個人事業主の領収書の書き方や保管方法について解説

最終更新日:2025年03月07日

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この記事のまとめ

  • 領収書は金銭のやり取りを証明する書類であり、個人事業主は確定申告や経費精算のために領収書を保管する必要がある
  • 領収書には宛名、取引年月日、但し書き、金額などを正しく記載する必要があり、5万円以上の領収書には収入印紙が必要となる
  • 領収書の保管期間は白色申告は5年、青色申告は7年が基本であり、紙または電子データで適切に保管する必要がある

個人事業主は所得税の確定申告や経費精算する際、その年度に受け取った領収書が必要になります。また、インボイス制度の導入後は、3万円以下の領収書(適格請求書)であっても保存が義務付けられました。

本記事では、個人事業主の領収書の書き方や保管方法について紹介します。領収書について理解が深まるので、ぜひ参考にしてください。

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領収書の基礎知識

領収書は、取引で金銭を受け取った側が発行する書類です。領収書に関して個人事業主が知っておくべき基礎知識やポイントを紹介します。

領収書とは?

領収書とは、金銭を支払った側の名前や取引をした日付、取引内容などを記載した書類です。商品購入やサービスの利用など、金銭のやりとりを証明するために金銭を受け取った側が支払者に発行します。

スーパーやコンビニで受け取るレシートも、条件を満たしていれば領収書の代用として認められます。レシートでの代用条件は次のとおりです。

  • 記載金額が3万円未満
  • 小売業や飲食店業など、特定の業種が発行したもの

金額や業種に制限があるのが特徴です。

領収書をもらう目的

個人事業主や法人に関係なく、領収書はその年の確定申告に必要です。領収書は商品の購入やサービスの利用に対し、金銭を支払う側が代金を支払ったこと、金銭を受け取った側が代金を受け取ったことの証明になります。

確定申告で経費を証明するには、領収書の保管が必要です。また、領収書は適格請求書を簡易的にした書類としても取り扱えます。

個人事業主の領収書の宛名

領収書の宛名は、「〇〇屋」や「〇〇堂」などの屋号+個人名か、個人名のいずれかを正確に書いてもらいましょう。領収書は取引の実在性を証明する書類であり、後日でも検証できる内容が求められます。

なお、個人名には「様」をつけるのが一般的です。領収書には屋号や個人事業主の個人名のほか、住所・連絡先も記載します。

個人事業主の領収書に印鑑は必要?

個人事業主が領収書を受け取る際や作成する際に、印鑑は必要ありません。印鑑が押されていなくても経費計上は可能であり、問題なく書類として利用できます。

ただし、5万円(税込)以上の領収書には、印紙税法により収入印紙が必要となります。加えて、収入印紙には割印を捺さなければなりません。収入印紙の金額は以下のとおりです。

  • 5万円未満:非課税
  • 5万円以上100万円以下:200円
  • 100万円以上200万円以下:400円
  • 200万円以上300万円以下:600円
  • 300万円以上500万円以下:1,000円
  • 500万円以上1,000万円以下:2,000円

領収書の金額が高いほど収入印紙の金額も上がっていきます。

請求書の書き方については、「業務委託の請求書の書き方とは?フリーランスが知るべき作成の注意点を解説」の記事でもまとめているので興味のある方はご覧ください。

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個人事業主の経費になるもの

個人事業主の経費は、事業につながる出費があてはまります。経費の分類は、確定申告書に記載されている「勘定科目」です。認められる経費は、以下のとおりです。

  • 租税公課
  • 地代家賃
  • 水道光熱費
  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 荷造運賃
  • 広告宣伝費
  • 接待交際費
  • 保険料
  • 修繕費
  • 消耗品費
  • 減価償却費
  • 福利厚生費
  • 給料賃金
  • 外注工賃
  • 利子割引料
  • 貸倒金
  • 雑費
  • 専従者給与

ただし、「事業に不要なもの」「私生活に関するもの」は経費として認められません。

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個人事業主の経費にならないもの

個人事業主の事業につながる出費は、すべて経費にあたります。そのため、できる限り多くの出費を経費として計上すれば、節税につながります。経費にならない出費の例は次のとおりです。

  • 私用での飲食費、消耗品費、雑費など
  • 個人事業主自身の給料や福利厚生、保険料など
  • 個人事業主の税金
  • 個人事業主と生計をともにする家族や親族への支払い
  • 個人事業主の「資産」として見なされるもの

経費になるかどうかが不安な方は、確定申告の前に税理士事務所や税務署へ相談しましょう。

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個人事業主の領収書の書き方

個人事業主が領収書を発行する際は、「宛名」「取引年月日」「但し書き」「金額」を正しく書く必要があります。ここでは、4つの項目を見ていきましょう。

宛名

宛名の項目には、取引相手の屋号や氏名を記入します。その際、「株式会社」や「有限会社」「合同会社」などは略さず正確に記入します。「上様」との表記は正式な宛名ではないため、使わないようにしましょう。

また、取引相手が適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の場合、登録番号を記入します。登録番号は、適格請求書発行事業者に対して発行される番号です。適格請求書発行事業者への登録申請は、課税事業主のみ可能です。

取引年月日

領収書を発行した年月日は、取引が発生した事実を証明します。後から「金銭を支払った」「受け取っていない」といった相違を防ぐためにも、正確な年月日を記入しましょう。

日付は金銭を受け取った日や振込の入金日とします。年号は「R」ではなくきちんと「令和」、2023年は「23」ではなく「2023年」と記入しましょう。領収書に日付を記入する欄がないときは、金額を記入した下に書くのが一般的です。

但し書き

但し書きとは、商品購入やサービス利用を証明する取引内容の記載です。経費を計上する品目や経費が適切かを判断する材料となるため、できる限り具体的に記載しましょう。

但し書きに「品代」と書いても問題はありませんが、領収書としての信頼性が低くなる恐れがあります。税務調査の際に「どのようなものを購入したのか」と尋ねられる可能性も考慮しましょう。

また、購入した商品が複数あるときは、商品の中で最も高価なものの名前を記入します。

金額

領収書の金額は、「金額」と書かれた欄に記入します。金額の改ざんを防止するため、記載方法にはルールがあります。主なルールは、以下のとおりです。

  • 先頭(金額の前)に「¥」や「金」を記入する
  • 数字には3桁ごとに「,(カンマ)」を挿入する
  • 末尾に「※(米印)」や「也」「-(ハイフン)」を記入する
  • 数字やマークの間隔を開け過ぎない

細かいルールを守って記載しましょう。

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個人事業主が領収書を受け取る際の対応

適格簡易請求書の要件を満たした領収書でなければ、仕入税額控除を受けられない恐れがあります。宛名や但し書きは正しく伝えましょう。特に、適格請求書発行事業者は、登録番号に間違いがあると領収書の発行元と関連付けができません。

領収書を受け取った後は、記載内容に抜けや間違いがないかしっかりと確認し、間違いがあった際には再度発行してもらいましょう。適格請求書発行事業者が領収書を受け取ったときは、領収書をインボイスとそうではない領収書に仕分けをします。

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個人事業主が領収書を発行する際の対応

インボイス制度が導入される前は、金額が3万円未満の取引は領収書を保存しなくても仕入税額控除が受けられました。しかし、インボイス制度導入後は金額を問わず領収書がなければ仕入税額控除が受けられなくなったため、取引の価格に関係なく領収書の保存が必要です。

適格請求書発行事業者(課税事業者)は、領収書のフォーマットを適格簡易請求書に対応したものに変更し、適格簡易請求書の記載事項を備えた領収書を発行しなければなりません。
免税事業者は適格請求書発行事業者の登録ができないため、従来と同じ領収書を発行します。

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領収書の保存期間

領収書は、保管期間がある帳簿書類に属します。保管している領収書は税務調査の際に提出を求められることがあるため、月ごとにまとめて保管しておきましょう。

領収書の保存期間は白色申告と青色申告とで異なります。個人事業主の白色申告は5年、青色申告は7年(前々年分の所得が300万円以下では5年)です。

保管期間については、「領収書の保管期間はいつまで?個人事業主向けに管理方法を紹介」の記事でも詳しく解説しています。

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領収書の保管方法

領収書やレシートは一定期間保存が必要な書類です。いつ税務調査が入り提出を求められるか分からないため、提出を求められた際にすぐに探し出せるよう、領収書は整理しておきましょう。ここでは、領収書の保管方法を紙と電子データに分けて紹介します。

紙の領収書を保管する

紙の領収書を保管する際は、月ごとに分けて経費の項目ごとにまとめておくと、提出を求められたときに探す手間が省けます。具体的な方法として、12枚の封筒を用意して月ごとに分けた後項目に応じて分けたり、ノートに貼ったりするやり方があります。

封筒に入れて保管する場合、出し入れの際に紛失する可能性があるため、項目ごとにクリップやホチキスなどで束ねておくと良いでしょう。ノートに貼って保管すると紛失の危険性はありませんが、剥がれないようしっかりと貼る必要があります。

また、レシートで多く使用されている感熱紙は日光に当たると印字が消えるため、日が当たらないようにファイリングしてください。

電子データの領収書を保管する

電子帳簿保存法改正により、受け取った領収書をスキャンや読み取りで電子保存できるようになりました。要件を満たしていれば、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した画像も保存方法として認められます。

求められる要件には、「解像度は200dpi以上」や、「約1677万色以上のカラー画像での読み取り」「解像度・階調情報・画像の大きさ情報の保存」などがあげられます。また、入力期間には最長2ヶ月+7営業日までという制限があるため注意しましょう。

電子帳簿保存法については、「電子帳簿保存法とは?対応する書類や正しい処理の仕方をわかりやすく紹介」の記事でも役立つ情報を紹介しています

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領収書をもらい忘れたらどうなるか

領収書やレシートをもらい忘れたときは、後日でも発行してもらえます。商品の販売やサービスを提供しているお店には、領収書を発行する義務があるためです。

ただし、一度発行されて受け取った後に紛失した場合、再発行は基本受け付けていません。紛失した際は自分で出金伝票を作成しましょう。

条件を満たしているなら明細やレシートで代用可能

条件を満たしていれば、明細やレシートを領収書として代用できます。領収書が発行できない特定の業種が発行した3万円以下のレシート、取引があった事実を証明できるレシートが対象です。明細やレシートに求められる記載項目を以下に示します。

  • 宛名
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 支払金額
  • 支払先の名称

なお、お品代とだけ書かれた領収書よりも、細かく取引内容が印字されたレシートの方が信頼性があります。

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領収書が発行されない場合はどうするか

領収書が発行されないときは、レシートを領収書の代用とする場合もあります。領収書は、金銭の受取を証明するために作られた書類です。取引先の宛名や取引をした年月日、取引金額、取引内容が記入されていればレシートでも代用できます。

そのほか、冠婚葬祭での祝儀や香典に対して領収書の発行依頼は難しいでしょう。公共交通機関の利用時も領収書がもらえない可能性があります。その際には、自分で出金伝票を作成します。

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まとめ

領収書は確定申告をする際に経費の裏付けをするだけではなく、二重請求や過払いなどのトラブルを防ぐ役割がある書類です。そのため、宛名は「上様」とはせず、屋号や氏名、登録番号を正確に記入します。

また、取引内容は「品代」ではなくできる限り具体的に記入し、取引年月日は金銭の受け取った日、入金があった日の日付を書きましょう。

領収書が発行されない場合や紛失した際には、出金伝票を作成したり明細やレシートで代用したりします。領収書を正しく保管して、確定申告や経費計上のときに困らないようにしましょう。

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