業務委託に請求書は必要?書き方やインボイス制度との関係性なども紹介

最終更新日:2025年05月15日

「業務委託の請求書は必要?」「そもそも書き方が分からない」と悩んでいる方もいるでしょう。業務委託の請求書は確定申告の手続きに必要です。金額のほか、発行日や支払期日など、記載する項目が多くあります。 本記事では請求書の必要性や記載項目、作成時の注意点などを解説します。請求書とインボイス制度の関連にも触れるので、業務委託で働く方はぜひ参考にしてください。

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業務委託で請求書が必要な理由

業務の対価を明確にし、正式な支払いを依頼するために、業務委託で仕事をしたときは請求書が必要になります。以下で詳細を見ていきましょう。

トラブルを避けるため

案件の報酬をめぐるトラブルを未然に防げる可能性があるので、請求書は必要な書類だといえます。請求書がなくても、報酬の受け取りは可能です。しかし、請求書がないと、振り込まれた金額が間違っていたときに誤りを証明する手立てがなくなります。

業務委託で起こりうる問題については、「業務委託のトラブル事例|仕事内容や報酬の問題解決・回避に必要な方法とは」も参考にしてください。

確定申告で使用するため

年度末の確定申告では、請求書によって取引の内容を証明できます。請求書がなくても確定申告は可能です。しかし、税務調査があった場合に取引内容が証明できなくなるおそれがあります。

業務委託の確定申告については、「業務委託の報酬に確定申告は必要?基準となる所得金額や手続き方法を紹介」を参考にしてください。

会計の管理にも使用できる

正しい会計管理の基礎となるのが請求書です。請求書があれば、月々の収入を確認したり、案件ごとの報酬を把握したりするのに役立ちます。会計管理が適切にできているかが経営判断を下す際のポイントになる場合もあるので、業務委託でも請求書は作った方が良いでしょう。

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請求書と間違えやすい他の書類との違い

案件の受注~納品に必要な請求書以外の書類を表にまとめました。これらの書類は取引の各段階で必要なので、正確な内容で作成して管理するのが大切です。

書類名 概要 使用目的 主な記載事項
見積書 事前に提供するサービスや商品の費用を提示する書類 契約前に予算や取引内容を明確にするため 提供する業務や商品の内容、金額、数量など
契約書 取引条件や責任範囲を明記した法的効力のある書類 双方の合意内容を明確にし、法的な証拠とするため 契約内容や期間、支払い条件、責任分担など
発注書 依頼者が商品やサービスを発注する書類 契約に基づき、業務や商品を発注するため 発注する商品やサービス、数量、金額など
納品書 商品やサービスの納品時に作成する書類 商品やサービスが正しく納品されたことを確認するため 納品物の内容、数量、納品日など

業務契約委託書に関しては、「業務委託契約書の作成は必要?記載内容や注意点を解説」も参考にしてください。

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請求書に関わるインボイス制度とは

2023年の10月1日からインボイス制度が導入され、請求書に記載する項目が増えました。以下では制度の概要、請求書との関連性を解説します。

インボイス制度の概要

インボイス制度とは、適格請求書(インボイス)を発行して保存することで、消費税の仕入れ税額控除を受けられる制度です。インボイスとは適格請求書のことをいいます。

消費税は、請求書や納品書を使って計算します。インボイスに登録していなくても個人事業主の業務はできますが、クライアントは仕入れ控除を受けられません。そのため、インボイスに登録していない個人事業主は、取引してもらえないリスクがあります。

ただし、2029年9月末までは、登録していなくても仕入税額控除を受けられる経過措置が講じられています。詳しくは国税庁の「インボイス制度について」をご覧ください。

請求書との関連性

インボイス制度により、請求書に記載する項目が増えました。従来の請求書で記載した内容に加え、以下のような項目が必要になります。

  • 適格請求書発行事業者の氏名もしくは名称と登録番号
  • 税率ごとに分けて合計した取引金額と適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額

適格請求書は、取引した商品やサービスごとに税率を分け、個別に記載する必要があります。「インボイス制度とは?個人事業主に必要な対応をわかりやすく解説」でもインボイス制度で使う請求書の記載項目を紹介しているので、あわせて参考にしてください。

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業務委託の請求書に記載する項目

請求書を作成する際、記載する必要のある項目は次のとおりです。

請求書の宛先

請求書には請求先の宛名、つまり発注者の会社名や部署名、担当者名を記入します。

担当者宛に請求書を発行する場合は、会社名・部署名・担当者名を書き、最後に敬称として「様」をつけます。会社宛、部署宛での請求書にしてほしいと要求された場合は、宛先の最後に「御中」と記入しましょう。請求先が発注者と異なる場合もあるため、事前の確認が必要です。

請求書番号

請求書を発行する際には、請求書番号を振りましょう。法的な義務はありませんが、つけることで請求書の管理を効率化できます。

また、請求書に番号を振ることは、請求漏れや二重請求の防止にもつながります。クライアントごとに番号の付け方を変えておけば、月末で多くの請求書を発行するときの誤請求の抑制につながるしょう。

発行日

発行日は、基本的にはクライアントの指定する日付を記入します。請求書の作成日ではない点に注意しましょう。

一般的には、商品の納品日やサービスの提供日が発行日になります。案件が都度払いの場合に、よく用いられる方式です。長期契約で月末締めの支払契約の場合は、締日を発行日にするケースもあります。

支払期日

契約時に取り決めた支払期日を請求書にも記載します。自分とクライアントで話し合って決めた日を記載しましょう。下請代金支払遅延等防止法によって、納品された日から60日以内と定められている点に注意してください。

消費税額

一般的には、内訳を分かりやすくするために報酬額と消費税額を分けて記載し、合計金額に税込の金額を記載します。

消費税には、税率10%と軽減税率8%があります。請求書内に税率の違う品目がある場合は、軽減税率対象の旨を一言添える、消費税率ごとに請求書を分けるなどの工夫をしましょう。内訳が分かりやすくなります。

「フリーランスの消費税は免除される?納税時の申告とインボイス制度について」では消費税の計算方法を紹介しているので、あわせて参考にしてください。

請求内容

請求書には、品目や数量、金額などの項目に分けて報酬の内訳を記載します。

品目は商品名やサービス名ごとに記載しましょう。金額については、単価の記入する項目を、合計金額を記入する項目も設けます。インボイス制度に対応するため、消費税率が異なる場合は分けて記載してください。

振込先

報酬の入金先である振込先も請求書に記入します。記入する項目は、金融機関名・口座名義・口座の種類・口座番号です。

また、お金を振り込む際は手数料が発生します。この振り込み手数料をクライアントが支払うのか受注者側が支払うのかは、事前に明確にしましょう。契約時に振り込み手数料の取り扱いを双方で承認し、契約書に明記します。

特記事項

請求書には特記事項として、取引内容や条件に応じて情報を追加できます。記載内容は金額が大きい場合の分割払いの条件設定や、支払いが遅延した場合の遅延損害金などです。

請求書のフォーマットに特記事項の欄を設け、請求に必要な要件を書き込みます。特記事項がない場合は、「特になし」と記載しましょう。

適格請求書(インボイス)に関する項目

適格請求書(インボイス)の場合、普通の請求書の項目以外にも追加する項目があります。「請求書との関連性」で解説したとおりです。

項目に欠落があると、インボイス制度が適用されません。クライアントから請求書を差し戻しされてしまうため、漏れなく記載しましょう。

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業務委託の請求書の作成前にやること

請求書を作成する前には、単価交渉したり、交通費や経費の扱いを確認したりする必要があります。以下でやることを見ていきましょう。

単価交渉する

業務委託の契約締結時には単価交渉をしましょう。クライアントの提示する金額が自身のスキルに対して適正かどうかを考えます。納得がいかない場合は、客観的なデータを持って交渉に臨んでください。

交渉して双方納得のいく金額設定ができたら、契約書に記載します。金額だけでなく、業務内容や修正範囲なども明確に設定しましょう。単価設定に関しては、エンジニアの単価|計算方法や相場、市場価値の高い人材になる方法を解説を参考にしてください。

交通費や経費の上限額を確認する

対面でのミーティングや取材が必要な業務の場合、交通費が発生します。サブスクリプションサービスのアプリを使用したり、特殊な機材を購入したりする業務なら、経費もかかるでしょう。

交通費や経費など成果物以外にかかる費用負担については、請求書作成前にあらかじめ確認しておいてください。全額負担なのか、上限額を設定してその額以内で負担してもらえるのか決めるのが大切です。

振り込み手数料の負担者を決める

業務委託料を金融機関への振り込みで受け取る場合、振り込み手数料が発生します。この振り込み手数料をクライアントと請求者のどちらが負担するのか、契約締結時に決める必要があります。

この取り決め内容も契約書に明記してください。明文化すれば支払い時のトラブルを回避できるので、忘れずに記載しましょう。

提出方法を確認する

請求書の提出方法には、紙と電子データの2種類があります。効率性や費用、ペーパーレスの推進を考慮すると、電子データによる請求が望ましいです。電子帳簿保存法の施行やインボイス制度への対応を考慮すると、電子による請求が求められると考えられます。

ただし、電子データの場合、メール送付やクライアントが導入するシステムへの送付などフォーマットは状況によって異なります。事前に確認しましょう。

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業務委託の請求書作成時の注意点

請求書を作成する際にはどのようなことに気を付けるべきか、以下で注意点を説明します。

取引相手の締日に合わせる

契約先が法人の場合、報酬請求の締め日が定められています。請求書の作成前に締め日を確認しておきましょう。

締日以降を発行日として指定した場合、報酬の支払いが翌月以降になりかねません。契約先の締日と報酬額の振込日を事前に確認したうえで請求書を作成すれば、取引がスムーズになります。

書き方に気をつける

請求書を記載する際に気を付けるべき注意点がいくつかあります。取引企業によっては、請求書の記載事項が指定されている場合もあるため、初回取引時に確認しておくのも大切です。以下を参考にして請求書を作成してみましょう。

金額の書き方

請求書の金額の書き方に決まりはありません。金額の記載時、頭に「¥」をつけるのか、記号は使わずに後ろに円をつけるのかなど、契約先によって記入方法に違いがあるでしょう。契約先の書式に適宜合わせて金額を入力すると親切です。

また、金額は数字だけ記載するのではなく、3桁ごとにカンマをつけましょう。「1000円→1,000円」「10000円→10,000円」と表記を変えるだけでも分かりやすくなります。

消費税や振込手数料、源泉徴収の書き方

税込の金額・税抜の金額・消費税額を分けて請求書に記載する必要があります。

契約先が法人の場合は、報酬額から源泉徴収額を差し引いた分が受け取れる金額です。源泉徴収額がある場合は記載してください。源泉徴収額は業務によって計算方法が異なるため、契約先にあらかじめ確認しておきましょう。

源泉徴収については、「個人事業主が源泉徴収するケースとは?記載項目やポイント、計算方法を解説」を参考にしてください。

印鑑の種類に注意する

法人として請求書を作成する場合は角印が基本とされますが、はっきりと決まっているわけではありません。個人事業主の場合は代表者印でも問題ないとされています。印鑑については、「角印は個人事業主に必要?印鑑の種類や役割、適切なサイズ・デザインを解説」を参考にしてください。

明細は具体的に記載する

請求書の明細は可能な限り詳細に記録しましょう。特に、作業に対する対価や税額が重要です。請求額の対価として含まれる成果物も漏れなく記載してください。

また、通常税率が適用される項目と軽減税率が適用される項目は、明確に分ける必要があります。

交通費や経費については、立替経費であれば消費税の対象外です。領収書を添えたうえで提出しましょう。領収書の記入方法については、「個人事業主の領収書の書き方や保管方法について解説」を参考にしてください。

内容が正しいか十分にチェックする

請求書が完成したら、内容が正しいかを十分にチェックしてください。発行日は、請求書の右上に発行日を記載します。この日付は、あらかじめクライアントと決めた締日にしましょう。

加えて、金額の確認も欠かせません。見積書の金額と照らし合わせて、食い違いがないことを確認してください。

クライアントが法人であれば、源泉徴収税が差し引かれる場合があります。源泉徴収分をあらかじめ差し引いた請求も可能です。

電子データとして送付するときはPDFで作成する

請求書の作成はGoogleドキュメントやスプレッドシート、Microsoft WordやMicrosoft Excelなどを利用して作成することが多いようです。

ただし、電子データとして送付するときは、PDFに変換します。PDFにするメリットは、データを改変される危険性がなくなることです。また、PDFは表示形式が固定されるため、誰が開いてもフォーマットが崩れません。

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業務委託の請求書を簡単に作る方法

以下では、請求書作成に時間を費やしたくない方におすすめの方法を紹介します。

テンプレートを利用する

請求書のフォーマットに決まった形式はありません。とはいえ、形式が決まっていれば1から作成するよりも時間がかからずに済むでしょう。

現在、インターネット上では無料の請求書テンプレートが配布されています。ExcelやGoogleスプレッドシートに対応しているなど、機能面からテンプレートを選んでダウンロードすると、そのまま使用できて便利です。「フリーランスの請求書の書き方とは?無料テンプレートも紹介」でもテンプレートを紹介しているので、チェックしてみてください。

クラウドサービスを利用する

テンプレートの活用よりさらに手間をかけずに請求書を作成するなら、クラウドサービスを利用すると良いでしょう。オンラインで必要事項を記入するだけで、請求書の発行や郵送などをしてもらえます。

サービスによってはデザインが豊富で、ロゴなどを入れてオリジナリティを出すことも可能です。ただし、費用が発生する場合もあるためよく調べてから利用しましょう。

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まとめ

本記事では、フリーランスの方に向けた請求書の必要性や注意点などについてお伝えしました。作成するために確認しなければならないことがいくつかあり、大変だと感じることもあるでしょう。

とはいえ、請求書は手続きをスムーズにするだけでなく、トラブル防止の観点でも重要な書類です。テンプレートやサービスなどを利用しながら手間を省き、必ず作成しましょう。

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