に支障が出るケースでは火災保険への加入が必要です。
火災保険の種類によって補償内容はさまざまです。より手厚い補償を希望する場合は、家財の損害にも対応できる商品を選ぶと、建物だけではなく備品や設備なども補償対象になります。
地震保険は、火災保険とセットで加入できる保険です。火災保険だけでは地震による損害をカバーできず、生活や事業への影響が大きくなるリスクがあります。
個人事業主であっても、状況に応じて地震保険の加入を検討するとよいでしょう。ただし、事業用の設備や道具などは対象外になるケースもあるため、加入前に補償内容をよく確認することが大切です。
個人事業主におすすめの損害保険については、「個人事業主の損害保険の月額は?生じるリスクや加入するべき制度を紹介」も参考にしてください。
案件獲得を効率化するなら
希望にあう案件を受け取る個人事業主は、原則として業務に関連する保険料を経費として計上できます。一方で、事業主本人や専従者の保険料は経費として認められないため注意が必要です。
個人事業主が経費にできる・できない保険は、下表のとおりです。
| 経費にできる保険 | 経費にできない保険 |
|---|---|
| 事務所や店舗などの火災・地震保険料/従業員の傷害保険料/従業員の生命保険料 | 事業主や専従者の火災・地震保険料/事業主や専従者の生命保険料/事業主や専従者の国民健康保険料・国民年金保険料 |
個人の生活保障として支払われる保険料は事業に直接関係しないため、原則として経費にできません。したがって、事業主本人の保障や将来の年金、医療費などに関わる保険は自己資金による管理が基本です。
なお、個人事業主が保険料を経費計上する際は、適切な勘定科目を選択して仕訳したり、確定申告前に必要書類を揃えたりする必要があります。どの保険料を経費計上できるか事前に把握しておけば、確定申告時の申告漏れや誤りを防げるでしょう。
経費計上できるかどうかの判断に関しては、「個人事業主が経費にできるもの一覧を紹介!どこまで・いくらまで落とせるか」も参考にしてください。
案件獲得を効率化するなら
希望にあう案件を受け取る個人事業主は、原則として国民健康保険に加入します。会社員時代の健康保険を任意継続したり扶養に入ったりするなど、状況に応じてほかの制度も利用可能です。個人事業主として安心して事業を継続するために、共済制度や民間保険も賢く利用し、収入減や医療費、老後資金などに備えましょう。
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