サラリーマンと個人事業主を両立するには?両者の違いや開業手続きを解説

最終更新日:2024年10月02日

サラリーマンをしながら個人事業主になりたいと考える人もいるでしょう。個人事業主とサラリーマンの違いやメリット・デメリット、手続きを知ればスムーズに行動できます。

本記事では、サラリーマン生活と個人事業主を両立させるときに知りたい情報を紹介します。個人事業主になるか悩んでいる会社員の方は、ぜひ参考にしてください。

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サラリーマンと個人事業主の両立は可能

会社員は法律上、副業を禁止されていません。そのため、本業と副業の両立は可能で、開業届を出せば個人事業主になれます。

ただし、副業を禁止する会社も存在します。就業規則に違反して副業を始めると免職や減給など厳しい処分になることもあるため、事前に会社に確認しましょう。

また、副業を始めたサラリーマンは個人事業主にならなくても問題ありません。以下に該当する場合、個人事業主の登録は不要です。

  • 副業の収入が年間20万円以下
  • 不用品の売却や宝くじなどによる一時的な副収入

加えて、パートやアルバイトなどは雇用契約なので、個人事業主になれません。

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個人事業主とは?サラリーマンとの違い

個人事業主は会社に雇用されず、自分で事業を営む働き方です。継続的かつ反復して事業をする人を指します。一方、サラリーマンは企業に雇われている被雇用者です。

個人事業主とサラリーマンの主な違いは以下のとおりです。

個人事業主
サラリーマン
雇用の有無 雇われていない 雇われている
納税方法 確定申告 年末調整
福利厚生 なし あり
雇用保険 加入できない 加入できる
働き方の裁量 自由度が高い 自由度が低い
所得の種類 事業所得(総収入額-必要経費) 給与所得(給与収入-給与所得控除)
収入 不安定 安定

個人事業主として副業を始める前に、サラリーマンとの違いを確認しましょう。

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サラリーマンが個人事業主になる4つのメリット

両者の違いを踏まえ、サラリーマンが個人事業主になるメリットを4つ解説します。

収入アップする可能性がある

サラリーマンが個人事業主として副業を始める大きなメリットは、収入が増えることです。収入の柱が増えるため、会社に依存しない働き方が実現できます。

個人事業主は収入が不安定になりやすいのがネックです。サラリーマンとして固定給が確保できれば、副業収入が少なくてもダメージが少なく、気持ちに余裕ができるでしょう。

税金の節約になる

個人事業主は経費の計上ができます。個人事業主の税金は総収入から必要経費を差し引いた所得にかかるため、経費の計上は節税につながります。節税すれば、その分手元に残るお金が増えるでしょう。

経費として計上できるのは、仕事で使った費用です。高額なパソコンや機材、副業に必要な文房具や書籍などが該当します。自宅で副業をすれば、家賃や光熱費、通信費の一部も経費に計上可能です。

青色申告特別控除が利用できる

個人事業主になると青色申告特別控除が利用できます。青色申告特別控除とは、青色申告者の所定金額から最大65万円が控除される制度です。開業した際は、節税効果の高い青色申告特別控除を積極的に利用しましょう。

また、個人事業主の副業で赤字が発生した場合、一部の所得で本業の給与所得と個人事業主の損失を合わせる損益通算が可能です。損益通算後にも赤字が残ると、翌年以降に最大3年間繰り越せます。課税対象の所得が減り、節税になるでしょう。

自立への準備になる

サラリーマンから起業を考えている方は、副業からスタートすることで個人事業主の予行練習ができます。

個人事業主は一人社長のような状態であり、資金のやりくりや帳簿の作成を自分でしなければなりません。事務処理を通して事業全体を俯瞰する能力が身につき、経営的視点が手に入るでしょう。

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サラリーマンと個人事業主の両立による5つの課題

サラリーマンと個人事業主の両立にはメリットがある反面、課題(デメリット)もあります。あらかじめ対策すれば、挫折やリスクを減らせるでしょう。ここからは、知っておくと良い課題を5つ紹介します。

時間に追われる

副業を始めると、働く時間が長くなり時間に追われる可能性があります。

副業するサラリーマンは、本業の帰宅後や休日を使って業務を進めます。業務に費やす時間が増え、休日やリフレッシュの時間が減るでしょう。疲労がたまって体調を崩すと、本業にも支障をきたす恐れがあります。

無理しすぎないよう、仕事量を上手に調整するのが大切です。

確定申告の手間がかかる

個人事業主はサラリーマンと違い、自分で確定申告しなければなりません。そのため、経理関係の事務作業が増えます。入力や申告が簡単な確定申告ソフトを導入したり、利益や経費が発生する度に入力したりして、少しでも手間を減らす工夫が必要です。

確定申告は毎年2月16日から3月15日までと期限が決まっています。税務署から調査が入る恐れもあるため、期限は必ず守りましょう。

失業保険の受給資格を失う

失業保険とは、失業した人の再就職を支援するための手当です。会社を退職すると受給できます。開業届を提出した後に退職すると、事業所得があって失業状態にならないため受給できません。

また、再就職したときにもらえる再就職手当も受給対象外になります。失業保険の受給をしたい人は、開業届を提出するタイミングに注意してください。

本業に悪影響を与える可能性がある

副業では本業との兼ね合いがネックとなります。

会社員は法律上は副業可能ですが、就業規則で禁止している会社があります。厳しい処罰が下るケースも存在するため、安易に副業をしないようにしましょう。ダブルワークしたい方は、就業規則を必ず確認してください。

とはいえ、就業規則に副業に関する記載がないケースもあります。その場合は、会社の上司や労務担当者に相談すると良いでしょう。

税負担が増える恐れがある

個人事業主は、所得の増加に伴って所得税の税率が高くなる累進課税が適用されます。副業の利益が増えれば、税負担も増えるでしょう。

また、所得が増えると住民税が高くなったり、児童手当の給付対象から外れたりするのもデメリットです。こうした点も考慮して個人事業主になるか検討しましょう。

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個人事業主になるための準備

個人事業主になるときは、事前準備が大切です。準備を万全にしておくと、その後のリスクを防げるでしょう。個人事業主が開業前に必要な準備を7つ解説します。

事業の計画

副業を始めるときの課題が時間配分です。副業の時間が増えると、本業にも支障が出やすくなります。業務を効率良くこなす工夫を考えましょう。

また、休日や帰宅時間を削ると、自由な時間や家族との時間が減ります。影響が出そうな人と事前に話し合って理解を得れば、家族間のトラブルを回避できます。

必要な資格や許可の取得

一部の事業では、資格や許可が必要です。資格や許可を求められる副業をするときは、これらをあらかじめ取得しましょう。

また、個人事業主にはインボイス制度への理解も欠かせません。インボイス制度以外の事業・税金についても事前に調べておきましょう。

開業届の準備・提出

サラリーマンが個人事業主を名乗るには、開業届の提出が必要です。税務署や国税庁のWebサイトで開業届が手に入るので、必要事項を記載して提出しましょう。

提出方法は以下の3つです。

  • 税務署の窓口へ直接提出
  • 郵送
  • e-Tax

開業届の提出期限は、事業を開始した日から1ヶ月以内です。該当日が土日祝なら、次の平日が期限になります。

青色申告承認申請書の用意

青色申告承認申請書とは、青色申告で確定申告をしたいときに所轄の税務署に提出する書類です。

青色申告承認申請書の提出期限は、青色申告をする年の3月15日と決まっています。例外的に、1月16日以降に事業を開始した場合は事業開始日から2ヶ月以内です。

期限を過ぎたり、青色申告承認申請書を提出しなかったりすると、白色申告しかできません。提出方法は開業届と同じなので、一緒に提出すると良いでしょう。

経費管理の準備

個人事業主として事業を営むなら、プライベート用の口座とは別に事業専用の口座やクレジットカードを用意をするのがおすすめです。口座を分けると、事業の資金繰りについて税理士に相談するときや財務調査を受ける際、混同せずに済みます。

事業用の口座のみを会計ソフトと連携すれば、仕事で使った資金の取引履歴が自動で記録され、事務作業の手間が大きく減ります。

帳簿の準備

個人事業主は資金の動きを記録する帳簿を作成しなければなりません。確定申告や会計処理に向け、会計ソフトを準備しておきましょう。ソフトを使用すると、知識がなくても仕訳や確定申告の書類作成がしやすくなります。

会計の事務作業を減らしたい方・ミスなく確定申告したい方は、税理士に依頼するのもおすすめ。税理士が帳簿の記載や申請などの税務処理を代行するほか、税金関係での困りごとや疑問点を気軽に相談できるのがメリットです。

必要な保険への加入

サラリーマンを続けながら副業で個人事業主となる場合、社会保険は変わりません。しかし、個人事業主として独立したら、自分で国民健康保険や国民年金保険に切り替える必要があります。

また、個人事業主は事業に必要な資金を自己負担で用意するため、会社員と比べて金銭的リスクが伴います。事業の損害や事故が不安な方は、賠償責任保険や事故保険への加入も検討しましょう。

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サラリーマンと個人事業主を両立するときの心得

最後に、サラリーマンと個人事業主を両立するときの心得を3つ紹介します。

副業を無闇に口外しない

副業が軌道にのると、会社の同僚や知人に自慢したくなるでしょう。しかし、それがきっかけで社内に情報が回り、副業をとがめる人も出てくると考えられます。たとえ許可を取っていても、です。

また、副業する場所が会社から近いと、社内の人に見られる可能性があります。自宅、または会社から離れた場所で作業するのが無難です。信頼できる人物でも副業に関する話題は控えましょう。

インターネット上での発言に注意する

社内の発言のみならず、インターネット上での投稿にも注意しましょう。

インターネットは不特定多数の人間が見ています。個人情報を載せると、そこから副業が会社の人に知られる恐れがあります。特に、SNSでは副業に関する情報発信は控えましょう。

副業でSNSのアカウントを利用する場合、個人が特定できないよう匿名で発信するのが得策です。

自分で住民税を支払う

「就業規則では禁止されていないものの、あまり会社の人に副業を知られたくない…」と思う方は、住民税の支払い方にも注意が必要です。

通常、住民税額は前年度の所得金額によって決まり、会社に納付書が届きます。給与所得に大きな変動はないのに住民税が上がった場合、他に収入があると分かってしまうでしょう。

副業分の確定申告をする際、住民税を自分で納付する「普通徴収」を選べば解決します。

青色申告できる所得は限定的だと知っておく

すべての所得が青色申告で確定申告できるわけではありません。青色申告の対象は、事業所得・山林所得・不動産所得のみです。

特に、サラリーマンの副業収入には雑所得に分類されるものが多く見られます。Web記事の執筆やアフィリエイト、広告、フリマサイトなどの収入は、雑所得に分類されるのが一般的。こうした副業で収入を得ても青色申告は利用できないので注意しましょう。

主な節税方法を知っておく

収入が増えると納税額も増えるので、節税制度を活用するのが得策です。たとえば、副業が赤字のときは、本業の所得と合算して合計所得を減らせます。所得税は所得をもとに計算しているため、所得が減れば所得税額も減るでしょう。

ただし、赤字との相殺は副業が事業所得に該当するときに活用できます。雑所得の場合は利用できません。

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まとめ

サラリーマンと個人事業主の両立について解説しました。サラリーマンと個人事業主を両立して副業を始めると、いきなり独立するよりリスクを抑えられます。

両立はメリットが多い反面、注意点も存在します。個人事業主として副業を始めるときは、デメリットも事前にチェックしましょう。

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