Androidでの開発を中心に、Kotlinのスキルを求められる案件が多くなっています。開発にあたりさまざまなメリットをもたらすプログラミング言語Kotlinについて、その特長や案件動向、将来性などにフォーカスしながら、詳細を見ていきましょう。
Kotlinは、オブジェクト指向のプログラミング言語です。チェコ共和国に本社をおくJetBrains社によって、同社がロシアのサンクトペテルブルグに構える研究所にて開発されました。Kotlinという名前は、サンクトペテルブルグ近郊、バルト海の最奥部であるフィンランド湾に浮かぶコトリン島に由来します。
最初のバージョンのリリースは2011年です。Pythonの誕生が1990年、Javaが1995年であることを考えると、人気のあるプログラミング言語の中ではかなり新しいものであることが分かるでしょう。
プログラミング言語の多くはアメリカ、あるいは西欧諸国で開発されています。Kotlinは、それ以外のエリアで開発されたという意味では、異色のプログラミング言語と言えるのかも知れません。
Kotlinは発表から急速な成長を見せてきました。象徴的と言えるのが、2017年にAndroidの公式開発言語としてGoogleから認められたというトピックでしょう。それを実現するに至った背景には、以下に示す特徴の存在があります。
Kotlinで開発したプログラムはJava VM上でコンパイルして動作させることができます。その動作は軽快であり、記述に関しても、後発言語らしくシンプルであることが特徴と言えるでしょう。
Kotlinが影響を受けた言語は数多く、1990年代に発表されているJavaやJavaScript、Rubyなどにとどまりません。2000年以降にリリースされたC#、GroovyあるいはScalaなど比較的新しい言語も含まれます。これらの言語の長所を継承したKotlinはシンプルな仕様を確保することで、Javaを上回る簡潔な記述が可能になったとされています。
元来Javaは堅牢性が確保された言語です。これは、Javaが大きな影響を受けたC++という、きわめて自由度の高い言語ならではの脆弱な部分を排除するように作られていることに由来しますが、四半世紀にもわたり第一線で使い続けられていることもあり、弱点が指摘されるようになっています。
例えばJavaは堅牢な型システムが採用されており、型安全性も確保されています。一方でその型安全性は完全ではないのですが、Kotlinではそれが解消されています。
Kotlinにおいては、デフォルトで変数はNullを許容しないと定められました。このことによって完全な型安全性が確保されることとなり、Javaの誇る堅牢な型システムも損なうことなく継承しています。
Kotlinの開発にはJavaをよりよくしたいという目的もありました。このためKotlinとJavaの親和性は高く、KotlinからJavaはもちろん、JavaからKotlinの呼び出しが可能で、それには特段の設定は要求されません。
KotlinとJavaはさらに高度な形での共存が可能です。具体的には、1つのプロジェクト内で両者のコードを混在させることで、例えばJavaで構築された既存プロジェクトに、Kotlinで記述した新しいクラスを追加するという、驚くべき手法を可能にしています。
Androidでのアプリケーション開発がイメージされることが多いKotlinですが、実際にはどのような場で使われているのでしょうか。確かにAndroidアプリケーション開発で使われるケースは多いのですが、Kotlinが活躍する場はそれだけではありません。以下に具体的な活用シーンを示します。
Kotlinエンジニアの需要は高水準にありますが、中でも案件数が多いと言えるのがAndroidアプリケーションの開発です。KotlinはGoogleによって、Androidの公式開発言語として2017年には認められていますので、これは当然と言えるでしょう。
Kotlinの採用事例増加の背景には、Yahooによる自社Androidアプリケーション開発への採用も影響しました。Kotlinが持つプログラミング言語としての優れた特性は、コーディング量の減少や開発期間の短縮といった形で現れています。
Javaが利用されている分野は基本的にKotlinで代替可能と考えていいでしょう。このことは、Kotlinで開発したプログラムがJava VM上で動作可能であることに起因します。Webアプリケーション分野におけるJavaの利用については、説明するまでもないでしょう。
そしてWebアプリケーションを開発するために用いられる言語には、優秀なフレームワークの存在があります。KotlinにもKtorというフレームワークが用意されており、これはKotlinの開発元であるJetBrains社によるものです。
開発元が用意したフレームワークであるだけに、Kotlinの特性を引き出せるさまざまな仕組みが備えられています。Ktorの存在は、KotlinによるWebアプリケーションの開発を容易にしていると言っていいでしょう。
特徴的なのが、サーバサイド開発においてもKotlinを採用する事例が増加していることです。日本国内でもLINEやRetty、サイバーエージェントあるいはアスクルといった有名な企業での採用が相次いでいます。
サーバサイド開発においても、Kotlinがもたらすコード量の減少や安全性、Javaとの親和性の高さといったメリットが評価され、それが採用に至る理由にもなっています。
シンプルな記述で安全度の高いプログラミングが可能でありながら需要の高いKotlinは、エンジニアにとって魅力的なスキルと言えそうです。では実際に、Kotlinの習得難易度はどのくらいのレベルにあるのでしょうか。
結論から言いますと、Javaでの開発経験があればスムーズな習得が可能な言語であるということが言えます。Javaに比較してシンプルかつ短い記述が可能なKotlinの習得は、Javaで培った技術の延長線として扱うことができるでしょう。
Kotlinはオブジェクト指向のプログラミング言語です。Javaでの開発経験がなくても、オブジェクト指向のプログラミング言語での経験があれば、比較的習得しやすいと考えることができます。事実Kotlinの案件では、人数の少ないKotlin経験者に限定した場合にエンジニアが十分集まらないことがあるため、他のプログラミング言語の経験者を求めるケースも多いです。
一般にプログラミング言語を習得するには、大別するとプログラミングスクールの利用と自己学習、2つの方法があります。プログラミング未経験、あるいは経験が少ない場合はプログラミングスクールの利用が効率的ではありますが、ある程度経験がある場合は、自己学習でも十分な効果を得ることが可能です。
自己学習を行う場合には、書籍や学習サイトを利用することになります。歴史の浅い言語でありながら、複数のKotlin入門書が出版されていますし、学習サイトの数も相応にあるため、自分に合いそうな教材を見つけましょう。
Kotlinを学習するにあたって、まず用意したいのはJava VMです。Java VMで開発環境を整えてから、「Hello World」など初歩的なプログラミングを行い、実行してみましょう。このことで、KotlinがJavaなど他の言語とどのように違うのかがイメージできるようになるはずです。
一定レベルのコーディングができるようになったら、IDEを用いてAndroidのネイティブアプリを作成してみましょう。よく知られるIDEとしてはAndroid StudioやIntelliJがあります。
慣れないと、ネイティブのAndroidアプリ作成は難しく感じられると思います。それでも、アプリを完成させて、きちんと動作するレベルにまで仕上げてみましょう。仕上げるところまでできれば、Kotlin案件商談時のアピールポイントとなります。
もう一歩先に進みたい人は、サーバサイドのコーディングにチャレンジしてもいいでしょう。サーバサイドエンジニアには、セキュリティスキルが求められますから、そこもあわせて学習したいところです。
Kotlinのサーバサイドエンジニア需要は増えています。これができるようになれば、Kotlinエンジニアとしての可能性は大きく広がるでしょう。
フリーランスのKotlinエンジニアには、何が求められるでしょうか。Kotlinを利用しての開発経験があればベストで、案件によっては、2年以上の経験が求められることもあります。
しかしながら、Kotlinはまだリリースされてから10年ほどの歴史しかない言語です。エンジニアの絶対数も多くありません。そこで、案件によってはKotlin経験者はもちろん歓迎するものの、Kotlinは未経験でもJavaなどでの開発経験があるエンジニアの参画を求めることがあります。
求められるスキルは、プログラミング言語には限定されません。開発ターゲットの関連技術が求められます。Androidアプリの場合などは、設計など上流工程での経験が問われることがあります。
Kotlinエンジニアの仕事は、Androidのネイティブアプリケーション開発とWebアプリケーションの開発が主体となっています。これらの他に、サーバサイドの開発などのニーズもありますが、フリーランスのKotlinエンジニアに向けたものとしては、アプリケーション開発が中心であると考えていいでしょう。
具体的な仕事の内容は、他の言語を使った開発とほぼ同じと考えることができます。コーディング、リファクタリングといった製造工程に参画するのはもちろんですが、レビューや進捗管理なども担当します。
実績が認められれば、上流工程への参画など、有意義な経験を積むことも可能になるでしょう。アプリケーション開発における一連の流れすべてに関わることができるようになれば、Kotlinエンジニアとしてのポジションが確立できたと考えていいでしょう。
レバテックフリーランスで、Kotlinのスキルが求められる案件をいくつか見てみましょう(2021年5月22日現在)。
医療業界向けのサービス開発を行います。具体的にはサービスのアプリ開発と改善、ユーザ利用状況の分析ならびに改善案の創出など、開発以外にも付加価値の高い業務を行う人材が求められる案件となっています。
求められるスキルレベルは高く、Kotlinでの2年以上の開発経験に加え、KotlinのAndroidネイティブアプリ開発経験が求められます。他にAndroidや通信の知識や経験だけでなく、Material Designに準拠したUIの設計・実装経験も要求されています。要求水準が高いだけのことはあり、月単価は115万円となっています。
Kotlinを利用したWebAPI開発を、設計からテストレベルまでの幅広い工程で担当するプロジェクトです。要求スキルにはオブジェクト指向プログラミングの経験やWebAPIの実装経験などがリストされていますが、Kotlinでの開発経験は、歓迎であって必須ではありません。
Kotlinのスキルが直接的に求められていないとはいえ、設計工程からの参画が想定されていることもあってか、月単価は80万円です。
レバテックフリーランスで、Kotlinがスキルとして求められている案件の全体を確認してみましょう(2021年5月22日現在)。
500件以上あるKotlinの案件の中で、月単価は最高で125万円、最低で42万円、平均は82万円となっています。この平均単価82万円は、他のスキルにおける平均単価と比較しても高めの数値となります。
参考までに、月単価82万円の案件を12ヶ月受注できた場合、年間では984万円となります。いわゆる「一千万プレーヤー」は十分現実的な数値と言えるでしょう。Kotlinのフリーランスエンジニアは、収入面でも魅力が高いと言えそうです。
仕事の確保は、フリーランスにとって永遠の課題と言っていいものです。Kotlinエンジニアも例外ではありませんが、おすすめしたいのは、フリーランス専門エージェントの活用です。
エージェントを利用することによるメリットは大きく、仕事の切れ目が近づいた時に自ら営業を行わずに済むことの安心感は他では得難いものです。税務など、一般にエンジニアが苦手とする事務関係のサポートも利用できますので、積極的に利用しましょう。
なお、Kotlinでの開発実務の経験はないものの、自分で何らかのプログラムを作成した経験がある場合は、クラウドソーシングの利用も検討しましょう。クラウドソーシングでのKotlin案件には規模が小さなものも多いため、実務経験が乏しくても受注できる可能性があります。
エージェントを利用して案件を探したい方はこちらのページを参考にしてみてください。
案件単価を上げるために定番と言えるのは上流工程への参画です。Kotlinの場合はこの他に、サーバサイドの記述ができることも高単価案件の獲得には有効に働きます。
Kotlin案件の中でサーバ移行は増加基調にありますし、AndroidやWebのアプリケーションのバックエンド開発にKotlinを利用する機運は高まっています。こういった案件はすぐに見つからないこともありますが、案件受注の可能性を大きくするには、サーバサイドのスキルは積極的に習得したいところです。
バックエンドの開発はデリケートな情報を扱う必要があるなど、セキュアさも求められます。当然ながら責任が伴いますが、その分やりがいの大きな仕事になることでしょう。
プログラミング言語であるKotlinが開発された目的に、Javaの弱点克服があります。それだけに、KotlinはJavaを置き換えることが可能な言語仕様を備えており、実際にJavaとKotlinが同一プロジェクトに混在可能という、驚くべき特性を持ち合わせることとなりました。
双方の親和性の高さとKotlin習得へのハードルの低さを考えると、KotlinはJavaエンジニアが優先的に習得すべきスキルであると考えていいでしょう。Androidの隆盛を見ると、Kotlinエンジニアの需要が落ちることは考えにくく、十分なスキルを持っているエンジニアも不足気味です。
繰り返しになりますがKotlinとJavaは親和性が高く、Kotlinでは不安がある部分の実装にJavaを用いるという対応も可能です。KotlinとJava、双方に習熟したエンジニアが求められるシーンも増えていくことでしょう。
さて、Kotlinを取り巻く世界、特にAndroidやWebアプリケーションの開発においては、スピード感が求められることが多くなります。Kotlinはシンプルかつ安全性の高いスピーディなプログラミングが可能な言語であり、スピード感への期待に応えるだけの能力は備えていると言えます。
また言語としての歴史が浅いKotlinは、現在のところ扱うことができるエンジニアの数も決して多くはありません。それだけにKotlinという言語の習得に関しては、あくまで歓迎条件としている案件も数多くあります。経験豊富で技能にすぐれたエンジニアであれば、高単価が見込めるKotlin案件を受注できる可能性も大きくなるでしょう。
参入のための壁は低めと言えるKotlinは、今がスキル習得のチャンスと言えそうです。
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