Webディレクター向けの資格22選｜必要なスキルや勉強方法も紹介

Webディレクターは、Webサイト制作の指揮を執る職業です。WebデザインやSEO対策など、さまざまな知識が求められます。

各分野について勉強をしたり、資格を取ったりすると実力の証明になり、Webディレクターとして成功できる可能性が高まるでしょう。本記事ではWebディレクターに必要なスキルや役立つ資格を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

Webディレクターとは？

Webディレクターは、Webサイトの制作全体の管理や指揮をする職種です。プロジェクトの司令塔としてメンバーとコミュニケーションをとったり、業務全体を幅広く把握したりする必要があります。

ただ指示を出すだけでなく、自分でクライアントと交渉する能力や冷静さも求められるでしょう。

Webディレクターについては､｢Webディレクターとは？仕事内容や必要スキル、将来性を解説｣の記事でもまとめているので興味のある方はご覧ください｡

Webディレクターの仕事内容

Webディレクターの仕事内容は多岐にわたりますが、大きく分けると以下の3つです。

• 企画、立案
• 制作進行
• Webサイトの運用、更新

まずクライアントに要望をヒアリングし、サイトのイメージや内容を把握します。要望をもとにしてWebサイト制作の企画を立案、メンバーと中身のすり合わせを担当します。

企画が通ったらいよいよ制作の始まりです。スケジュールや予算を管理し、完成までに問題が起きないようにしなければいけません。制作進行はWebディレクターの業務で特に大切な仕事で、サイトの完成度に大きく影響します。

Webサイトが完成しても、仕事は終わりません。公開後、ユーザー動向やアクセス数の分析をして適宜サイトを改善します。こうしてWebサイトをより良いものにしていくのもWebディレクターの大切な役割です。

Webディレクターに必要なスキル・知識

ここからは、Webディレクターに必要なスキルと知識を解説します。

1.課題解決能力

Webディレクターにとって特に大切な能力は課題解決能力です。

Webサイト制作中、予想外のトラブルが起きるケースもあるでしょう。そのようなときも冷静にトラブルに対処し、スケジュール通りに制作を進めなければいけません。臨機応変に対応できる柔軟さが不可欠です。

チームで制作に取り組むため、他人のミスでトラブルになるケースも少なくありません。他人が原因のストレスを寛容に受け止める余裕と解決力が必要です。

2.マルチタスクをこなせる

Webディレクターはチーム全体を管理する立場なので、広い視野が求められます。さらに、複数の物事を処理する必要も出てくるため、マルチタスクをこなせる器用さが必要です。

スケジュール管理では、各メンバーが段取り良く作業に取り組めるようにしなければなりません。制作環境の整備はWebディレクターの役目なので、広い視野で複数の業務をこなすマネジメント力は重要なスキルです。

3.コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、チームメンバーとスムーズに意思疎通し、制作を順調に進めるうえで必要です。

コミュニケーション能力は、クライアントとのヒアリングでも役立ちます。クライアントの要望をきちんと聞き出さないと、完成後に要望とのズレが原因で修正が増えてしまいます。信用問題に発展する恐れもあるでしょう。

Webディレクターは多くの人と関わる立場なので、コミュニケーション能力は欠かせません。

4.マーケティングスキル

いくら期限内に完成させても、ユーザーに見てもらえなければ意味がありません。広告やWebサイト分析の知識など、効果的な運用をするためのマーケティングスキルが必要です。

マーケティングには幅広い分野があり、求められる知識が多いため、Webディレクターになる前にしっかりと勉強をする必要があります。

マーケティング検定について知りたいという方は､｢マーケティング検定とは？試験内容や資格取得のメリット、勉強方法を解説｣の記事も参考にしてみてください｡

Webディレクターで役立つおすすめ資格22選

Webディレクターに必要なスキルを身につける際は、資格が役立ちます。おすすめの資格は以下のとおりです。

1.Web検定 Webディレクション

Webディレクション試験は、株式会社ボーンデジタルが提供する資格です。Webディレクションの基礎知識を問う試験で、マーケティングやWebサイトについての問題が出ます。

実績や前提資格は特に必要なく、受験料11,000円（税込）を払って申し込めば誰でも受けられます。問題数は65問で、合格基準は70％以上です。

試験内容は、WebマーケティングやWebサイト制作・企画、インターネット上のビジネスなど。出題の約2割が公式のテキストからのため、初心者でも充分合格を狙えるでしょう。

2.Web検定 Webリテラシー

Webリテラシー試験も株式会社ボーンデジタルが運営する試験です。

制限や条件はなく、11,000円（税込）を払って申し込めば誰でも受験可能です。合格基準は70％以上で、問題は85問と多め。時間は90分のため、素早く回答しなければなりません。

本試験では、仕事でWebを使う上で必要な基礎知識が求められます。試験勉強を通じて、WebディレクターやWebプロデューサーに必要なスキルを幅広く学べるでしょう。

3.Webプロデュース試験

Webプロデュース試験も株式会社ボーンデジタルが運営する試験です。インターネットでのビジネスやWebサイト制作、マーケティングなどの知識が問われます。

制限や条件はなく、11,000円（税込）を払って申し込めば誰でも受験可能です。しかし、Webプロデュース試験は「Webディレクション」「Webリテラシー」と比べて合格率が低めです。

• Webディレクション：83.2％
• Webリテラシー：78.9％
• Webプロデュース：30.9％

受験前には、きちんと勉強をして臨むようにしましょう。

4.Webライティング能力検定

Webライティング能力検定は文章能力を測り、Web上のテキストやメールを書く知識を証明する資格です。一般社団法人日本WEBライティング協会®が運営しています。

受験資格は特になく、13,500円（税込）を払えば誰でも受けられます。88点満点のテストを受け、点数に対応した級がもらえるシステムです。1級をとるには80点以上が必要なので、難易度は比較的高いといえます。

Webやメールのライティングだけでなく、法律・炎上対策や論文執筆も範囲に含まれています。ネットの扱い方や常識も求められるので、しっかり対策しましょう。

5.Webアナリスト検定

Webアナリスト検定は、Googleアナリティクスを使ったWeb分析力を身につけ、その能力をどのように利用するかを学べる試験です。

5時間の講座に参加し、公式テキストに沿った講義を受講したあとに、80分間のテストを受ける形式になっています。講座では気になる部分を確認したり、講師に解説してもらったりが可能です。

1人で学習するより効率良く勉強できるため、初心者でも合格を狙いやすい試験です。合格率は8割ほどとされています。受験料は主催や会により異なるので、公式サイトで確認してください。

6.Webデザイン試験（Web検定）

Webデザイン試験は、株式会社ボーンデジタルが運営している試験です。受験資格は特になく、受験料の11,000円（税込）を支払えば誰でも受けられます。

合格ラインは、正答率70％以上です。公式のテキストからの出題が多く、初めて勉強する人でも合格を狙えます。Webデザイナーのスキルが身につく試験ですが、サイト制作の包括的な知識が必要なWebディレクターにも役立つでしょう。

7.ウェブデザイン技能検定

ウェブデザイン技能検定は国家資格で、Web関連でも難易度が高い試験です。特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会によって運営されています。

1級から3級までありますが、1級・2級は受験資格に実務経験が必要なので初心者向きではありません。3級はWebデザインの職に従事している、またはこれから従事したいと考えている人なら受験可能です。

受験料は級ごとに異なるほか、年齢や在職状況次第では実技試験が減額になることもあります。詳しくは公式サイトを確認してください。

8.Webクリエイター能力認定試験

Webクリエイター能力認定試験は、サーティファイが運営している資格です。

エキスパートは7,700円（税込）、スタンダードは6,100円（税込）で、受験資格は特にありません。スタンダードは入門的な内容なので、基礎知識を覚えたい人向きです。エキスパートはより専門的な知識が必要な分、Webサイト制作のスキルアップに役立つでしょう。

本試験は、HTML5やCSSを用いて解答します。本資格の勉強をすると、Webページを制作する知識が身につきます。

9.ウェブ解析士

ウェブ解析士認定試験は、一般社団法人ウェブ解析士協会が運営する試験です。

本試験の受験料は17,600円（税込）で、問題は50問すべてが4択で出題されます。上級やマスターなどがあり、講座も豊富なので、より高い能力を身につけたい人におすすめです。

勉強を通じ、アクセス解析やデータの活用法、改善方法などを学べます。サイト制作後のデータ解析や確認もWebディレクターの重要な仕事なので、本資格が実務でも役立つでしょう。

ウェブ解析士については､｢ウェブ解析士はどんな資格？試験内容や取得するメリット、勉強方法を解説｣の記事でもまとめているので興味のある方はご覧ください｡

10.Google広告の認定資格

Google広告の認定資格はWeb上で試験を受けて取得する資格です。

Googleが運営していて、受験料は無料です。誰でも受けられ、受験回数に制限はありません。不合格の場合は1日空けたあと再受験できますが、合格基準は80％以上と高めに設定されています。

資格の種類は、測定・クリエイティブ・オフライン販売促進・検索・ディスプレイ・AIを活用したショッピング、AIを活用したパフォーマンス・アプリ・動画広告など。一つひとつの勉強に必要な時間は短く、全資格取得も充分狙えます。

Webに携わるとGoogleサービスを避けては通れないため、本資格が大きく役立つでしょう。

11.Google アナリティクス個人認定資格

Google アナリティクス個人認定資格は、Google上で無料でいつでも受験可能な資格です。上級者向けと初級者向けに分かれており、後者なら短い学習時間で取得できるでしょう。

Googleアナリティクスの知識やアクセス解析による分析など、Webディレクターの仕事に使える知識を習得できます。

12.ネットショップ実務士

ネットショップ実務士は、ネットショップ能力認定機構が運営する資格です。

本資格には3つの難易度があります。レベル3はレベル2の取得だけでなく、優良ネットショップで実務に携わっている必要があり、そのうえで面接に合格すれば取得できます。

ネットショップ（EC）業界の基礎から専門知識まで習得できる資格で、ビジネスマナーや一般知識もマスターできるのがメリットです。Web制作・マネジメント・運営など多方面の知識を学びたい人に向いています。

13.ネットマーケティング検定

ネットマーケティング検定は、サーティファイが運営する試験です。

受験料は2024年4月から6,200円（税込）で、受験資格は特にありません。合格基準は7割以上で、合格率は57％ほどです。

試験勉強を通じて、ネットマーケティングの基礎を学べるのがメリットです。作り手のWebディレクターだけでなく、売り手や担い手、育て手いずれにも向いています。

14.SEO検定

SEO検定は、一般社団法人全日本SEO協会が運営しています。受験料は4級・3級が5,500円、2級は6,600円、1級は8,800円（それぞれ税込）です。

SEOの基礎知識やデータ分析によるメディア活用スキルを身につけられます。上の級に受かるには、ソーシャルSEOやメディアSEOの技術も必要です。Webディレクターの業務に大いに役立つ資格といえるでしょう。

15.ITパスポート試験

ITパスポート試験は国家資格で、経営の知識やソフトウェア開発、マネジメントなど幅広い内容が問われる試験です。受験料は7,500円（税込）で誰でも受験できます。

問題数は120問とやや多めです。Webディレクターとしてスキルアップする際に求められる知識が多いので、勉強して損はないでしょう。

16.マーケティング・ビジネス実務検定®

マーケティング・ビジネス実務検定®は国際実務マーケティング協会が運営しています。受験料はA級12,760円、B級7,480円、C級6,270円（それぞれ税込）です。

試験では実務で使うマーケティング知識が求められます。Webディレクターは、サイト制作や運営の際にマーケティングの知識が必要なので、基礎的なC級の取得だけでも十分に役立つでしょう。

17.ビジネス著作権検定

ビジネス著作権検定は、著作権について学べる資格です。受験料はBASICが4,200円で初級は5,300円、上級は8,200円（それぞれ税込）です。

著作権を把握していないまま仕事をすると、トラブルが起こる恐れがあります。ビジネス場面だけでなく、日常生活での著作権トラブルも学べるため、Webディレクターにとって有益な資格です。

18.ビジネス実務法務検定試験

ビジネス実務法務検定試験は、東京商工会議所が主催する検定試験です。

本試験には1〜3級まであります。1級は専門的すぎますが、2級や3級の基礎知識はWebディレクターの業務でも活かせるでしょう。受験料は3級で5,500円、2級で7,700円（それぞれ税込）です。併願可能で、誰でも受験できます。

試験に合格するには、ビジネスの場面で使える法律知識や契約書の理解が必要です。

19.経営学修士（MBA）

経営学修士は、経営大学院（ビジネススクールとも）で学ぶと得られる資格です。

費用は100万円〜400万円ほどと学校により大きく異なります。入学試験や費用、入学後の活動などが必要なので、取得ハードルは高いです。しかし、大学院を卒業して高度な経営知識を習得すれば、今後のキャリアアップにも役立つでしょう。

20.個人情報保護士認定試験

個人情報保護士認定試験は、一般社団法人 全日本情報学習振興協会が提供する資格試験です。受験料は11,000円（税込）で、受験資格はありません。問題数は100問と多く、合格には豊富な知識が必要です。

Web業界では個人情報の保護が重視されます。特にWebディレクターは、顧客との打ち合わせや業務で多くの個人情報を扱う立場です。個人情報保護に関する知識を身につける目的で受験すると良いでしょう。

21.IMA検定

IMA検定は、一般社団法人IMA研究所が主催する検定試験です。サイト分析や広告運用を学ぶ「Standard」と、集客プラン立案などを学ぶ「Professional」があります。両コースとも、かかる費用は19,800円（税込）です。

暗記による知識の習得ではなく、実践的なマーケティングスキルの習得を目的にしています。オンライン参加が可能で、実務と並行しながら知識を身につけられるのがメリットです。

22.コミュニケーション検定

コミュニケーション検定は株式会社サーティファイの提供する資格試験です。

初級と上級に分かれており、上級では面接もあります。受験料は初級で3,000円、上級で4,900円（それぞれ税込）です。上級でも合格率は86％を超えていて、しっかり学習すれば合格できます。

コミュニケーション能力を高めて、より良い環境を作る力を身につけられます。チームをまとめるWebディレクターにとってコミュニケーション能力は必須なので、本資格の重要性が高いといえるでしょう。

Webディレクターが資格を取得するメリット

Webディレクターに必須の資格はありませんが、取得すると大きなメリットがあります。主なメリットは以下のとおりです。

1.スキルアップができる

資格の勉強をすることで自分に足りていない知識や分野も理解できます。弱点の克服や新たな知識の増加につながり、スキルが高まるでしょう。Webディレクターとしてのレベルアップが狙えます。

2.業務をスムーズに進められる

Webディレクターはチーム全体の指揮をとる役目であり、幅広い分野に目を通す立場です。そのため、多くの知識が必要です。

資格を取得すると知識が増え、チームへの指示もスムーズになるでしょう。業務を効率良く進められるようになります。コミュニケーションに関する資格なら、チームのメンバーやクライアントとの関係構築に役立つのもメリットです。

3.専門知識を学べる

Webサイト制作には、専門的な知識や技術が必要な場面があります。資格を取得すると、専門知識が身につきます。自分の業務と関係ある資格を取得すれば、学んだ知識を活かしやすいでしょう。

4.スキルを証明できる

自分のスキルを客観的に証明できるのも資格のメリットです。

クライアントと初めて顔を合わせたとき、一目で分かる資格があれば信頼されやすくなります。打ち合わせや提案もスムーズに進む可能性があります。転職活動でも資格があると話が広がりやすく、自分の能力を証明できるでしょう。

Webディレクター資格の勉強方法

働きながら資格を取るのはハードルは高いですが、工夫次第で無理なく取得できるでしょう。ここからは、資格の勉強方法を紹介します。

1.スクールに通う

スクールに通うと、分からないところを直接聞けたり、講師に質問したりできます。独学より正しい知識を身につけられるでしょう。勉強熱心な周囲の人から刺激を受け、良い雰囲気で学習に取り組めるのもメリットです。

ただし、お金がかかる、場所や時間が指定されるのはデメリットです。また、働きながらの通学は体力と金銭面で負担になる可能性もあります。

2.育成講座やセミナーを活用する

育成講座やセミナーの活用は、スクールに通うより費用を安く抑えられます。無料講座やセミナーならお金をかけずに勉強できるので、金銭面が心配な人におすすめです。しかし、スクールと比べてサポート面が劣る点は注意しましょう。

3.オンラインコンテンツを活用する

オンラインコンテンツは、安価かつ自宅で利用できるのがメリットです。いつでも気軽に受講できる強みもあります。仕事終わりや休みの日に家から受講できるでしょう。ただし、家だとリラックスしすぎたり、集中できなかったりする人には向いていません。

4.書籍で学習する

書籍による独学は、自分のペースで学習できるのが強みです。通勤中や職場の休憩時間にも学習可能です。また、費用は書籍代だけなので安価に学べます。

しかし、書籍によって合うものと合わないものがあります。普段から勉強をしていないと長続きしにくい場合もあるため、継続を意識しましょう。

まとめ

Webディレクターは必要な知識が多く、コミュニケーション能力も問われます。資格が必須の職業ではありませんが、取得すれば専門知識が身についたりスキルアップできたりします。継続的な勉強で幅広い分野の知識を習得しましょう。