最終更新日:2024年10月02日
この記事のまとめ
フリーランスという働き方は以前よりも身近なものになり、会社員だった人が独立することも珍しくなくなってきました。しかし、希望を抱いてフリーランスになったものの、想定したより収入が得られなかったり、忙しすぎて体調を崩してしまったりして、結局会社員に戻ってしまう人も少なからずいます。
そもそもフリーランスは多くの人が思い描くように、自分の裁量で仕事ができるのでしょうか。どのように仕事を得て、どれぐらいの収入を得られるのでしょうか。
フリーランスは身近になりつつある働き方ですが、明確な定義がなく、内閣府や厚生労働省といった国の機関であっても認識にズレが生じています。
そのため、ここでは、一般社団法人フリーランス協会(以下、フリーランス協会)のフリーランス白書2020
考え方を参考にし、フリーランスを「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」と定義し、同協会が実施したインターネット調査をもとに、どのような人がフリーランスとして活躍しているのか、どのような働き方をしているのかをチェックしていきます。
なお、データは2020年4月22日から5月9日まで行われた調査を参考にしています。
フリーランスとして働く人の属性は、男性52.4%、女性47.1%で、男性が5.3%上回りました。
年齢構成は、30~40歳代のミドル層と50~60歳代のシニア層で9割以上を占める結果となりました。
主な収入源となっている職種は、「クリエイティブ・Web・フォト系」「エンジニア・技術開発系」「出版・メディア系」「コンサルティング系」がトップ4を占め、専門的な知識やスキルを有している人が、フリーランスとして活躍しやすいことが分かります。
フリーランスとして働く人に今の働き方の満足度はどの程度かについてたずねたところ、十分な満足度が得られている人(「非常に満足」「満足」と回答した人)は7割未満にとどまっています。
具体的には、「働く環境(働く時間/場所など)」「達成感/充実感」「仕事上の人間関係」などについて満足度が高く、「社会的地位」や「収入」については満足度が低くなっています。
フリーランスという働き方は一般的になりつつありますが、まだまだ社会的地位は安定せず、思うような収入が得られていないと感じている人は少なくないようです。
現在フリーランスとして働いている人に、今の働き方を継続していく上での課題についてたずねたところ、「収入がなかなか安定しない」「社会的信用を得るのが難しい」点を挙げている人が多く、満足度の調査と同様の結果が得られました。
フリーランスとして働き続ける上で重要なこととしては、多くの人が「成果に結びつく専門性・能力・経験」「自分を売る力(セルフブランディング)」「人脈」と回答しています。
フリーランスは専門性やスキルを磨くだけでは不十分であり、営業力やマーケティング力なども求められます。次の仕事につなげるためには、人脈を広げることも重要です。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取る内閣官房日本経済再生総合事務局が、2020年2月10日から3月6日にかけて実施した統一調査であるフリーランス実態調査結果によると、フリーランスの人数は462万人(本業214万人/副業248万人)と試算され、これは日本の労働者者数6,666万人の6.9%に当たります。この調査結果からも、フリーランスはより身近な働き方になりつつと言えるでしょう。
フリーランスの増加や、日本政府の「一億総活躍」という方針などが後押しになり、ライフステージに合わせた働き方ができるフリーランスは、柔軟な働き方の1つとして注目度が高まっています。
日本俳優連合、MICフリーランス連絡会、一般社団法人 プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が、2019年7月16日から8月26日にかけて実施した、フリーランスへのハラスメントに関する調査によると、「パワーハラスメントを受けたことがある」と回答した人は61.6%、「セクシュアルハラスメントを受けたことがある」と答えた人は36.6%にものぼります。
この調査によって、多くのフリーランスが発注元の経営者や従業員、立場が上のフリーランスなどからのハラスメントに悩まされていることが明らかになりました。
日本においては、これまでフリーランスを保護する法律や規定がなく、無法地帯になっていたと言わざるを得ません。しかし、日本政府が「一億総活躍」をコンセプトに打ち出したこともあり、近年フリーランスを支援、保護する環境整備が急速に進められています。
2017年度は「雇用類似の働き方に関する検討会」において、フリーランス保護に向けて、実態把握と課題の整理がなされました。フリーランスが置かれている現状の課題が明確になったことを受け、今後、フリーランスを保護する法律や規定の整備が進み、働きやすい環境が整っていくことが期待されます。
フリーランス白書2020によれば、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の公開したことなどにより、日本において副業が解禁される流れとなっています。
一般社団法人 プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が2019年6月から2019年9月にかけて実施した企業へのインタビュー調査によると、副業を解禁した企業では、副業を制度化したことによって、視覚の多角化や宣伝効果、モチベーション向上、業績向上などの効果が得られています。
本業への支障や、従業員の過重労働を懸念する声はあるものの、副業の解禁によってさまざまな効果が得られていることから、今後も副業を制度化する企業は増加し、副業フリーランスもより身近になっていくと予想されます。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取るフリーランスとして働く人の中には収入が安定しないことに不安を感じてる人もいますが、実際どれぐらいの収入があるのでしょうか。会社員と比べて収入が低いのでしょうか。それとも高いのでしょうか。
ここでは、独立行政法人情報処理推進機構 IT人材育成本部が作成したIT人材白書2016のデータをもとに、会社員(IT企業IT技術者)とフリーランスの年収を比較していきます。
30代以下のフリーランスの年収は、300万円未満が35.3%と最も多く、300万円以上500万円未満が27.9%、500万円以上700万円未満が19.1%となっています。
対して、30代以下の会社員の年収は300万円未満は21.9%にとどまり、300万円以上500万円未満が50.1%、500万円以上700万円未満と回答した人は21.3%となっています。総合的に見ると、フリーランスは会社員に比べて、やや年収が低い傾向にあります。
しかし、30代以下のフリーランスの中に、年収700万円以上1,000万円未満が8.8%、1,000万円以上が8.8%いる一方で、30代以下の会社員は700万円以上1,000万円未満が5.5%、1,000万円以上が1.2%と低くなっています。フリーランスだからと言って一律に年収が低いわけではなく、若い世代でも実力があれば、高収入が期待できることが分かります。
フリーランスの場合、40代、50代になっても収入が上がらない人は少なくなく、年収が300万円未満と回答した人は40代で32.6%、50代で31.2%、300万円以上500万円未満が40代で31.8%、50代で29.8%と、30代以下の割合と比べてあまり差がありません。
一方、会社員の場合は、年収が300万円未満と回答した人は40代で5.0%、50代は4.1%、300万円以上500万円未満が40代で29.6%、50代で19.3%となっており、年齢が上がるにつれて、収入が低い人の割合は減少しています。
また、フリーランスの場合は、年収が1,000万円以上の高所得者の割合は、40代で6.2%、50代で2.3%と、年齢が上がるにつれて減少しています。会社員は年収が1,000万円以上の人は40代で5.0%、50代で11.9%にと増加しており、年齢が上がるにつれて、フリーランスと会社員間の年収差が広がっていくことが明らかになりました。
総合的に見ると、フリーランスは会社員に比べて年収は低い傾向にあります。また、会社員は年齢が上がるにつれて年収が増える傾向にありますが、フリーランスは年齢は年収にほとんど影響がありません。あくまで、実力によって収入が決まるため、スキルや実績不足のベテランフリーランスにとっては厳しい状況となっています。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取るフリーランスも、会社員と同様、年収から税金が差し引かれます。ここでは、フリーランスが支払わなければいけない税金・保険料について説明します。
ここでは、国税庁「所得税のしくみ」を参考に、所得税について解説します。
所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、課税所得金額に所得税の税率をかけて算出します。課税所得とは、1年間に得た全ての所得から所得控除を差し引いたものです。
日本の所得税は超過累進税率を採用しているため、所得が多くなるにつれて段階的に税率が高くなります。
尚、令和19年までは、所得税とあわせて復興特別所得税についても申告・納付しなければいけません。復興特別所得税は基準所得税額に2.1%の税率を適用して計算します。
次に、東京都主税局「個人住民税」を参考に、住民税について解説します。
個人の所得に対してかかる住民税は個人住民税とも呼ばれ、「都道府県民税」と「市区町村民税」で構成されます。尚、住民税は納税者が居住している各市区町村が「都道府県民税」と「市区町村民税」をあわせて課税・徴収しています。
会社員などの給与所得者は、6月から翌年5月まで12回に分けて、毎月給料から特別徴収されます。フリーランスは、区市町村から送付される納税通知書をもって、年4回に分けて納税します。
住民税の所得割は、前年の課税所得金額に住民税の税率をかけて計算します。住民税の税率は各自治体によって異なります。具体的な内容について確認する際には、自分が住んでいる市区町村に問い合わせするようにしましょう。
次に、東京都主税局「個人事業税」を参考に、個人事業税について解説します。
個人事業税は、地方法税等で定められた事業を行っている個人が申告・納付する税金です。現在、法定業種は70の業種があります。
法定業種は第1種事業、第2種事業、第3種事業の3つの分類されており、営んでいる事業がどの分類に当てはまるかよって税率も変わります。
第1種事業の税率は5%で、物品販売業、料理店業、保険業、印刷業、出版業、写真業、冠婚葬祭業など37業種が該当し、第2種事業は畜産業、水産業、薪炭製造業の3業種のみで、税率は4%となっています。
第3種事業は、医業、設計監督者業、税理士業、デザイン業、コンサルタント業、美容業、印刷製版業など30業種が該当し、税率は原則5%となっています。ただし、第3種事業であっても、あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業の税率は3%です。
個人事業税は、毎年3月15日までに、前年中の事業の所得を申告し、原則、8月、11月の年2回に分けて納付します。ただし、所得税の確定申告や住民税の申告をした人は個人事業税の申告・納付は必要ありません。
次に、国税庁「消費税のしくみ」を参考に消費税について解説します。
消費税は、商品や製品の販売、サービスの提供などの取引に対して、一律に課税される税金です。フリーランスを含む事業者が、事業として対価を得て行う取引のほとんどは課税の対象となります。尚、消費税が課税される取引は、地方消費税の課税対象にもなります。
消費税を負担するのは事業者ではなく消費者です。事業者には、消費者から徴収した税金を納付する義務があります。
税率は標準税率が10%(消費税率が7.8%、地方消費税率が2.2%)、軽減税率が8%(消費税率が6.24%、地方消費税率が1.76%)です。
ただし、土地の譲渡、貸付け、利子、保証料、保険料など、社会的政策な配慮などによって非課税となる取引もあります。どの取引が非課税取引になるのかは、国税庁のホームページで確認すると良いでしょう。
尚、課税期間の基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円を超えた場合に限り、消費税を納税する義務が生じます。基準期間の課税売上高と特定期間の課税売上高等が1,000万円以下場合は、その年の納税義務が免除されます。
次に、日本年金機構「国民年金保険料」を参考に国民年金保険料について解説します。
国民年金保険料は、法律によって、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の全ての人に加入が義務づけられています。保険料を納付し続けることによって、老後や、病気やケガで障害が残ったとき、家族の働き手がなくなったときに、年金を受け取ることができます。
令和6年度の保険料は1ヶ月当たり16,980円で、クレジットカードによる納付も可能です。まとめて前払いすることによって、割引が適用されます。平成29年4月から、現金・クレジットカード納付による2年前納ができるようになりました。長い目で見て国民年金保険料を抑えたい人は「国民年金保険料の「2年前納」制度」を確認すると良いでしょう。
尚、保険料は毎年見直されます。詳細は日本年金機構のホームページで確認することができます。
次に、港区「国民健康保険の保険料」を参考に国民健康保険料について解説します。
国民健康保険料は基礎賦課額、後期高齢者支援金等賦課額、介護納付金賦課額の3つで構成されており、病気やケガをしたときの診療費や、介護サービスを受けるときなどに役立てられます。介護納付金賦課額は、介護保険の第2号被保険者である40歳から64歳の人のみ負担します。
フリーランスは、会社の健康保険に加入していないため、原則、国民健康保険に加入し、国民健康保険料を納める必要があります。国民健康保険の料率などは居住する市区町村によって変わります。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取る会社員のときには、会社が給与から税金や保険料などを事前に引く源泉徴収を利用することができました。しかし、フリーランスの場合は、自分で確定申告し、税金や保険料を納める必要があります。
初めての確定申告は分からないことが多く、不安に感じている人も少なくないでしょう。適切に申告することで、手取額を増やすことも可能です。面倒くさがらずに、正しい知識を身につけておくことが推奨されます。
ここでは、フリーランスにとって必要な確定申告の基礎知識を紹介します。
以下では、国税庁「N0.2020 確定申告」や、国税庁「所得税の確定申告」を参考に、確定申告について解説します。
所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た全ての所得と、所得に応じた所得税等の額を計算し、税額を確定させる手続きです。原則として、申告したい年の翌年2月16日から3月15日までの間に申告手続きを済ませなければいけません。
フリーランスが確定申告をするためには、記帳と決算を行い、収支内訳書または青色決算書を作成する必要があります。前々年分の課税売上が1,000万円を超える場合は、消費税分の確定申告も忘れずに行いましょう。
申告書や収支内訳書などの書き方は、国税庁のホームページで公開しています。
フリーランスの確定申告は「青色申告」または「白色申告」のいずれかを選ぶことができます。
「青色申告」をするためには、税務署に事前に届け出る必要があり、取引の内容を帳簿に細かく記載しなければいけませんが、一定の要件を満たすことで「青色申告特別控除」などの特典を受けることができます。所得控除を活用して手取額を増やしたい人は、青色申告がオススメです。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取るフリーランスという働き方が身近になり、副業フリーランスを希望する人も増えてきました。
ここでは、フリーランス白書2020やIT人材白書2016などを参考にしながら、フリーランスの将来性について考えていきます。
政府の「一億総活躍」のコンセプトや副業解禁の流れが後押しとなり、フリーランスを支援、保護する制度の整備が進んでいます。
2020年2月に行われた「未来投資会議」においても、兼業・副業の促進やフリーランスの契約ルール整備などが、成長戦略の柱の1つとして盛り込まれていることから、フリーランスが働きやすい環境が急速に整うことが期待されます。
フリーランスならではの柔軟性が高い働き方はやはり魅力的です。働きやすい環境が整うとともに、フリーランスを希望する人は、今後、増加していくことが予想されます。
フリーランス白書2020やIT人材白書2016によれば、企業の副業解禁やテレワークの推進などによって、会社員であっても、以前よりも柔軟な働き方ができるようになってきました。近年では、テレワークの拡大によって、フリーランスと会社員の差分が失われつつあると言えるでしょう。
総務省「令和元年通信利用動向調査」によると、企業において、テレワークを導入しているのは約5割で、在宅で働く人の割合は年々増加しています。
テレワークの導入によって、従業員の移動時間が短縮できたり、従業員のワークライフバランスが向上したりするなどのメリットが得られることから、今後、リモートワークを活用したワークスタイルは、ますます一般的になり、フリーランスと会社員の差分は埋まっていくと思われます。
以上のことから、柔軟な働き方を希望している人にとっては、追い風が吹いていますが、フリーランスとして働き続けていくためには、成果に結びつく専門性・能力・経験を磨いていくとともに、営業力やマーケティング力なども身につけていく必要がありそうです。
フリーランスになるかの情報収集に
おすすめの案件を受け取る政府の方針も後押しとなり、フリーランスが働きやすい環境が整いつつあります。そのため、フリーランスという働き方はより一般的になり、社会的地位も確立されていくことでしょう。
しかし、フリーランスと会社員の差分が失われつつあるため、実績やスキルに乏しいフリーランスは、仕事探しにより苦労をするようになるかもしれません。
フリーランスとして活躍し続けていくためには、実績を積みながらスキルを磨き、発想力や営業力、マーケティング力などのプラスαの能力を身につけていくことが推奨されます。
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