個人事業主が知りたい勘定科目と経費|計上できない費用やペナルティも解説

6 months ago

個人事業主として活動していると、経費に計上できる費用の種類が分からなくなることもあるでしょう。そこで本記事では、経費にできる費用の主な勘定科目を紹介します。

計上できない費用の種類や科目の設定方法、申告時に誤りがあった場合のペナルティもあわせて解説します。経費と勘定科目の正しい知識を身につけたい方は、ぜひお読みください。

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個人事業主が理解したい勘定科目

個人事業主の場合、どの支出をどの科目に分類するかはある程度自由に選択できます。ただし、一度決めたら同じ勘定科目を使い続けなくてはなりません。そのため、誰が見ても用途が分かる科目に設定しましょう。

分かりにくい勘定科目で仕訳をすると、思わぬ混乱の原因になる可能性があります。どの科目をどのように使っているのか日頃から把握しておいてください。

個人事業主の経費とは

ここからは、経費の概要と上限の有無について解説します。

そもそも経費とは何か

経費とは、事業を進めるために必要になる費用です。飲食店の食材、美容院で使う染料・シャンプーなどが例にあげられるでしょう。

所得税は、事業に必要な経費を収入から差し引いた額である「所得」に税率をかけて計算します。経費が多いほど所得税は安くなりますが、個人事業主の手取りも少なくなります。正しく計上し、適正な所得金額になるように心がけましょう。

経費の上限はある?

経費に上限はありません。たとえ収入より必要経費の方が多くなっても計上可能です。所得が赤字になると、所得税は課税されなくなります。

ただし、客観的に見て妥当性に欠ける経費は税務署から指摘を受ける恐れがあります。事業に不要なものや、プライベート用に購入したものは計上できません。何が経費にあたるかを確認して、正しく計上してください。

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個人事業主が経費にできる主な費用の勘定科目

ここからは、個人事業主が経費にできる勘定科目を紹介します。

保険料

保険料の勘定項目には、次のような費用が含まれます。

  • 地震保険料
  • 火災保険料
  • 自動車保険料
  • 損害保険料

上記の保険料でも、事業主の自宅にかかるものは経費にできません。自宅兼住居として使っている建物の場合、事業用として使っている範囲に基づいた按分が必要です。

租税公課

租税は国・地方公共団体などに納付する税金、公課は租税以外の手数料や罰金、公共団体に納める会費などです。勘定科目としての租税公課には、次のようなものが含まれます。

  • 事業税
  • 固定資産税
  • 印紙代

経費に計上する租税公課は、事業で必要なものが対象です。そのため、税金の中でも所得税・相続税・住民税・交通違反金などは経費になりません。

法定福利費

法定福利費とは、次のような社会保険料の事業主負担分です。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども、子育て拠出金

事業に携わる従業員が5名以上いる場合は、原則として社会保険に加入しなくてはなりません。

賃金給与

賃金給与とは、従業員への給与・賃金・賞与などです。「給与手当」と表記する場合もあります。賃金給与に含まれるものは、次の通りです。

  • 給料
  • 時間外手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 資格手当
  • 社員旅行代
  • 現物支給

ただし、事業主の親族に支払った給与は一定の要件を満たさないと経費になりません。賃金給与を記録するときは、借方には源泉所得税や社会保険料を含む総支給額を記載します。振り込んだ分の金額や源泉所得税は貸方に記録しましょう。

専従者給与

専従者給与は、生計を一にしている家族に支払う給与です。

専従者給与を経費にするには条件を満たす必要があります。個人事業主が青色申告者で、事業に携わる親族がその年の12月31日時点で15歳以上、かつ事業年度の半分以上仕事をしているなら経費に計上可能です。

また、経費にする場合はその年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出」を提出している必要があります。

水道光熱費

水道光熱費とは、エネルギーを使用した料金を指しており、次のようなものが含まれます。

  • 水道料
  • 電気代
  • ガス代

分けて計上することも全種類をまとめて計上することもできます。どのエネルギーによる支出が多いのかを判断・記録したい場合は、電気料金・水道料金・ガス料金として分けて管理しましょう。

自宅と事務所が兼用の場合は事業での使用面積比や時間から按分し、仕事で使った分のみ経費として計上します。

地代家賃

地代家賃とは、事務所や店舗、駐車場などに支払った費用です。家賃や共益費、土地の使用料などが含まれます。建物や土地などの賃借に伴う賃料も地代家賃として管理します。

ただし、敷金や権利金、礼金・更新料などは地代家賃ではなく、「長期前払費用」です。不動産業者に支払う仲介手数料も地代家賃には含まれず、「支払手数料」として仕訳します。

自家用車と事業用者を兼用している場合の駐車場代は、仕事で使った部分のみが経費にできます。

接待交際費

接待交際費とは、接待のための飲食代や手土産代です。

接待交際によって売上に貢献した場合は、経費として計上可能です。また、顧客との飲食を伴う会合のような、ビジネスに直結した催しも経費にできます。

接待交際費は公私混同しやすい勘定科目の1つであるため、計上時は注意しましょう。税務調査の際に厳しくチェックが入る勘定科目です。会議費や取材費など似た勘定科目とも混同しないようにしてください。

旅費交通費

旅費交通費には、電車賃・バス代・タクシー代・出張時の宿泊費が含まれます。ただし、社員旅行の宿泊費は福利厚生費であるため混同しないようにしましょう。交通用電子マネーに支払った金額も旅費交通費に含まれます。

プライベートの移動と混合しやすいため、経費分は「事業用である」と証明できるようにしっかりと記録するのがおすすめです。使用履歴だけではなく日付と連動させておくと、事業のための移動と証明しやすくなります。

消耗品

消耗品には事業のために購入したもののうち、取得価額が10万円未満のものが含まれます。代表的なものとして、文房具やコピー用紙があげられます。また、10万円以上の場合でも使用可能期間が1年未満であれば経費に計上可能です。

ソフトウェアは価格が10万円未満、もしくは耐用年数1年未満の条件を満たせば消耗品に含められます。「ソフトウェア」の勘定科目を別に作る人もいるようです。

消耗品費に含まれない固定資産は減価償却して、各年分を経費にします。

図書費

図書費や図書研究費・新聞図書費には、事業のために購入した本・新聞が含まれます。紙媒体ではなくても、電子書籍やメールマガジン、サブスクリプションサービスの費用なども対象です。

図書費は事業上の必要知識を得たり情報収集したりするために購入したものの費用であり、プライベートのために購入した書籍は計上できません。新聞は経費計上が難しいものの、新聞から得られる情報が事業に必要であると証明できれば経費に計上できます。

通信費

通信費には、次のようなものが含まれます。

  • 電話代
  • プロバイダ料
  • 携帯電話の料金
  • 切手代
  • 郵便代
  • 書留代
  • インターネット使用料

電話を自宅用として兼用している場合は、事業用に使った通話料や利用時間などを基準に按分する必要があります。

また、通信費は荷造運賃と混同しやすいため確認しておきましょう。通信費と荷造運賃どちらの勘定科目でも使える発送物もあります。

広告費

広告費は、不特定多数の顧客へ販売するために必要な経費を指します。メディアへの掲載費やプロモーションにかかった費用などです。商品やサービス、企業のイメージ向上に使う費用も当てはまります。

広告費に関連する勘定科目として、「販売促進費」があります。こちらは直接顧客と会って販促する際に使われることが多いようです。どちらの科目にどの費用を含めるのかを定め、混同しないように記録しましょう。

雑費

雑費は他の経費に当てはまらないもののうち、事業収入を得るために必要な出費です。引っ越し代やクリーニング費用など、一時的な費用に使われます。消耗品と混同しやすいですが、消耗品は使うとなくなるものに使うことから区別できます。

雑費に分類するものが多くなりすぎると、後々帳簿が見づらくなることも。頻繁に発生する費用については、個別に勘定科目を使って分類しましょう。

減価償却費

減価償却は、固定資産の金額を分割し、少しずつ経費にしていくことです。

取得した資産のうち一定額を超えるものは、取得した年に費用の全額を計上することはできません。定められた期間にわたり、数回に分けて費用計上します。減価償却を行うときは、法令によって定められた耐用年数に従ってください。

未償却の繰延資産

繰延資産は、資産のような性質を持つ費用です。繰延資産のうち、開業費と開発費は未償却のものであればいつでも経費計上できます。

また、その他の繰延資産も均等償却によって経費に計上可能です。たとえば、開業時赤字が続いていた会社が黒字になった場合、赤字だったころ償却していなかった開業費を黒字の年の経費に計上できます。すでに償却した分は計上できないため注意しましょう。

支払手数料

支払手数料には、次のようなものが含まれます。

  • 販売手数料
  • 振込手数料
  • 仲介手数料
  • 代引き手数料
  • 事務手数料
  • 登録手数料
  • 解約手数料

名称の上では手数料と表記されていても、販売手数料のように売上に関わる費用は支払手数料には含めません。「販売促進費」として仕訳します。支払手数料には直接的な販売に関係する経費だけではなく、間接的な経費も含まれます。

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経費にできない費用

ここでは、経費にできるものと混同しやすい費用を3つ紹介します。経費にできないものを正しく認識しておきましょう。

事業主自身の福利厚生

個人事業主自身にかかる旅行費や生命保険料、薬代などは経費に含めることができません。健康診断の費用などもプライベートの支出として扱われます。

ただし、従業員の健康診断費用は経費計上が可能です。個人事業主と従業員の福利厚生費を混同しないよう気をつけましょう。

事業主自身の税金

個人事業主には、住民税や贈与税などさまざまな税金を支払う場面があります。個人の所得税や住民税など、本人に関わる税金は経費計上できません。印紙税や個人事業税など、事業に関わる税金なら経費計上が可能です。

自動車税や固定資産税に関しては、車や建物が家庭用・事業用を兼ねている場合は、面積や時間を基準に按分して経費にできます。税金が事業に関わるものなのかそうではないのかを基準に区別しましょう。

家族への給与

事業主の家族や親族に支払う給与は、本人の給与と同じ扱いになるため、経費に計上できません。ただし、青色専従者給与の届出を提出していれば給与を計上できます。

生計が独立している家族に他の従業員と同じ業務を担当させ、同水準の給与を支払っている場合は、経費にしても問題ありません。事業主の家族への給与は経費にできるときとできないときがあるため、自分の状況がどうなのか確認しておきましょう。

寄付金

個人事業主は原則として寄附金を経費にできません。寄付は基本的に見返りを求めないものであり、事業にどの程度の影響があるかが分かりにくいからです。

なお、一定の寄付金なら寄附金控除が使えます。公益社団法人・認定NPO法人・政治活動への寄付なら、税額控除が受けられるでしょう。

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経費を不正計上した場合

ここからは、経費を不正計上した際に科される可能性があるペナルティを紹介します。ルールを守り、間違いがないよう計上しましょう。

過少申告加算税が課せられる

本来支払うべき税額より少ない額を申告した場合は、過少申告加算税が課せられます。定められた期限を守って確定申告をし、税金を支払った場合でも対象です。

過少申告加算税の額は、基本的には増差額×10%です。「税額が少ない」と自分で気づいて自主的に修正申告した場合は、課税されずにすむ可能性があります。申告内容に不備を発見した際は早めに修正申告しましょう。

重加算税が課せられる

架空の経費を計上した場合や領収書偽造などには、重加算税が課せられます。重加算税の額は増差額をもとに設定され、過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%です。

違反が認められた場合修正申告・更正処分が行われますが、再調査の請求・不服申し立ても可能です。不服申し立てには期限があるため、申請したい場合は早めに行動しましょう。

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自宅と事業両方で使うものの場合

自宅と事務所が同一だったり、車を事業と家庭で兼用していたりする場合は、利用している面積や時間などで生活費・事業費に分けて申告しましょう。

按分時は、事業において使用した割合をはっきりと区分します。合理的な区分方法を用いていれば、どのような分け方で按分したのかは問われません。

また、高速道路代のように、そのときに利用した目的が100%事業のためであると証明できる料金については、按分する必要はありません。

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まとめ

個人事業主が勘定科目を設定する際は、分かりやすいものを選びましょう。費用には経費に計上できるものとできないものがあります。接待交際費のように公私混同しやすいもの、旅費交通費や家賃地代など按分が必要なものについては特に要注意です。

経費の申告に間違いがあった場合は、ペナルティが科されることも。プライベートな支出は「家事費」「事業主貸」を使い、経費と混同しないようにしてください。

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