個人事業主の給与とは?経費に計上できるかどうかや使用する勘定科目も解説

最終更新日:2026年03月27日

「個人事業主に給与はある?」「経費に計上できる?」と疑問に思っている方もいるでしょう。結論から言えば、個人事業主に給与の概念はなく、経費にもできません。 本記事では、事業資金から生活費を出した際に使う勘定科目、従業員として働く家族の給与を経費にする方法などを解説します。個人事業主と給与の関係について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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個人事業主に「給与」はなく経費にもできない

個人事業主には、「給与」の概念はありません。個人事業主が事業で得た収入から支払うプライベートの生活費は、「事業主貸」(後述)となります。また、その生活費を経費にすることもできません。

事業で得た収入から必要経費の金額を差し引いた分が、個人事業主の収入となると覚えておきましょう。そこから生活費に充てたり、貯金に回したりします。

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事業主貸と事業主借は個人事業主のための勘定科目

ここでは、勘定科目「事業主貸」「事業主借」について見ていきましょう。

事業主貸を使用するケース

事業用口座のお金や事業用クレジットカードをプライベートのために使った場合は、勘定科目「事業主貸」を使用します。個人事業主が生活費10万円を事業用口座から引き出した場合の仕訳例は、以下のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
事業主貸 100,000 預金 100,000

以下は、生活用品50,000円を事業用クレジットカードで購入した場合の例です。

借方 金額 貸方 金額
事業主貸 50,000 未払金 50,000

事業主借を使用するケース

事業主貸と反対に、個人のお金やクレジットカードを事業に用いる際は事業主借を使用します。以下は、個人事業主が事業資金100,000円を個人口座から入金した場合の仕訳例です。

借方 金額 貸方 金額
預金 100,000 事業主借 100,000

交通費20,000円を個人用クレジットカードで支払った場合の例は、以下のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
旅費交通費 20,000 事業主借 20,000

事業主貸と事業主借の会計処理方法

会計に際しては、毎年の期首に事業主勘定を0円に精算し、「元入金」として処理しましょう。元入金は、「事業主借-事業主貸+前期の利益」で計算します。

「個人事業主の勘定科目一覧!経費に計上できる費用や仕訳方法も解説」ではよく使う勘定科目の基礎知識を解説しているので、あわせて参考にしてください。

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個人事業主が家族の給与を経費にする方法

家族への給与を経費にするために必要になるのが、「青色事業専従者給与に関する届出書」です。税務署に提出すれば、15歳以上の家族への給与は経費として計上できます。

専従者として認められるには、以下の要件すべてを満たす必要があります。

  • 青色申告者と生活費を共有する配偶者や親族
  • その年の12月31日現在15歳以上
  • その年に6ヶ月を超える期間、事業に常に従事していること

「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出期限は、給与を経費にするつもりの年の3月15日までです。

出典:国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」

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個人事業主が経費として扱えないもの

個人事業主のプライベートな出費や、事業に直接関係のない出費は経費に計上できません。経費計上ができない支出の例は、以下のとおりです。

  • 事業主の所得税や住民税
  • 事業主の健康保険料や国民年金保険料
  • 罰金、科料、反則金、過料
  • 資産として計上すべき物品の購入費用
  • 健康診断費

経費にできるもの・できないものについて詳しく知りたい方は、「個人事業主が経費にできるもの一覧|どこまで計上するかや上限の有無を解説」を参考にしてください。

出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」

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個人事業主が仕訳で迷いやすい主な費用

個人事業主の仕訳で迷いやすい支出を以下にまとめました。

費用の種類 使用する勘定科目
オフィスにかかる費用 地代家賃・水道光熱費に当てはまる。生活の場の一部をオフィスとして使う場合は、事業で使った分のみ経費にできる(家事按分)。
接待や謝礼にかかる費用 接待交際費に当てはまる。事業に関わる人と食事をしたり、取引先にお歳暮などを贈ったりした際に使用。
従業員の給与や福利厚生 給料賃金や福利厚生費に当てはまる。
臨時的かつ少額の費用 雑費に当てはまる。

雑費が多すぎると支出の傾向が分かりにくくなり、税務署から疑問を持たれる可能性もあるので注意してください。

経費の勘定科目についてさらに知りたい人は、「経費の勘定科目一覧|個人事業主の按分方法や節税対策なども解説」を参考にしてください。

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個人事業主が従業員を雇う際の基礎知識

ここでは、個人事業主が従業員を雇う際に押さえておきたい基礎知識を紹介します。

給与の計算方法と金額の決め方

従業員に給与を支払うときは、手取りにあたる部分を計算して支給します。手取り額は、総支給額から社会保険や税金の控除額を差し引くことで算出が可能です。

また、給与を決めるうえで、時給や基本給を設定する必要があります。地域の最低賃金や事業の経営状況を踏まえ、適正な水準に設定するのが大切です。

加入する社会保険、厚生年金の保険料は、従業員と事業主の両者で分けて負担します。保険料の負担額も考慮に入れて金額を決めるとよいでしょう。

総支給額の算出に必要な要素

総支給額を構成する要素は、以下のとおりです。

  • 時給、基本給
  • 割増賃金
  • 手当

総支給額で大きな割合を占めるのは、時給や基本給の賃金です。勤務日数や時間に応じて、従業員の給与が決まります。

割増賃金の代表例は残業代です。サービス業では、深夜賃金が発生するケースもあるでしょう。

そのほか、通勤手当や住居手当も総支給額に含まれます。

個人事業主が従業員の給与から控除するもの

従業員の給与を計算する際に、控除する主な項目は、以下のとおりです。

  • 社会保険料
  • 所得税
  • 住民税
  • 積立金、財形貯蓄

社会保険は、従業員の労働時間に応じて加入条件が変化します。控除額は標準報酬月額(雇用保険料の場合は支給する給与額)に基づいて決められるため、従業員ごとの個別処理が大切です。

所得税は源泉徴収を実施し、住民税は従業員の前年所得をもとに控除額が決まります。組織の慣習で積立金や諸会費が発生するときも、給与から控除します。

従業員の給与処理の注意点

個人事業主が実施する給与処理は、従業員の口座に正確な金額を振り込むことに加えて、気をつけたいポイントが2つあります。

1つめは、正確な仕訳処理です。給料手当や旅費交通費は経費に計上できるため、正しく仕訳をすれば節税できます。

2つめは、給与から源泉徴収した分は税金の支払いに充てる点です。源泉所得税で納付の特例を適用するときは、半年に1回のペースで支払います。

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給与に関連して知りたい個人事業主の年収の基礎知識

ここでは、個人事業主の年収に関する基礎知識を5つ紹介します。

個人事業主にとっての「年収」

個人事業主の「年収」は、一般的に所得金額を指します。以下は税込年収の計算式です。

税込年収=年間売上-売上原価-必要経費

手取り年収の場合は、以下のようになります。

手取り年収=税込年収-税金-社会保険料

確定申告の際に所得控除や税額控除を適用することで、所得金額と納める所得税額が決まります。

個人事業主の平均所得

国税庁の「申告所得税標本調査結果」によると、令和4年度(2022年)の事業所得者の平均所得は約473万円でした。また、個人事業主の業態として想定される不動産所得者は約543万円、雑所得者は約283万円というデータが出ています。

出典:国税庁「申告所得税標本調査結果」

個人事業主の収入から差し引く税金

個人事業主が納める税金は、以下のとおりです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 消費税
  • 個人事業税

消費税は、課税売上高1,000万円超の事業者に納付義務が生じます。税金について詳しく知りたい人は「業務委託契約の税金はいくら?確定申告のやり方や節税対策の方法も解説」を参考にしてください。

年収情報が必要になる場面

個人事業主の年収は、事業を円滑に進めるうえで重要な情報です。特に、事業に必要な資金を調達するときに、審査基準として個人事業主の年収が利用されます。

金融機関から資金を借り入れる際は、年収情報の提示を求められます。年収が一定額に達すると、返済能力があると判断してもらえるでしょう。

給付金や奨学金を利用するときも、年収情報が判断基準となります。

節税して手取り年収を増やす方法

個人事業主が手取りの年収を増やすには、税金の負担を減らすのが重要です。以下で節税方法を見ていきましょう。

正確な経費計上

所得を計算するときに売上高から必要経費を差し引くため、経費が多いほど所得税の節税が可能です。日頃から領収証やレシートの管理を徹底すると、経費の計上がスムーズにできます。事業用とプライベート用の買い物を分けると、計上もれが防げるでしょう。

一方で、事業に関係のない出費は経費から除外する必要があります。節税とルールの遵守を両立させるために、正確な経費計上が大切です。

各種控除

各種控除制度を活用すると、所得税の減額が可能です。主に、所得から差し引ける「所得控除」と、所得税額から直接差し引く「税額控除」に分かれます。

医療費や保険料に関する控除は、所得控除の代表例といえます。個人型年金のiDeCoや小規模企業共済の掛金は全額を控除できるため、個人事業主におすすめです。

税額控除には、政党や公益社団法人への寄附金控除や、住宅ローン等特別控除があります。適用できる控除を調べて、適切に節税しましょう。

詳しい節税対策については、「個人事業主の節税対策とは? おすすめの方法や活用できる制度を紹介」を参考にしてください。

出典:
国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
国税庁「No.1200 税額控除」

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まとめ

本記事では、個人事業主の給与について解説しました。個人事業主には給与という概念は当てはまらず、生活費を経費にすることもできません。事業資金から生活費を支払うときは、勘定科目「事業主貸」「事業主借」を使いましょう。

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