個人事業主が加入する国民年金とは?制度の概要や手続きについて解説!

最終更新日:2024年10月30日


この記事のまとめ

  • 個人事業主になると、会社員時代に加入していた厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必須となる
  • 国民年金は老齢年金、障害年金、遺族年金の3つの給付があり、保険料は毎年改定される
  • 個人事業主は国民年金に加え、付加年金や国民年金基金、iDeCoなどを利用し将来に備えた資産形成を行うことが重要である

国民年金は、将来安心して暮らしていくうえで不可欠となる金銭的なセーフティネットのひとつです。日本に住んでいる一定の年齢層であれば加入し、保険料を納付する必要があります。しかし、転職や退職の際に手続きをし忘れて気付かないままになってしまう人も少なくありません。

本記事では、個人事業主になる際の国民年金の加入手続きや、資産形成の方法などを紹介します。

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個人事業主は国民年金の切り替えが必要

自分のスキルを活かして、個人事業主(フリーランスとほぼ同義)として自由に働く…そんな生き方をしている人が、近年増加しています。今は会社員として働いているけれど、将来的には個人事業主になりたいと考えている人も少なくないでしょう。

しかし、個人事業主には仕事の獲得から業務遂行、報酬の請求などまですべてを自身で行う大変さがあります。それは仕事に関することだけでなく、保険の切り替え手続きや、将来的な資産形成などあらゆる事柄が対象となります。

個人事業主になったとき、まずすべき手続きのひとつが、厚生年金から国民年金への切り替えです。

会社に雇用されているサラリーマン時代は、税金や保険に関する多くのことを会社が担ってくれていましたが、個人事業主になればすべて自身で調べ、足を運び、手続きをしなければなりません。そのような負担を重く感じ、個人事業主転向に踏み切れない人も多いでしょう。

とはいえ、年金に関しての制度自体はとてもシンプルなものであるため、正しく知れば公的支援に関する理解をより深められるというメリットもあります。まずは、国民年金から理解し、知識を広げていきましょう。

まずは勤めていた企業や最寄りの市区町村役場に相談・確認を

国民年金への切り替えなど必須の手続きをする場合には、退職する企業からアナウンスがあったり、最寄りの市区町村役場などに聞けば教えてもらえたりします。分からないことや疑問があれば、積極的に聞いてみましょう。

国民年金から厚生年金へ加入する際は、雇用主となる企業がそれらの手続きをすべてやってくれます。しかし、厚生年金から国民年金へ切り替えの際は、自身で市区町村役場などへ足を運ぶ必要があります。

このような切り替えの際に注意しておきたいのは、手続き期間があまり長く設定されていないことです。国民年金への切り替えは原則として、退職日翌日から14日以内となります。

国民年金は該当する年齢の人であれば加入が義務となるため、もし手続きを忘れてしまった場合でも自動的に厚生年金から切り替わります。

しかし、自身で手続きをしなかったことで万が一のミスや漏れにつながると、受給の際に必要となる基準を満たせず思っていたより少なくなってしまうなど、将来的なデメリットにつながる可能性もあります。

正しい金額を確実に納付・受給するために、必要な手続きはきちんと把握しておく、毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」を確認するなど、対象者であることを意識しておきましょう。

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国民年金とは?

国民年金とは、日本に住む20歳以上60歳未満で厚生年金に加入していないすべての人が加入する保険です。国民年金保険料を支払うことにより、働くことや生活に制限が出たとき、または65歳を過ぎてから、年金という形で毎月お金を受け取れるようになります。

国民年金を支払うことで受け取れる年金には、65歳以上から対象となる老齢年金、病気やけがで仕事や生活に制限が出た際に受け取れる障害年金、被保険者が亡くなったときに受け取る遺族年金があります。

日本の年金制度では、加入している保険の種類や状態により、3つの「被保険者」に分かれます。

第1号被保険者

日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人で、個人事業主や農業を営む人、その家族や学生、職に就いていない人が第1号被保険者となります。支払うのは本人、もしくは被保険者を同一世帯とする世帯主や配偶者です。

第2号被保険者

会社に雇用されており、厚生年金や共済に加入している人は第2号被保険者となります。公務員や会社員がこれにあたり、第2号被保険者は厚生年金や共済に加入していると同時に、国民年金にも加入していることになります。この詳細は後述します。

第2号被保険者は、厚生年金もしくは共済の保険料を一部負担します。それ以外は所属する企業や加入する制度から負担されるため、保険料の実質負担額はあまり多くありません。

また、第1号被保険者のように自身で支払う必要はなく、所属する企業が手続きをしてくれます。

第3号被保険者

第2号被保険者に扶養されており、なおかつ年収が130万円未満の人は第3号被保険者となります。この場合、保険料の支払いは第2号被保険者と同じ扱いになるため、自身で支払う必要はありません。

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基本的な手続き

厚生年金から国民年金への切り替えは、加入する本人が住所地となる市区町村役場へ足を運んで手続きします。手続きできるのは被保険者本人または世帯主です。

手続きに必要なのは、年金手帳などの基礎年金番号が分かるものです。第2号被保険者である会社員が退職し、第1号被保険者である個人事業主になる場合は、加入していた厚生年金などの資格喪失日を記載した離職票などを持参しましょう。

離職票は事前に退職する会社に伝えておけば、発行してもらうことができます。ただし、退職後に郵送で入手する場合が多く、年金切り替え期間となる“退職日翌日から14日以内”に間に合わないことも。その場合は役場へきちんと伝えれば、退職したことの証明となる「退職証明書」などで対応可能な場合もあります。

手続きの際に必要書類が手元にない場合は、事前に電話で確認しておきましょう。

国民年金と同時に国民健康保険の手続きも

サラリーマンから個人事業主になる場合は、同じ方法で社会保険から国民健康保険へ切り替える必要があります。

短い期間内に行わなければならない手続きがいくつかあるため、可能であれば同時に済ませて時間と労力を削減するのが得策です。

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国民年金の基礎知識

国民年金は、20歳から60歳までの国民全員が保険料として一定金額を支払うことで、働けなくなった人々を助けることを目的とした仕組みです。

個人の貯蓄だけでは難しい“仕事ができなくなった後の生活費用”を約40年かけて積み立て、いざというときに還元してもらえるこの仕組みは、公的な貯蓄型保険だといえるでしょう。

国民年金に加入して支払う保険料は定額で、65歳以上が対象となる年金の受給額は加入していた期間によって変わります。20歳から60歳までずっと加入し、保険料の納付を続けていれば満額を受給できることになりますが、なかには受給額が少ない人もいるでしょう。

60歳から64歳までの人は、“任意加入”という形で再加入することも可能です。国民年金の受給額が少ない理由として考えられるのは、途中で免除制度を利用している、保険料の未納期間がある、などです。

一年に一度届く「ねんきん定期便」や、日本年金機構のサイトから「ねんきんネット」へ登録するなどして確認し、未納などがないよう注意しましょう。

また、国民年金保険料は全額が、確定申告時の社会保険料控除対象となります。個人事業主として自身で確定申告する場合は、忘れずに記載しましょう。

国民年金の保険料は毎年変わる

国民年金保険料は定額ですが、その金額は毎年変わります。金額はその年の4月に届く納付書で確認可能です。2022年度の1ヶ月あたりの保険料は16,590円となっています。

まとめて前納でお得な割引も

国民年金は4月に12ヶ月分の納付書が届き、それを支払期日までに払っていく方法が基本です。ただし、支払い方のバリエーションが少しずつ増えてきており、現在は「まとめて前払い」をすれば割引があるほか、クレジットカードを使った納付もできるようになっています。

経済的に厳しい場合は免除などの申請を

国民年金は対象となるすべての人に加入義務がある保険ですが、退職して個人事業主になってすぐなど、収入が急激に減ってしまうような状況もあります。そんなときには免除制度が利用できるため、検討してみましょう。

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厚生年金との違い

厚生年金とは、国民年金にプラスして加入する年金保険のことです。厚生年金保険は一定の基準を満たした事業所が必ず加入すべきものであり、その事業所で働く従業員は、労働形態や働く時間によりますが基本的に厚生年金保険の被保険者となります。

正しく知っておきたいのは、厚生年金に加入している間も国民年金へは並行して加入している状態であるということです。厚生年金は国民年金にプラスされる保険であるため、従業員が支払う保険料は厚生年金プラス国民保険となり、保険料として支払うトータルの金額は大きくなっています。

しかし、前述したように、従業員が負担するのはその保険料の一部のみです。そのため、厚生年金に入っていると保険料の支払い金額を抑えつつ、受給額を増やすことが可能です。従業員が厚生年金に加入している期間が長ければ長いほど、受給するときの金額は多くなります。

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国民年金だけで十分?

企業に雇用されて働くサラリーマンであれば、国民年金と厚生年金の2階建て構造で年金保険料を支払っているため、働けなくなったときに年金として受給できる金額はその分多くなります。

しかし、個人事業主として働く人は、国民年金だけの1階建て構造となるため、心許ないといわざるをえません。また、世の中の情勢は日々変わっていて、年金制度に関してもそれに伴った変更などがあり得ます。

国民年金を満額納付した場合の給付水準は、2022年時点で月額64,816円となっており、2021年の65,075円よりも原則0.4%の引き下げとなっています。個人事業主は貯蓄することはもちろん、国民年金以外の年金制度にも加入しておいた方が安心だといえるでしょう。

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個人事業主の資産形成

個人事業主には、雇用されて働く会社員のように自動的にプラスアルファの保証に入れるような仕組みはありません。そのため、個人事業主になったら将来を考え、自身で資産を形成していく必要があります。

個人事業主が考えておきたい資産形成方法は、やはり積み立て型で少しずつ保険料を支払い、一定の年齢になると受給が可能になる年金型です。ここでは国民年金と並行して加入できる制度を3つ紹介します。

付加年金

付加年金とは、毎月の国民年金支払額に400円をプラスすることで受給する年金額を増やせる制度です。利用できるのは個人事業主やその家族といった第1号被保険者、または任意加入被保険者です。

付加年金額は200円×付加保険料納付月数で計算され、国民年金に無理なくプラスアルファしながら受給額を増やすことができます。申し込みは市区町村役場の年金窓口、もしくは年金事務所でできます。

国民年金基金

国民年金基金は、厚生労働大臣の認可を受けた 全国国民年金基金が運営する、公的な年金制度です。加入できるのは20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者、そして60歳以上65歳未満の方や海外居住者で、国民年金に任意加入している人となっています。

国民年金基金の制度は、厚生年金と同じように国民年金に保証をプラスし、2階建てにすることを目的としています。大きなメリットとしては、7種類のプランのなかから目的やライフスタイルに合わせた保証を選べるほか、掛け金は全額所得控除の対象にできる点です。

60歳から64歳までの人は国民年金に任意加入していれば、国民年金基金にも加入が可能です。また、国民年金の付加年金を納付している人でも加入できます。

その場合、国民年金基金が付加年金の納入を代行する役割を持つため、国民年金にて付加年金を支払う必要がなくなります。ただし、農業者年金の被保険者は国民年金基金を利用できないため、注意が必要です。

一度加入すると、自己都合での解約・脱退などはできません。ただし、第1号被保険者でなくなるといった区分変更などがあった場合は、加入資格がなくなるため脱退となります。

国民年金基金は“一口・二口”といったように口数を増やすことができますが、加入時の年齢や性別、選択したプランによって掛け金が変わります。個人事業主としての収入が安定している、または少し余裕がある場合は検討してみると良いでしょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、国民年金の被保険者であれば、個人事業主や厚生年金を利用している会社員、第3号被保険者など多くの人が利用できる個人型の年金です。

現在、日本の年金制度は、公的年金である国民年金を土台として、その上に公的年金である厚生年金、さらにその上に私的年金であるiDeCoなどを乗せる“3階建て構造”となっています。もちろん、iDeCoへの加入は義務ではないため、将来に備えて運用をしたい人が利用する制度となります。

iDeCoは金融機関や運用する方法を選んで自身で運用し、その運用益と掛け金を給付対象年齢から受け取る、という年金制度です。掛け金は月5,000円以上で、定期預金や保険商品などの元本確保商品、または投資信託を選び、iDeCoを取り扱っている金融機関を通して運用します。

iDeCoの大きなメリットは手ごろな掛け金から始められることに加え、国民年金基金と同じく掛け金を全額控除対象にできることです。また、iDeCoに関しては運用益も非課税となります。掛け金を増やしたり減らしたり、一時的に止めたりすることもできるため、気軽に利用しやすいでしょう。

注意しておきたいのは、iDeCoの資産は60歳にならないと引き出せないこと、運用する商品に元本割れリスクがあることです。効果的に活用しようと思ったら、投資について正しく学び、長期的な視野で運用を考えていく必要があります。

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個人事業主は国民年金にプラスアルファで安心を得よう

個人事業主は、働き方を自由に決められるのが大きな魅力です。その反面、何も指示されない自由な働き方だからこそ、事業の運営や将来の保証まですべてを自身で考えていかなければなりません。

また、国民年金は毎年納付額や給付額が変わっているように、自身が受給資格を得る数年後、数十年後に今と同じ水準の金額が受け取れるとは限りません。そのため、できる限り多くの資産をコツコツと増やしておくのが理想です。

個人事業主は収入が安定しにくい働き方ですが、手ごろな価格から利用できる制度も合わせて、ぜひ積極的に資産形成を考えてみましょう。

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