フリーランスはやめたほうがいい理由は？メリットや続けるためのコツも解説

「フリーランスはやめたほうがいい」といわれることがあります。フリーランスが抱える多くのデメリットが原因です。しかし、フリーランスにはメリットもあり、続けるためのコツも存在します。本記事では、やめたほうがいいといわれる理由やメリット、向いている人と向いていない人、続けるためのコツをまとめて解説します。

フリーランスはやめたほうがいいといわれる理由

フリーランスには多くの不安要素があるので、SNSでは「やめたほうがいい」という意見も出ているようです。ここでは、フリーランスはやめたほうがいいといわれる8つの理由を紹介します。

また､｢フリーランスとはどんな人？言葉の意味や働き方の種類、始め方を解説｣の記事ではフリーランスについて紹介しているので興味のある方はご覧ください｡

1.収入が安定しない

フリーランスの大きなリスクは、収入が不安定であることです。会社員のように固定給はなく、成果によって収入が変動します。単月で高収入を得ても翌月同じだけ稼げる保証はないといえます。

特に、駆け出しの時期は収入が少なくやりくりが大変でしょう。収入を安定させるには、複数の会社と契約し、一社の収入に依存しないのが大切です。

2.福利厚生がない

フリーランスは会社員が享受する福利厚生を受けられません。傷病手当や有給休暇がなく、怪我や病気で働けなくなると収入が途絶えるリスクがあります。

さらに、厚生年金の対象外で、老後の生活費が不足する恐れも。こうしたリスクを考慮して、将来のお金について計画する必要があるでしょう。

3.社会的信用の確保が難しい

フリーランスは収入が不安定であることが理由で、社会的信用が低めです。たとえば、賃貸物件の契約・住宅ローン・クレジットカードの審査に通りにくくなります。

特に、独立して間もないころは、収益があっても長期的な収益を担保できるとはみなされにくいようです。金融機関からの信用度が低く、審査に通らない可能性があります。フリーランス専用サービスを利用する、退職前に審査を終わらせるなどの工夫が必要です。

また、日本ではまだまだフリーランスに対する風当たりが厳しく、周囲から理解されない場合もあります。

4.スキルを維持・向上しなければならない

フリーランスは常にスキルの維持・向上が求められます。ライバルに仕事を奪われないために勉強し続ける必要があります。

しかし、研修や勉強会が用意されている会社員と違い、フリーランスのスキルアップの環境や支援は整っていません。スキルアップにかかる費用はすべて自己負担です。

また、仕事や営業、事務作業と並行して学ぶ時間を確保しなければなりません。さまざまなことをこなす必要がある大変さから、「フリーランスはやめておけ」といわれます。

5.仕事に追われやすい

フリーランスは働く場所や時間が自由な働き方です。しかし、家でも仕事のことを考えてしまい、常に追われる感覚に陥りやすいともいえます。

仕事とプライベートの切り替えが苦手な人は、休みの日でもチャットやメールをチェックしてしまい、ライフワークバランスが崩れる恐れがあります。

また、独立直後は低単価が続き、生活のため休みなく働くこともあるでしょう。自由とはほど遠い現実に直面する可能性があります。

6.景気に左右されやすい

フリーランスは景気に左右されやすく、不安定な働き方です。

スキルや実績があっても、景気が悪化すれば契約を切られます。たとえば、新型コロナウイルスの影響で会社の業績が悪化すると、フリーランスとの契約が真っ先に見直されるでしょう。

会社員はすぐに解雇されにくい立場ですが、フリーランスはある日突然無収入になるリスクもあります。

7.事務手続きが面倒

事務手続きが面倒なのもフリーランスのデメリットです。

自分の仕事に対して収入を得ている以上、確定申告が必要です。会社員と違い、すべての手続きを自分でしなければなりません。確定申告のほか、開業届の提出や各種契約手続きなども必要です。

これらの手続きに多くの時間を取られるため、大変負荷がかかります。税務面に関することは税理士へ依頼するなどの対応も必要でしょう。

8.退職金がもらえない

フリーランスは退職金がもらえません。年金も会社員に比べて低く、将来の金銭面には不安があるでしょう。

将来の生活費を確保するために、小規模企業共済や国民年金基金などを利用して自力で退職金を積み立てる必要があります。

フリーランスは現在の収入だけでなく、将来の貯蓄にも注意を払いましょう。「やめとけば良かった」と後悔しないためにも、計画的な資金管理が重要です。

フリーランスのメリット3選

フリーランスには多くのメリットがあります。ここでは、フリーランスのメリットを3つ紹介します。フリーランスを検討している方はぜひ参考にしてください。

1.高収入が狙える

フリーランスは実力があれば、会社員に比べて高収入が望めます。会社員は収入が安定している反面、昇給の幅に限りがあります。また、昇給の機会は年に1〜2回程度でしょう。

フリーランスは成果や仕事量、作業効率の向上によって、短期間で収入を大幅に増加させられます。高単価案件の受注や自分のプロダクト開発など、努力が直接収入に反映される働き方であり、スキル次第では会社員以上の高収入を目指せます。

2.自由に働ける

フリーランスは、仕事・働く時間・場所を自分で選べる働き方です。会社員と違い、仕事内容や契約相手、契約方法、報酬などはすべて自分で選べます。働く時間や場所も、納期や情報漏洩に気をつける限りは自由です。

さらに、子育てや副業と両立しやすいメリットもあります。インターネット環境があればどこでも仕事ができることが多く、ライフスタイルに合わせて柔軟に働けます。

好きな分野や特技を仕事にするだけでなく、望むように働くことでモチベーションを高く維持できるでしょう。

3.人間関係の悩みが減る

フリーランスになることで、人間関係の悩みが減ります。会社員は固定された人間関係で過ごし、自分の好みや都合で人付き合いを変えるにも限度があるでしょう。

しかし、フリーランスは誰とどのように付き合うかを自分で決められます。苦手な取引先とは、契約終了後に関係をすっぱりと切れます。固定された人付き合いがなくなるので、人間関係の悩みが減るでしょう。

フリーランスに向いている人

兼業や副業が定着している昨今は、自由に働けるフリーランスに憧れる人が増えています。ここでは、フリーランスに向いている人の特徴を5つ見ていきましょう。

専門的なスキルがある人

フリーランスとしての成功はスキルに左右される傾向にあります。

高いスキルがあれば高単価案件を受注でき、収入も上がります。実務経験が豊富でスキルが高い人は、フリーランスとして即戦力になりやすいです。市場価値が高く、多くの企業で求められるでしょう。

また、向上心があり、現状に満足せずにスキルを磨き続ける姿勢も重要です。フリーランスにとって、専門知識を深めるのが成功の鍵となります。

主体的に働きたい人

フリーランスはいわれたことをこなすよりも、自分のやりたい仕事を探したい人、主体的に働ける人に向いています。

フリーランスは自己裁量で仕事を進め、自由なペースで働けるのが魅力です。やりたい仕事を選びながら、プライベートとの両立も可能です。安定よりも自由を求め、自主的に行動できる人は、フリーランスとして成功しやすいでしょう。

自己管理ができる人

フリーランスは自己管理能力が求められます。

仕事のスケジュールや報酬、体調の管理まですべて自分でしなければなりません。納期に遅れるとクライアントの信頼を失い、仕事が途切れる恐れがあります。スケジュール管理は特に重要といえるでしょう。

フリーランスは自由度が高い反面、管理を怠ると収入に大きな影響が出るため、自己管理能力が不可欠です。

メンタルが安定している人

フリーランスには安定した強いメンタルが求められます。

フリーランスは仕事が少ない時期や不景気によるキャンセルなど、不安定な状況に直面することが多くあります。このようなストレスに耐えられる強いメンタルが必要です。

また、同時に変化を楽しめる力も大切です。収入や仕事量が変動しているときでも、前向きに考えて行動できる人はフリーランスに向いているでしょう。クライアントや仕事内容が頻繁に変わる環境を楽しめる人こそ、フリーランスで成功しやすいといえます。

営業力に優れる人

営業力が優れている人はフリーランスになった際も活かせる能力です。いくら技術的な経験やスキルをもっているだけで仕事は得られません。

営業に必要とされるコミュニケーション力や折衝力を活かし、相手の課題を解決する方法を提案してはじめて、仕事を依頼してもらえます。営業力に自信がない人は、SNSやマッチングサービス、エージェントなどの活用がおすすめです。

また、営業が成功した後もクライアントとの関係を良好に保つ必要があります。メールやチャットをはじめとしたコミュニケーションを円滑にできるよう意識しましょう。素早く丁寧、かつ誠実に対応すれば信頼を得られるので、継続的に依頼をしてもらえます。

フリーランスに向いていない人

ここでは、フリーランスに向いていない人の性格や特徴を3つ紹介します。自分が当てはまっている場合は、フリーランスになるかどうかを今一度考え直しましょう。

自己管理が苦手な人

まず、自己管理が苦手な人はフリーランスに向いていません。フリーランスは、スケジュールや金銭管理を自分1人でする必要があります。特に、締め切りの管理を怠るとクライアントからの信頼を失い、仕事がなくなるでしょう。

自己管理ができない状態でフリーランスになった場合、クライアントに迷惑をかけるだけでなく、自分自身のストレスにもつながります。決められたスケジュールをこなしたい、規則正しく働きたい人は、会社員が向いているでしょう。

孤独感を感じやすい人

孤独感に耐えられない人には、フリーランスはおすすめできません。

フリーランスは自由が魅力ですが、同僚や上司がいないため孤独を感じやすい働き方です。孤独感がメンタル面に悪い影響を与える人は、働いているだけでストレスを感じるでしょう。

孤独感を軽減するには、フリーランス同士のコミュニティに参加したりプロジェクト単位でチームを組んだりするのがおすすめです。ただし、基本的には孤独を感じやすい働き方なので、1人に耐えられない人は会社員が適しています。

安定して稼ぎたい人

安定を望む人はフリーランスに向かない可能性があります。フリーランスは短期的な仕事が多く、収入が安定しない点が課題です。

また、新しい案件やスキルの磨き直しなど、常に変化が求められます。スキル不足や成長の機会の少なさから不安を感じることもあるでしょう。安定した生活や収入を求める人は、こうした不確定要素がストレスになります。

やめたほうがいいといわれてもフリーランスで働くコツ

フリーランスとして働くのは不安が伴いますが、成功するコツを押さえると上手くいく可能性が高まります。ここでは、やめたほうがいいといわれるフリーランスの道を選ぶときのコツを8つ見ていきましょう。

スキルを磨く

フリーランスで成功するには、専門分野のスキルを磨くことが重要です。高いスキルがあるほど、高単価案件を受注できます。自己研鑽力して、フリーランスになる前からスキルアップを図りましょう。

自分のスキルを棚卸しして必要なスキルを把握し、不足部分を補強する目的で書籍やセミナーを活用します。また、副業で経験を積めば、報酬の相場やクライアントとのやり取りも学べます。

営業力やコミュニケーション力を身につける

フリーランスは営業力やコミュニケーションスキルが重要です。自分で仕事を取る営業力や人脈を築くコミュニケーション力があれば、十分に成功できるでしょう。

普段から人とのつながりを大切にし、丁寧な対応でクライアントと良好な関係を築きます。クライアントとうまくコミュニケーションが取れれば受注機会が増え、安定した収入につながります。

営業のやり方が詳しく知りたいという方は､｢フリーランスの営業のやり方とは？成功させるコツや戦略も紹介｣の記事も参考にしてみてください｡

フリーランス向けのサービスを使う

フリーランスは社会的信用を得にくいため、資金調達や社会的信用の向上を目的に専門サービスの利用が有効です。日本政策金融公庫や信用金庫が提供する融資は、低金利で審査が通りやすく、長期返済が可能な点が魅力です。

また、返済義務のない補助金や助成金も選択肢に含まれます。申請に手間がかかるものの、返済不要である点が大きなメリットといえます。

エージェントに加入する

フリーランスエージェントは、案件獲得のサポートだけでなく、補償や福利厚生を提供するサービスです。市場価値診断や契約サポート、さらには医療や住居のサポート、レジャーの優待などが受けられるところもあります。

エージェントを利用すると、仕事探しやリスクに対する安心感が得られます。フリーランスになる前から登録しておけば、市場価値の把握にも役立つでしょう。

フリーランス同士のつながりや人脈を作る

フリーランスには人脈が欠かせません。現在の人間関係を大切にしつつ、新しい人脈を広げましょう。また、会社員からフリーランスへ転身する際は、円満退社を目指してください。そうすれば、前の職場の人脈をフリーランスの仕事に活かせます。

フリーランスの仲間を作ると情報を得やすくなり、独立後の不安を軽減できるでしょう。知人やフリーランス仲間の人脈を使って案件を獲得すれば、営業をする手間が省けます。

仕事をする上での目標を立てる

フリーランスとして働く際、目標の設定の達成のためのスケジュールを立案しましょう。

目標が仕事のモチベーションとなります。また、スケジュールを立てれば取る行動が明確になり、今の仕事や行動が目標達成につながるかどうかを判断できます。

仕事量や生活に関するマイルールを設定すると、健康的な生活を維持できるでしょう。仕事に追われることなく目標達成に向けて着実に進むには、これらのスケジュールやルールが欠かせません。

顧客の需要を把握する

仕事探しやスキルアップをするときには、顧客の需要も分析しましょう。顧客が求める緻密さやスピード感、プロジェクトのリーダーシップなどに応じて対応をすると、案件の継続が期待できます。

また、需要が伸びている分野の仕事を選ぶのも成功の鍵です。需要のある分野のスキルは、これからの安定した収入につながるでしょう。顧客からフィードバックを受けながら、常に求められる人材であり続ける努力が求められます。

将来の貯蓄を補助する制度を利用する

フリーランスは年金や退職金がないため、小規模企業共済や国民年金基金に加入することをおすすめします。

小規模企業共済は月1,000円から70,000円まで積み立てられ、個人事業を廃業した際にも受け取る制度です。また、掛金は全額所得控除の対象外であり、節税に役立つでしょう。国民年金は公的な年金制度で、保険料を払えば定年後に終身年金が提供されます。

これらの制度を活用すると、将来の貯蓄を補助しつつフリーランスとして働ける環境を整えられます。

制度については､｢個人事業主向けの年金や健康保険は？代わりになる制度も紹介｣の記事でも役立つ情報を紹介しています。

まとめ

「フリーランスはやめたほうがいい」といわれる理由を紹介しました。主な原因は、収入が不安定なこと、福利厚生・年金・退職金がないこと、社会的信用が低いことなどです。

フリーランスは自由度の高い働き方ですが、自ら営業活動・事務作業をする必要があり、自己管理能力が求められます。こうした理由から、安定した会社員のほうがいいと考える人も多いでしょう。

しかし、準備と対策次第でフリーランスとして成功することも十分に可能です。フリーランスへの転身を考えている際は、ここで解説した内容をぜひ参考にしてください。