最終更新日:2025年09月29日
「業務委託と請負契約はどう違うのか」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 業務委託の契約形態には請負契約・委任契約・準委任契約があり、受託者側の義務や報酬発生の条件などに違いがあります。 本記事では、業務委託の契約形態や違い、見分け方のポイントを解説します。また、委託側・受託側の注意点や基本契約書・個別契約書の内容、偽装請負のリスクについても解説するので参考にしてください。
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個人事業主やフリーランスとして活動していると、業務委託や業務請負といった言葉を目にする機会があります。業務委託と業務請負は言葉が似ているものの、それぞれで意味が異なります。
以下で両者の違いを解説するので、理解を深めるための参考にしてください。
業務委託とは、企業や個人が特定の業務を切り出して外部の第三者に委託することです。業務委託は法律上で定められた名称ではなく、民法上の「請負契約」「委任契約」「準委任契約」をまとめた総称です。
なお、委託と委任の違いについては、「委任と委託の違いは?契約形態の違いや報酬が発生する条件などを解説」の記事で解説しています。
業務請負とは、民法上の「請負契約」を意味する言葉です。
業務請負も業務委託のように特定の業務を外部に依頼することを意味します。しかし、業務請負は業務委託の一部として、より狭義の契約形態を指しています。
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おすすめの案件を受け取る業務委託の契約形態は「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3つです。
業務委託の3つの契約形態のそれぞれの特徴は下記のとおりです。
契約形態 | 特徴 |
---|---|
請負契約 | 請負側が仕事を完成させることを約束し、注文者側が成果物の完成に対して報酬を支払うことを約束する契約 |
委任契約 | 当事者の一方が法律行為に関する業務をもう一方に委託し、承諾されることにより効力を生ずる契約。業務の遂行に対して報酬が支払われる |
準委任契約 | 委任契約のなかでも、法律行為に該当しない業務を遂行する場合の契約 |
請負契約は業務の過程について問われない一方で、成果物への完成責任が生じる契約形態です。
たとえば、Webデザイナーが企業から「このようなサイトをデザインしてほしい」と依頼を受け、期日までに仕上げて納品する場合は成果物に対して報酬が支払われるため請負契約に該当します。
委任契約・準委任契約は成果物の完成ではなく、業務の遂行に対して報酬が支払われる契約形態です。準委任契約は法律行為以外の業務を対象としており、ITエンジニアやコンサルタントをはじめとする幅広い職種が該当します。
各契約形態の詳細や契約条項について知りたい方は、「フリーランスが結ぶ契約とは?内容や注意点について解説」の記事も参考にしてください。
出典:
デジタル庁「e-GOV 法令検索 第九節 請負」
デジタル庁「e-GOV 法令検索 第十節 委任」
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取る請負契約とそれ以外の業務委託契約には、受託者の義務や報酬が発生するタイミングなどに違いがあります。
それぞれの違いは下記のとおりです。
契約形態 | 請負契約 | 委任・準委任契約 |
---|---|---|
受託者側の義務 | 成果物の完成 | 業務の遂行 |
報酬が発生する基準 | 成果物の完成 | 業務を遂行した事実 |
報酬が発生するタイミング | 成果物の引渡し | 業務の進行に応じたタイミング |
契約不適合責任の有無 | あり | 原則なし |
再委託の可否 | 原則可能 | 委託者の承諾が必要 |
請負契約は「成果物の完成」が軸になる一方で、準委任契約では「業務遂行」に対して報酬が発生します。
請負契約を締結する際は、契約不適合責任についても理解しておくことが大切です。契約不適合責任は、2020年4月の民法改正により瑕疵担保責任に代わって導入されました。
具体的には、契約で合意した成果物(品質・性能・数量など)に適合しないものが引き渡された場合に、受託者が負う責任を意味します。つまり、契約不適合責任が果たされていない場合、委託者は受託者に対してやり直しや代金の減額、契約解除、損害賠償などを求めることが可能です。
契約時には業務内容や発生する義務、報酬などについて一つひとつ精査する姿勢が大切です。
見分け方のポイントについて詳しく知りたい方は、「請負契約と準委任契約の違いや見分け方は?特徴やメリットを解説」の記事もあわせてご覧ください。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取る業務委託では、委託者・受託者のそれぞれの立場における注意点があります。
以下で請負などの業務委託を行う際の注意点を解説するので、トラブルを回避するために参考にしてください。
業務委託契約の委託する側は、外部依存によるリスクを事前に把握しておくことが重要です。
請負契約や委任・準委任契約によって外部に特定の成果物や業務遂行を依頼する場合、知識・スキルは内部に蓄積されにくくなります。今後も継続して発生する業務であれば、社員に任せたほうが長期的な視点で見てメリットが大きいケースもあります。
委託者は対象となる業務内容の将来性や継続性を見極めて、業務を外注するかどうかを判断しましょう。
業務委託契約の受託する側が請負契約や委任・準委任契約において注意すべき点は、情報漏洩を起こさないことです。
業務委託では機密情報を扱うケースが多く、情報漏洩のリスクがあります。情報漏洩が発生してしまった場合、社会的な信頼を失墜したり、クライアントの事業に深刻な影響を与えたりするおそれがあります。
業務委託の仕事を引き受ける際、受託者は情報漏洩に関するリスクを理解し、慎重な対応を心掛けましょう。
業務委託のその他のリスクについて知りたい場合は、「業務委託はやめたほうがいい?仕事のメリットや契約の注意点を解説」の記事を参考にしてください。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取る請負契約を含め、業務委託におけるトラブルを防ぐためには書面で契約を交わすことが大切です。また、同じ当事者間で複数の案件を受発注するケースでは、基本契約書と個別契約書の2つを用意すると、取引の効率化や個別取引の明確化に役立ちます。
以下で、業務委託契約における基本契約書と個別契約書について詳しく解説します。
基本契約書とは、継続的な業務委託を行う際に取引全体の基本的なルールを定める契約書です。基本契約書では、主に以下の内容を定めます。
基本契約書を用意しておくと個別案件ごとに同じ交渉を繰り返す必要がなくなるため、委託者・受託者の双方にメリットがあります。
業務委託契約書に貼付する収入印紙については、「業務委託契約書に収入印紙は必要?印紙税の金額一覧や節税対策を解説」の記事で解説しているのであわせてご参照ください。
個別契約書とは、基本契約書を補完するかたちで個々の具体的な業務委託内容を定める契約書です。個別契約書では具体的に以下について定めます。
トラブルを回避するためにも、受託者は契約書の内容をすべてクリアにしたうえで業務に取り掛かるようにしましょう。
業務委託契約書に盛り込むべき内容については、「業務委託契約書の作成は必要?記載内容や注意点を解説」の記事で詳しく解説しています。
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おすすめの案件を受け取る業務委託契約を締結する際は、契約書の内容が偽装請負に該当していないか確認することが大切です。
以下で偽装請負の意味とリスク、回避するための対策について解説します。
偽装請負とは、実質的には雇用関係にあるような働き方をしているにもかかわらず、業務委託として扱う状態のことです。業務委託で請け負う仕事において、指揮命令が行われている場合は偽装請負である可能性が高いです。
雇用契約の場合、労働基準法をはじめとする労働関連法令を適用したり、社会保険に加入したりする必要があります。偽装請負はこうしたコスト・手間を回避する目的で行われています。また、偽装請負を行うことにより、労働災害が発生した際に責任の所在が不明瞭になるという重大なリスクも生じます。
偽装請負は違法であるため、トラブルに巻き込まれないよう注意が必要です。
偽装請負が発覚した場合は、法律に基づき罰則が科される可能性があります。
偽装請負が認定された場合、発注者だけでなく受託者も罰則を受ける可能性があります。
偽装請負を防ぐためには、契約内容と業務の実態を一致させる必要があります。
業務委託契約を締結する際は、偽装請負に加担しないよう、法律に関する理解を深めましょう。そして契約内容を書面にまとめて契約書を作成し、締結前に内容を入念に確認してください。
業務委託におけるトラブルを回避する方法については、「業務委託のトラブル事例|仕事内容や報酬の問題解決・回避に必要な方法とは」の記事も参考にしてください。
出典:
厚生労働省 東京労働局「偽装請負について」
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おすすめの案件を受け取る業務委託は、効率的な業務遂行や柔軟な働き方などの実現に向けた手段の一つです。一方で、契約形態について正しく理解していないと法的リスクにつながるおそれがあるため注意が必要です。
業務委託の主な契約形態は「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3つです。成果物の完成が求められる請負契約と、業務の遂行に対して報酬が支払われる委任契約・準委任契約では、責任範囲や報酬発生のタイミングなどが異なります。
業務委託の契約形態に対する理解が不足していると、知らずに偽装請負に加担してしまう可能性があります。トラブルを回避するためにも、業務委託契約を締結する際は契約内容と業務の実態について整合性を確認することが大切です。
委託者・受託者の双方が業務委託の契約形態について正しく理解し、健全な業務委託関係を築きましょう。
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