フリーランスの始め方とは?手続きや注意点について解説!

最終更新日:2024年09月24日

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この記事のまとめ

  • フリーランスとは、特定の組織に所属せず専門スキルで報酬を得る働き方であり、個人事業主として活動することが多い
  • フリーランスのメリットは、ワークライフバランスの自由度、成果に応じた収入、キャリア形成の自由度、定年がないなどがある
  • フリーランスになるには、開業届や社会保険の手続きが必要であり、仕事確保のために人脈形成、エージェントやクラウドソーシングの活用などが有効である

フリーランスとは

ライフスタイルの多様化と共に、フリーランスという働き方が注目されています。では具体的にフリーランスになるためには、どのようなことをすればよいのでしょうか。
まず「フリーランスとはどのような働き方なのか」を見ていきましょう。

フリーランスの定義

フリーランスを端的に表現すると、概ね以下の2つに集約されます。

  • 特定の企業や団体、組織に所属(専従)していない
  • プロフェッショナルとしての技能を提供し、報酬を受け取る

2つ目についてはは、個人で仕事を請け、それを完結させることで売り上げを得るという働き方と言い換えることも可能です。実際にこういった形で仕事をしている人たちはさまざまな分野に存在し、フリーランスという働き方は思ったより身近なものであるとも言えます。

なお「働き方」をフリーランス、「フリーランスとして活動する人」をフリーランサーと区別することがあるので、覚えておきましょう。

個人事業主との違いとは

多くのフリーランスは、個人事業主として仕事をしています。フリーランスと個人事業主の違いも、知っておきましょう。

前述の通り、フリーランスとは「働き方」を示します。一方で、個人事業主とは税法上の区分であって「反復・継続して事業を行う独立した個人」のことを示すものです。会社などの法人を設立して活動するフリーランスも存在しますので、フリーランスと個人事業主は完全には一致しませんが、同様の意味で捉えても概ね問題はありません。

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フリーランスのメリット

フリーランスという働き方は、会社員のように特定の所属先を持つ働き方とは違いがあります。そのメリットについて見ていきましょう。

ワークライフバランスを取りやすい

フリーランスという働き方により得られるメリットとして、ワークライフバランスの取りやすさが挙げられます。在宅での仕事をメインにすることができれば、働き方の制約が少なくなるので、家事や育児、介護などと仕事の両立が実現できる可能性が大きくなります。

ただし、その分フリーランスとして活動する上で時間管理や業務量の調整といった、会社員時代は意識することがなかったことを留意する必要があります。それでも、さまざまな事情で仕事の継続が困難になっている人たちにとっては、時間の使い方が自由になることが非常に大きなメリットとなり得ます。

成果次第で収入を向上させられる

フリーランスにとっては、仕事での成果は非常に大きな意味を持ちます。高い専門性やスキルを持つフリーランスですから、仕事で成果を残すことは、収入に直接関わります。

実際は企業や案件にもよって、1000万円を超える収入を得ているフリーランスは決して珍しくありません。フリーランスという働き方は、会社員と比較しても高収入を実現しやすい面を持つと考えてよいでしょう。

キャリア開拓・形成の自由度が高い

会社員などのように組織に所属して働く場合、多くの場合は割り当てられた業務を担当することになります。このことは、しばしば自身の思い描いていたキャリア形成が難しくなることを意味します。
会社の方針と自分の意図に食い違いが生まれることがありますが、これに対してフリーランスは、自身の意思をキャリア開拓や形成に反映させる余地が大きくなります。仕事を通じて効率的なキャリアアップを実現することができますし、必要に応じて路線を修正することもできる働き方とも言えます。

定年や退職といった概念にとらわれない

会社員には、ほとんどの場合で定年があります。厚生労働省が毎年実施している「就労条件総合調査」で、令和4年に定年制についての調査が行われています。

これによると、94%強の企業には定年制があり、うち70%ほどの企業が60歳を定年年齢と定めていることがわかります。公的年金の受給開始年齢は原則65歳以上であり、定年後の再雇用の制度があるとはいえ、不安は残ります。

フリーランスの場合、定年や退職の概念がありません。需要のあるスキルでの仕事を継続できる限りは、収入を得ることが可能です。将来を考えた際には、大きな魅力と言えそうです。

税負担を軽減できる

開業届を所轄の税務署に提出し、個人事業主として事業を行う必要がありますが、税負担を軽減できることもフリーランスのメリットと言えます。代表的なのは、事業にかかる費用を経費として計上可能ということです。領収証など、金銭の出入りを示す帳票類は保存しておく習慣をつけておくとよいでしょう。

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フリーランスにおすすめの業務

組織に属さないのがフリーランスという働き方と考えると、あらゆる職種に対応する働き方であると言うことができます。意外に思われるかも知れませんが、弁護士や税理士などの士業にもフリーランスは少なくありませんし、農業や漁業といった第一次産業の従事者も多くがフリーランスです。

とはいえ、これらの仕事を生業にするためには資格や相当な初期投資が必要です。フリーランスという働き方と相性がよく、独立を果たしやすい職種には、他にどのようなものがあるのでしょうか。

ITエンジニア

フリーランス向きの職種として、代表的なのがITエンジニアと言ってよいでしょう。Webサイト、システム、アプリケーションの設計にはじまり実際の構築や運用、保守といった仕事を行います。

活動範囲も広く、フリーランスであってもコンサルティング業務に携わることができるなど、専門性の高い業務にあたることが可能です。ITエンジニアへの需要は旺盛であり、実務経験や専門性が高ければ高単価の案件を受注することも可能で、収入の上昇が見込める職種と言ってよいでしょう。

デザイナーやイラストレーター

センスや技術を活用できる「クリエイター」と呼ばれる業界も、フリーランス向きであると言えます。これらの仕事は一般に担当範囲が明確であるため、発注者サイドとしても作業を切り出しやすい性質があります。

いずれの職種にも言えることですが、専門知識や技能については意識して研磨しておきましょう。また、自身の作品集であるポートフォリオを作成しておくことで、特性が明らかになりアピールポイントも明確になります。

翻訳者

フリーランスで、翻訳の仕事に携わる人は少なくありません。PCとネットワーク環境があれば場所を選ばないという特性があります。翻訳の仕事における報酬は、案件単位や単語数で換算されますので、細かな時間であっても作業時間に充当しやすいという面もあります。

翻訳の仕事については語学力だけでなく、専門的な知識も求められます。知的財産権関連など、付加価値の高い仕事であれば単価も上がりますので、経験を積んでいきたいところです。

ライター

記事作成を行う仕事です。翻訳と同様PCとネットワーク環境があれば場所を選びませんので、フリーランス向きの仕事であると言うことができます。

ただし、付加価値の高いコンテンツを書くことができない限りは、ライター専業で食べていくことはかなり厳しいのが現状です。SEOに関する知識や、分野ごとの専門性を持つライターであれば、単価アップの可能性がありますので、それらのスキルを向上させることも考えましょう。

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フリーランスになるには?

フリーランスになるためには、具体的にどのようなアクションが必要なのでしょうか。

手続きなどは別途述べていきますが、フリーランスにとって何よりも重要なのは「仕事の確保」です。以前働いていた職場から大方の業務の委託を受けるといった幸運なケースはさておき、仕事を確保する手段や方法については独立前にある程度、道筋をつけておいたほうがよいでしょう。実際にはどのような方法があるのでしょうか。

営業活動と人脈形成

フリーランスの仕事確保は、自身で営業を行うことが基本となります。積極的な営業活動は仕事を得るチャンスの拡大につながります。

ただ、まったくコネクションのない状態からスタートしても、すぐに成果が上がるわけではありません。知人や友人、かつての同僚といった人脈は最大限活用したいものです。過去の人脈はしっかり確保した上で、会合等があれば積極的に参加し、顔と名前を覚えてもらう努力も必要です。

エージェントの積極的活用

営業活動が苦手な人の場合、フリーランスを対象とするエージェントの活用を検討しましょう。より良い条件の仕事を受注できる可能性が高まります。

案件の終了が近くなれば、新しい案件を提案してもらえることもエージェントを活用するメリットのひとつです。フリーランスが悩みがちな税務申告などのサポートを受けることもできますので、エージェントの活用は積極的に検討するとよいでしょう。

クラウドソーシングサービス

フリーランスとしての実績が少なくとも、比較的容易に仕事を見つけやすいのがクラウドソーシングサイトです。単価は低めではありますが、フリーランスとしての実績作りのためには有効なツールと言えます。

SNSやブログの活用

フリーランスの営業ツールとしては、SNSやブログも有効です。実績やスキルをブログに掲載してアピールすることや、SNSや知識共有サイトで自身の持つスキルを公開するといったところから、仕事に繋がることがあります。

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フリーランスになる手続き

さて、実際にフリーランスになるためには、以下のような手続きが必要となります。
必要な手続きを把握して実際に活用してください。

  • 税務関係の手続き
  • 開業届の提出
  • 青色申告承認申請書の提出
  • 社会保険関係の手続き
  • 年金の切り替え
  • 健康保険の切り替え
  • 労災保険(特別加入)

順番に確認していきます。

開業届の提出

最初に行うべきことは、所轄の税務署に出向いて開業届を提出することです。正式名称は「個人事業の開廃業届出書」で、これを提出することにより、税法上の個人事業主として認められることとなります。

「フリーランスとして仕事をする」という観点だけで言うと、開業届の提出は必須ではありません。しかし提出によるメリットは大きく、以下がその主なものとなります。

  • 青色申告が可能になる。
  • 屋号を決めて開業すれば、屋号名での銀行口座が開設可能になる。
  • 小規模企業共済への加入が可能になる。

提出期限は、事業開始から1ヶ月以内とされているので、早めに提出しましょう。開業届の記載は難しいものではありませんが、分かりにくいことは税務署で質問ないし、相談すれば教えてもらえます。

なお、職種によっては個人事業税の対象となりますので、都道府県税事務所への開業届が必要になります。フリーランスに多いITエンジニアやライターは法定事業には含まれないため対象外ですが、コンサルタント業やデザイン業は法定事業ですので、忘れずに対応しましょう。

青色申告承認申請書の提出

個人事業主の場合、税務申告の方法として白色申告と青色申告のどちらかを選ぶこととなります。簡易的な帳簿があれば足りる白色申告に対し、青色申告は帳簿への記載がやや複雑となります。

ただ、青色申告を選ぶことのメリットは大きく、特に青色申告特別控除は最大で65万円の控除を受けることが可能です。開業したばかりで青色申告を行うには負担が大きい場合は、まず白色申告から開始し、事業が軌道に乗ったところで切り替えてもよいでしょう。切り替えの場合、青色申告にしようとする年の3月15日までに手続きを行う必要があるので注意が必要です。

年金の切り替え

企業で厚生年金に加入していた人の場合、国民年金への切り替えが必要になります。厚生年金の資格喪失に関係する手続きは会社が行いますが、国民年金への加入は自らが手続きを行う必要があるので、忘れないようにしましょう。

手続きは、居住する市区町村の役所あるいは役場において、退職後14日以内に行うことが推奨されています。年金手帳、身分証明書、印鑑、前職の退職を証明できる書類を用意することになりますが、これらの詳細については事前に問い合わせることをおすすめします。

健康保険の切り替え

健康保険に関しては、企業などの健康保険からは脱退することになりますので、以下のいずれかを選択する必要があります。

  • 国民健康保険への加入
  • 加入している健康保険の任意継続

任意継続を選ぶ場合は、退職後20日以内の手続きが必要となります。会社員の場合は会社側が負担していた保険料を自身で払う必要があるため、保険料は2倍となります。

そのように聞くと、国民健康保険を選びたくなる人が多いと思います。ただし、国民健康保険と任意継続とで、どちらの保険料が適当かは非常にわかりにくいのが実情です。事前に居住地の市区町村役場、国民健康保険担当部署に問い合わせるとよいでしょう。

日本は国民皆、保険制度を採っているので、健康保険の切り替えは確実に行いましょう。

労災保険への加入

働く人にとって、通勤を含む労働時間中に病気になる、負傷するなど万一のことがあった場合の支えになるのが、労災保険です。

会社員は強制的に加入している労災保険ですが、個人事業主は原則として加入は認められていません。一定条件を満たした個人事業主が加入できる制度が特別加入で、保険料は自己負担とはなりますが、対象になる人は検討してもよいでしょう。

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フリーランスになるまでにやるべきこと

フリーランスとして独立することで、会社員時代には問題もなかったことで手間が取られるケースがあります。また、フリーランスの準備の中には、早い段階から準備が必要なものもあります。

クレジットカードの契約

フリーランスになると、会社員と比較して収入が安定しないと判断されてしまうことが多く、クレジットカードが作成しにくくなります。

既に保有しているクレジットカードを、事業の決済に用いる場合はその限りではありません。カードを持たない場合、あるいは事業用のカードが欲しいと考えている人は、退職前に作成しておきましょう。

住宅ローンの手続き

クレジットカードが新規で作成しにくくなるのと同等の理由で、ローンが組みにくくなることもあります。住宅の購入を検討している場合も、退職前に行うことが望ましいケースがあるので留意しましょう。

もちろん、事業と収入が安定すれば、住宅ローンの審査は通りやすくなります。住宅の購入を急ぐのか、先延ばしできるのかを十分検討した上で判断しましょう。

事業用口座の作成

必須ではありませんが、事業用の専用口座を作成しておくと便利です。プライベートとの共用口座を利用してもいいのですが、帳簿をつけるときの仕事が煩雑になります。フリーランスにとって、こういった作業は必須ですが、早めに準備していくことで手間はできるだけ省いていきましょう。

なお、屋号での口座は開業届を提出しないと作ることができません。個人名の口座であれば、開業前でも作成することができます。

会計ソフトの準備

フリーランスとして仕事を行う場合、税務申告が必要になります。業務以外に発生するこういった作業の手間を軽減すること、また正確な税務申告のためにも、会計ソフトの利用をおすすめします。

近年では、オンラインで利用できる会計ソフトも多くなっており、使い勝手も向上しています。選定にあたっては自身でサイトなどを確認したり、実際にオンラインの会計ソフトを利用している知人に聞いたりするとよいでしょう。

保育園や学童の確認

子供がいる人の場合、忘れてはいけないのが保育園、あるいは学童に関する確認です。仕事のやり方が変わる可能性があり、それによってこれまでは保育園や学童に預けることができていたものが、不可となることがあります。

自治体によって判断基準が違いますので、手続きや書類が必要な場合には、事前に市区町村役場の担当部署へ相談することをおすすめします。

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まずは副業から

フリーランスに求められるのは高い専門性とスキル、すなわちプロフェッショナルとしての力量です。独立に際しては、プロフェッショナルとして十分に通用する知識や経験を身につけておくのが、あるべき姿と言えます。

そうでない場合、独立後の安定的な案件獲得も難しくなります。結果として、金銭面で窮地に陥るかも知れません。そうならないためにも独立前にフリーランスとして一定水準の評価を得られるよう、経験を重ねておくことが必要です。

しかし、実際に仕事を行いながら、そういった経験を効率的に積むことは容易ではありません。そこでおすすめなのが、休日などを利用した副業での活動です。独立のためのノウハウを効率的に学ぶことができますし、将来的に独立を考えている人が、副業からはじめるケースも少なくありません。

副業を行う場合に注意したいのは、現在所属している企業などが「副業を認めているかどうか」です。就業規則に記載されている該当箇所を確認し、必要に応じて総務部門などに質問してみましょう。近年では政府も副業を推奨していることもあって、副業を認める企業は増加傾向にあります。

とはいえ、全面的に副業不可という企業もありますし、競合相手での副業は認めていない企業もあります。将来の独立を見越して副業を開始することは有効ですが、所属している企業の決まりごとは遵守しましょう。

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まとめ

一定水準以上のスキルを持つ人にとって、フリーランスという働き方は非常に魅力的です。そのために必要な心構えや準備はもちろんありますし、簡単なことばかりではありませんが、十分な計画を立てて実行に移すことができれば、さほど恐れるようなものではありません。

自身のスキルに不安がある場合も、副業という形での準備が可能なこともあります。フリーランス専門のエージェントを利用することで、不安を軽減することも可能です。自身のキャリア形成をイメージした上でのフリーランスへの転身は様々な経験をもたらすため、積極的にチャレンジする価値があると言えます。

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